JCRとR&Iの格付格差(レートスプレッド)は、社債購入前に要チェック!

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格付格差(レートスプレッド)を見ると、社債・金融機関・保険会社・事業会社の格付について認識を深められます。格付格差とは、複数の格付会社の格付の差です。

社債を発行する企業が、低い格付を採用せずに、最も有利な格付会社の格付を利用することが、「格付ショッピング」と呼ばれています。この格付ショッピングをしているか否かは社債購入前にチェックした方がいいでしょう。

R&IとJCRの格付格差

JCRの方が1ノッチ近く甘い傾向

日本の格付会社にはR&IとJCRがあります。2社の格付格差は概ね0.8~0.9ノッチ程度で推移しています。JCRの方が1ノッチ近く甘い傾向があります。

面白いことにR&Iの方が高い格付を付与している場合はほとんどありません。大多数のJCRの格付は、R&Iと同じかR&Iより1~2ノッチ甘いです。

安全性を重視するならば、R&Iの格付を基準にした方が無難です。もしくは、JCRの格付は問答無用で1ノッチ低く解釈するのも手です。実際のJCRのA格の利回りはR&Iより高い傾向にあります。

A-とBBB+は天と地

A-とBBB+は1ノッチしか差がありませんが、取扱いには大きな違いがあります。

バーゼル規制では、A-のリスク・ウエイトはソブリン20%、それ以外50%ですが、BBB+のリスク・ウエイトは、ソブリン50%、それ以外100%です。また、保守的な投資主体は、投資対象はA格以上に限っているところも多いです。

同じ1ノッチの差でも、A+とA、A-とBBB+は雲泥の違いがあるのです。そこでJCRではA-であるものの、R&IはBBB+としている企業が多いです。

エルピーダメモリは、2012年2月27日に破綻しましたが、破綻時のJCRの格付はBBB-でした。JCRの投資適格級の有名企業が破綻した例として記憶に新しいです。

格付の注意点

格付は万能ではありません。格付には遅効性があります。格付についている方向性(アウトルック)を見ると今後の方向性をある程度は把握できますが、環境が激変している状況では、格下げが遅れがちです。

また、サブプライム関連の証券化商品のように市場リスクを適切に評価できていなかった場合がありました。今後も過去のデータがあまりない新種のタイプの商品への格付けは要注意でしょう。

一般事業会社への格付・社債の格付については、R&I、JCR、ムーディーズ、S&Pのいずれも美しく格付けが悪い程にデフォルト実績が高くなっており、格付は参考になります。

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