日本で発行されているアメックスのクレジットカードには、「American Express Contactless」が搭載されています。
カード中央右の右方向に広がっている4本線のマークが目印であり、いわゆる「タッチ決済」「コンタクトレス決済」の機能です。
「EMV Contactless」(NFC Pay)という海外で普及が進んでいる非接触IC型決済サービスを利用できます。
また、2022年半ばからは、クレディセゾン、三菱UFJニコス株式会社発行の一部アメックスカードでも使えるようになりました。
近距離無線の国際標準「NFC(Type A/B)」、ICカードの世界標準「EMV」に準拠したセキュリティの高い決済が可能なアメックスのコンタクトレスについて解説します。
目次
「アメックスのタッチ決済」の概要
「American Express Contactless」はポストペイ型の電子マネーであり、支払方法は通常のカードショッピングと同様の後払い方式です。
以前は「ExpressPay」という名前だったサービスで、日本、アメリカ、イギリス、シンガポール、オーストラリア、アイスランドなどで使えます。
使い方は簡単。店頭ではスタッフに対して「アメックスで」と述べて、American Express Contactlessターミナル(端末)から4cm以内に、アメックスのカードを近づけるだけです。
セブン-イレブン、ローソン、すき家、イオングループなど便利な店舗でも使えるようになっており、活用シーンが広がっています。
一瞬ライトインジケータが赤ないしオレンジとなり、不穏な雰囲気となることがありますが、そのままかざしていればOKです。
ビープ音が鳴ってライトインジケータが緑色に点灯して、取引が成功したことを知らせてくれます。
イメージ的には、楽天Edy、nanaco、WAON、JMB WAON、iD、QUICPay、アップルペイ、Android Pay等の電子マネーでの決済と使い方は類似しています。
また、Suica、モバイルSuica、PASMO、ICOCA、TOICA、manaca、Kitaca、SUGOCA、nimoca、はやかけん等の交通系電子マネーをコンビニ等の店舗で使う場合ともそっくりです。
日本の電子マネーに搭載されているチップの規格は、ソニーのFeliCaが大多数です。
これは国際標準ではなく日本の外に出ると香港やシンガポール等でしか対応国がなく、悲しいことに使えない国が大多数となっています。
しかし、American Express Contactlessは、Visa Pay WaveやMastercardタッチ決済と同様に国際標準に準拠しており、海外でも利用可能です。
American Express Contactlessを使えるクレジットカード
American Express Contactlessは、アメリカン・エキスプレス発行のクレジットカード一体型であり、ポストペイ型の電子マネーとなっています。
アメックスカードの種類のうち、アメリカン・エキスプレス日本支社が発行しているクレジットカードには搭載。
カード名 | 税抜年会費 (家族会員) | タッチ決済 |
---|---|---|
![]() アメックス・グリーン | 12,000円 (6,000円) | ◯ |
アメックスゴールドプリファード | 36,000円 (2名無料、以降18,000円) | ◯ |
![]() アメックス・プラチナ | 150,000円 (4名無料) | ◯ |
![]() アメックス・センチュリオン | 初年度合計100万円、 2年目以降50万円 (無料) | ◯ |
![]() マリオットボンヴォイアメックス | 21,000円 (1名無料、以降10,500円) | ◯ |
![]() マリオットボンヴォイアメックスプレミアム | 45,000円 (1名無料、以降22,500円) | ◯ |
![]() ヒルトンアメックス | 15,000円 (1名無料、以降6,000円) | ◯ |
![]() ヒルトンアメックスプレミアム | 60,000円 (3名無料、以降12,000円) | ◯ |
ANAアメックス | 7,000円 (2,500円) | ◯ |
ANAアメックス・ゴールド・カード | 31,000円 (15,500円) | ◯ |
ANAアメックス・プレミアム・カード | 150,000円 (4名無料) | ◯ |
![]() デルタ スカイマイル アメックス | 12,000円 (1名無料、 以降6,000円) | ◯ |
![]() デルタ スカイマイル アメックス・ゴールド | 26,000円 (1名無料、 以降12,000円) | ◯ |
![]() ペルソナSTACIA アメックス | 14,000円 (7,000円) | ◯ |
![]() アメックス・ビジネス・グリーン | 12,000円 (6,000円) | ◯ |
![]() アメックス・ビジネス・ゴールド | 33,000円 (12,000円) | ◯ |
![]() アメックス・ビジネス・プラチナ | 130,000円 (4名無料、 以降12,000円) | ◯ |
また、2022年半ばからは、セゾンアメックス、三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード等でも利用可能となりました。
QUICPayが搭載されたJCBカードや、iDが搭載されたdカードと同じようなイメージです。
なお、アメックスセンチュリオンの場合、アメックスのコンタクトレス決済のマークはカード裏面にありますが、使い方はプラチナ・カード以下と同じです。
デルタアメックスもカード表面にはマークがありませんが、裏面にあり、アメックスのタッチ決済を利用できます。
ANAアメックス、ペルソナSTACIAアメックスも、Apple Payに登録すれば、対応iPhone・Apple Watchでアメックスのコンタクトレス決済を利用可能です。
アメックスのコンタクトレス決済を使えるお店
アメックスのAmerican Express Contactlessは、コンビニ、ファーストフード・カフェなどを中心に加盟店を拡大しています。
日本国内においては、American Express ContactlessはJCBの「JCB Contactless」と一緒に2018年3月13日から全国のマクドナルドで使えるようになりました。
店頭ではスタッフに対して「クレジット」「クレジットカード」「アメックスで」と述べて対応カードを端末にかざせばOKです。

実際に「アメックスで」と述べてマクドナルドでアメックス・プラチナをかざしたら、無事に決済できました。
dポイントカード提示で1%のdポイントも貯められました。
また、マクドナルド公式アプリのクーポンとも併用でき、コーヒーMサイズを通常200円→100円で購入できました。
マクドナルド以外では、セブン-イレブン、ローソン、イオングループ、ドン・キホーテ、アップルストア、ZARA、渋谷ストリーム等で利用可能。

更に、タクシーアプリ「JapanTaxi」、コカ・コーラのマルチマネー対応自動販売機、ゼンショーグループの一部店舗でも利用可能です。
※ゼンショーグループ対象店舗
すき家、ココス、ビッグボーイ、ジョリーパスタ、ヴィクトリアステーション、華屋与兵衛、エルトリート、牛庵、いちばん、宝島、はま寿司、久兵衛屋、カフェミラノ、モリバコーヒー、たもん庵、瀬戸うどん等
また、インバウンドが多い関西国際空港、成田空港、伊丹空港もアメリカン・エキスプレス・コンタクトレスに対応しています。

海外ではマクドナルド・スターバックス・サブウエイなどのファーストフード・カフェなどを中心に加盟店が拡大しています。
また、シェブロン(ガソリンスタンド)、ホールフーズ・マーケット(食品スーパー)、メジャー(複合小売店)、ウォルグリーン(薬局)、ベストバイ(家電)、ベライゾン・ワイヤレス(携帯電話)、ペトコ(ペット)等で使えます。
日本にも馴染みがあるところでは、玩具屋のトイザらス、スポーツ用品店のスポーツオーソリティーで利用可能です。
海外では交通カードや切符を購入する手間の解消にタッチ決済の導入が始まっており、例えばニューヨークの地下鉄の一部区間で利用できます。
イギリスではアメックスのスマホアプリをインストールすると、スマートフォン(iPhone・Android)でもAmerican Express Contactlessを利用可能です。
アメックスのカードだけでロンドンの地下鉄にSuicaのように乗車できるオイスターカード代わりになるので、旅行でとても便利です。
アメックス コンタクトレスのメリット
AMEXのタッチ決済には、便利な長所が存在しています。
スキミングを防ぐ高いセキュリティ
American Express Contactlessの第一のメリットはセキュリティの高さです。
実際のカード番号とは異なる「デバイスカードナンバー」が発番されているので、本体のカード番号が加盟店に漏れることはありません。
海外ではクレジットカードのスキミングやカメラでの盗み見などで、カード情報を収集して不正利用される犯罪が発生しています。
アメックスはICチップを搭載したことによってセキュリティが頑健化して、複製カードの作成の難易度はUPしています。
ただし、カード番号の収集は防ぐことができません。インターネットで不正利用されるリスクは残っています。
American Express Contactlessは非接触型決済サービスなので、カード情報を見えないように支払うことが可能です。
高級なホテル・レストラン・ショップではまずクレジットカード払いで問題は生じません。
もっとも、信頼性が定かではない店舗でAmerican Express Contactless払いが可能であれば、こちらを利用するというストラテジーを採用できます。
Amex本体では必要な暗証番号の入力・サインが不要
アメックスカードのクレジット決済では、原則として暗証番号の入力・サインが必要となります(コンビニ・スーパーなど一部店舗は一定額まで不要)。
アメックスのタッチ決済では基本的に暗証番号の入力・サインが不要となり、スピーディーな支払いが可能です。
Apple Payでも利用可能
Apple Payで2017年9月22日からMastercardタッチ決済、JCB ContactlessとともにAmerican Express Contactlessが利用可能になりました。
7以降のiPhone、Series 2以降のApple Watchをお持ちの方は、カード無しでコンタクトレス決済を行えます。

なお、アメックスをApple Payに登録するとQUICPayも使えます。
ただし、ボーナスポイント・パートナーズでのボーナスや、定期的に開催されるアメックスのキャッシュバックキャンペーンは、QUICPayが対象外となっています。
アメックスの立場では、QUICPay払いはどの店舗で決済したのか不明なため、ボーナスポイント・キャンペーンの対象とはなりません。
したがって、コンタクトレス決済に対応しているお店ではQUICPayよりもアメックスのタッチ決済の方がおすすめです。
非接触決済なので衛生的
コロナウイルスの感染が蔓延している情勢では、除菌・感染防止も重要な論点となります。
この点、アメックスのタッチ決済ならカードリーダーに通す必要がありませんし、スタッフにカードを渡すのも不要です。
非接触決済は現金・物理型カード払いと比較すると格段に衛生的なのが利点です。
デメリット
アメックスのタッチ決済には、利点がある反面、欠点も存在しています。
利用可能店舗が少ない
アメックスコンタクトレスのデメリットは、使える店舗が限定的である点です。
日本ではFeliCa搭載の電子マネーが高いシェアを誇って席巻しており、ほぼ誰でも持っている状況となっています。
したがって店舗側としては、American Express Contactless、Mastercardタッチ決済、Visa payWave、JCB Contactlessに対応するインセンティブに乏しい状況です。
ローソン、マクドナルド、ゼンショーグループ等の全国チェーン店、関空などインバウンド観光客が多い施設は対応していますが、まだまだ非対応の店舗が多いのが現状となっています。
できない時あり
セブン-イレブンでアメックスのタッチ決済を使おうとしたところ、なぜかエラーとなってしまいました。利用カードはマリオットボンヴォイアメックスプレミアムです。
NFC決済が例外的に利用できない店舗ではなく、後日同じ店でもう一度試したところ、その時は使えました。
私だけではなく、アメックスプラチナでエラーになった知り合いもいます。稀に原因不明のエラーが出て使えない時があります。
アメックスのコンタクトレス決済まとめ
日本で発行されているアメックスのクレジットカードには、「American Express Contactless」が搭載されています。
アメックスのタッチ決済が使えるお店は着実に拡大中。日本国内の主要な加盟店は下表の通りです。
ジャンル | 店舗名 |
---|---|
コンビニ | ローソン、セブン-イレブン |
スーパー | イオン、ダイエー、まいばすけっと、マックスバリュ、ウエルシア、カスミ、マルエツ、Peacock Store |
飲食店 | マクドナルド、ゼンショーグループ(※) |
自販機 | コカ・コーラのマルチマネー対応自動販売機 |
ショッピング | アップルストア、ZARA |
商業施設 | 渋谷ストリーム |
タクシー | Japan Taxi |
空港 | 伊丹空港、関西国際空港、神戸空港 |
※ゼンショーグループ対象店舗
すき家、ココス、ビッグボーイ、ジョリーパスタ、ヴィクトリアステーション、華屋与兵衛、エルトリート、牛庵、いちばん、宝島、はま寿司、久兵衛屋、カフェミラノ、モリバコーヒー、たもん庵、瀬戸うどん等
Japan Taxiはクレジットカード決済だとサインが必要なので、AMEXのタッチ決済ならサクッと支払いが完了するのは大きなメリットとなっています。
高いセキュリティの元でコンタクトレス決済が可能で、Apple Payを使えばスマホやスマートウォッチでも支払えます。
アメックスのAmerican Express Contactlessが今後、日本でどのような展開を見せるかに注目します。
余談ですが、加盟店の店員さんの中には、American Express Contactlessのマークを、決済端末にカードを入れる向きと勘違いして、ICチップとは逆側の向きで端末に入れる方も複数名いました^^;
アメックスは高いステータスを誇るのが特徴です。ウォーレン・バフェット、ビル・ゲイツがアメックス・グリーンを保有していると言われていることは有名ですね。
価格.comで「クレジットカードでもっともステータスを感じる国際ブランドは?」というアンケート(2015年2月)が実施されたことがあります。
ランキングは1位アメックス、2位ダイナースクラブ、3位VISAとなりました。アメリカン・エキスプレスのステータスが客観的に高く評価されています。
- アメリカン・エキスプレス:35.7%
- ダイナースクラブ:31.5%
- VISA:14.6%
- JCB:8.0%
- Mastercard:7.0%
しかし、高いステータスとは裏腹に、平均的な会社員でも持っている方は多いです。
アメックスはライバルのクレカに一歩差をつける流麗な制度が満載であり、人生がもっと楽しくなるクレジットカードです。一度使ったらもう手放せません(アメックスカードの種類)。
おすすめのアメックスについては、以下で徹底的に解説しています。

なお、プロパーカードだけではなく、2022年半ばからは、セゾンアメックスでも利用可能となりました。

