外国債券、外貨建てMMFの税制変更まとめ!2016年から激変

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外国債券(海外債券)、外貨建てMMFの税制が、2016年以降は大きく変わり、2015年中に売買した方が戦慄的にお得な場合がありました。

外債・外貨建てMMFの2015年までの税制と2016年以降の税制についてまとめます。保有している方は必見です。

2015年前の外貨預金・外貨MMF・FXの税制は下表のとおりでした。

商品利金為替差損益
外貨預金源泉分離課税(20%)雑所得(雑所得内で損益通算)
外貨建てMMF源泉分離課税(20%)非課税
FX申告分離課税(20%)申告分離課税(20%)
※取引所の先物取引等と損益通算、3年間損失繰越可能
外債源泉分離課税(20%)利付債・割引債、償還・売却で異なる

2016年からは、「特定公社債等」(公社債・公社債投資信託など)の税率が大きく変更されます。ここに外債や外貨建てMMFも含まれます。

特定公社債等の具体的内容は下表のとおりです。

名称内容
特定公社債国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債
公募公社債投資信託等公募公社債投資信託、公募公社債等運用投資信託、公募社債的受益権

利金(利子・収益分配金)は、税率20.315%(復興特別所得税を含む)の申告分離課税、または源泉徴収で申告不要のいずれかを選択することになります。

利付債(デュアルカレンシー債・ディスカウント債含む)、外貨建てMMFの譲渡益・償還益(為替差益を含む)は、上場株式・株式投信と同じ取扱いとなります。2015年までは非課税だったのが、税率が一律20.315%の申告分離課税となります。

償還差益については、利付外債は2015年までは雑所得として総合課税されましたが、2016年からは申告分離課税(約20%)となります。

外貨建てMMFは売却益・償還差益(為替益含む)のいずれも、2015年までは非課税だったのが、2016年以降は約20%課税されることになります。外貨建てMMFの税制メリットは大きく減退しました。

譲渡損・償還損については、申告分離課税を選択した上場株式等と損益通算が可能になります。

損失が残る場合は、連年申告により翌年以後3年間損失を繰り越して、翌年以降に出た利益と相殺することが可能になります。

2015年までの利付外債は、満期まで持っていれば雑所得となり課税されますが、満期の数日前に売却すれば非課税でした。満期の数日前に売却して無税という裏技がありましたが、2016年以降はこの裏技が消滅します。

外債・外貨建てMMFに利益が大きく出ている場合は、2016年以降に売却すると税金が発生するので、2015年内の利益確定を検討し得ます。

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今後も保有を継続したい場合でも、一度利益確定して再購入したり、余力がある場合は売りと買いのタイミングを合わせるクロス取引を行うことも考えられます。

ただし、手数料や為替コストが余計にかかる場合もあるので、手数料と節税額を総合考慮することになります。

ゼロクーポン債も2016年以降は、売却益・償還差益のどちらも一律20.315%の申告分離課税となります。

2015年末までは譲渡益は譲渡所得となり、給与・事業所得等と合算する総合課税となります。

ただし、年50万円までの特別控除があるので、譲渡益が50万円以下なら税金は発生しません。50万円を超える場合は、債券の保有期間、他の所得によって税率が変わります。

  • 所有期間5年以下の場合:「所得の金額=利益-50万円」
  • 所有期間5年超の場合:「所得の金額=(利益-50万円)×1/2」

債券の保有期間が5年超で他の所得が少なく、所得税・住民税の合計の税率が低い場合は、2015年内の売却やクロス取引を検討し得ます。

ゼロクーポン債を2015年中に売却した方がいいのか否かは、利益・所得の金額、保有期間に左右されます。

最後に、2015年と2016年の税制の違いを表にまとめます。

商品名外貨建てMMF利付債ゼロクーポン債
利子2015年約20%の源泉分離課税約20%の源泉分離課税-
2016年約20%の申告分離課税約20%の申告分離課税-
売却益2015年非課税非課税譲渡所得として総合課税
(50万円の特別控除)
2016年約20%の申告分離課税約20%の申告分離課税約20%の申告分離課税
償還差益2015年非課税雑所得として総合課税雑所得として総合課税
2016年約20%の申告分離課税約20%の申告分離課税約20%の申告分離課税

公社債・公社債投資信託などは2016年1月から特定口座に入れられるようになり、株式・株式投信との損益通算が可能となります。

株式・投信で損失が出た場合、公社債・公社債投資信託(外債・外貨建てMMF含む)の利子や譲渡益と損失を合算させて、税金を圧縮することが可能となります。

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これまでは源泉分離課税で済んでいた債券の収益についても、2016年以降は確定申告が原則として必要になります。

給与等の支払い・年末調整が一箇所で収入金額が2,000万円以下の給与所得者は、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下の場合、確定申告は不要です。

給与所得者でない場合は、利益が住民税の非課税限度額以下であれば課税金額は0円となり、税金は発生しません。

住民税の非課税限度額は生活保護基準の級地に応じて自治体によって異なります。1級地は35万円、2級地は31万5,000円、3級地は28万円です。

確定申告をすると利益は所得となり、リタイアしている方や専業主婦(主夫)の場合は、国民健康保険料が上がったり、扶養控除の対象外となるリスクがあります。

証券会社に特定口座(源泉徴収あり)を開設すると、自動的に損益は通算されるので、確定申告が不要になります。

確定申告で不利益を被る場合は、特定口座(源泉徴収あり)を活用しましょう。

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