ソフトバンクが個人向け社債を発行します。正式名称は「ソフトバンク株式会社第46回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」です。
期間は5年であり、仮条件の利率は年0.95~1.55%です。利率は年1.26%に決まりました。募集期間は2014年8月29日(金)~9月11日(木)です。購入者にはプレゼントも予定されています。前回は「お父さん応援隊長トートバッグ」でした。
社債間限定同順位特約とは、発行者が当該社債以外の社債に対して担保を設定する場合には、当該社債にも同等の担保を設定することです。これは付いていた方が安全な特約です。
ソフトバンクは言わずと知れた通信ビッグ・スリーの一角です。先日、iPhone5Sの一括0円が復活しました。
最新のソフトバンクの個人向け社債については以下で解説しています。
ソフトバンクの個人向け社債分析
高金利定期預金との比較
現在の5年もの高金利定期預金は、SBJ銀行が年0.55%です。大阪市近辺に在住または勤務している方ですと、大阪協栄信用組合で1000万円以上預け入れると年0.7%です。
今回のソフトバンクの個人向け社債の利率は、ノーリスクの定期預金の金利を0.4~1%上回っています。
定期預金や個人向け国債との利回り格差を見て、デフォルトリスクを考慮すると利率は妥当かという観点で検討することになります。
過去のデフォルトの確率
格付(JCR)はA-(予定)です。発行体格付もA-であり、方向性は「安定的」です。JCRの格付けはR&Iと比較すると若干甘い傾向があります。
JCRのA格社債(5年)の累積デフォルト率(2000~2013年)は0.6%でした。
Moody’sの発行体格付はBa1、S&PはBB+です。
同じ格付の社債、店頭売買参考利回りとの比較
日本証券業協会のデータでは、JCRのA格社債(5年)の複利利回り平均値は0.727%です。
ソフトバンクの社債の店頭売買参考統計値利回り平均(複利)は、残存期間約4年9ヶ月もの(2019/5/30償還)が1.240%、残存期間約6年3ヶ月もの(2020/11/27償還)が1.404%でした。
投資スタンス
金利が極限まで低下しており、かつ信用スプレッドが非常に低い状況となっています。債券ストラテジストでは10年国債0.3~0.4%を予想していた人がいましたが、そのゾーンに近づきつつあります。
このタイミングでの長めの社債発行は非常に良いタイミングであり、さすがのソフトバンクです。抜け目がありません。
社債を購入する側としては、売買タイミングとしてはよくないと考えますが、信用スプレッドが乗っている社債はあまりない中で貴重な社債が出ました。
Tモバイル買収断念は現時点ではクレジット的には好材料ですけれども、5年間という歳月の間には孫正義大明神は何をやるか誰にもわかりません。いずれTモバイル買収に再度乗り出すことや、他国でM&Aをするという予測もあります。
2008~2009年に破綻も囁かれたソフトバンクが米国3位となりました。この5年間はアゲアゲでしたが、金融危機的な状況になると厳しいと有利子負債が膨大なソフトバンクには猛烈な逆風が吹きます。そのリスクは考慮して購入を検討するのが無難です。
ソフトバンクの個人向け社債は、野村・大和・SMBC日興・MUFJ・みずほ、SBI証券などで購入できます。