HPCシステムズ(6597)のIPOが決定しています。ブック・ビルディング期間は2019年9月9日(月)~9月13日(金)、上場日は2019年9月26日(木)です。
新規上場する市場は東証マザーズで、想定価格は1,930円(1単元19.3万円)です。仮条件は1,930円~1,990円と上振れました。
公開価格は仮条件の上限である1,990円となりました。予想PERは26.3倍です。
初値予想は「公開価格近辺で若干のプラスリターン」です。以下のレンジを想定しています。
2,000〜2,200円(仮条件の上限比+0.5%~+10.6%)
HPCシステムズは、専門的な知見を求められる科学技術計算用コンピュータ事業(HPC事業)と安定的で信頼性の高い製品供給を求められる産業用コンピュータ事業(CTO事業)を展開しています。
監査法人は太陽有限責任監査法人で、本社所在地は東京都港区海岸3-9-15 LOOP-X 8階です。
HPCシステムズとは
HPCシステムズは、「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」の経営理念の下、「人の創造力とコンピューティングを融合させ未来をつくる企業になる」ことをビジョンにしています。
「研究者には研究する力、開発者には製品を開発する力を提供すること」をミッションに掲げ、人類の難題に挑戦している研究者や開発者に寄り添い、知恵、努力、コミュニケーションとコンピューティングを通じて課題に取り組んでいます。
従業員数は86名、平均年齢は43.6歳、平均勤続年数は7.7年、平均年間給与は547.1万円です。
HPC事業
HPC事業では、科学技術計算用コンピュータに関連するソリューションの提供を行っています。
科学技術計算用コンピュータは、高性能コンピュータを駆使して科学技術における問題を計算によって解決する計算科学という分野で使用されています。
計算科学は、理論や実験と並ぶ、第三の研究手段に数えられるまでに発展してきています。
その中でHPCシステムズは、計算科学の手法を用いて「理論化学」の問題を取り扱う「計算化学」という分野に強みを持っています。
中でもライフサイエンス(生命科学)とマテリアルサイエンス(材料科学)分野を重点事業領域と位置づけています。
コンピュータ上で高精度に計算した材料データベースやAIなどを活用して材料開発を行うマテリアルズ・インフォマティクスのアプリケーション開発に力を入れています。
HPCシステムズが提供するHPCシステムインテグレーションは、従来のシステム開発業者等が行っている業務系システムやERPシステム等の構築といったITサービスとは領域が異なっています。
科学技術計算、モノ作りにおける流体構造シミュレーション、創薬や材料開発に必要な計算化学、ディープラーニング、AI解析、ビッグデータ解析等、顧客の使用目的に応じた知見を必要とする領域に対するシステムインテグレーションです。
こうしたHPCシステムインテグレーションの他にも、科学技術計算用高性能コンピュータの販売、ソフトウェアプログラムの開発・販売、受託計算・研究開発支援及び導入後のサポートまでをワンストップでトータルに行う体制を構築しています。
CTO事業
CTO事業では、顧客企業の注文仕様に応じた産業用コンピュータの開発、製造及び販売を行っています。
HPCシステムズの産業用コンピュータは、組込コンピュータ(エンベデッド・コンピュータ)として、各種製造装置や工作機械、計測装置や検査装置の他、インフラシステムにおける監視制御、医療機器、デジタルサイネージなどに搭載され、さまざまな産業分野において活用されています。
産業用コンピュータは、市販のパソコンが画一仕様の量販品であることと比較すると、要求される仕様も特徴もまたその使用される用途によって千差万別となっています。
また、各種産業用装置に組み込まれた産業用コンピュータにおいてトラブルにより使用できない時間(ダウンタイム)が発生した場合、顧客企業にとっての操業ロスに直結することになるため、稼働の安定性等が求められます。
HPCシステムズで開発・製造・販売している産業用コンピュータは、高い処理性能を持ちつつも、さまざまに寄せられる顧客企業特有の多種多様な要件の実現に応えています。
代表例
顧客企業の製品システムや装置に必要なI/Oインターフェース、苛酷な温度、静電気、電波、振動、ノイズ、ほこりなど設置環境に係る耐環境性、連続稼動や長期使用に耐える頑健性・信頼性、異常動作からの早期復旧力やメンテナンス性、省スペース性など
HPCシステムズのIPOの諸データ
新規発行による手取金の使途については、クラウドサービス向上のためのソフトウェア開発費及びクラウド用サーバ増設費、検証用サーバ取得費、産業用コンピュータ事業の業容拡大のための工場設備投資、人件費に充当する予定です。
HPCシステムズの業績推移
業績面では売上高は美しい右肩上がりとなっています。経常利益・純利益は減益の年度があるものの、大局的には右肩上がりの傾向となっています。
営業キャッシュフローは純利益を上回っている年度と下回っている年度があります。
前期の自己資本利益率(ROE)は25.74%であり、自己資本比率は41.18%です。主要な経営指標等の推移は下表のとおりです。
回次 | 第9期 | 第10期 | 第11期 | 第12期 | 第13期 | |
---|---|---|---|---|---|---|
決算年月 | 2014年6月 | 2015年6月 | 2016年6月 | 2017年6月 | 2018年6月 | |
売上高 | (千円) | 369,610 | 2,586,768 | 2,895,869 | 3,900,793 | 4,053,088 |
経常利益 | (千円) | -33,223 | 114,088 | 75,156 | 254,234 | 291,743 |
当期純利益 | (千円) | -30,140 | 42,405 | 38,994 | 162,961 | 189,852 |
資本金 | (千円) | 153,000 | 153,000 | 153,000 | 153,000 | 153,000 |
発行済株式総数 | (株) | 8,080 | 8,080 | 8,080 | 8,080 | 8,080 |
純資産額 | (千円) | 396,011 | 439,579 | 479,822 | 642,784 | 832,636 |
総資産額 | (千円) | 1,183,170 | 1,273,576 | 1,184,537 | 1,737,114 | 2,022,035 |
BPS | (円) | 49,011 | 54,403 | 59,384 | 159.11 | 206.1 |
1株配当 | (円) | ― | ― | ― | ― | ― |
EPS | (円) | -3,730 | 5,248 | 4,826 | 40.34 | 46.99 |
自己資本比率 | (%) | 33.47 | 34.52 | 40.51 | 37 | 41.18 |
自己資本利益率 | (%) | -7.33 | 10.15 | 8.48 | 29.03 | 25.74 |
配当性向 | (%) | ― | ― | ― | ― | ― |
営業CF | (千円) | ― | ― | ― | 200,004 | -190,575 |
投資CF | (千円) | ― | ― | ― | -41,792 | -47,366 |
財務CF | (千円) | ― | ― | ― | 254,156 | 19,085 |
現金等 | (千円) | ― | ― | ― | 794,397 | 575,674 |
従業員数 | (名) | 59 | 62 | 63 | 74 | 81 |
市場トレンド
市況面では、上場直前3ヶ月間のインデックスが上昇トレンドの状況だと初値リターンが高い傾向となっています。
東証マザーズ指数は2016年2月以降は長らく上昇トレンドが続き、2006年の高値を目指して爆進中となっていましたが、2018年1月下旬をピークとして下降トレンドが続いていました。
ここ数ヶ月は下降トレンドの傾向となっています。
このまま軟調だと向かい風となり、底打ちして堅調な相場に回帰すれば、IPOにおいて追い風となります。
(※マネックス証券より)
上場規模
HPCシステムズのIPOの規模は最大で約61.7億円であり、東証マザーズとしてはかなりの大型です。小型であればある程、初値リターンは良い傾向があります。
公募株式数は50,000株、売出株式数は2,731,400株、オーバーアロットメント(OA)は417,100株です。
公開比率(オファリングレシオ)は最大で約78%とかなり高めです。公開比率が低ければ低いほど、初値リターンが高い傾向があります。公募株式数に占める売出の割合は約98%です。
売出人かつ貸株人であるTKTH投資事業有限責任組合、貸株人かつ役員である小野鉄平、株主である菱洋エレクトロ株式会社及びナラサキ産業株式会社、株主かつ役員である長谷川真樹及び下川健司、新株予約権者かつ役員である関浩行、齋藤正保及び末松孝規には、原則として180日間のロックアップがかかっています。株価上昇による解除条項はありません。
上記のほか、HPCシステムズは、取引所の定める「有価証券上場規程施行規則」の規定に基づき、上場前の第三者割当等による募集株式等の割当に関し、割当を受けた者との間で継続所有等の確約を行っています。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
---|---|---|
TKTH投資事業有限責任組合 | 70.10% | ○ |
菱洋エレクトロ(株) | 10.34% | ○ |
ナラサキ産業(株) | 6.41% | ○ |
小野鉄平 | 3.06% | ○ |
椎名訓子 | 1.03% | |
(株)ハイアテック | 0.92% | |
長谷川真樹 | 0.69% | ○ |
関浩行 | 0.65% | ○ |
齋藤正保 | 0.65% | ○ |
廣石昭彦 | 0.59% |
初値予想
HPCシステムズの事業は科学技術計算用コンピュータ事業(HPC事業)と産業用コンピュータ事業(CTO事業)ということで、IPOにおける業種の人気度は高めです。
予想PERは26.3倍であり、類似企業と比較すると割安感はありません。ただし、PERは成長性に大きく左右されます。
コード | 銘柄名 | PER | PBR | 配当利回り |
---|---|---|---|---|
6702 | 富士通 | 15.92 | 1.47 | 1.94% |
訴求力の高いシステム関連企業であり、約61.7億円という上場規模は東証マザーズとしては大型です。
上位株主にVCが名を連ねているものの、万遍なくロックアップがかかっています。
東証マザーズの50億円以上の大型IPOの初値結果は以下のとおりです。
- ステムリム:-7.0%
- ブシロード:+16.6%
- 新日本製薬:+13.2%
- Sansan:+5.8%
- EduLab:+2.2%
- ポート:-37.2%
- 自律制御システム研究所:-16.8%
- SBIインシュアランスグループ:±0%
- MTG:+21.6%
- メルカリ:+66.7%
- ラクスル:+9.7%
- SOU:+24.2%
- 神戸天然物化学:+56.6%
- HANATOUR JAPAN:+10.0%
- ウェルビー:+28.1%
- MS&Consulting:-2.3%
- PKSHA Technology:+128.3%
- ビーグリー:+0.1%
- アイモバイル:-6.8%
- ベイカレント・コンサルティング:-6.5%
- アカツキ:-8.0%
- ビジョン:+10.7%
- グリーンペプタイド:-8.0%
- メタップス:-7.9%
- イトクロ:+4.1%
- ヘリオス:+22.5%
- Gunosy:±0%
- サンバイオ:-14.5%
- Aiming:+12.2%
- ファーストブラザーズ:+2.5%
- イーレックス:+11.2%
- リボミック:-20.4%
- VOYAGE GROUP:+40.0%
- CYBERDYNE:+130.0%
- アキュセラ・インク:+27.8%
- シグマクシス:+0.3%
- オンコリスバイオファーマ:+34.6%
- じげん:+191.7%
- ペプチドリーム:+216.0%
- UMNファーマ:-8.0%
- ライフネット生命:-7.0%
- ダブル・スコープ:-8.0%
- テラプローブ:-7.5%
- エフオーアイ:-9.4%
- グリー:+51.5%
- カービュー:+5.5%
- ユー・エス・ジェイ:-4.9%
- ゲームオン:-8.0%
- GCA:+28.1%
- ミクシィ:+90.3%
以上を総合考慮して、初値予想は「公開価格近辺で若干のプラスリターン」です。
主幹事はSMBC日興証券です。その他は、SBI証券、みずほ証券、東海東京証券、むさし証券、岩井コスモ証券で申し込めます。
証券会社名 | 割当株式数 | 割当比率 |
---|---|---|
SMBC日興証券 | 2,503,400 | 90.01% |
SBI証券 | 83,400 | 3.00% |
みずほ証券 | 83,400 | 3.00% |
東海東京証券 | 55,600 | 2.00% |
むさし証券 | 27,800 | 1.00% |
岩井コスモ証券 | 27,800 | 1.00% |
HPCシステムズのIPOの当選のコツについては、以下で徹底解説しています。
SBI証券が幹事団に入っているので、着実にSBIチャレンジポイントを貯めましょう。
参考まだ安全資産は定期預金と国債だけなの?IPOチャレンジポイントで確実にS級IPOをゲットできる
SBI証券でIPOの引受け部門で活動していたプロにインタビューして、貴重なお話を聞きました。以下にまとめています。
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SMBC日興証券のネット口座は小口個人投資家でもIPOが当選することがあります。口座開設をおすすめします。
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岩井コスモ証券は、ネット抽選分は小口個人投資家に嬉しい完全公平抽選となっています。
東海東京証券は小口個人投資家には嬉しい完全抽選がある証券会社です。
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<投資スタンス>
中立
(※強気・やや強気・中立・やや弱気・弱気の5段階)
- 強気:対面証券・ネット証券で全力申込
- やや強気:ネット証券・対面証券で申込
- 中立:ネット証券、回数制限に問題なくS級銘柄の当落に影響がない対面証券で申込(大量獲得を狙える場合は妙味あり)
- やや弱気:ネット口座以外は原則回避(ただし、マイナス覚悟の勝負で申し込むことも) ※安全重視ならSBI証券のみ
- 弱気:SBI証券以外は回避(対面証券はバーター取引ならOK)