東邦瓦斯(東邦ガス)が個人向け社債を発行します。正式名称は「東邦瓦斯株式会社第39回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」です。
期間は5年であり、仮条件の利率は年0.1~0.5%です。募集期間は2014年8月27日(水)~9月8日(月)です。
社債間限定同順位特約とは、発行者が当該社債以外の社債に対して担保を設定する場合には、当該社債にも同等の担保を設定することです。これは付いていた方が安全な特約です。
東邦瓦斯は東海エリアの一般ガス企業です。名古屋の五摂家と呼ばれた中部圏財界の名門企業のうちの一社です。
東邦瓦斯(東邦ガス)の社債分析
高金利定期預金との比較
現在の5年もの高金利定期預金は、SBJ銀行が年0.55%です。大阪市近辺に在住または勤務している方ですと、大阪協栄信用組合で1000万円以上預け入れると年0.7%です。
今回の東邦瓦斯の個人向け社債の利率は、ノーリスクの定期預金の金利を下回っています。
定期預金や個人向け国債との利回り格差を見て、デフォルトリスクを考慮すると利率は妥当かという観点で検討することになりますが、ノーリスクの定期預金を下回っています。
過去のデフォルトの確率
格付(R&I)はAAです。
格付の方向性は「安定的」です。
R&IのAA格社債(5年)の累積デフォルト率(1978~2013年)は0.04%でした。
ちなみにJCRの東邦ガスに対する長期発行体格付(非依頼格付)はAA+pです。
同じ格付の社債、店頭売買参考利回りとの比較
日本証券業協会のデータでは、R&IのAA格社債(5年)の複利利回り平均値は0.281%です。
東邦瓦斯の社債の店頭売買参考統計値利回り平均(複利)は、残存期間約4年1ヶ月もの(2018/09/20償還)が0.225%、残存期間約7年7ヶ月もの(2022/03/18償還)が0.432%でした。
投資スタンス
信用スプレッドが非常に小さい状況が続いており、インフレ率を圧倒的に下回る金利となっています。妙味が乏しいです。
当面はIPO、立会外分売、クロス取引で安定的なリターンを獲得しつつ、金利の上昇を待つというストラテジーが有効だと考えます。
参考まだ安全資産は定期預金と国債だけなの?IPOチャレンジポイントで確実にS級IPOをゲットできる
また、個人向け国債変動10年の金利は0.34%です。外貨建て国債をほとんど発行していない日本政府の日本国債は、基本的にはインフレで解消できるので、デフォルトリスクはほとんどありません。
ただし、インフレの割には金利が低くて実質的には大損という事態はあります。
信用リスクが高い社債と信用リスクがほとんどない国債がほぼ同じ金利であれば、個人向け国債の方が望ましいです。
店頭証券から強い営業があってIPO・PO獲得の観点で引き受ける場合以外は、スルーでOKでしょう。
東邦瓦斯の個人向け社債は、SMBC日興証券、先日IPOの取り扱いを開始した安藤証券の店頭口座などで購入できます。