電力サービス「auでんき」が2016年4月1日から開始しました。auのケータイ・スマホ・iPhoneと電気のセット契約でお得になります。
電力自由化に伴い、新たに登場した電力契約です。上手く活用すると家計が頑健になります。auのスマホ購入と同時に契約するとお得になると考えます。
※ただし、2022年後半のように燃料費調整額が高騰している状況では、大手電力会社の従来型の「従量電灯」プランの方がお得になるケースがあります。
auでんきの内容、メリット、デメリットについてまとめます。
auでんきとは
「auでんき」の料金プランは、電気使用量等に応じて選べる「でんきMプラン」と「でんきLプラン」があります。
でんきMプランは一般家庭で広く利用されている従来の従量電灯プランと同等の料金プランです。料金は東京電力と基本的に同一となります。
東京電力の新電力プランとポイントサービスについては、以下で徹底解説しています。
でんきLプランは、電気を多く利用されている事務所や商店などで広く利用されている従来の従量電灯プランと同等の料金プランです。
一般家庭は「でんきMプラン」、事務所・商店・中小企業は「でんきLプラン」とシンプルで分かりやすい制度です。
でんきMプランの東京エリアの料金は、東京電力 従量電灯B相当となります。
区分 | 単位 | 料金単価 | |
---|---|---|---|
基本料金 | 10A | 1契約 | 260.00 (280.80) |
15A | 390.00 (421.20) | ||
20A | 520.00 (561.60) | ||
30A | 780.00 (842.40) | ||
40A | 1,040.00 (1,123.20) | ||
50A | 1,300.00 (1,404.00) | ||
60A | 1,560.00 (1,684.80) | ||
電力量料金 | 最初の120kWhまで | 1kWh | 17.99 (19.42) |
120kWh超過300kWhまで | 23.99 (25.90) | ||
300kWh超過分 | 27.71 (29.92) | ||
最低月額料金 | 1契約 | 213.75 (230.85) |
でんきLプランの東京エリアの料金は、東京電力 従量電灯C相当となります。
区分 | 単位 | 料金単価 | |
---|---|---|---|
基本料金 | 1kVA | 260.00 (280.80) | |
電力量料金 | 最初の120kWhまで | 1kWh | 17.99 (19.42) |
120kWh超過300kWhまで | 23.99 (25.90) | ||
300kWh超過分 | 27.71 (29.92) |
1月20日からauショップや公式サイトで受付を開始します。沖縄と一部離島を除いて4月1日よりサービスが始まります。検針票を持ってauショップに行けばOKです。
電力料金自体はこれまでと変わらず、安くなるわけではありません。料金面でのメリットは皆無の新電力サービスです。
auでんきセット割で最大5%還元
料金面ではauでんきはまったくメリットがありませんね。しかしながら、スマートフォン・携帯電話とのセット割引「auでんきセット割」があります。これがメリットがある仕組みとなっています。
auのiPhone・スマートフォン・ケータイと「auでんき」を両方利用すると、毎月の電気料金に応じて最大5%相当分が、au PAY プリペイドカードへチャージ (入金)されます。
au PAY プリペイドカードは1ポイント1円でMastercard加盟店にて利用できるので、ポイントは現金同様の価値があります。詳細は以下で徹底解説しています。
クレジットカードとプリペイドカードの相違点については、以下で精緻に分析しています。
2017年8月29日からは「auでんきポイントで割引」にバージョンアップして、au PAY プリペイドカードへのチャージではなく、Pontaポイントが貯まるようになりました。
既存のユーザーは2018年5月31日から「auでんきポイントで割引」に自動的に移行することになりました。
毎月のauでんき利用料金に応じた還元率は以下の通りです。
- ~4,999円:1%
- 5,000円~7,999円:3%
- 8,000円~:5%
auでんきの契約者だけではなく、同居の家族がau携帯電話を利用している場合も対象となります。au PAY プリペイドカードの契約はもちろん必要です。
注意点としては、ソフトバンクでんきとは異なり、固定回線(auひかり・au one net ADSL・ADSL one)とauでんきのセットでは、ポイント還元がないことです。
あくまでauの携帯電話とauでんきのセット割引が必要です。ポイント還元は当初2年間など期限はついていません。現時点では無期限です。
1年未満で解約すると2,000円の違約金が発生する点に留意が必要です。ただ、引越しで引越し先でもauでんきを継続して契約する場合は違約金は発生しません。
auでんきセット割のお得度の試算
KDDIは、「auでんきセット割」を適用した際にどの程度お得になるのかの試算を発表しています。
総務省統計局 家計調査 (家計収支編) 2014年の1世帯当たりの年間支出をもとに、関東エリアの平均電気料金が推計されています。
ここから燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金、消費税相当額を除いた対象金額 が算定され、auでんきセット割の還元額の目安が提示されています。
世帯人員 | 構成比 | 電気料金 (平均) | 還元額の目安 |
---|---|---|---|
1人 | 34.90% | 65,616円/年 (5,468円/月) | 1,319円 |
2人 | 26.30% | 115,896円/年 (9,658円/月) | 4,845円 |
3人 | 18.10% | 134,484円/年 (11,207円/月) | 6,312円 |
4人 | 14.20% | 143,280円/年 (11,940円/月) | 6,728円 |
5人~ | 6.50% | 168,924円/年 (14,077円/月) | 7,912円 |
構成比は平成22年 国勢調査 (都道府県、世帯人員別一般世帯数と世帯の種類別世帯人員) に基づいて関東エリアを出した数字です。
なんと最大派閥は世帯人員1人です。「数は力なり」という言葉がありますけれども、意外なことにお一人様が最大の勢力なんですね。
「You'll Never Walk Alone」という曲が思い浮かびました。日本でもFC東京のサポーターのテーマソングですね。
auでんきセット割でお得になる金額の例としては、単身世帯だと年1,319円、3人世帯だと年6,312円、5人世帯だと年7,912円という数字が出ています。
総務省統計局 家計調査(家計支出編)2014年の1世帯当たりの年間支出(関東エリア)を参考に、季節変動を加味した各月の「auでんきセット割」対象金額を類推したデータです。
なお、KDDIは『auでんきの電気料金をau PAY カードでお支払の場合にPontaポイントが付与されます。(2ポイント/200円)』とPRして、この分を加算した時の合計割引額 (年)を大きく見せています。
しかし、これは他のクレジットカードで決済した場合もそのクレカのポイントが付いてお得になるので、au PAY カードに固有の話ではありません。
au PAY カードは還元率1%ですので、より高還元なクレジットカードの方がお得になります。
ただし、au PAY カードはカード利用で貯まるのがPontaポイントです。ポイントをPontaポイントに集約できるというメリットは有ります。
au PAY カードはお得な入会キャンペーンも魅力的です。
au PAY カード、ゴールドカードは即時利用サービスも開始しており、より一層便利で使いやすくなっています。
au PAY ゴールドカードというゴールドカードも登場しました。au PAY カードのスペックに加えて、ゴールドカードならではの特典が付帯しています。
- au通信料とauひかりなどの固定回線が+10%還元
- au PAY 残高へのチャージが+1%還元
- au PAY マーケットで7%還元
- auでんき、都市ガス for auの支払いは+2.0%還元
- 海外アシスタンスサービス(ハローデスク)
- 宿泊予約サイト「Relux」の割引
- 空港ラウンジ無料サービス(国内主要空港+ハワイ)
- 充実の旅行傷害保険・ショッピング保険、レンタカー優待
auでんきアプリ
電気使用量や電気料金をスマートフォンやPCで確認できるアプリも登場します。「auでんきアプリ」という名前です。
その時点での電気使用状況から月末までの電気料金を予測したり、ビッグデータを活用した電気料金の予測機能も搭載します。
家電ごとの電気料金の推定割合や、省エネに役立つ情報も揃っています。
電気の使い過ぎ通知機能によって、予め設定した目標の電気料金を超過した場合や、超過すると予測された場合には、アプリにPush通知を送るように設定することも可能です。
auでんきへの乗り換えのチェックポイント
一般消費者の動向としては、電力会社選択時に重視するのは、料金の安さが第一となっています。次に料金メニュー・手続きのわかりやすさ、安心安全のイメージの企業が挙げられています。
顧客対応等のサービス品質、生活パターンに合った料金メニュー、契約期間の縛りがないことなども重視されています。
新電力に乗り換える際には、検針票を用意して希望する会社に申し込むだけでOKです。
現在の電力会社との解約手続き、スマートメーターの設置の手配など、必要な手続きはすべて自動的に行われます。
スマートメーターとは通信機能を備えていて遠隔で検針可能な電力量計です。30分単位で使用電力量を集計します。
家にスマートメーターがない場合は、新電力に申し込んだら無料で設置されます。「スマートメーターを有料で設置しないと電気が止まる」などの電話や飛び込み訪問があったら詐欺ですので注意しましょう。
申込時には、検針票に書かれた「供給地点特定番号」と「お客様番号」が必要となります。供給地点特定番号は2016年1月以降の検針票に記載されています。
2016年3月に乗り換えを効率的に進めるための「スイッチング支援システム」が稼働し、申し込みを受けた新電力がこのシステムに契約情報を登録すると、これまでの電力会社へ自動的に解約依頼が入るようになりました。
スマートメーターの設置が必要な場合は、申し込みの承諾から最短で約2週間程度、新電力が可動するまでかかります。設置済みの家庭は3日後からとなります。
これまでに作られている送電線・配電線を利用するので新しい電線は不要です。電力会社によって電気の質に差はありません。新電力が調達する電力も従来と同じ送配電網を使って届きます。
どの会社から購入しても家庭に届く電気の品質は同じなので、価格や特典、好みで比較すればOKです。「新電力だから停電しやすかったり暗いという事態はありません。
万が一、新電力会社が倒産したとしても、電気が止まることはありません。旧電力会社(東京電力など)の従量電灯プランが自動的に適用される決まりになっています。経過措置中に次の電力会社を決めることになります。
従来の料金プランは少なくとも2020年3月までは経過措置プランとして残されるので、新料金プランに変更したり、新電力に乗り換えなくても数年間はこれまでどおり利用可能です。
オール電化住宅の家庭は、従来からある専用プランが割安に設定されているため、従来の方が安いケースが多いです。これがauでんきのデメリットです。
新電力の契約時は以下の項目をチェックして、乗り換えた方がお得なのか否かを確認しましょう。
- 契約期間(1年か2年か)
- 中途解約の違約金がどの程度か(中途解約リスクをチェック)
- ライフスタイル(一日中まんべんなく使うか、夜の使用量が多いのか)
- 自宅の電気使用量(乗り換えたら従来より安くなるか否か)
- セット割・ポイントなど特典
留意点としては、新電力の多くは紙の請求書が有料化されており、無料で料金を確認できるのはインターネットの会員サイトのみの業者が多いです。
無料で発行するのはガス料金と併せて請求書に記載する東京ガスなどごく僅かです。
電気事業もクーリングオフの対象になったので、訪問販売・電話勧誘での申込みには、8日間のクーリングオフが適用されます。
ただし、店頭申込みやインターネット申込みなどで自発的に契約した時はクーリングオフが適用されません。
複数の電力会社を比較検討したいという場合は、比較サイトが便利です。現在の電気代やライフスタイルから、最適な電力会社がどこかを比較検討できます。
まとめ
「auでんき」の電気料金は東京電力の新プランと基本的には同一価格であり、さほどお得感はありません。
還元率は1%~5%であり、4人~5人家族などで5%還元を享受できる場合はお得になります。
東京電力は0.5%のポイント還元があります。VポイントかPontaポイントが貯まります。
auひかりは1%還元ですので、東電よりはお得となる可能性があります。ただし、東京電力は多様なプランがありますので、従量電灯プラン以外のライフスタイルに合ったプランの場合はそちらがお得になる場合があります。
総合的には、1~2人世帯の場合は、いちいち手間をかけて切り替えるメリットは大きくありません。しかし、副次的なお得さは生じ得ます。
現在も、auひかりとのセット割引であるauスマートバリューが適用されると、端末代金やキャッシュバックが優遇されることがあります。
auでんきの開始以降は、auの携帯電話の契約時にauでんきにも加入すると、割引・CBやその他サービスで優遇されることになる可能性があるでしょう。
auでんきはauの携帯電話の購入時に一緒に切り替えるという契約の仕方が、お得になる可能性が高いと考えます。
既にauと契約しているauユーザーの場合、auでんきはPontaポイントがザクザクと貯まるので、すぐに加入すると、着実に家計の助けになります。
auでんきのような良い新電力を使えば、長い目で見ると積り重なったリターンを得ることができます。空前の低金利の時代には、大きな魅力があります。
お得な生活を送れて、浮いた分を貯金したり他のことに使えるようになり、人生を豊かに彩ることができます。
auのライバルであるソフトバンクも「ソフトバンクひかり」を発表しています。こちらは2年間は割引があります。0.5%のVポイントも貯まります。
ソフトバンク光、東京電力以外では、東京ガスも電力自由化に伴って新プラン「ずっともプラン」を発表しています。
ENEOSも家庭向け電力に参入しました。ENEOSカード、ANAカード、ビューカード、エポスカード、エムアイカード、TS CUBIC CARD、レクサスカードで支払うと、ガソリン割引や、マイル・ポイントアップの特典があります。
apollostationの新電力「ドライバーズプラン」は、ハイオク・レギュラーは10円/リットル、軽油は5円/リットルの割引となるのがメリットです。
複数の電力会社を比較検討したいという場合は、比較サイトが便利です。現在の電気代やライフスタイルから、最適な電力会社がどこかを比較検討できます。