PayPay証券の「ロボ貯(つみたてロボ貯蓄)」の投資対象の一つとして「BDC」があります。
ある程度、資産運用に詳しくて、ETF・ETN・REIT・IPO・NISAはバッチシ!という方でも、BDCは聞き慣れないという方もいらっしゃるでしょう。
そこでロボ貯で積立投資できるBDCについて、分かりやすく解説します。
BDCとは
BDCとは「Business Development Companies」の略であり、アメリカの投資スキームに基づいた法人です。
1980年に未上場の中小企業・新興企業への資金供給等を促す目的で生まれて、ニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所に上場しています。
米国で将来的に経済の中核を担う過可能性がある新興企業に、投資家のマネーをスムーズに融通する仕組みとなっています。アメリカらしい制度ですね!
アメリカの主要銀行は、国際的な自己資本比率規制(バーゼルⅢ)を達成するために、リスク資産である融資の見直しを進め、格付けのない中堅企業向けの融資を抑制する傾向にありました。
大企業向けの大口融資のコストや手間は、小口融資を引き受ける場合と差がないため、大口融資を優先して中小企業向けの融資は優先順位が低くなりがちでした。
多くの商業銀行が中小企業向けの融資業務を縮小してきたため、大手銀行が取り扱わない中堅企業向け融資に特化したBDCのようなノンバンクが拡大していきました。
BDCが融資を行う企業例
- ニッチな強みを持つ製造メーカー
- 米国内で営業基盤を確立しているサービス業の会社
- 米国全土の大手企業等にサービス提供しているWEB教育ツールを提供する企業
- 一部の地域や分野に特化した医療サービス会社
- 非上場の外部格付けを取得していない企業
BDCの全体的な動向を知るためには、インデックス「S&P BDC指数」が便利です。
メリット
BDCは利益の90%以上を投資家に配当として分配することで、内国歳入法上の規制投資会社として扱われ、法人所得税を免除されます。
日本におけるREITのようなイメージの制度となっています。したがって、BDCへの投資家にとっては比較的高い配当収入を期待できる状況となっています。
ロボ貯のBDC銘柄での配当金利回りは、ARCCエイリスキャピタルは年8.72%、MAINメインストリートは年6.74%となっています(※2019年7月末時点の情報)。
米国の株式市場であるナスダック証券取引所など金融商品取引所に上場しているので、個人投資家でも新興企業・未上場企業に間接的に少額で投資できるようになり、PayPay証券のロボ貯においても取り扱いがあります。
創業期のGoogle、Apple、Intel、FacebookもBDCからの支援を受けていました。
新興企業への投資はハイリスク・ハイリターンであり、小口個人投資家がエンジェルとして資金を投じるのは難易度が高いです。
しかし、BDCならばお手軽に分散投資ができる側面があります。
デメリット
BDCにはデメリットも存在しています。
信用リスク
BDCは、主に中堅企業等への投融資から得られる利益等を収益としているので、ハイリスク・ハイリターンの構図にあります。
投融資先企業には未公開企業が多く、入手できる公開情報が少ないことがあり、結果として、BDCがリスクの高い投融資を行う場合があります。
投融資先企業が倒産したり財務状況が著しく悪化する可能性もあり、投資金・債権を回収できないリスクがあります。
また、BDCの投融資先企業の発行株式は、その事業活動や財務状況等によりその価格が下落するリスクがあります。
BDCがその投融資のために金融機関等から借入れを行なう場合、借入金利の上昇によりBDCの投融資に係るコストが増加し、利益に悪影響を及ぼす結果、BDCに重大な損失が生じるリスクもあります。
価格変動リスク
一般にBDCの価格は、発行体の成長性や収益性の企業情報・当該情報の変化に影響を受けて変動します。
また、国内・海外の経済・政治情勢などの影響を受けて変動します。
ファンドにおいては、BDCの価格変動または流動性の予想外の変動があった場合、ファンドに重大な損失が生じるリスクがあります。
株式の価格は、会社の成長性や収益性の企業情報・当該情報の変化、国内外の経済・政治情勢などの影響を受けて変動します。
株式の価格変動または流動性の予想外の変動があった場合、損失が生じるリスクがあります。
流動性リスク
市場規模や取引量が少ない状況においては、有価証券の取得、売却時の売買価格は取引量の大きさに影響を受けます。
市場実勢から期待できる価格どおりに取引できないリスク、評価価格どおりに売却できないリスク、あるいは、価格の高低に関わらず取引量が限られてしまうリスクがあります。
為替変動リスク
外貨建資産については、一般に外国為替相場が当該資産の通貨に対して円高になった場合には、つみたてロボ貯蓄(ロボ貯)で投資したBDCの価格が値下がりする要因となります。
まとめ
BDCは、米国において1940年投資会社法(Investment Company Act of 1940)を根拠法として設立された中堅企業や新興企業等の事業開発を金融面及び経営面からサポートする投資会社です。
1980年に中小及び新興企業への資金供給等を促す目的で誕生し、ニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所に上場しています。
投資家への配当については、90%以上を投資家に配当として分配することで、内国歳入法上の規制投資会社として扱われ、法人所得税を免除されます。
したがって、BDCへの投資家にとっては比較的高い配当収入が期待されます。
ただし、信用リスク、価格変動リスク、流動性リスク、為替変動リスクが存在しています。
ロボ貯には高分配・高配当コース、積み株コースの2種類があります。BDC以外のおすすめ銘柄は以下で解説しています。