マネックス証券が個人向け社債を発行します。愛称はマネックス債です。今回は「夏祭り」という文言も付帯しています。
正式名称は「マネックスグループ株式会社 2018年8月16日満期 気温参照型クーポン付 円建社債」です。
期間は1年(2018年8月16日償還)であり、利率は年0.10%~0.80%です。円建債券で為替リスクはありません。
2017年8月25日から2017年8月31日までの真夏日の日数で金利が決まるユニークな社債となっています。
真夏日が0日だと0.1%となり、観測期間中の観測地点における真夏日が1日増えるごとに0.1%が上乗せされます。
観測地点は気象庁が公表する「東京都 東京」となり、真夏日の定義は「気象庁が公表する最高気温が摂氏30度以上の日」となります。
結果は真夏日の日数が6日となり、年利0.7%(税引前)の高還元利回りとなりました!
社債間限定同順位特約、劣後特約などの特約はありません。個人向けマネックス債についてまとめます。
マネックス証券とは
マネックス証券は、オンライン専業のマネックス証券を中核として、株式、投資信託、FX、債券、先物・オプション取引、貴金属(金、銀、プラチナ)などを取り扱っています。
プログラム運用による投資助言サービス、M&Aアドバイザリーサービスなども手がけています。
社名のMONEX(マネックス)は「MONEY」のYをひとつ先のXに替えたもので、一歩先行く、新しいお金との付き合い方を提供していこうとの思いが込められています。
1999(平成11)年、中核子会社のマネックス証券が設立され、2000年に東証マザーズに上場しました。
2004年にマネックス証券と日興ビーンズ証券が共同持株会社マネックス・ビーンズ・ホールディングスを設立しました。
2005年には東証一部に昇格しました。マネックス証券と日興ビーンズ証券は合併し、マネックス・ビーンズ証券を経て、マネックス証券に商号変更しました。
2008年、持株会社の商号をマネックスグループに変更し、2010年にはオリックス証券と合併しました。旧・オリックス証券の口座はマネックス証券のIPOに当たりにくいという噂が絶えません。
2010年に香港のBOOM証券グループ、2011年に米国のオンライン証券TradeStation社を子会社化しました。
2016年には米国No.1の評価を受ける取引ツール「トレードステーション」が日本株に対応しました。2017年は米国株ETFの売買手数料が無料という画期的なゼロETFを開始しました。
日本国内でのマネックス証券のサービス内容については、以下で徹底解説しています。
2016年3月期の営業収益(百万円)は、受入手数料32,152(+6.9%)、トレーディング損益6,671(+6.9%)、金融収益14,610(+4.5%)、その他839(+25.8%)となりました。
トータルでは54,271(+6.5%)と堅調な推移となっています。収益合計(百万円)は54,942(+7.2%)で着地しました。
しかし、販売費及び一般管理費が大幅に増加したこと等により、税引前利益(百万円)は、5,100(-16.6%)となりました。包括利益合計額は前期は過剰に多かった反動で4,010(-53.3%)となりました。
2017年3月期の営業収益(百万円)は、受入手数料26,349(-18.0%)、トレーディング損益4,498(-32.6%)、金融収益14,313(-2.0%)、その他671(-20.0%)となりました。
トータルでは45,831(-15.6%)と大幅減収となっています。収益合計(百万円)は49,104(-10.6%)で着地しました。
販売費及び一般管理費は-2.0%減少させて、税引前利益(百万円)は、1,071(-79.0%)となりました。包括利益は-2,149(-153.6%)となりました。前期は軟調な展開となりました。
以前にはマネックス証券に取材にお伺いして、日本株、米国株、マネラップ、その他サービスなど、多様な項目に関してインタビューしたことがあります。
個人投資家の資産運用に資するネット証券だと強く感じました。
2017年9月下旬からは絶大な節税メリットがある個人型確定拠出年金(iDeCo)も導入します。
マネックス社債(マネックス債)分析
2017年に入ってからは2度目のマネックス債です。頻度は多くありませんが、定期的に発行されています。
高金利定期預金との比較
現在の1年もの高金利定期預金は、大阪市近辺に在住または勤務している方ですと、大阪協栄信用組合で1000万円以上預け入れると年0.50%です。
次点は大阪信用金庫の年0.41%です。地銀・振興銀行のネットバンキングも高金利の傾向にあります。
各地に店舗がある銀行かネット銀行で、預け入れ金額に制限がない銀行では、7月31日までのキャンペーンではオリックス銀行が0.25%、住信SBIネット銀行は年0.20%です。
地銀では、愛媛銀行四国八十八カ所支店(300万円以上)が年0.25%、300万円未満が年0.22%です。「100万円限定だんだん定期預金」ですと年0.3%です。
島根銀行は1000万円以上のネットプラス大口が年0.25%、1000万円未満は年0.245%です。
香川銀行の超金利トッピング定期預金(預け入れ金額は100万円限定)は年0.25%です。
トマト銀行のスペシャルきびだんご定期預金(100万円まで)は年0.25%、きびだんご定期預金は0.2%となります。
今回のマネックス証券の個人向け社債の利率は、ノーリスクの定期預金を最大で0.30%~0.55%程度上回っています。
定期預金との利回り格差を見て、デフォルトリスクを考慮すると利率は妥当かという観点で検討することになります。
過去のデフォルトの確率
マネックスグループ株の格付はBBB(JCR)です。格付の見通しは「安定的」です。主要子会社のマネックス証券も同様です。
。ちなみにJCRはR&Iよりもワン・ノッチ格付けが高い傾向にあります。
JCRの格付けはR&Iよりワンノッチ(1つ)高いという企業は結構あります。マネックスがR&IではなくJCRから格付けを取得予定というのは、マネックス側に立つと意図はよくわかります。
JCRのA格社債(5年)の平均累積デフォルト率(2000~2016年)は0.56%でした。
JCRの見解
JCRはマネックス債、マネックス証券の信用リスクについて以下の通りに評価しています。
マネックスグループは、日本・米国・香港の3拠点でグローバルな事業展開を進めているオンライン証券グループの持株会社である。
グループ中核であるマネックス証券は、充実した投資情報サービスを強みに一定の顧客基盤を持ち、国内オンライン証券としては預かり資産残高や口座数は中位にある。
持株会社における構造劣後性については、マネックス証券との一体性、ダブルレバレッジの水準などを考慮し、ノッチ差として反映させる必要はないと判断している。
中長期的な経営戦略として「グローバル・ビジョン」を掲げ、グループ技術力を活かしたシステム内製・共通化による中長期の収益増大と固定的費用の削減を目指している。
米国・香港の証券会社を買収しグローバルな事業展開を図るとともに、日本セグメントでは日本株取引プラットフォームの供用により、高頻度の売買を手掛ける個人投資家層を取込むことで収益増大を狙っている。
2017年3月期第2四半期累計の連結業績は、金融費用控除後営業収益が201億円(前年同期比63億円減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益が1億円の赤字(同37億円減)となった。
不透明な相場展開を受け日米の株式取引や日本のFX取引が低迷したことで、受入手数料やトレーディング損益が減少した影響が大きい。
一方で、新旧基幹システムの並行稼働によるシステム費用負担も前年同期比増加しており、利益圧迫の大きな要因となっている。
JCRは日本株取引プラットフォームの導入などによる顧客基盤の安定化・収益増大化施策および、基幹システムの内製化によるコスト削減の状況を注視し、適宜、格付に反映させていく。
2016年9月末における連結総資産は8,520億円、連結資本合計は817億円、マネックス証券単体の自己資本規制比率は329.3%と、問題のない水準にある。
資金調達面では、一部制度信用取引に係る資金に銀行借入などを利用しているが、十分な流動性を確保している。
良好な財務体質、比較的厚めの純資産を維持していることから、相応のリスク耐久力を有している。
JCRのBBB格社債(1年)の平均累積デフォルト率(2000~2015年)は0.59%でした。
同じ格付の社債、店頭売買参考利回りとの比較
日本証券業協会のデータでは、JCRのBBB格社債(1年)の複利利回り平均値は0.381%です。
マネックス証券の社債の店頭売買参考統計値利回り平均(複利)は、ありませんでした。
マネックス証券の財務状況
財務指標
2017年3月末時点での自己資本比率は8.7%、有利子負債は1381億円、現金等は765億円でした。
2017年3月期のキャッシュフローは、営業キャッシュフローは437億円となり、前年度の7億円から大幅に増加しました。
受入保証金及び預り金の増減により63,160百万円、短期貸付金の増減により20,141百万円の資金を取得する一方、預託金及び金銭の信託の増減により57,921百万円の資金を使用しました。
投資キャッシュフローは-83.01億円となり、前年度の-59.34億円からは支出が増加しました。
有価証券投資等の売却及び償還により1,215百万円の資金を取得する一方、無形資産の取得により8,603百万円の資金を使用しました。
財務キャッシュフローは-184.62億円となり、前年度の-6.73億円からは支出が大幅に増加しました。
長期借入債務の調達により27,902百万円、社債の発行により2,996百万円の資金を取得しました。
他方、長期借入債務の返済により43,800百万円、社債の償還により2,000百万円、配当金の支払により1,468百万円、短期借入債務の収支により1,372百万円、自己株式の取得により1,000百万円の資金を使用しました。
社債及び借入金の内訳
2017年3月末のマネックス証券の短期借入金の平均利率は0.47%です。SBIホールディングスよりは大幅に低い水準です。
長期借入金の平均利率は0.62%で、返済期限は2018年6月~2020年3月となっています。
信用取引負債では、信用取引借入金がの平均利率は年0.60%となっています。発行している社債の概要は下表のとおりです。
社債名 | 発行年月日 | 前年度末 (百万) | 今年度末 (百万) | 利率 (%) | 償還期限 |
---|---|---|---|---|---|
2016年7月19日満期 1.30%円建社債 | 2013年7月19日 | 2,000 | - | 1.3 | 2016年7月19日 |
2018年10月17日満期 1.50%円建社債 | 2013年10月17日 | 5,000 | 5,000 | 1.5 | 2018年10月17日 |
2018年11月12日満期 1.50%円建社債 | 2013年11月11日 | 5,000 | 5,000 | 1.5 | 2018年11月12日 |
2018年12月17日満期 円建社債 | 2013年12月17日 | 5,000 | 5,000 | 1.5 | 2018年12月17日 |
2017年5月19日満期 円建社債 | 2016年5月19日 | - | 3,000 | 0.6 | 2017年5月19日 |
総口座数等
総口座数、稼働口座数は順調に増えています。預かり資産残高は今期は増加しています。
決算期 | 総口座数 | 稼働口座数 | 預かり資産 | 自己資本規制比率 |
---|---|---|---|---|
2015年3月期 | 1,533,992 | 939,029 | 3,705,472 | 422.7 |
2016年3月期 | 1,635,172 | 995,368 | 3,477,282 | 335.3 |
2017年3月期 | 1,696,123 | 1,023,369 | 3,803,176 | 297.8 |
マネックス社債の投資スタンス
かつてマネックス債は1%の利回りを超える時期が長かったです。2016年5月満期(3年)は1.3%、2018年10月満期(5年)は1.5%という高利回りでした。
しかし、日銀のマイナス金利の影響によって、イールドは盛大に潰されて金利は空前の低利に抑圧されています。
第33回マネックス債は1年0.6%となり、2017年6月に発売された第34回個人向けマネックス債は6ヶ月0.3%まで低下しました。
今回は天候デリバティブのような仕組みが内包されており、最大で1年0.8%まで金利が上昇します。現在の情勢では0.8%あれば妙味があります。
天候デリバティブは、気温・湿度・降雨量・降雪量・台風などを基準として条件(ストライク値)を定め、条件にヒットすれば、補償額が支払われる権利(オプション)を売買する金融商品です。
主に機関投資家や実業会社が買い手、金融機関が売り手となって相対で取引されています。主に収益が天候に左右される事業のリスク・ヘッジに用いられています。
マネックスグループは金融機関と「天候に応じた金銭の受払契約」を締結し、真夏日が増えるごとに金融機関からお金が得られる契約を締結していると推察されます。
マネックスが金融機関にオプション料を支払って、真夏日の結果によって補償金が支払われる形となります。
こうした仕組みがイヤな場合は避けた方がいいですけれども、宝くじ感覚で面白みがあるのも確かです。
過去30年間の判定期間(8月25日~31日)の真夏日は、平均日数が3.9日となっています。仮に4日間だったとしたら年0.5%となります。
2017年8月25日~31日の真夏日は、過去平均を大幅に上回る6日間となり、マネックス債の金利は年利0.7%(0.1%+0.1%×6)となりました!
日付 | 最高気温 | 真夏日判定 | 年利率 | 合計 |
---|---|---|---|---|
8月25日 | 34.9℃ | ◯ | 0.1%UP | 0.20% |
8月26日 | 33.6℃ | ◯ | 0.1%UP | 0.30% |
8月27日 | 30.6℃ | ◯ | 0.1%UP | 0.40% |
8月28日 | 31.4℃ | ◯ | 0.1%UP | 0.50% |
8月29日 | 32.2℃ | ◯ | 0.1%UP | 0.60% |
8月30日 | 32.9℃ | ◯ | 0.1%UP | 0.70% |
8月31日 | 24.2℃ | ✕ | - | 0.70% |
2017年12月20日~2018年1月9日に募集された個人向けマネックス債(2018年7月9日満期)は、約半年で年0.2%で妙味が低下しました。
金利が極限まで低下しており、日本ではハイイールド債市場が発達してなく、信用スプレッドが乗った社債がほとんどない状況下において、マネックス債は貴重な高金利社債となっています。
高金利で有名なSBI債を発行しているSBIホールディングスと比較すると、マネックス証券は事業構造からは突然死のリスクは低いです。
申し込みは1万円以上、1万円単位です。デフォルトの可能性を考慮して、あくまで資産の一部を投資するのが無難です。全財産のうちかなりの部分を突っ込むようなことは止めましょう。
マネックス証券社債(マネックス債)は、マネックス証券で申し込めます。SBI債とは異なり、抽選ではなく先着順です。
申込期間は 2017年8月9日(水)9時~2017年8月15日(火)14:00です。1口座あたりの上限金額は特に設けられていません。
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