ANAがマイルで資産運用が可能な「マイル投資サービス」を開始しました。
おつり投資サービス「トラノコ」アプリでANAマイレージクラブのアカウントを登録すると、1カ月に1,000マイル→500円分として投資が可能となります。
メリットは小口のマイルでお手軽に投資が可能である点です。デメリットは1マイルの価値が0.5円になり、かつトラノコの利用に月300円・残高に対して0.3%の手数料が発生する点です。
ほぼ確実に収益を上げられて1ポイント1円で運用できるdポイント投資と比較すると、総合的には圧倒的に魅力がありません。
ポイント運用 by 楽天PointClub、セゾンカードの永久不滅ポイント投資、松井証券ポイント、マネーハッチと比較しても優位性はありません。
キャッシュアウトなしに資産運用を行いたい場合は、ポイント投資をおすすめします。
とはいえ、ANAマイルを使って資産運用を開始したいという方もいらっしゃるでしょう。
そこでANAマイル投資サービスについて、注意点を完全網羅してわかりやすく徹底的に解説します。
ANAマイル投資のスキーム
ANAマイル投資はdポイントや楽天ポイントとは異なり、専用サイトで直接交換する仕組みはありません。
おつり投資サービス「トラノコ」を通じて、ANAマイルを2対1(50%)の交換レートで投資に回すスキームとなっています。
したがって、トラノコの口座開設が必要となり、やや手間が発生するのがデメリットです。
ANAマイルで投資できるトラノコとは
トラノコは登録したクレカ・電子マネー・ネット通販でのお買い物の度に、設定した「おつり分」を5円から1円刻みで自動的に投資するサービスです。
家計簿アプリ(マネーフォワード/Zaim/マネーツリー)を利用している場合は、アカウント連携するのみで、カード等の登録も不要で便利です。
投資に回る「おつり」の金額は設定次第となっており、例えば320円のカフェのコーヒーの場合、100円単位設定であれば80円となります。500円、1000円単位での設定も可能です。
また、トラノコの提携ポイントなら、ポイントを現金化して簡単に投資が可能です。
ANAマイル以外にも、Gポイント、PointExchangeなど、トラノコの投資対象ポイントは複数あります。
更に、おつりやポイントだけでなく、ボーナスや一時収入があった場合などは、自由に投資金額を入力し、おつりに追加しての投資が可能です。
投資対象はリスク性向に合わせて、小トラ(安定重視)、中トラ(中間)、大トラ(収益重視)の3つのファンドから選択することになります。
リスク・リターンのバランスを選択するだけで、世界中の株式・債券・REITなどに5円から1円刻みで分散投資できるのが大きなメリットです。
3つのファンドはすべて、世界の中央銀行や年金基金などにモデルポートフォリオを提供してきた金融工学のプロが運用モデルを作成しています。
その他、nanaco・ANAマイル・dポイントのどれかが投資額に関わらず毎月貯まるサービスや、投資の回数等に応じて、100円以下相当のファンド口数をプレゼントするベネフィットもあります。
トラノコのデメリット
トラノコのデメリットは年0.3%の運用報酬と月額利用料300円のコストが発生する点です。利用開始3か月間は月額利用料は無料となります。
他のポイント投資サービスと比較しても、小口だと高コストとなります。年間の運用残高に応じた単純な手数料率は下表のとおりです。
運用残高 | 手数料 | 手数料率 | ||
---|---|---|---|---|
月額利用料率 | 運用報酬 | 合計 | ||
10,000 | 3,600 | 30 | 3,630 | 36.30% |
30,000 | 3,600 | 90 | 3,690 | 12.30% |
50,000 | 3,600 | 150 | 3,750 | 7.50% |
100,000 | 3,600 | 300 | 3,900 | 3.90% |
150,000 | 3,600 | 450 | 4,050 | 2.70% |
200,000 | 3,600 | 600 | 4,200 | 2.10% |
250,000 | 3,600 | 750 | 4,350 | 1.74% |
300,000 | 3,600 | 900 | 4,500 | 1.50% |
350,000 | 3,600 | 1,050 | 4,650 | 1.33% |
400,000 | 3,600 | 1,200 | 4,800 | 1.20% |
450,000 | 3,600 | 1,350 | 4,950 | 1.10% |
500,000 | 3,600 | 1,500 | 5,100 | 1.02% |
600,000 | 3,600 | 1,800 | 5,400 | 0.90% |
700,000 | 3,600 | 2,100 | 5,700 | 0.81% |
800,000 | 3,600 | 2,400 | 6,000 | 0.75% |
900,000 | 3,600 | 2,700 | 6,300 | 0.70% |
1,000,000 | 3,600 | 3,000 | 6,600 | 0.66% |
1,500,000 | 3,600 | 4,500 | 8,100 | 0.54% |
2,000,000 | 3,600 | 6,000 | 9,600 | 0.48% |
2,500,000 | 3,600 | 7,500 | 11,100 | 0.44% |
3,000,000 | 3,600 | 9,000 | 12,600 | 0.42% |
3,500,000 | 3,600 | 10,500 | 14,100 | 0.40% |
4,000,000 | 3,600 | 12,000 | 15,600 | 0.39% |
4,500,000 | 3,600 | 13,500 | 17,100 | 0.38% |
5,000,000 | 3,600 | 15,000 | 18,600 | 0.37% |
この他、監査費用等の手数料がMAX年0.1%、最終投資先のETF売買手数料等が年0.06~0.1%発生します。
小口で投資を行う場合は、手数料率が著しく高くなるのがデメリットです。
2018年11月時点では利用者を平均すると、毎月5,000円~8,000円を投資する方が多く、月間投資額に対する月額利用料率は約3.75%~6%程度と高率になっています。
概ね残高が50万円を超えないと、WealthNavi、THEO等のロボアドバイザーサービスと比較して高コストとなります。
マイルはやはり特典航空券かANA SKYコインがお得!
ANAマイル投資の致命的なデメリットは、1マイルの価値が0.5円になってしまう点です。2倍以上に増えてようやく1マイル1円に戻るだけとなります。
マイルは価値にレバレッジがかかるのが魅力的です。特典航空券へ交換すると、1ポイントの価値が数円に昇華します。
国内線特典航空券で利用すると1マイルの価値が1.5円~2円程度、国際線のビジネスクラスだと1マイル2.5~6円程度、ファーストクラスなら7~16円程度に跳ね上がります。
また、ANA航空券等の購入に自由に使えるANA SKY コインへの交換でも、1マイル1~1.7円になります。
- 1~9,999マイル→1~9,999コイン(1倍)
- 1万マイル→12,000コイン(1.2倍)※ブロンズ以上は1.3倍
- 2万マイル→26,000コイン(1.3倍)※ブロンズ以上は1.4倍
- 3万マイル→42,000コイン(1.4倍)※ブロンズ以上は1.5倍
- 4万マイル→60,000コイン(1.5倍)※ブロンズ以上は1.6倍
- 5万マイル→80,000コイン(1.6倍)※ブロンズ以上は1.7倍
マイルを国内線搭乗に使う場合は路線・時期によっては、ボーナスマイルなどを考慮すると特典航空券よりもANA SKYコインの方がお得になる場合があります。
また、ANA SKYコインはSFC修行に活用できるというメリットもあります。
やはりANAマイルは特典航空券、ANA SKYコインへの交換がお得です。
他にも、ANAマイルを1マイル1円単位で、ネット通販の「ANAショッピング A-style」で使えます。ANAオリジナルアロマ、ファーストクラス・ビジネスクラス搭載ワイン等が魅力的です。
小口ユーザーにとっても、ANAマイルは便利に1マイル1円相当で使えます。
トラノコでのANAマイル投資は1マイル0.5円で、2倍になってようやく1マイル1円に戻る計算となります。
国際分散投資で2倍になるのは良い時期に投資を開始しても数年という時間が必要です。
場合によっては10年・20年・30年かかるので、おすすめできない使い方となります。
ANAマイルを貯める場合は、ANAマイルが最強に貯まるクレジットカードの一角であるANAカードの活用がおすすめです。
ショッピングマイル、フライトボーナス、継続ボーナスなどで、陸でも空でもドンドンとANAマイルを貯められて、本気一本槍で新たな地平へフライトできます。
世代を超えて愛される傑出した航空系カード、マイルが貯まるクレジットカードであり、順風満帆・視界良好で新しい世界へ雄飛する機会を手に入れられます。
ANAカードの種類は数多く、ANA一般カード、ANAワイドカード、ANAワイドゴールドカード、ANAプラチナ プレミアムカードまで幅広いラインナップとなっています。
国際ブランドごとのANAカードの一覧は下表の通りです。
カード名 | 運営会社 | 国際ブランド | 独自機能 |
---|---|---|---|
ANA JCBカード ANA JCB ZERO | JCB | JCB | |
ANA To Me CARD PASMO JCB ソラチカゴールドカード | JCB、To Me CARD | PASMO メトロポイント | |
ANA VISAカード | 三井住友カード | Visa | |
ANA Mastercard | Mastercard | ||
ANA VISA Suicaカード | 三井住友カード ビューカード | Visa | Suica |
ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO マスターカード | 三井住友カード 東急カード | Mastercard | PASMO TOKYU POINT |
ANA VISA nimocaカード | 三井住友カード nimoca | Visa | nimoca |
ANAアメックス | アメックス | Amex | |
ANAダイナース | 三井住友トラストクラブ | Diners Club |
主な特徴
- 利用可能店舗が多い→ANA VISAカード、ANA Mastercard
- 手間はかかるがリボ活用で高還元→ソラチカカード、ソラチカゴールドカード
- 手間はかかるがリボ活用で高還元→ソラチカカード、ソラチカゴールドカード
- 一般/ワイドカードのマイル1%手数料が安価・ゴールド以上は保険が充実→ANA JCBカード
- 入会キャンペーンが豪華→ANAダイナースカード
- トラベル関連のベネフィットが充実→ANA アメックス
ワイドカード以上はSFCとしても活用できます。ANAアメックスは家族カードの範囲が広いので、同居していない既婚の子供などにも発行することが可能です。
これは他社ANAカードにはない利点であり、SFCの家族カード発行時に大きな効力を発揮します。家族がSFC修行なしでANA上級会員の資格を得られます。
ANAカードは入会キャンペーンがお得なのも利点です。
各ANAカードは以下で比較しています。
ANAカードの比較の結果として、グレードごとにおすすめANAカードを厳選した記事は以下になります。
以前ANAに取材して、ANAの安全運航に対する取り組み、搭乗までのサービス、ANAカードのお得な仕組みを伺いました。
なお、ANA一般カードのうち、三井住友カード、JCBが発行しているクレジットカードはリーズナブルな年会費で維持できます。
以下のANAカード7枚を保有すると、1マイル1円弱のコストで毎年7,000マイルを得られます!
マイ・ペイすリボに登録して年1回手数料を発生させれば、年会費がSuica・nimoca・TOKYU POINT ClubQは751円(税抜)、VISA、マスターは1,025円(税抜)まで下げられます。
ANA JCB一般カード・ソラチカはスマリボの活用で年会費負担は750円(税抜)に低下します。
これらのANA一般カードは毎年1,000マイルの継続ボーナスが1枚ごとにもらえるので、これだけで元は取れます。
多くのクレカを保有することに抵抗がなければ、7枚すべてを発行するのも手です。
7枚全て発行したら、1マイル1円弱のコストで毎年7,000マイルが手に入ります。1マイルの価値を2円以上と考えるならお得です。