名古屋鉄道が個人向け社債を発行します。正式名称は「名古屋鉄道株式会社第49回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」です。愛称は「めいてつ120さい」です。
年限は3年であり、利率の仮条件は年0.15%~年0.40%(年0.30に決定)です。 申し込み単位は100万円であり、募集期間は2014年5月26日~6月6日です。
社債間限定同順位特約(担保提供制限)とは、発行者が当該社債以外の社債に対して担保を設定する場合には、当該社債にも同等の担保を設定することです。これは付いていた方が安全な特約です。
高金利定期預金との比較
現在の5年もの高金利定期預金は、特定の地域のみの信用金庫・信用組合を除くと、SBJ銀行の期預金が0.45%です。ウリ信用組合なら、3年0.6%、ミレ信用組合なら3年0.8%があるようですが・・・、一般人にとってはハードルが高いですね。
今回の名古屋鉄道の個人向け社債の利率は、ノーリスクの定期預金を0.05~0.25%下回っています。定期預金との利回り格差を見て、デフォルトリスクを考慮すると利率は妥当かという観点で検討することになりますが、ノーリスクの定期預金を下回っています。
過去のデフォルトの確率
格付は、BBB+(R&I)、A-(JCR)です。
JCRのA格社債の累積デフォルト率(2000~2013年)は、3年0.26%でした。R&IのBBB社債のデフォルト率(1978~2012年)は、3年0.55%です。
同じ格付の社債、店頭売買参考利回りとの比較
日本証券業協会のデータでは、JCRのA格3年社債の複利利回り平均値は0.6%です。BBBの3年社債は0.493%ですが、銘柄数が11つだけなので異常値です。
R&IのA格3年社債の複利利回り平均値は0.347 %です。BBBの3年社債は1.283%です、
名古屋鉄道の社債の店頭売買参考統計値利回り平均(複利)は、残存期間約2年9ヶ月もの(2018/02/13償還)が0.331%であり、残存期間約3年4ヶ月もの(2018/09/07償還)が0.373%でした。
投資スタンス
今回の名古屋鉄道の個人向け社債は、1000万円までノーリスクの定期預金を下回っている利率であるため、全く妙味がありません。店頭売買参考統計値と比較しても低めです。
高金利銀行はたくさんある!
SBJ銀行以外にも、島根銀行のネット定期が3年0.39%、鳥取銀行のネット定期が3年0.38%、新銀行東京が3年0.38%です。その他、愛媛銀行、関西アーバン銀行、トマト銀行、香川銀行、オリックス銀行などのネット定期も高金利です。
証券会社からの営業があり、恩を売りたい場合以外では、これらの高金利定期預金の方が望ましいです。高金利銀行の1000万円枠を全て使い果たしたという大金持ちは検討し得るかもしれません。
マイナスの実質金利の影響
消費増税の影響で2014年は2.5~3%の運用利回りを上げて、ようやく±0です。2.5%以下の金利だと、実質的に目減りしていしまいます。
日本のマイナスの実質金利は円金利投資家にとってはつらい状況です。逆にお金を借りる立場の国・企業・個人にとっては望ましい状況です。