Apple Payで2017年9月22日から、「Mastercardタッチ決済」、「JCB Contactless」、American Express Contactless(旧・ExpressPay)を利用可能になりました。
「EMV Contactless」(NFC Pay)という海外で普及が進んでいるType-A/Bの非接触IC型決済サービスを利用可能になります。アップルペイが近距離無線の国際標準に対応しました。
日本国内ではiD、QUICPay、Suica等の交通系ICサービス、楽天Edy、nanaco、WAONなどの電子マネーが普及しており、対応店舗は少ない状況です。
ただし、海外ではMastercardタッチ決済の利用可能店舗は多いため、Apple Payがより一層便利になります。
※2021年5月11日からApple PayはVisaのタッチ決済にも対応。Visaタッチについては以下に集約しています。
目次
アップルペイがType-A/BのNFCに対応したメリット
「JCB Contactless」はJCB、「Mastercardタッチ決済」はMastercard、「American Express Contactless」はアメックスが提供している非接触IC型決済サービスです。
近距離無線の国際標準「NFC」、ICカードのセキュリティに関する国際統一規格であるEMVコンタクトレス(非接触)の枠組みに対応しており、国内外の対応加盟店で支払いが可能です。
Apple Payに登録されているクレジットカードの国際ブランドによって、使える決済サービスが自動的に決まります
- JCBブランドのクレカ:JCB Contactless
- Mastercardブランドのクレカ:Mastercardタッチ決済
- アメックスブランドのクレカ:American Express Contactless
これらNFC決済サービスをApple Payで使える端末は、7以降のiPhone、Series 2以降のApple Watchで、OSはiOS 11.0以降が条件です。
iPhone 6s以前のiPhone、初代のApple Watchは対象外となります。
iOS11にアップデートすれば自動的に使えるようになり、特に端末側では設定する必要はありません。
なお、従来使えていたSuica、iDかQUICPayはそのまま利用可能です。どれか一つということはないのでご安心ください。
VisaはApple Payでのアプリ・Web決済ができないようにアップルペイからは距離をおいており、当初「Visaのタッチ決済」は非対応でしたが、現在は対応しています。
ダイナースクラブカードを登録したApple Payでも、非接触型IC決済サービスも利用できません。
日本ではFeliCa搭載の電子マネーが高いシェアを誇って席巻しています。
したがって、店舗側としても、American Express Contactless、Mastercardタッチ決済、Visa payWaveに対応するインセンティブに乏しい状況です。
関西国際空港などインバウンドが多い施設ではType-A/BのNFC決済サービスに対応し始めています。
しかし、海外ではMastercardタッチ決済の対応店舗が拡大しています。
利用可能な国の数は80カ国にのぼり、600万ヶ所以上の店舗で導入されています。米国では広く普及しています。
また、アメックスのAmerican Express Contactlessも、アメリカ、イギリスなどを中心として加盟店が広がっています。
使い方は簡単であり、決済用の端末・機械に、Apple Payを搭載している対象iPhoneかApple Watchを近づけるだけです。
決済完了の合図となる音声が鳴り、取引が成功したことを知らせてくれます。
イメージ的には、楽天Edy、nanaco、WAON、JMB WAON、iD、QUICPay、Android Pay等の電子マネーでの決済と使い方は類似しています。
また、Suica、モバイルSuica、PASMO、ICOCA、TOICA、manaca、Kitaca、SUGOCA、nimoca、はやかけん等の交通系電子マネーをコンビニ等の店舗で使う場合ともそっくりです。
Apple PayのNFC決済サービス対応は、海外での支払いで着実に便利になります。
メリットはセキュリティの高さです。Apple Payには実際のカード番号とは異なる「デバイスアカウント番号」が割り振られています。
Apple PayでMastercardタッチ決済、JCB Contactless、American Express Contactlessで支払ったとしても、本体のカード番号が加盟店に漏れることはありません。
海外ではクレジットカードのスキミングやカメラでの盗み見などで、カード情報を収集して不正利用される犯罪が発生しています。
ICチップを搭載しているクレジットカードはセキュリティが頑健であり、複製カードの作成の難易度はUPしています。
しかし、カード番号の収集は防ぐことができません。インターネットで不正利用されるリスクは残っています。
Apple Payはモバイル非接触型決済サービスなので、カード情報は店舗側に一切開示されません。
高級なホテル・レストラン・ショップではまずクレジットカード払いで問題は生じませんが、信頼性が定かではない店舗でApple Pay払いが可能であれば、こちらを利用するというストラテジーを採用できます。
Mastercard、JCB、アメックスブランドのクレジットカードが対応
Apple Payで新しいNFCサービスを使えるのは、2017年9月22日のローンチ時点では、トヨタファイナンス発行のクレジットカード、KDDI発行のau WALLETのみでした。
しかし、その後は拡大しており、幅広いMastercard、JCB、アメックスブランドのクレジットカードが対応しています。
ENEOSカード等のトヨタファイナンス発行クレカ
トヨタファイナンスがいち早くプレスリリースを発表しています。Apple PayでJCB Contactless、Mastercardタッチ決済の機能提供を開始しました。
トヨタファイナンスが発行しているクレジットカードの代表例は以下のとおりです。
これらのクレジットカードをApple Payに登録すると、QUICPayとして割り振られていました。この機能も従来通り利用可能です。
au WALLET
KDDIはMastercardブランド搭載型のプリペイドカード「au PAY プリペイドカード」、VisaかMastercardのクレカ「au PAY カード」を発行しています。
au PAY カードはお得な入会キャンペーンも魅力的です。
au PAY カード、ゴールドカードは即時利用サービスも開始しており、より一層便利で使いやすくなっています。
au PAY プリペイドカードの方は、一部店舗を除いて国内外のMastercardタッチ決済加盟店にて利用可能です。
au PAY カードのMastercardブランドは、国内のMastercardタッチ決済加盟店(一部店舗を除く)で利用可能です。
2017年9月のローンチ時点では海外では利用できませんが、その後に対応しました。
その他
その後も多数のクレジットカード会社がApple PayのMastercardタッチ決済、JCB Contactless、American Express Contactlessに対応しています。
Apple PayでのMastercardタッチ決済は、マスターカードブランドの以下のクレジットカードで利用できます。
- リクルートカード
- オリコカード(オリコカードの種類)
- 三井住友カード、dカード、ANA Mastercard
- TRUST CLUB プラチナマスターカード、TRUST CLUB ワールドカード、TRUST CLUB ワールドエリートカード
- セディナカード
- ラグジュアリーカード、アプラスカード
- ジャックスカード(Delight JACCS CARD、リーダーズカード等)
- 三菱UFJカード、DCカード、NICOSカード
- セゾンカード、UCカード
JCB Contactlessは、JCBブランドはJCBオリジナルシリーズのクレジットカード、セブンカード、セディナカード 、オリコカード、ジャックスカード、セゾンカード等が対象です。
この他のクレジットカードでもMastercard、JCB、アメックスブランドでApple Payに登録できた場合は、コンタクトレス決済が使える場合があります。
最も使える場所が多いのはMastercardタッチ決済
Apple Payの新しいNFC決済サービス対応で、最もよく利用されるのは、Mastercardタッチ決済加盟店になると思われます(店舗検索)。
日本国内、海外の両方で、American Express Contactless、JCB Contactlessよりも対応店舗が多い状況を構築しています。
「American Express Contactless」は日本、アメリカ、イギリス、シンガポール、オーストラリア、アイスランドなどで使えます。
対応国でのマクドナルド、スターバックス、サブウエイなどのファーストフード・カフェなどで利用できます。
また、シェブロン(ガソリンスタンド)、ホールフーズ・マーケット(食品スーパー)、メジャー(複合小売店)、ウォルグリーン(薬局)、ベストバイ(家電)、ベライゾン・ワイヤレス(携帯電話)、ペトコ(ペット)等で使えます。
日本国内ではJCB Contactless、American Express Contactlessと一緒に2018年3月13日から全国のマクドナルドで使えるようになりました。
店頭ではスタッフに対して「クレジット」「クレジットカード」「アメックスで」と述べて対応カードを端末にかざせばOKです。
実際に「アメックスで」と述べてマクドナルドでアメックス・プラチナをかざしたら、無事に決済できました。
dポイントカード提示で1%のdポイントも貯められました。
また、マクドナルド公式アプリのクーポンとも併用でき、コーヒーMサイズを通常200円→100円で購入できました。
Mastercardタッチ決済は従来「PayPass」という名前だったポストペイ型の電子マネーです。
Mastercardタッチ決済は、Mastercardが開発した非接触IC技術を用いた電子マネーで、店舗のレジに設置された専用リーダーにかざすだけで支払いが完了できます。
利用店舗・利用金額によってはサインが必要な場合があります。利用代金は、カードの利用分とあわせて支払う「ポストペイ式」(後払い)です。事前にチャージする必要がなくて便利です。
ローソン、マクドナルド、ビックロ、ビックカメラ新宿東口店、阪急阪神第一ホテルグループ、イクスピアリ、京王百貨店、東急プラザ銀座、JapanTaxi、すき家・ココス・ビッグボーイ・ジョリーパスタ・はま寿司などで利用できます。
日本ではVisa payWaveよりも格段に先行しており、取扱店舗が多い状況となっています。
海外では対応店舗が拡大しています。利用可能な国の数は80カ国にのぼり、600万ヶ所以上の店舗で導入されています(店舗検索)。
ルーブル美術館のチケット販売機でも利用可能で、台湾では幅広く使えて高雄メトロの改札も通過でき便利です。
シンガポールの地下鉄(MRT)、バスにもMastercardタッチ決済で乗車できます。
米国においては広く普及しており、スーパー、コンビニエンスストア、ファーストフード、ドラッグストア、タクシーなどが取り扱い店に名を連ねています。
ジャンル | 店名 |
---|---|
コンビニ | 7-Eleven |
ファーストフード | McDonald's, SUBWAY, TULLY'S, BURGER KING, Haagen-Dazs, Arby's, Dairy Queen, Jack In The Box |
映画館 | AMC Theatre, United Artists Theatre, Regal Cinemas |
ドラッグストア | CVS, duane reade, Rite Aid |
駐車場 | Central parking |
タクシー | Yellow Cab |
ガソリンスタンド | BP, Exxon Mobil |
スタジアム | Yankee Stadium, Giants Stadium, Citizens Bank Park |
オフィス用品 | Office Depot |
エレクトロニクス | Best Buy |
Mastercardタッチ決済が使えるクレジットカードを発行しているのは、楽天カード、イオンカード、TRUST CLUBカード、オリコカード、ごく一部のJACCSカード等です。
まとめ
Apple Payで2017年9月22日から、「Mastercardタッチ決済」、「JCB Contactless」、「American Express Contactless」を利用可能になりました。
近距離無線の国際標準「NFC」、ICカードのセキュリティに関する国際統一規格であるEMVコンタクトレスの枠組みに対応しているワールドワイドな決済サービスを利用可能になります。
iOS 11.0以降のiPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone 8、iPhone 8 Plus、Apple Watch Series 2、Apple Watch Series 3で利用可能です。
マクドナルドなどの店頭ではスタッフに対しては、以下のセリフを述べて、Apple Payを端末にかざせばOKです。
- Mastercard Contactless:マスターカードで
- JCB Contactlessは:JCBで
- American Express Contactless:アメックスで
日本ではFeliCa搭載の電子マネーが全国津々浦々まで普及しており、日常の生活シーンはこれらで事足りることから、あまり大きいメリットはありません。
ただし、海外でクレジットカードを出したくない店舗で決済する場合などに便利です。
また、日本国内でも伸び代は大きく、徐々に普及が進んでいます。
タッチ決済対応でApple Payがより一層便利になりました。アップルペイの詳細については、以下で精緻に分析しています。
Apple PayとSuica、国際ブランドの関係については、以下にまとめています。
セキュリティも高く、安心に利用できるような頑健な仕組みとなっています。個人情報は、暗号化された状態で安全にデバイス内のセキュア・エレメントに保管されます。
万が一、初期設定でApple Payでエラーが出た場合の解決方法は以下にまとめています。
Apple Payを使っている端末を紛失した場合、「iPhoneを探す」機能で紛失モードに設定すると、簡単にApple Payの利用を一時停止できます。
新しいiPhoneやApple Watchに、Suicaのチャージ残高や定期券を移行することも可能です。Apple Payが使えるクレジットカードについては、以下で比較しています。
その中でおすすめ
Suica機能のみであれば、デビットカードでも利用可能です。
Apple PayのSuica機能の詳細、アップルペイでのSuicaチャージでポイントが貯まるクレジットカードについては、以下で分析しています。
首都圏ではバス特(バス利用特典サービス)も適用されるので便利です。Suica、PASMOと同様に利用可能で、モバイルSuicaのエクスプレス予約も使えます。
実際にApple Payを使ってみた感想については、以下にまとめています。
X以降のiPhoneではホームボタンの廃止に伴い、Face IDでの顔認証でApple Payの認証も行うことになりました。ただし、Suica払いの際はこれまで通り認証は不要でかざすだけでOKです。
Face IDによる顔認証が導入されたApple Payの使い方、注意点、感想については以下にまとめています。
iPhoneの機種変更の際、Apple Payの設定を移行する方法については以下で解説しています。