エヌ・シー・エヌ(7057)のIPOが決定しています。ブック・ビルディング期間は2019年2月26日(火)~3月4日(月)、上場日は3月14日(木)です。
新規上場する市場は東証JASDAQスタンダードで、想定価格は700円(1単元7.0万円)です。仮条件は700円~800円と上振れました。
公開価格は仮条件の上限である800円となりました。予想PERは11.1倍、予想配当利回りは2.88%(1株配当 23)です。
初値予想は「公開価格近辺で若干のプラスリターン」です。以下のレンジを想定しています。
900〜1,150円(仮条件の上限比+12.5%~+43.8%)
エヌ・シー・エヌは、木造耐震設計事業において、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するための独自の建築システムである「SE構法」を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて展開しています。
監査法人は太陽有限責任監査法人で、本社所在地は東京都港区港南1-7-18 A-PLACE品川東です。
エヌ・シー・エヌとは
エヌ・シー・エヌは創業以来、木造建築の耐震化に取り組んでいます。
建築基準法第6条の4の規定により、「2階建て以下・延べ面積500㎡以下・高さ13m以下・軒の高さ9m以下の木造建物」については、建築確認の審査が省略でき構造計算の必要がないことから、新耐震基準が導入された1981年以前に建築された住宅を中心として耐震性を有しない住宅が少なくない状況です。
国土交通省が2018年6月5日に公表した「国土強靭化アクションプラン2018」では、2008年に約79%であった住宅の耐震化率を2020年までに約95%まで引き上げることを重要業績指標としています。
エヌ・シー・エヌは今後、新築住宅及び既存住宅の耐震性強化に向けた動きが進むものと考えています。
また、非住宅分野では、2010年10月に施行された「公共建築物等木材利用促進法」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されています。
病院や保育園など、住宅より規模の大きい建築物はこれまで鉄骨造や鉄筋コンクリート造が主流でしたが、今後は木造での建設需要が高まるとともに、それに伴うSE構法を含む耐震性の高い建築システムに対する需要が高まるものと期待しています。
このような状況の中、エヌ・シー・エヌは創業以来20年以上に亘り木造耐震設計事業を中心とした事業を展開し、構造計算から部材供給、温熱計算、性能保証及び金融サポートまで一括管理することで、木造建築の耐震性の向上による安全性の確保と資産価値向上に寄与してきました。
施主よりSE構法による木造建築を受注した登録施工店に対して、設計段階で構造計算書を出荷するとともに、建設段階で構造加工品等を販売しています。
また登録施工店からは登録料及び月会費を受領しています。
一般の木造住宅ではほとんど構造計算は実施されていませんが、SE構法では、鉄骨造やRC造と同じ手法である許容応力度計算)による構造計算を実施しています。
構造計算においては、構造図面作成用CADと連動した立体解析による構造計算プログラムを使用することで、構造図と構造計算の整合性を確保する形で安全性を検証しています。
SE構法では、構造部材として強度にばらつきのある無垢材ではなく、構造品質が高く一定の強度が保たれた構造用集成材を採用しています。
また、接合部には独自開発した金物を採用するとともに、耐力壁や床材には構造用合板を採用しています。これにより高い耐震性と大空間を実現させることが可能となっています。
エヌ・シー・エヌでは、構造計算の際に作図される構造データを指定構造加工工場がそのまま加工データとして利用できるシステムを構築しています。
正確に加工された構造加工品を供給するとともに、合わせてSE金物や構造用合板も供給することで、木造建築の耐震性と安全性を実現しています。
従業員数は85名、平均年齢は39.3歳、平均勤続年数は7.1年、平均年間給与は582.8万円です。
エヌ・シー・エヌのIPOの諸データ
新規発行による手取金の使途については、事業拡大を見据えた設備資金等に充当する予定です。
- これまでの構造計算により蓄積された2万件以上の間取り図や構造図などのデータベースを整理し、リフォームやメンテナンスなどのサービスを既存顧客に提供するビジネスモデルの開発を目的に、基幹業務システムを再構築するための設備資金
- 強みである木造構造設計技術を活用した次世代構造設計システム(動画を用いた耐震シミュレーションシステム、BIM(CADコンテンツ制作)を活用して設計図からのデータ置換の効率化を図るシステム、データベースを活用した簡易設計システムなど)を開発するための設備資金
- 技術・営業人員の採用及び確保のための資金(求人広告、採用コンサルティング費用、研修費用及び人件費など)
エヌ・シー・エヌの業績推移
業績面では売上高・経常利益はボックスでの推移となっています。純利益は大局的には右肩上がりの傾向となっています。
営業キャッシュフローは包括利益を上回っている年度と下回っている年度があります。
前期の自己資本利益率(ROE)は17.8%であり、自己資本比率は27.5%です。主要な連結経営指標等の推移は下表のとおりです。
回次 | 第22期 | 第23期 | |
---|---|---|---|
決算年月 | 2017年3月 | 2018年3月 | |
売上高 | (千円) | 5,894,479 | 6,083,236 |
経常利益 | (千円) | 163,704 | 229,361 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | (千円) | 126,045 | 169,384 |
包括利益 | (千円) | 120,576 | 172,992 |
純資産額 | (千円) | 897,970 | 1,045,872 |
総資産額 | (千円) | 3,421,451 | 3,738,111 |
1株当たり純資産額 | (円) | 350.35 | 410.05 |
1株当たり当期純利益金額 | (円) | 50.24 | 67.51 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額 | (円) | - | - |
自己資本比率 | (%) | 25.7 | 27.5 |
自己資本利益率 | (%) | 15.3 | 17.8 |
株価収益率 | (倍) | - | - |
営業活動によるキャッシュ・フロー | (千円) | 3,406 | 229,054 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | (千円) | △31,962 | △71,223 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | (千円) | △25,090 | △25,090 |
現金及び現金同等物の期末残高 | (千円) | 1,678,148 | 1,810,889 |
従業員数 | (人) | 86 | 83 |
提出会社の経営指標等の推移は下表のとおりです。
回次 | 第19期 | 第20期 | 第21期 | 第22期 | 第23期 | |
---|---|---|---|---|---|---|
決算年月 | 2014年3月 | 2015年3月 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 | |
売上高 | (千円) | 6,055,305 | 5,621,389 | 5,533,340 | 5,869,542 | 6,056,571 |
経常利益 | (千円) | 280,467 | 98,493 | 199,385 | 169,827 | 198,245 |
当期純利益 | (千円) | 101,371 | 71,419 | 107,998 | 133,405 | 136,739 |
資本金 | (千円) | 100,000 | 100,000 | 137,270 | 137,270 | 137,270 |
発行済株式総数 | (株) | 2,000 | 2,000 | 25,090 | 25,090 | 25,090 |
純資産額 | (千円) | 502,604 | 563,272 | 686,145 | 797,941 | 915,087 |
総資産額 | (千円) | 3,353,891 | 2,966,186 | 3,082,592 | 3,319,369 | 3,601,400 |
BPS | (円) | 251,302 | 281,636 | 27,347 | 318.03 | 364.72 |
1株配当 | (円) | 5,000 | 10,000 | 1,000 | 1,000 | 2,200 |
EPS | (円) | 50,686 | 35,710 | 5,074 | 53.17 | 54.5 |
自己資本比率 | (%) | 15 | 19 | 22.3 | 24 | 25.4 |
自己資本利益率 | (%) | 22.2 | 13.4 | 17.3 | 18 | 16 |
配当性向 | (%) | 9.9 | 28 | 19.7 | 18.8 | 40.4 |
従業員数 | (人) | 66 | 64 | 68 | 84 | 81 |
市場トレンド
市況面では、上場直前3ヶ月間のインデックスが上昇トレンドの状況だと初値リターンが高い傾向となっています。
日経JASDAQは2016年2月以降は長らく上昇トレンドが続き、2006年の高値を目指して爆進中となっていましたが、6月中旬以降は調整局面となっています。
しかし、足元では10月の急落から反発しつつあります。反発して再度堅調な相場に回帰すれば、IPOにおいて追い風となります。逆に下降トレンドが継続したら向かい風です。
(※マネックス証券より)
上場規模
エヌ・シー・エヌのIPOの規模は最大で約6.4億円であり、東証JASDAQスタンダードとしても小型です。小型であればある程、初値リターンは良い傾向があります。
公募株式数は560,000株、売出株式数は240,000株、オーバーアロットメント(OA)は120,000株です。
公開比率(オファリングレシオ)は最大で約30%とやや高めです。公開比率が低ければ低いほど、初値リターンが高い傾向があります。公募株式数に占める売出の割合は30%です。
株主かつ売出人である株式会社テラスカイ、の株主かつ貸株人である大石良、及びの株主であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、羽柴孝、大塩啓行、大野麻理、鳥や尾務、望月明人、古川尚良、ATPプラス有限責任事業組合には、原則として90日間のロックアップがかかっています。ロックアップは1.5倍で解除されます。
上記のほか、エヌ・シー・エヌは、取引所の定める有価証券上場規程施行規則の規定に基づき、上場前の第三者割当等による募集株式の割当等に関し、割当を受けた者との間で継続所有等の確約を行っています。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
---|---|---|
(有)田杉総行 | 25.89% | ◯ |
田鎖郁夫 | 22.67% | ◯ |
杉山恒夫 | 16.08% | ◯ |
双日建材(株) | 7.84% | ◯ |
杉山義久 | 7.81% | ◯ |
山河和博 | 3.53% | ◯ |
伊東洋路 | 3.14% | ◯ |
山川裕史 | 1.96% | ◯ |
鈴間浩 | 1.37% | ◯ |
飯島靖 | 1.10% | ◯ |
初値予想
エヌ・シー・エヌの事業は木造耐震設計事業ということで、IPOにおける業種の人気度は高くありません。
予想PERは11.1倍、予想配当利回りは2.88%(1株配当 23)であり、類似企業と比較すると割安感があります。
コード | 銘柄名 | PER | PBR | 配当利回り |
---|---|---|---|---|
6192 | ハイアス・アンド・カンパニー | 22.19 | 5.43 | 1.25% |
約6.4億円という上場規模はJASDAQスタンダードとしても小型です。上位株主にVCはなく、カバー率は高めです。
JASDAQスタンダードの5億~10億円の小型IPOの初値結果は以下のとおりです。
- 田中建設工業:+7.1%
- ツクイスタッフ:+53.2%
- グッドライフカンパニー:+21.9%
- アクセスグループ・ホールディングス:+161.2%
- ディ・アイ・システム:+157.8%
- ブロードバンドセキュリティ:+166.8%
- マリオン:+59.7%
- 香陵住販:+15.9%
- SIG:+133.3%
- エヌリンクス:+108.8%
- アズ企画設計:+117.8%
- トレードワークス:+518.2%
- シー・エス・ランバー:+84.1%
- ニーズウェル:+130.5%
- SYSホールディングス:+116.0%
- ディーエムソリューションズ:+184.0%
- No.1:+120.4%
- 安江工務店:+4.0%
- 日本モーゲージサービス:+39.8%
- ノムラシステムコーポレーション:+51.0%
- デュアルタップ:+127.0%
- 富士ソフトサービスビューロ:+13.5%
- プロパティエージェント:+115.0%
- ナガオカ:+40.6%
- デジタル・インフォメーション・テクノロジー:+246.2%
- スマートバリュー:+344.9%
- 三機サービス:+37.1%
- エムケイシステム:+332.0%
- 今村証券:+27.4%
- マークラインズ:+77.3%
- 東武住販:+12.0%
- 白鳩:+46.2%
- サイバーリンクス:+172.9%
以上を総合考慮して、初値予想は「公開価格近辺で若干のプラスリターン」です。
主幹事は野村證券です。その他は、みずほ証券、三菱UFJモルスタ証券、SBI証券、SMBC日興証券、エイチ・エス証券で申し込めます。
証券会社名 | 割当株式数 | 割当比率 |
---|---|---|
野村証券 | 712,000 | 89.00% |
みずほ証券 | 24,000 | 3.00% |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 24,000 | 3.00% |
SBI証券 | 24,000 | 3.00% |
SMBC日興証券 | 8,000 | 1.00% |
エイチ・エス証券 | 8,000 | 1.00% |
三菱UFJグループのauカブコム証券でも取り扱いが期待できます。カブドットコムのIPOは、公平性と機密性を確保したシステムによる抽選で当選者が決まります。
エヌ・シー・エヌのIPOの当選のコツについては、以下で徹底解説しています。
SBI証券が幹事に入っているので、着実にSBIチャレンジポイントを貯めましょう。
参考まだ安全資産は定期預金と国債だけなの?IPOチャレンジポイントで確実にS級IPOをゲットできる
SBI証券でIPOの引受け部門で活動していたプロにインタビューして、貴重なお話を聞きました。以下にまとめています。
SBI証券は当サイト限定でお得なタイアップ・プログラムを実施しています。なんと口座開設だけで3,000円分のAmazonギフト券がプレゼントされます。口座開設・維持は無料です。
↓
野村證券はIPOの取り扱いが多いのがメリットです。小口個人ですと当たりづらいですけれども、ポチポチ作業を許容できる場合は候補です。
郵政3社、JR九州などの大型株に関しては意外な程に当たりやすいです。
SMBC日興証券のネット口座は小口個人投資家でもIPOが当選することがあります。口座開設をおすすめします。
今回は幹事団に入っていませんが、マネックス証券は完全抽選で小口個人投資家でも当選する可能性がある証券会社です。
岩井コスモ証券は、ネット抽選分は小口個人投資家に嬉しい完全公平抽選となっています。
むさし証券もIPOのサービスを提供しています。インターネット口座は売却手数料がリーズナブルです。
東海東京証券は口座開設数が少ない穴場の証券です。しかも、小口個人投資家には嬉しい完全抽選がある証券会社です。
SBIネオトレード証券でもIPOの取扱いを開始しています。委託幹事に名を連ねる可能性があります。
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<投資スタンス>
中立
(※強気・やや強気・中立・やや弱気・弱気の5段階)
- 強気:対面証券・ネット証券で全力申込
- やや強気:ネット証券で申込、対面証券では原則申込(回数制限やS級狙いで回避することも)
- 中立:ネット証券、回数制限・S級銘柄の当落に影響がない対面証券(大量獲得を狙える場合は妙味あり)
- やや弱気:ネット口座以外は原則回避(ただし、マイナス覚悟の勝負で申し込むことも) ※安全重視ならSBI証券のみ
- 弱気:SBI証券以外は回避(対面証券はバーター取引ならOK)