アメリカン・エキスプレスが、ポイント・プログラム「メンバーシップ・リワード」において、2019年1月1日からマイルへの交換制度を一部変更しました。
改善と改悪があり、ANAマイルへの移行に利用していた方にとっては、年8万ポイント→年4万ポイントが上限となり、衝撃的な改悪となっています。
また、その他の航空マイルでは、従来1対1のレートでアメックスのポイントをマイルに移行できましたが、1対0.8(80%)の交換レートになってしまいました。
アメックスのポイント制度の改悪、改善、今後の対応策についてそれぞれまとめます。
2019年1月のANAマイルへのポイント移行の改悪
アメックスのプロパーカードの利用で貯まるメンバーシップ・リワードのポイントからANAマイルへの交換上限が改悪されます。
2018年12月31日までの上限は年8万マイルでしたが、2019年1月1日以降は年4万マイルに半減します。-50%とインパクトのある数字です。
1ポイント1マイルの交換レートでANAマイルに移行できるメンバーシップ・リワード・プラスに登録している場合、未登録の場合のいずれも、アメックスのポイントは年40,000ANAマイルが上限となります。
2018年12月31日までのマイル付与完了分 | 2019年1月1日からのマイル付与完了分 | |
---|---|---|
アメックス・グリーン アメックス・ゴールド アメックス・プラチナ アメックス・センチュリオン アメックス・ビジネス・グリーン アメックス・ビジネス・ゴールド アメックス・ビジネス・プラチナ | (メンバーシップ・リワード・プラスに登録) 年8万ポイント→8万マイル (未登録) | (メンバーシップ・リワード・プラスに登録) 年4万ポイント→4万マイル (未登録) |
スカイ・トラベラー・カード スカイ・トラベラー・プレミア・カード | 年8万ポイント→8万マイル | 年4万ポイント→4万マイル |
なお、プラチナ・カード、アメックスビジネスプラチナ、センチュリオン会員は、年3,000円(税抜)のメンバーシップリワードプラスは無料です。
スカイトラベラーカード、スカイトラベラープレミアカード以外のアメックスは、ANA以外の航空マイルへの交換レートは1対0.8なので手痛い改悪となります。
ANAマイルに交換できるのは、年400万円の利用分(4万マイル)までとなります。
ただし、1ヶ月あたり約33.3万円なので、多くの方の利用金額はこの範囲に収まるでしょう。
カード利用額が多い方、センチュリオン修行を行っているような方で、ポイントをANAマイルで使いたい方にとっては手痛い改悪となります。

また、改善点も存在しています。ANAマイルへの交換で発生する「ANAコース登録費」が、2018年12月31日までは一律で年間5,000円(税抜)でした。
2019年以降はアメックス・プラチナ、アメックス・ビジネス・プラチナ、アメックス・センチュリオン会員は無料となります。
また、それ以外のカード会員でも、ANAコース登録費をポイントで充当することが可能となります(3,000ポイント以上1ポイント単位)。
- メンバーシップ・リワード・プラスに登録済の場合:1ポイント→1円(スカイトラベラーカード、スカイトラベラープレミアカード含む)
- メンバーシップ・リワード・プラスに未登録の場合:1ポイント→0.3円
アメックスのポイントの改悪によって、年末年始にANAマイルへの移行受付停止期間が生じます。
ANAマイルへのポイント移行が初めての方は2018年12月16日迄となり、2018年12月17日~2019年1月4日はポイント移行休止期間となります。
ANAマイルへのポイント移行が2回目以降の方は2018年12月24日迄です。
どちらでもポイント移行の再開は2019年1月5日からとなります。2018年内に交換しておきたい場合は、忘れずに手続きしましょう。
ANAマイルに交換できる上限が改悪されたのは、ダイナースクラブカードのポイントも同様となっています。

ANA側の方針の転換によって、カード会社の負担が増加したことが背景にあると推定できる状況です。
2016年11月のマイル交換レートの改悪
2016年11月には、アメリカン・エキスプレスが、ポイント・プログラム「メンバーシップ・リワード」において、ポイントの使い方を一部変更しました。
改善と改悪があるのですが、海外の航空会社へのマイル移行に利用していた方にとっては、衝撃的な改悪となっています。2017年4月1日からとなります。
これまで1対1のレートでアメックスのポイントをマイルに移行できましたが、ANA以外の航空マイルは1対0.8(80%)の交換レートになってしまいます。
メンバーシップ・リワードの2017年の改訂で、大きなインパクトをもたらすのは、海外提携航空パートナーへのマイル移行レートの変更です。
アメックスのメンバーシップ・リワードのポイントは、デフォルトでは1ポイント0.5マイルでの移行です。2,000ポイント→1,000マイルです。
しかし、年3,000円(税抜)の「メンバーシップ・リワード・プラス」というオプションに加入すると、1,000ポイント→1,000マイルの高い交換レートでマイル移行が可能で便利でした。
3,000円(税抜)のコストは交換する年しか発生しないので、3年に1度の交換だと実質的な年間コストはたったの1,000円(税抜)となります。
しかも交換可能なマイレージプログラムの数が多いのがメリットです。
航空連盟 | 航空会社名 |
---|---|
スターアライアンス | ANA、シンガポール航空、スカンジナビア航空、タイ国際航空 |
ワンワールド | JAL、キャセイパシフィック航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、カタール航空プリヴィレッジクラブ、カンタス航空 |
スカイチーム | デルタ航空、フライング・ブルー(エールフランス航空・KLMオランダ航空) |
なし | ヴァージン・アトランティック航空、エティハド航空、エミレーツ航空 |
ANAマイルへの交換は3,000円(税抜)とは別に5,000円(税抜)の参加登録費が別途発生して、合計で8,000円(税抜)となります。
しかし、2017年4月1日以降は、メンバーシップ・リワード・プラス加入時でも、ANA以外については、1,000マイルとの交換に1,250ポイントが必要となります。1対1から1対0.8への改悪です。
ANAマイルへの移行に関しては改悪がありません。これまで通り、1,000ポイント→1,000マイル(1対1)の交換レートが維持されます。
JALと同じアライアンスのワンワールドに属しているブリティッシュ・エアウェイズのマイル(Avios)は、JAL搭乗にも使えるので極めて便利でした。
主なメリット
- 稀にJALは特典航空券PLUSなのに、BAは基本マイルで予約できるケースあり
- JAL国際線ファーストクラスで、稀にJALマイルはキャンセル待ちなのにBA Avoisでは予約可能
- 当日まで申し込み可能(Web発券は搭乗日3日前まで。その後は電話)
- 家族分のマイルを合算して利用可能
- マイル有効期限がほぼ無期限(36ヵ月以内にマイルの付与・利用で延長)※バイマイルもOK
- 発券から24時間以内はキャンセル料無料
デメリット
- 発券までの手続きにおける画面は英語の箇所が多い
- 予約の変更・キャンセルには5,740円が必要
- 便名がJALでも、RAC・JAC・J-AIRが運航する便は発券不可(JTAは電話なら予約可能)
- ほとんどの国内線区間はJALマイルの方がお得
- 国内線のクラスJは必要マイル数が多い
以前は国内線でJALよりお得でしたが、改悪が相次いでメリットが減退しました。
航空券への交換に必要なマイル数(片道)について、JALとブリティッシュエアウェイズ(BA)を比較すると下表のとおりです(2023年9月21日現在)。
路線 | JAL | ブリティッシュ エアウェイズ |
---|---|---|
東京-大阪 | 6,000 | 10,500 |
東京-札幌 | 8,000 | |
東京-福岡 | ||
東京-那覇 | 9,000 | 11,000 |
東京-石垣 | 10,000 | 14,300 |
東京-マニラ | 10,000 | 14,300 |
東京-ホノルル | 20,000 | 20,750 |
東京-ロンドン | 26,000 | 35,000 |
JALは自社便、BAは直行便がない場合は提携便を利用した際のマイル数です。BAのAvoisは、JALファーストクラスも搭乗できる点に強みがあります。
Avoisを活用すると、キャセイパシフィック航空のファーストクラスも予約できます。
しかし、アメックスのポイント制度改悪によって、今後はメンバーシップ・リワードのポイント→BAマイル→JAL搭乗のルートのお得度が低下します。
これまでアメックスのポイントは海外の航空会社のマイル移行がお得ですが、今後はANAマイルへの交換という選択肢も出てきます。
ANAマイルは移行コストが他よりも5,000円(税抜)高いです。これがデメリットです。
しかし、単純に一律1マイルの価値を2円と考えると、14,000ポイント超を一度に移行する場合は、ANAマイルへの移行の方がお得になります。
また、ANAマイルの特徴は必要マイル数が、他の航空会社と比較して少ない傾向にあり、スターアライアンスのフライトにも使えるので、使い勝手が良好です。
特典航空券が取りづらいのがデメリットですが、それを余ってあまりあるメリットが備わっています。
移行する ポイント | 海外航空マイルへの交換 | ANAマイルへの交換 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
コスト | マイルの価値 | 実質価値 | コスト | マイルの価値 | 実質価値 | |
10,000 | 3,300 | 16,000 | 12,700 | 8,800 | 20,000 | 11,200 |
14,000 | 3,300 | 22,400 | 19,100 | 8,800 | 28,000 | 19,200 |
15,000 | 3,300 | 24,000 | 20,700 | 8,800 | 30,000 | 21,200 |
20,000 | 3,300 | 32,000 | 28,700 | 8,800 | 40,000 | 31,200 |
30,000 | 3,300 | 48,000 | 44,700 | 8,800 | 60,000 | 51,200 |
40,000 | 3,300 | 64,000 | 60,700 | 8,800 | 80,000 | 71,200 |
ANA以外のマイレージプログラムのマイルに移行する場合は、2017年3月末までに手続きを済ませましょう。ANAマイルに使うのであれば慌てる必要はありません。
会員サイト、電話での手続きが可能です。メンバーシップ・リワード・プラスに加入していないと2ポイント1マイルになってしまうので、忘れずに手続きしましょう。
電話ではマイル交換の際に加入する旨を伝えればOKです。ネットではマイル交換画面でメンバーシップ・リワード・プラスに加入するにチェックを入れればOKです。
私も当時約24,000ポイントが残っているので、3月末までに移行することを検討しました。
メンバーシップ・リワードの改善
マイルへの移行は残念な改悪となりましたけれども、改善点もあります。
2019年以降、ANAコース登録費が、プラチナ・カード、アメックス・ビジネス・プラチナ、センチュリオン・カード会員は無料となります。
それ以外のカード会員でも、ANAコース登録費をポイントで充当することが可能となります。
メンバーシップ・リワード・プラスに登録すると、Amazon、Yahoo!ショッピング、iTunes Store/App Store、ヨドバシカメラ、Uber Eats、JAL、一休.com、H.I.S.でポイント3倍となるボーナスポイント・プログラムが開始しました。
使いやすい店舗で3%のポイントを得られ、2.4%~3%のマイルに交換できてパワフルです。

以前は、メンバーシップ・リワードのポイントを、カード利用後の支払い代金へ充当する「ポイントフリーダム」がお得になりました。
2016年までは、航空会社での利用は1ポイント1円、ホテル・旅行代理店等での利用は1ポイント0.8円、それ以外は1ポイント0.3円でした。
2017年1月1日からは、これまで1ポイント0.3円だったものが、1ポイント0.5円にポイント交換レートがアップします。
また、対象加盟店のオンライン・ショップでの支払いにポイントを利用できるようになりました。レートは1ポイント=0.5円であり、1,000ポイントより交換できます。
対象店舗は、ANA、JAL、dショッピング、ビックカメラ.com、無印良品、マルイウェブチャネル、BUYMA、ブリティッシュ・エアウェイズなどです。ポイントフリーダムの詳細については、以下で徹底的に解説しています。

また、メンバーシップ・リワード・プラス加入時は、日常では味わえない驚きの体験やアイテムと交換できるようになります。「Amazingアイテム」が加わります。
これは期待感が高まります。お金では買えないようなスペシャルなイベント・体験に使えるようになるとナイスです。ただし、冊子ではメルセデス・ベンツが挙げられているのに一概の不安がよぎります。
もちろん、メルセデス・ベンツはスペシャルです。しかし、できればお金を出せば買えるものではなく、関西有名テーマパークのJCBラウンジやダイナースクラブ 銀座ラウンジのように、原則としてカード保有者でないとできない体験が可能になるのがベストです。
また、各社国際線航空券、パッケージ・ツアーや国内宿泊の手配などにポイントを利用できる制度が今後も続きます。
メンバーシップ・トラベル・サービスが2016年9月30日に終了して、「H.I.S アメリカン・エキスプレス・トラベル・デスク」に変わりましたが、これまで通りポイントを利用料金に充当できます。
アメリカン・エキスプレス・トラベル オンライン、日本旅行も変更ありません。
- アメリカン・エキスプレス・トラベル オンライン:1,000ポイント=1,000円
- H.I.S アメリカン・エキスプレス・トラベル・デスク:1,000ポイント=800円
- 日本旅行の対象店舗:1,000ポイント=800円
メンバーシップ・リワード・プラス未加入時は、いずれも1ポイント0.4円での交換となります。
まとめ
アメックスのメンバーシップ・リワードのポイント制度において、改悪と改善がありました。
アメックスのプロパーカードの利用で貯まるメンバーシップ・リワードのポイントからANAマイルへの交換上限が改悪されます。
2018年12月31日までの上限は年8万マイルでしたが、2019年1月1日以降は年4万マイルに半減します。
ANAマイルに交換できるのは年400万円のカードショッピングまでとなりますが、1ヶ月あたり約33.3万円なので、多くの方の利用金額はこの範囲に収まるでしょう。
改善点としては、2019年以降のANAコース登録費が、プラチナ・カード、アメックス・ビジネス・プラチナ、センチュリオン・カード会員は無料となります。
それ以外のカード会員でも、ANAコース登録費をポイントで充当することが可能となります。
2016年に発表された改善と改悪については、改善は嬉しいことですが、いずれも1ポイント0.5円~1円で使う場合の話です。
「飛行機に搭乗する機会がないのでマイルに交換する可能性は0%」という方でない限りは、改悪の側面が大きい改定でした。
ただし、ANAマイルに移行する場合はこれまで通りで変更がありません。私にとってANAはJALと並んで応援している企業ですので、今後はアメックスのポイントはANAマイルに移行してANAで使うことにします。
アメックス・プラチナ、アメックス・センチュリオンをお持ちの方ですと、ポイントはおまけという方が多いと思いますので、影響はさほど大きくないでしょう。それよりもサービスの方が重要ですね。
アメックス・グリーン、アメックス・ゴールドのホルダーにとっては、ちょっと痛い改悪ですね。ただし、ANAマイルへの移行に関しては変更がありませんので、許容範囲だと考えます。
アメックスのポイントはマイル以外にも、ポイントフリーダム、Amazing、清水寺のイベント等への参加など、ユニークでスペシャルな使い道があります。

2018年からはポイントで年会費の支払いも可能になり、より一層便利になりました。
2018年6月にはデルタ航空との提携カードに改悪がありました。


アメリカン・エキスプレス・カードは改悪がありましたが、多様な特典が付帯したメリットが多いクレジットカードです。詳細は以下で徹底解説しています。


海外旅行傷害保険、海外旅行のサポートも充実しています。


ショッピング保険、キャンセルや返品の補償など、付帯保険も卓越しています。

iPhone等のスマホ購入におすすめのクレジットカードと高く評価できます。
なお、アメックスのショッピング関連の保険は、QUICPay払い(Apple Payを含む)の場合でも補償対象です。


レストランのコース料理が1名分無料になるサービスや、キャッシュバック等を受けられるアメックスオファーをよく使う場合は、高い年会費以上にお得になります。


アメックス・ゴールドとグリーンの違いについては、以下で徹底的に比較しています。

その他、おすすめのアメックスについては、以下で徹底的に解説しています。

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ボーナスポイントがプレゼントされて、なんと年会費を超える価値があるポイント等を得られます(1ポイント=1ANAマイル)。
- アメックス・ゴールドプリファード:100,000ポイント
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