YKK株式会社という企業があります。ファスナー、面ファスナー「クイックロン」、繊維テープ・樹脂製品、スナップ&ボタン等のファスニング商品、住宅・ビル用商品を提供しています。
スライドファスナーの生産で世界シェアの約45%を締めている有名企業であり、YKKは上場しているのか多くの注目を集めています。
YKKは上場していませんが、「株主コミュニティ」という制度を利用すれば、証券会社を通じて売買できます。
いわゆる地場株(店頭有価証券)であり、配当金を受け取ることが可能です。また、キャピタルゲインの可能性も残っています。
未公開株というと怪しいイメージがありますが、日本証券業協会が携わっている制度で、1000万円まで投資家保護基金で補償されるので、配当金目当ての投資であれば選択肢となります。
また、今後は方針が変わってYKKがIPOする可能性もゼロではありません。YKKの上場、株価について、徹底的に解説します。
YKKの株式を購入する方法
YKKはファスナー事業を中心として、住宅関連製品など、多様なビジネスを運営している大企業・優良企業です。
社名の由来は旧社名である「吉田工業株式会社(Yoshida Kogyo Kabushikigaisha)」の略称で、Yは創業者の吉田忠雄氏(富山県魚津市出身)の苗字が由来です。
富山県黒部市に大規模な生産拠点を置いており、現在72カ国/地域で事業活動を行っています。
世界の事業エリアを北中米、南米、 EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカをカバーするエリア)、中国、アジア、そして日本の6つのブロックに分け、地域ごとの特色を活かしながら各社が主体 となってグローバル事業経営を展開。
YKK株式会社は上場していないので、証券取引所で株式を購入することはできません。
しかし、従業員持株制度がある社員でなくても、非上場企業であるYKKの株を購入する方法があります。株主コミュニティという制度の活用です。
株主コミュニティとは
株主コミュニティは非上場株式の流通取引・資金調達の制度であり、平成27年(2015年)5月に創設しました。
未公開株式というと詐欺のイメージが根強いところですが、株主コミュニティは怪しい制度ではなく、日本証券業協会が公認している仕組みです。
地域に根差した企業等の資金調達を支援する趣旨から、非上場株式の取引・換金ニーズに応えることを目的としています。
非上場株式は配当を受け取ることは可能ですが、お金が必要になった際にお手軽に売却できないのが大きなデメリットです。したがって、なかなか流通に難があり、投資のハードルが極めて高いのが特徴です。
こうした短所を緩和して、非上場企業の株式を少しでも売買しやすくなるようにする制度が株主コミュニティとなっています。
個人投資家は非上場株式の銘柄を取り扱う証券会社に対して売買の希望を伝えると、非上場株の株取引が可能となります。
非上場企業の株を取引きできる証券会社は限られているため、株主コミュニティのサイトで掲載されています。
証券取引所での売買のように板があるわけではなく、相対取引となります。証券会社から1株いくらで何株売り物が出ていると案内があるので、その価格でOKの場合は申し込む流れとなります。
株主コミュニティで購入できるのはYKK・北陸鉄道・チッソ等
株主コミュニティとして運営されている銘柄(非上場企業)の株式は、証券会社によって取り扱いが異なっています。2020年10月18日時点のデータは下表のとおりです。
証券会社名 | 銘柄名 | 参加者数 |
---|---|---|
今村証券 | 北陸鉄道株式会社 | 759 |
北陸放送株式会社 | 3 | |
富山地方鉄道株式会社第二普通株式 | 150 | |
富山地方鉄道株式会社普通株式 | 9 | |
株式会社廣貫堂 | 7 | |
北日本放送株式会社 | 4 | |
YKK株式会社 | 17 | |
立山黒部貫光株式会社 | 34 | |
株式会社福邦銀行 | 4 | |
福井鉄道株式会社 | 1 | |
島大証券 | 富山地方鉄道株式会社第二普通株式 | 175 |
富山地方鉄道株式会社普通株式 | 4 | |
立山黒部貫光株式会社 | 38 | |
YKK株式会社 | 99 | |
北日本放送株式会社 | 23 | |
株式会社廣貫堂 | 11 | |
大山日ノ丸証券 | 日ノ丸自動車株式会社 | 2 |
野村證券 | - | - |
みずほ証券 | チッソ株式会社 | 1,320 |
みらい證券 | 株式会社武井工業所 | 310 |
株式会社旅籠屋 | 293 | |
三国商事株式会社 | 92 | |
太陽毛絲紡績株式会社 | 62 | |
株式会社大生産業 | 8 | |
株式会社アドメテック | 48 | |
I&H株式会社 A種種類株式 | 2 | |
FTI JAPAN株式会社 | 9 | |
フレッシュデザート株式会社 | 2 |
YKK株式会社を取引できるのは今村証券もしくは島大証券となっています。
その他、株式コミュニティで参加者が多い銘柄としては、チッソ、北陸鉄道、武井工業所、旅籠屋などが挙げられます。
デメリット
IPOしている上場株式とは異なり、株主コミュニティでの非公開株は名義書換の手続きを取らないと自分の名義にならないのが原則です。
手続きは信託銀行に株券を持ち込むこと等で自ら行うことも可能です。ただし、証券会社は数百円の手数料で代行してくれるので、手間をカットしたい場合は代行してもらいましょう。
上場企業がひしめいている証券取引所での取引と比較すると、株式の価格については公平性・透明性に欠ける場合があるのが難点です。
YKKは多様な財務データ・経営説明資料を公開していますが、公開企業と比較すると情報公開の義務がない分、株価に闇鍋的な要素があるのは否定できません。
YKKの株価と指標
YKKの株を買う場合は市場で自由に売買できないので、一定程度の中長期保有が前提となります。
業績、ファンダメンタルズ分析、配当利回りなどが重要となります。過去の業績推移は下表のとおりです。
回 次 | 第81期 | 第82期 | 第83期 | 第84期 | 第85期 |
---|---|---|---|---|---|
決算年月 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 |
売上高(百万円) | 87,819 | 82,700 | 85,510 | 98,843 | 90,820 |
経常利益(百万円) | 15,435 | 17,192 | 10,485 | 4,437 | △4,547 |
当期純利益(百万円) | 15,254 | 17,529 | 9,333 | 9,874 | △5,352 |
資本金(百万円) | 11,992 | 11,992 | 11,992 | 11,992 | 11,992 |
純資産額(百万円) | 349,407 | 364,938 | 371,467 | 378,277 | 369,086 |
総資産額(百万円) | 508,510 | 508,254 | 497,861 | 498,113 | 484,947 |
BPS(円) | 291,422 | 304,380 | 309,830 | 315,514 | 307,853 |
1株配当(円) | 2,400 | 2,400 | 2,400 | 2,400 | 2,400 |
(中間配当) | (-) | (-) | (-) | (-) | (-) |
EPS | 12,723 | 14,620 | 7,784 | 8,235 | △4,464 |
自己資本比率(%) | 68.7 | 71.8 | 74.6 | 75.9 | 76.1 |
自己資本利益率(%) | 4.4 | 4.9 | 2.5 | 2.6 | △1.4 |
配当性向(%) | 18.9 | 16.4 | 30.8 | 29.1 | - |
従業員数(人) | 3,914 | 4,048 | 4,149 | 4,733 | 4,823 |
非上場企業でも配当を出している企業も数多くあり、YKKも同様に配当を出している年度が多いです。上場企業と同様の形式で配当金計算書も送ってくれます。
取引実績としては、2020/9/28に1株95,000円で約定した実績があります。この株価をもとに算出した株価指標は以下のとおりです。
- PBR:0.31倍
- PER:赤字(2019年3月期に対しては11.53倍)
- 配当利回り:2.53%
流動性が極めて低いのが影響しているのか、PBRの側面では割安となっています。
配当性向は概ね15%~30%程度で推移しています(2020年3月期は赤字)。
YKKの上場時は株価に注目
YKKの株は株主コミュニティの制度を通じて購入できますが、ネット証券では買えないので不便です。
多くの方にとってはハードルが高いです。もしYKKが上場した場合は誰でもサクッと簡単に取引できるようになります。
YKKが上場するか否かは要注目ですね。IPOした場合は誰でも株を自由に購入できるようになり、株価に高い注目度が生じます。
これまでIPOがなかったので、今後も可能性は低いと思われます。あるとしたら、大株主が株式を売却したくなった場合、経営陣が強い拡大志向をとった場合でしょう。
主な株主
- YKK恒友会(従業員持株会)
- (有)吉田興産
- みずほ銀行
- 吉田 忠裕
創業者一族の吉田氏に相続が行われる場合に、相続対策などで上場を選ぶ可能性があるかもしれません。
YKKが上場することになった場合、株式を購入するには、上場後に株式を買う以外にも、IPOでの購入という方法がありますね。証券会社に口座を開く必要があります。
IPOで株を買う場合、ブックビルディング期間中に証券会社で申し込んで、抽選に当選すれば手数料無料で購入できます。
IPOに当選するには、多額の株を引き受ける主幹事証券はもちろん、それ以外の証券会社からも申し込むことが重要です。
数打てば当たる可能性が着実に上昇します。現在は証券会社の口座開設・維持費用は国内株に関しては無料の証券が大多数ですから、できる限り数多くの証券会社から申し込みましょう。
YKKのIPOがあった場合、当選のコツについては、以下で徹底解説しています。
株式の売り出しを担当する主幹事は野村證券、大和証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、SBI証券あたりが選定される可能性が高いです。
三菱UFJグループのauカブコム証券でも取り扱いが期待できます。カブドットコムのIPOは、公平性と機密性を確保したシステムによる抽選で当選者が決まります。
野村證券はIPOの取り扱いが多いのがメリットです。小口個人ですと当たりづらいですけれども、ポチポチ作業を許容できる場合は候補です。
郵政3社、JR九州などの大型株に関しては意外な程に当たりやすいです。
大和証券も厳正かつ公平な抽選サービスとなっており、小口投資家でも当選の可能性はあります。
大和証券グループのネット証券である「大和コネクト証券」だと、お手軽にIPOに参加可能です。
SMBC日興証券のダイレクトコースは個人投資家でもIPOが当たるチャンスがあるオンライン証券です。
特に大型株は当たりやすいです。YKKも当選が大いに期待できます。店頭証券の営業とのやり取りが不要で気軽に申し込めます。
野村證券や大和証券、SMBC日興といった大手証券だけではなく、ネット証券でもお手軽に申し込めます。
ネット証券ではSBI証券がIPOに積極的ですので、YKKのIPOもほぼ確実に幹事団に名を連ねるでしょう。
YKKのような大型案件は株式数が多いので当選が比較的容易になります。IPOは勝率が高く、無難に上場日の初値で売却した場合でも、利益が出る確率が高いです。
SBI証券には「SBIチャレンジポイント」という仕組みがあり、IPOに落選した場合はポイントが貯まります。
このポイントを貯めていくといつかは必ずIPOに当選するという嬉しい仕組みがあります。
YKKのIPOに備えてSBI証券に口座開設しておくことを強くおすすめします。SBI証券でIPOの引受け部門で活動していたプロにインタビューして、貴重なお話を聞きました。
SBI証券はIPO以外にもメリットが多いネット証券です。私もフル活用して、パフォーマンスを向上させています。
SBI証券の口座開設・維持費用、ネット入金・出金の費用は無料です。IPOに申し込むのに際して費用は一切かかりません。
SBI証券は当サイト限定でお得なタイアップ・プログラムを実施しています。なんと3,000円分で、ネット証券としては破格の内容です。
口座開設と5万円以上の入金・SBIハイブリッド預金への振替だけで、3,000円分のAmazonギフト券がプレゼントされます。
口座開設時に以下の項目(無料)に申し込めば、SBI証券に入金するだけで自動的に振り替えられるので面倒な手間はありません。
SBI証券は1000万円までは銀行預金のような公的な保護(投資者保護基金)があるので安心・安全です。銀行預金と同じで万が一破綻しても保護されます。
口座開設・維持・入出金は無料です。まだ口座をお持ちでなければ、この機会にぜひ口座開設してみてはいかがでしょうか。
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SBIネオトレード証券でもIPOの取扱いが開始しました。口座開設者数が大手ネット証券と比較すると少ないのでライバルが少ないのがメリットです。
機械的な完全ランダム抽選で平等・公平です。事前入金は不要で、口座残高がなくても申し込めるのも便利です。ネット上で手間をかけずにサクッとIPOのブックビルディングに参加することが可能です。
現在はお得なキャンペーンを開催しています。
マネックス証券も完全抽選で小口個人投資家でも当選しやすい証券会社です。IPOにおいてはぜひ口座開設しておきたいネット証券です。
この他、幹事団として、岡三オンライン、東海東京証券、岩井コスモ証券などが入る可能性が高いです。
岡三オンラインは、当サイト限定タイアップでお得な入会キャンペーンを行なっています。口座開設と1回以上の取引だけで3,500円+特別レポートがプレゼントされます。
また、裏幹事としては楽天証券、松井証券も取り扱いの可能性があります。