東芝が個人向け社債を発行します。正式名称は「株式会社東芝第60回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」です。
期間は4年であり、利率(仮条件)は年0.25%~0.55%です(年0.4%に決定)。 申し込み単位は50万円であり、募集期間は2014年7月14日(月)~7月24日(木)です。
社債間限定同順位特約とは、発行者が当該社債以外の社債に対して担保を設定する場合には、当該社債にも同等の担保を設定することです。これは付いていた方が安全な特約です。
高金利定期預金との比較
現在の3年もの高金利定期預金は、東京スター銀行の定期預金が年0.50%です。大阪市近辺に在住または勤務している方ですと、大阪協栄信用組合(1000万円以上)だと年0.65%です。
個人向け国債(変動10年)の金利は年0.4%です。
5年もの高金利定期預金は、SBJ銀行が年0.55%です。大阪市近辺に在住または勤務している方ですと、大阪協栄信用組合(1000万円以上)が年0.7%です。
今回の東芝の個人向け社債の利率の中央値は、ノーリスクの定期預金を下回っています。個人向け国債(変動10年)と同じです。
定期預金や個人向け国債との利回り格差を見て、デフォルトリスクを考慮すると利率は妥当かという観点で検討することになりますが、ノーリスクの定期預金を下回っています。
過去のデフォルトの確率
格付(取得予定)は、A-(R&I)です。
R&IのA格社債(4年)の累積デフォルト率(1978~2013年)は0.42%でした。
2006~2008コホートのA格社債(4年)の累積デフォルト率は、0.73%~0.99%です。
同じ格付の社債、店頭売買参考利回りとの比較
日本証券業協会のデータでは、R&IのA格社債(4年)の複利利回り平均値は0.37%です。
東芝の社債の店頭売買参考統計値利回り平均(複利)は、残存期間約3年11ヶ月もの(2018/05/30償還)が0.347%でした。
ちなみにソニーは残存期間約4年もの(2018/06/19償還)が0.657%でした。社債市場では東芝の方が高評価となっています。
投資スタンス
今回の東芝の個人向け社債は、1000万円までノーリスクの定期預金、個人向け国債(変動10年)と比較すると妙味がありません。空前の低金利の中でも、相対的な高金利銀行の方に妙味があります。
定期預金キャンペーンの金利比較!2014年パーフェクトマスター
金利は極限まで低下しており、下げる余地はほとんどありません。インフレ率も順調に上昇しており、個人向け国債(変動10年)の魅力が増しています。
最近の社債は妙味無しという結論がほとんどですが、2008~2009年頃は世界的金融危機の影響で信用スプレッドが大きく上乗せされていたので、移転前のブログでは同時期は買い推奨のオンパレードでした。
社債投資もタイミングが重要なのです。タイミングを考えたくないという場合は、個人向け国債(変動10年)か、利付国債10年のラダー型・ポートフォリオがおすすめです。
ラダー型ポートフォリオとは、短期債から長期債まで、残存期間の異なる債券に、ほぼ同額ずつ投資すること。
運用期間中に組入債券の償還を迎えると、それにより発生したキャッシュフローを再び長期債へ投資し、常に均等な組入比率が維持されます。
メリットは金利予測が不要である点、短期債も保有しているため流動性も富む点、常にその時点の長期債に再投資されるのでポートフォリオ全体の利回りも相対的に高くなる点があります。
デメリットは、債券相場が好調な際に運用に制約がつくため積極的に高いリターンを狙えなくなる点です。
ラダー型・ポートフォリオの場合、償還が来た国債を再投資する手間がかかるので、拘りがなければ金利上昇に半年ごとについていく個人向け国債(変動10年)でいいと思います。
東芝の個人向け社債は、野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興などで購入できます。