田中建設工業(1450)のIPOが決定しています。ブック・ビルディング期間は2018年11月30日(金)~12月6日(木)、上場日は12月18日(火)です。
新規上場する市場は東証JASDAQスタンダードで、想定価格は2,210円(1単元22.1万円)です。仮条件は2,210円~2,400円と上振れました。
公開価格は仮条件の上限である2,400円となりました。予想PERは10.6倍、予想配当利回りは2.66%(1株配当 70)です。
初値予想はプラスリターンです。以下のレンジを想定しています。
3,000〜4,100円(想定価格比+25.0%~+70.8%)
直前初値予想は以下の通りです。
3,000円(公開価格比+25.0%)
田中建設工業は、建築構造物の解体工事及びそれに付随する各種工事の施工監理を展開しています。
監査法人はひびき監査法人で、本社所在地は東京都港区新橋4丁目24番11号です。
田中建設工業とは
田中建設工業は、現況調査、工法の提案、設計、施工計画、外注・資機材手配、施工監理、安全管理、原価管理、資金管理、行政対応、近隣対応等の業務全般を提供しています。
また、建物構造物解体工事に関連する土木工事、山留工事、基礎解体工事、杭抜き工事等の施工監理も行っています。
その他、工事に伴い発生する、アスベスト、PCB、ダイオキシン等の有害汚染物質の除去、地下水の浄化、土壌改良等に関しても、豊富な経験を有しています。
関連法令・法規を遵守した、コスト・工期・安全性に優れた、さまざまな解体工事を提案・提供しています。
工事の施工監理、安全管理、近隣対応等を行い、協力会社を指導、監督して解体工事等の施工を行っています。
田中建設工業の企業理念は、「解体事業は環境ビジネスの一環」と捉え、田中建設工業環境方針の下、『「子供たちに何が残せるか」を常に考え、明日のために、今日出来ることを実行し社業を通じて人にやさしい環境づくりに貢献します。』です。
解体事業の仕組みは以下のとおりです。
ステップ | 作業内容 |
---|---|
①現地調査 | 解体工事には、周辺地域への影響を含む調査が必要です。現場周辺の環境を綿密に調査・検討したうえで、環境への影響が最も少ない工法を選択し解体工事にとりかかります。 |
②施工計画策定 | 綿密な現地調査・既存図面をもとに施工計画書を作成し、安全・安心・コンプライアンス重視の解体施工計画を策定します。また、騒音・振動の発生を極力抑える工法を検討し計画を行います。 |
③各種届出 | 法令・条例等に基づき、諸官庁への届出・許可申請を行います。 |
④アスベスト除去 | 綿密な現地調査後、建物内にアスベスト含有物が発見された場合、法令・条例に基づき先行除去します。 |
⑤PCB汚染機器解体 | 顧客の低濃度PCB汚染機器を確実に処理するための様々なサービスを提供します。また、大型サイズのため通常の運搬・処理が困難な機器も、田中建設工業では現地解体しスムーズな処理を行っています。 |
⑥内装解体 | 建物内部に造作してある天井材・壁材・床材・設備等の解体を行います。また、環境に配慮し、各品目別に仕分けし、適正に処理します。 |
⑦仮設工事 | 防音加工が施された養生パネルを足場外部に貼り付け、建物を覆いかぶす事で騒音の発生・粉塵の飛散を抑えます。 |
⑧上屋解体 | 建物解体は、近隣住民への明確で丁寧な工事内容の説明を行い、円滑な解体工事を目指します。解体工事によって発生した産業廃棄物は各種法令・条例に基づき適正な処理を行います。 |
⑨山留工事 | 山留工事とは、地下工事の際に周辺地盤が崩れないように周りの地盤を固める工事です。地下工事では欠かせない重要な工事です。 |
⑩基礎解体 | 建物を支えていた基礎部分の解体を行います。計画書に基づき周辺に影響が生じないよう、慎重且つ丁寧な施工を行います。 |
⑪杭抜き工事 | 建物を支えていた杭の引き抜き工事を行います。杭抜き工事着手前に発注者と綿密な協議を重ね、周辺地盤に影響がないよう工法の検討・策定を行い施工します。 |
従業員数は77名、平均年齢は45.4歳、平均勤続年数は5.8年、平均年間給与は584.9万円です。
田中建設工業のIPOの諸データ
新規発行による手取金の使途については、事業拡大のための運転資金に充当する予定です。
事業拡大のため、解体工事に係る主任技術者・監理技術者等の現場監督者の確保が重要な経営課題と田中建設工業は考えており、実務経験を有した人材の中途採用を積極的に進めています。
これらの人材採用費及び人件費として、230,040千円(平成31年3月期に19,440千円、平成32年3月期に86,220千円、平成33年3月期に124,380千円)を充当する予定です。
また、原価管理システムの構築費用・工事現場の安全対策の一環として、現場作業員の健康管理システムの導入、情報セキュリティー強化のためのIT資産管理ツール他の導入費用を行います。
これに156,000千円(平成31年3月期に39,000千円、平成32年3月期に91,000千円、平成33年3月期に26,000千円)を充当する予定です。
田中建設工業の業績推移
業績面では売上高、経常利益、純利益のいずれも、美しい右肩上がりの傾向となっています。
営業キャッシュフローは包括利益をいずれの年度も下回っていますが、中小不動産企業にはよくあります。
前期の自己資本利益率(ROE)は34.0%であり、自己資本比率は61.4%です。主要な経営指標等の推移は下表のとおりです。
回次 | 第33期 | 第34期 | 第35期 | 第36期 | 第37期 | |
---|---|---|---|---|---|---|
決算年月 | 平成26年9月 | 平成27年9月 | 平成28年9月 | 平成29年3月 | 平成30年3月 | |
売上高 | (千円) | 3,617,293 | 4,022,014 | 5,559,002 | 2,757,806 | 7,861,876 |
経常利益 | (千円) | 418,547 | 871,722 | 1,079,866 | 360,202 | 1,271,719 |
当期純利益 | (千円) | 229,701 | 476,444 | 619,142 | 222,760 | 834,374 |
資本金 | (千円) | 48,000 | 48,000 | 48,000 | 48,000 | 74,700 |
発行済株式総数 | (株) | 96,000 | 96,000 | 96,000 | 96,000 | 98,670 |
純資産額 | (千円) | 1,596,866 | 1,929,311 | 2,396,032 | 2,030,804 | 2,873,878 |
総資産額 | (千円) | 3,419,094 | 4,522,082 | 4,325,480 | 3,852,268 | 4,678,684 |
BPS | (円) | 16,634 | 20,097 | 24,959 | 1,057.71 | 1,456.31 |
1株配当 | (円) | 1,500 | 2,000 | 6,250 | 696 | 2,536 |
EPS | (円) | 2,393 | 4,963 | 6,449 | 116.02 | 431.22 |
自己資本比率 | (%) | 46.7 | 42.7 | 55.4 | 52.7 | 61.4 |
自己資本利益率 | (%) | 15.3 | 27 | 28.6 | 10.1 | 34 |
株価収益率 | (倍) | ― | ― | ― | ― | ― |
配当性向 | (%) | 62.7 | 40.3 | 96.9 | 30 | 29.4 |
営業CF | (千円) | ― | ― | ― | 56,957 | 499,620 |
投資CF | (千円) | ― | ― | ― | -121,733 | 77,067 |
財務CF | (千円) | ― | ― | ― | -441,004 | -350,896 |
現金等 | (千円) | ― | ― | ― | 845,945 | 1,071,737 |
従業員数 | (名) | 43 | 45 | 51 | 56 | 62 |
市場トレンド
市況面では、上場直前3ヶ月間のインデックスが上昇トレンドの状況だと初値リターンが高い傾向となっています。
日経JASDAQは2016年2月以降は長らく上昇トレンドが続き、2006年の高値を目指して爆進中となっていましたが、6月中旬以降は調整局面となっています。
しかし、足元では10月の急落から反発しつつあります。反発して再度堅調な相場に回帰すれば、IPOにおいて追い風となります。逆に下降トレンドが継続したら向かい風です。
(※マネックス証券より)
上場規模
田中建設工業のIPOの規模は最大で約7.9億円であり、東証JASDAQスタンダードとしても小型です。小型であればある程、初値リターンは良い傾向があります。
公募株式数は155,000株、売出株式数は155,000株、オーバーアロットメント(OA)は46,500株です。
公開比率(オファリングレシオ)は最大で約17%と低めです。公開比率が低ければ低いほど、初値リターンが高い傾向があります。公募株式数に占める売出の割合は50%です。
売出人及び貸株人であるスリーハンドレッドホールディングス株式会社並びに株主である田中俊昭、田中俊恒、松野洋子、鬼塚麻紀子、釆澤和義、小池正晴、津村友城、貝原利明、岡田英夫、松﨑吉憲、神澤繁、佐怒賀功、小網忠明、能澤矩正、安田優、中下壽雄、木下孝、青木修、河原年宏、西本節三、安齋和秋、間下芳明、田上公子、長岡正太郎、島田亘、内藤さおり及び相澤彩子には、原則として90日間のロックアップがかかっています。株価上昇による解除条項はありません。
上記のほか、田中建設工業は、取引所の定める「有価証券上場規程施行規則」の規定に基づき、上場前の第三者割当等による募集株式等の割当等に関し、田中建設工業株式の割当を受けた者(富士倉庫運輸株式会社、TANAKEN従業員持株会、大栄不動産株式会社、AGS株式会社、株式会社グローブマネージメント、株式会社斉藤産業、吉田静代、安藤隆春、中山信也、常泉泰造、杉本修一、安養寺聡及び浅原智久)との間に継続所有等の確約を行っています。
株主名 | 保有株数 | 保有割合 | ロックアップ |
---|---|---|---|
スリーハンドレッドホールディングス(株) | 1,700,200 | 86.16% | ○ |
田中俊昭 | 55,600 | 2.82% | ○ |
田中俊恒 | 22,200 | 1.12% | ○ |
松野洋子 | 22,200 | 1.12% | ○ |
鬼塚麻紀子 | 22,200 | 1.12% | ○ |
富士倉庫運輸(株) | 18,700 | 0.95% | 制度 |
釆澤和義 | 11,200 | 0.57% | ○ |
TANAKEN従業員持株会 | 9,500 | 0.48% | 制度 |
大栄不動産(株) | 8,700 | 0.44% | 制度 |
小池正晴 | 7,800 | 0.40% | ○ |
津村友城 | 7,800 | 0.40% | ○ |
貝原利明 | 7,800 | 0.40% | ○ |
岡田英夫 | 7,800 | 0.40% | ○ |
初値予想
田中建設工業の事業は建築構造物の解体工事及びそれに付随する各種工事の施工監理ということで、IPOにおける業種の人気度は高くありません。
予想PERは10.6倍、予想配当利回りは2.66%であり、類似企業と比較すると割安感があります。
コード | 銘柄名 | PER | PBR | 配当利回り |
---|---|---|---|---|
1433 | ベステラ | 21.55 | 5.43 | 1.06% |
1716 | 第一カッター興業 | 12.00 | 1.29 | 0.93% |
5699 | イボキン | 17.54 | 1.54 | 1.17% |
約7.9億円という上場規模はJASDAQスタンダードとしても小型です。上位株主にVCはなく、カバー率は高めです。
JASDAQスタンダードの5億~10億円の小型IPOの初値結果は以下のとおりです。
- アクセスグループ・ホールディングス:+161.2%
- ディ・アイ・システム:+157.8%
- ブロードバンドセキュリティ:+166.8%
- マリオン:+59.7%
- 香陵住販:+15.9%
- SIG:+133.3%
- エヌリンクス:+108.8%
- アズ企画設計:+117.8%
- トレードワークス:+518.2%
- シー・エス・ランバー:+84.1%
- ニーズウェル:+130.5%
- SYSホールディングス:+116.0%
- ディーエムソリューションズ:+184.0%
- No.1:+120.4%
- 安江工務店:+4.0%
- 日本モーゲージサービス:+39.8%
- ノムラシステムコーポレーション:+51.0%
- デュアルタップ:+127.0%
- 富士ソフトサービスビューロ:+13.5%
- プロパティエージェント:+115.0%
- ナガオカ:+40.6%
- デジタル・インフォメーション・テクノロジー:+246.2%
- スマートバリュー:+344.9%
- 三機サービス:+37.1%
- エムケイシステム:+332.0%
- 今村証券:+27.4%
- マークラインズ:+77.3%
- 東武住販:+12.0%
- 白鳩:+46.2%
- サイバーリンクス:+172.9%
以上を総合考慮して、初値予想はプラスリターンです。
主幹事は野村證券です。その他は、むさし証券、みずほ証券、ちばぎん証券、東海東京証券、岡三証券、極東証券で申し込めます。
証券会社名 | 割当株式数 | 割当比率 |
---|---|---|
野村証券 | 276,000 | 89.03% |
むさし証券 | 10,800 | 3.48% |
みずほ証券 | 7,700 | 2.48% |
ちばぎん証券 | 6,200 | 2.00% |
東海東京証券 | 3,100 | 1.00% |
岡三証券 | 3,100 | 1.00% |
極東証券 | 3,100 | 1.00% |
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<投資スタンス>
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(※強気・やや強気・中立・やや弱気・弱気の5段階)
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- やや強気:ネット証券で申込、対面証券では原則申込(回数制限やS級狙いで回避することも)
- 中立:ネット証券、回数制限・S級銘柄の当落に影響がない対面証券(大量獲得を狙える場合は妙味あり)
- やや弱気:ネット口座以外は原則回避(ただし、マイナス覚悟の勝負で申し込むことも) ※安全重視ならSBI証券のみ
- 弱気:SBI証券以外は回避(対面証券はバーター取引ならOK)