ANA(全日空)が個人向け社債を発行!第31回無担保社債(2015年6月)

更新日: 個人向け社債

ANAの飛行機

ANAホールディングス(全日本空輸)個人向け社債を発行します。正式名称は「ANAホールディングス株式会社第31回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」です。

ANA社債の期間は約4年(2019年6月21日償還)であり、仮条件は0.20%~0.60%(中央値0.40%)です。募集期間は2015年6月8日(月)~2015年6月19日(金)です。

利率は年0.376%となりました。

社債間限定同順位特約とは、発行者が当該社債以外の社債に対して担保を設定する場合には、当該社債にも同等の担保を設定することです。これは付いていた方が安全な特約です。

ANAホールディングス(全日空)とは

ANAホールディングスは言わずと知れた大手航空会社であり、国内線旅客のシェアは業界トップです。政府専用機の整備委託先も、JALからANAになりました。

国際線旅客では「スターアライアンス」の主要メンバーとしてグローバルなネットワークを構築しています。貨物では、沖縄を起点としたネットワークの構築などで、アジア域内の輸送需要の取り込みを図っています。

2015年3月期の連結売上高構成(内部取引含む)は、航空事業72.9%、航空関連事業11.0%、旅行事業8.3%、商社事業6.2%、その他1.6%です。航空事業の内訳は、国内線旅客46.0%、国際線旅客31.5%、貨物ほか22.4%です。

1952(昭和27)年に設立された日本ヘリコプター輸送が前身であり、東京-大阪間の貨物輸送を始めとして逐次営業路線を拡大しました。1986年、国際定期便の運航を開始しました。

2015年3月期の連結業績は、売上高が前期比9.1%増の1兆7135億円、営業利益が38.7%増の915億円となりました。国際線の収入が大きく増加し、各種コストも抑制して大幅な営業増益となりました

国際線旅客は、羽田空港の発着枠拡大に伴う増便で旅客数が増えたほか、需要に応じて柔軟に価格を設定するイールドマネジメントの効果などで旅客単価も上昇し18.5%の増収となりました。

国際線貨物は、北米向け自動車部品などの輸送量が増え19.1%の増収となりました。国内線旅客は、旅客数がやや増加し1.2%の増収でした。

利益面では、間接人員の抑制などコスト構造改革の効果もあり、連結全体で大幅な増益となりました。企業年金においては確定拠出年金を導入しています。

2016年3月期の連結業績見通しについてANAは、売上高1兆7900億円(前期比4.5%増)、営業利益1150億円(同25.6%増)を見込んでいます。足元では業績は好調となっています。

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ANAホールディングス株式会社第31回無担保社債の分析

高金利定期預金との比較

定期預金は4年ものが少なく、3年もの・5年ものが充実しています。現在の3年もの高金利定期預金は、全国的な銀行等では、SBJ銀行、尼崎信用金庫ウル虎支店が年0.45%です。

尼崎信用金庫ウル虎支店は兵庫県在住でなくても、満20歳以上で日本国内に住所があれば利用可能です。

大阪市近辺に在住または勤務している方ですと、大阪協栄信用組合で1000万円以上預け入れると年0.65%です。

現在の日本国債3年と4年の利回り差は、日本相互証券のデータで0.030%です。4年もの定期預金の高金利の基準値としては、0.48%(大阪在住だと0.68%)を想定できます。

今回のANA社債の利率は、仮条件の中央値はノーリスクの定期預金を下回っています。

定期預金との利回り格差を見て、デフォルトリスクを考慮すると利率は妥当かという観点で検討することになりますが、ノーリスクの定期預金と比べて魅力がない水準です。

過去のデフォルトの確率

ANAの発行体格付はJCRはA-(安定的)、R&IはBBB+(ポジティブ)です。ちなみにJCRはR&Iよりもワン・ノッチ格付けが高い傾向にあります。

JCRとR&Iの格付格差(レートスプレッド)は、社債購入前に要チェック!

JCRは2014年12月時点でANAホールディングスを以下の通りに評価しています。

国内大手航空 2 社の一角である全日本空輸を傘下に擁する持株会社である。主力の航空事業は国内線のシェアが高く、事業基盤が安定している。

また、国際線では世界最大の航空連合「スターアライアンス」や有力エアラインとの戦略的提携を活用して効率的なネットワークを構築している。

ANA HDは資金調達に加え、航空機などの主要資産を保有して経営資源を配分する機能を担っており、グループの一体性が強いことから当社の格付にはグループ全体の信用力を反映させている。

首都圏空港(羽田、成田)における発着枠の拡大により、国際線を中心に旅客数が増加している。また、B787 の運航機数増加に伴い、省燃費効果が発揮されるとともにネットワークの拡充にも寄与している。

コスト構造の改善に向けた様々な取り組みも継続されている。ただ、円安の進展によって燃油費などの営業費用が増加し、コスト削減策の効果が減殺されて利益の回復ペースが鈍化している。

財務面では、キャッシュフローの好転により当面は緩やかに改善が進むと見られる。2016年3 期以降も国際線の事業拡大を主因に業績の改善が続く見通しであるが、運航路線や機材の増加に伴いコストの上昇も想定される。

新たなコスト構造改革の実現によってさらに収益体質を強化できるか確認しながら格付に反映させていく。

財務の諸指標はおおむね良好な水準である。今後も機材更新などのために継続的な投資が見込まれるが、キャッシュフロー創出力の向上により財務健全性を維持できる見通しである。

R&Iは2014年12月時点でANAホールディングスを以下の通りに評価しています。

主力の国内線旅客事業は、需要が集中する羽田空港における強い基盤を背景に比較的高水準の利益を維持できている。

人口動態や新幹線の延伸などで国内需要の拡大は難しそうだが、大手2社による寡占、羽田空港への参入障壁の高さといった状況に変化はなく、収益基盤が揺らぐことは考えにくい。

国際線は規模が着々と拡大している。2014年3月末に羽田空港の国際線発着枠が大幅に拡大された際に供給力を大きく増やした。

航空会社間のアライアンスの積極活用などをテコに供給力にほぼ見合う需要を取り込めている。また、海外販売拡大で外貨建て収入が増え為替変動への抵抗力が高まっている。

機材更新など高水準の投資が恒常的に必要で、リース債務を含め有利子負債の負担は重くなりがちだ。

しかし、増資や各種資産の売却で債務の増加を抑制しており、債務とキャッシュフローとのバランスは改善傾向にある。増資や利益の蓄積で資本の厚みが増しており、財務耐久力も向上している。

供給力拡大が続く中、事業環境にややストレスがかかっても、一定水準以上の収益力・キャッシュフロー創出力を確保していけるようなら、引き続き財務基盤の強化も進むと予想され、格上げが視野に入ってこよう。

JCRのA格社債(4年)の平均累積デフォルト率(2000~2014年)は0.38%でした。R&IのBBB格社債(4年)の平均累積デフォルト率(1978~2013年)は0.77%でした。

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同じ格付の社債、店頭売買参考利回りとの比較

日本証券業協会のデータでは、JCRのA格社債(4年)の複利利回り平均値は0.301%です。R&IのBBB格社債(4年)の複利利回り平均値は0.455%です。

ANA社債の店頭売買参考統計値利回り平均(複利)は、残存期間約3年もの(2018/06/01償還)が0.303%でした。また、残存期間約11年4ヶ月もの(2026/09/18償還)が1.071でした。

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ANAホールディングスの財務状況

財務指標

自己資本比率は34.7%、時価ベースだと48.8%です。D/Eレシオ(有利子負債残高/自己資本)は1.0倍です。

債務償還年数(有利子負債/営業キャッシュ・フロー)は4.0年です。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(営業キャッシュ・フロー/利息の支払額) は14.7倍です。

社債及び借入金の内訳

2014年3月末のANAの短期借入金の平均利率は0.2%、1年内返済予定の長期借入金は1.4%、1年以内に返済予定のリース債務は1.5%です。

長期借入金の平均利率は2.1%で、返済期限は最長2028年です。長期リース債務の平均利率は1.2%で、返済期限は最長2024年です。

ANAホールディングスの社債の発行状況は以下のとおりです。

銘柄発行年月日発行総額(百万円)利率(%)社債残高(百万円)償還期限
第03回円建無担保普通社債1997年9月19日20,0003.2020,0002017年9月19日
第22回円建無担保普通社債2005年8月24日15,0001.9715,0002015年8月24日
第26回円建無担保普通社債2008年6月3日10,0002.4510,0002018年6月1日
第28回円建無担保普通社債2012年4月6日30,0001.0030,0002016年3月31日
第29回円建無担保普通社債2014年3月6日30,0001.2230,0002024年3月6日
第30回円建無担保普通社債2014年9月18日15,0001.2015,0002026年9月18日

ANAの社債の投資スタンス

金利は極限まで低下しており、大規模な金融緩和が続いていることから信用は緩みきっており、信用スプレッドが非常に小さい状況が続いています。

店頭売買参考統計値利回り平均と比較すると、特に問題ない水準の社債です。ANAと証券会社が個人投資家をカモにしているという利回りではありません。概ね妥当な水準です。

しかし、現在は空前の債券バブル(低金利)であり、5年という長い年限の債権を買うのが妥当な時期とは言えません。インフレ率を圧倒的に下回る金利となっています。

しかも1000万円までノーリスクの定期預金より実質的に低い水準で妙味が乏しいです。高金利定期預金の枠を使い果たしていない限りは、定期預金の方がいいでしょう。

また、個人向け国債(変動10年)の直近の利回り(0.28%)は、今回のANAの社債よりも若干低めですが、変動金利で金利が上昇した際は自動的に利回りが上がることから、極限の低金利の状況では個人向け国債(変動10年)の方がいいと考えます。

IPO・優良PO獲得のためのお付き合いで債券を購入しておきたい場合以外は、スルーでOKでしょう。

ANAホールディングス株式会社第31回無担保社債は、SMBC日興証券、野村證券、みずほ証券などで購入できます。

申し込みは100万円以上100万円単位です。デフォルトの可能性は極めて低いものの、0%ではありませんので、購入する場合はあくまで資産の一部を投資するのが無難です。

  • この記事を書いた人

まつのすけ

14年に渡ってクレカ・電子マネー等のキャッシュレス決済を探求。日本のキャッシュレス化に貢献することが目標です。55枚のクレジットカードを保有し、支払年会費の総額は113万円。実生活において徹底的に活用した経験を活かして、記事を執筆しております。

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