ステムセル研究所(7096)のIPOが決定。2020年4月9日に上場する予定でしたが、株式市場の混乱などによって見送り、今回は満を持しての再チャレンジとなります。
ブック・ビルディング期間は2021年6月9日(水)~6月15日(火)、上場日は2021年6月25日(金)です。
新規上場する市場は東証マザーズで、想定価格は2,540円(1単元25.4万円)です。公募価格は2021年6月16日(水)に決定。
仮条件は2,540円~2,800円と上限が上振れました。予想PERは94.2倍です。
初値予想はやや大きめのプラスリターンです。以下のレンジを想定しています。
3,900〜5,100円(仮条件の上限比+39.2%~+82.1%)
ステムセル研究所は民間さい帯血バンクとして1999年に設立され、「さい帯血」の分離・保管を行う「細胞バンク事業」を展開しています。
監査法人は有限責任 あずさ監査法人で、本社所在地は東京都渋谷区渋谷3-11-11 IVYイーストビル4F,5Fです。
ステムセル研究所とは
ステムセル研究所は顧客(妊婦等)と「さい帯血分離保管委託契約」を締結した上で、以下の作業を実施しています。
- 国内さい帯血採取協力病院(大学病院、産科クリニック等)において採取されたさい帯血を回収
- 自社の細胞処理センター(東京都港区)に搬入
- さい帯血に含まれる幹細胞を分離・抽出・調製する作業を行った後、自社の細胞保管センター(神奈川県横浜市緑区)において、超低温下にて長期保管
「さい帯血分離保管委託契約」に基づき、顧客よりさい帯血にかかる分離料、検査料、登録料及び細胞保管料を収受し、将来の使用に備え、保管する事をビジネスモデルとしています。
さい帯血はその採取にあたっては、お母さん、赤ちゃんともに侵襲性が低く、また、通常は出産後に医療廃棄物として廃棄されるものである事から、倫理的にも扱いやすい点がメリットとして上げられます。
一方、お産の状況によっては採取が困難であること、採取量は同一ではなく、場合によっては十分な量が採取出来ないことが、デメリットとして挙げられます。
なお、さい帯血採取により、ステムセル研究所の定めた規定値以上の量を有し、保管基準を満たした場合に、国内さい帯血採取協力病院へ、採取技術料を支払っています。
さい帯血は、血液疾患等の治療においては、「造血幹細胞移植法」、また、再生医療目的で使用する場合は、「再生医療等安全性確保法」に基づき、適正に使用される必要があります。
これらの法律は専門的なものであることから、ステムセル研究所では、治療・検査目的等でステムセル研究所において保管している細胞(さい帯血)の出庫が必要な場合は、外部有識者を含む専門の委員で組織している「社内倫理委員会」において、審議を行いその妥当性を評価の上で実施。
また、ステムセル研究所はさい帯血保管の品質向上を目的に、2011年よりISO9001の運用を開始していますが、グローバル基準への適合を目的に、2019年7月にさい帯血保管に関する国際基準AABBの認証を取得しています。
なお、臨床研究実施機関への細胞輸送においても、AABBの品質管理基準を満たした輸送管理体制に基づき行っています。
ステムセル研究所は、2016年2月に再生医療等安全性確保法に基づき、特定細胞加工物製造許可を取得し、同法に基づく細胞提供の体制を整えています。
従業員数は80名、平均年齢は36.2歳、平均勤続年数は4.5年、平均年間給与は493.1万円です。
ステムセル研究所のIPOの諸データ
ステムセル研究所の業績推移
業績面では売上高は美しい右肩上がりとなっています。経常利益・純利益は減益の年度があるものの、大局的には右肩上がりの傾向となっています。
主要な経営指標等の推移は下表のとおりです。
回次 | 第17期 | 第18期 | 第19期 | 第20期 | 第21期 | |
---|---|---|---|---|---|---|
決算年月 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | |
売上高 | (千円) | 754,560 | 807,060 | 861,531 | 1,149,857 | 1,676,456 |
経常利益 | (千円) | 187,325 | 161,845 | 111,203 | 216,252 | 382,533 |
当期純利益 | (千円) | 119,329 | 107,840 | 69,548 | 142,835 | 277,485 |
資本金 | (千円) | 374,820 | 374,820 | 374,820 | 374,820 | 374,820 |
発行済株式総数 | (株) | 6,953 | 6,953 | 6,953 | 6,953 | 4,867,100 |
純資産額 | (千円) | 662,128 | 769,968 | 839,517 | 982,352 | 1,259,838 |
総資産額 | (千円) | 1,845,389 | 2,080,044 | 2,348,613 | 2,813,411 | 3,564,700 |
BPS | (円) | 95,229.13 | 110,739.10 | 120,741.70 | 201.84 | 258.85 |
1株配当 | (円) | - | - | - | - | - |
EPS | (円) | 17,162.33 | 15,509.97 | 10,002.60 | 29.35 | 57.01 |
自己資本比率 | (%) | 35.88 | 37.02 | 35.75 | 34.92 | 35.34 |
自己資本利益率 | (%) | 19.81 | 15.06 | 8.64 | 15.68 | 24.75 |
配当性向 | (%) | - | - | - | - | - |
営業CF | (千円) | - | - | - | 390,933 | 667,859 |
投資CF | (千円) | - | - | - | △184,363 | △108,007 |
財務CF | (千円) | - | - | - | - | - |
現金等 | (千円) | - | - | - | 1,713,897 | 2,273,750 |
従業員数 | (名) | 41 | 40 | 49 | 59 | 84 |
市場トレンド
市況面では、上場直前3ヶ月間のインデックスが上昇トレンドの状況だと初値リターンが高い傾向となっています。
東証マザーズ指数はここ数ヶ月はボックス相場となっていますが、足元では大幅下落後に反発しています。
底打ちして堅調な相場に回帰すればIPOにおいて追い風となり、下降トレンドになったら逆風です。
上場規模
ステムセル研究所のIPOの規模は最大で約24.2億円であり、東証マザーズとしては中型です。小型であればある程、初値リターンは良い傾向があります。
公募株式数は256,200株、売出株式数は574,600株、オーバーアロットメント(OA)は124,600株です。
公開比率(オファリングレシオ)は最大で約19%とやや低めです。公開比率が低ければ低いほど、初値リターンが高い傾向があります。公募株式数に占める売出の割合は69%です。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
---|---|---|
(株)トリムメディカルホールディングス | 89.50% | ◯ |
山本邦松 | 1.77% | |
名古屋中小企業投資育成(株) | 1.73% | ◯ |
森雅徳 | 1.28% | ◯ |
若松茂美 | 1.06% | ◯ |
SINO CELL TECHNOLOGIES,INC. | 0.72% | ◯ |
友清彰 | 0.52% | ◯ |
浅井芳明 | 0.50% | |
野上大介 | 0.29% | ◯ |
森崎弘司 浦野晃義 | 0.29% | ◯ |
※制度ロックアップによる継続保有を含む
初値予想
ステムセル研究所の事業は「さい帯血」の分離・保管を行う「細胞バンク事業」ということで、IPOにおける業種の人気度は標準的です。
新規性はないものの、訴求力の高い東証マザーズネット企業の範疇に属しています。
ロコガイド、コマースOneホールディングスとの3社同時上場となり、過密日程のIPOである点はマイナスポイントです。
予想PERは類似企業と比較すると割高感があります。ただし、PERは成長性に大きく左右されます。
コード | 銘柄名 | PER | PBR | 配当利回り |
---|---|---|---|---|
6788 | 日本トリム | 15.59 | 1.62 | 1.65% |
約24.2億円という上場規模は東証マザーズとしては中型です。上位株主にVCが名を連ねているものの、満遍なくロックアップがかかっています。
東証マザーズの15億~25億円の中型IPOの初値結果は以下のとおりです。
- AI inside:+250.0%
- global bridge HOLDINGS:+49.4%
- HENNGE:+42.9%
- サイバー・バズ:+73.9%
- Link-U:+104.3%
- ピアズ:+51.9%
- トビラシステムズ:+125.8%
- NATTY SWANKY:+20.2%
- 日本ホスピスホールディングス:+46.6%
- ギークス:+50.3%
- カオナビ:+100.5%
- サーバーワークス:+276.6%
- フロンティアインターナショナル:+12.7%
- スマレジ:+135.4%
- テクノスデータサイエンス・エンジニアリング:+98.4%
- リーガル不動産:+42.9%
- ギフト:+77.5%
- イーソル:+138.1%
- CRGホールディングス:+63.6%
- and factory:+56.0%
- GA technologies:+130.3%
- キャンディル:+52.5%
- ライトアップ:+32.1%
- アイペット損害保険:+57.9%
- RPAホールディングス:+207.7%
- フェイスネットワーク:+128.6%
- ジーニー:+98.1%
- SKIYAKI:+147.1%
- シルバーライフ:+85.2%
- ロードスターキャピタル:+37.4%
- シェアリングテクノロジー:+86.9%
- GameWith:+133.9%
- オロ:+129.5%
- ジャパンエレベーターサービスHD:+61.8%
- イントラスト:+35.6%
- スタジオアタオ:+25.7%
- ユーザーベース:+15.9%
- シンクロ・フード:+41.4%
- 串カツ田中:+13.5%
- デファクトスタンダード:+41.1%
- ベガコーポレーション:+25.0%
- エボラブルアジア:+48.3%
- LITALICO:+88.0%
- フィット:-7.9%
- ソネット・メディア・ネットワークス:+139.1%
- マイネット:+19.3%
- ダブルスタンダード:+128.8%
- インベスターズクラウド:+93.3%
- AppBank:+45.8%
- デザインワン・ジャパン:+50.9%
- リンクバル:+27.9%
- モバイルファクトリー:+99.4%
- イード:+46.4%
- KeePer技研:+49.1%
- インターワークス:+16.7%
- クラウドワークス:+73.2%
- GMOTECH:+135.2%
- 弁護士ドットコム:+215.4%
以上を総合考慮して、初値予想はやや大きめのプラスリターンです。
主幹事は野村證券です。その他は、三菱UFJモルスタ証券、SMBC日興証券、東洋証券、いちよし証券、エース証券、SBI証券で申し込めます。
証券会社名 | 割当株式数 | 割当比率 |
---|---|---|
野村証券 | 747,800 | 90.01% |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 33,200 | 4.00% |
SMBC日興証券 | 16,600 | 2.00% |
東洋証券 | 8,300 | 1.00% |
いちよし証券 | 8,300 | 1.00% |
エース証券 | 8,300 | 1.00% |
SBI証券 | 8,300 | 1.00% |
SBIグループのSBIネオモバイル証券、SBIネオトレード証券でも取り扱いの可能性があります。SBIネオモバイル証券ではWealthNaviに当選して手堅いリターンを獲得しました。
野村證券ルートでLINE証券でも取り扱いの可能性あり。
ステムセル研究所のIPOの当選のコツについては、以下で徹底解説しています。
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参考まだ安全資産は定期預金と国債だけなの?IPOチャレンジポイントで確実にS級IPOをゲットできる
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<投資スタンス>
やや強気+
(※強気・やや強気・中立・やや弱気・弱気の5段階)
- 強気:対面証券・ネット証券で全力申込
- やや強気:ネット証券・対面証券で申込
- 中立:ネット証券、回数制限に問題なくS級銘柄の当落に影響がない対面証券で申込(大量獲得を狙える場合は妙味あり)
- やや弱気:ネット口座以外は原則回避(ただし、マイナス覚悟の勝負で申し込むことも) ※安全重視ならSBI証券のみ
- 弱気:SBI証券以外は回避(対面証券はバーター取引ならOK)