JAL(日本航空)という言わずと知れた航空会社があります。ANAと並ぶ日本の代表的なエアラインですね。
一度は破綻したものの、華麗に復活して再上場しました。個人投資家にも人気の銘柄となっています。
JALの株主優待で予約した場合も、問題なくサクララウンジ、ダイヤモンド・プレミアラウンジを利用可能です。
JAL(9201)の株価、株主優待、株式、優待の使い方について徹底的に解説します。ANAの株主優待とのお得度の比較についても分析します。
目次
JAL(日本航空)の株主優待
JALの株式を保有していると株主優待がもらえます。
50%割引券
JALグループの国内定期航空路線片道1区間が、株主割引券1枚で50%割引となります。搭乗日によって運賃額は異なりますね。
使い方は簡単です。株主割引航空券の購入時にスクラッチ部分を削って発券用コードを入力すればOKなので便利です。
搭乗日に空港に設置されている自動チェックイン・発券機にバーコードをかざす方法でもOKです。
ただし、持っていくのを忘れると悲劇となるので、ネットでの予約時に入力するのがベストです。
年によって「日本航空」と書かれている中央の横棒の背景色が変わっています。その他のデザインは同一です。
3月末と9月末で枚数が異なります。3月末の株主優待券の枚数は以下の通りです。
保有株式数 | 株主優待券の枚数 |
---|---|
100株以上 | 1枚 |
300株以上 | 2枚 |
500株以上 | 3枚 |
700株以上 | 4枚 |
900株以上 | 5枚 |
1,100株以上 | 5枚+1,000株超過分500株ごとに1枚増(年2回) |
100,000株以上 | 203枚+100,000株超過分1,000株ごとに1枚増(年2回) |
5月に届き、有効期間は6月1日~翌5月31日です。
9月末の株主優待券の枚数は以下の通りです。
保有株式数 | 株主優待券の枚数 |
---|---|
200株以上 | 1枚 |
400株以上 | 2枚 |
600株以上 | 3枚 |
800株以上 | 4枚 |
1,000株以上 | 5枚 |
1,100株以上 | 5枚+1,000株超過分500株ごとに1枚増(年2回) |
100,000株以上 | 203枚+100,000株超過分1,000株ごとに1枚増(年2回) |
11月に届き、有効期間は12月1日~翌11月30日です。
長期保有の優遇もあります。3年(7基準日)連続で同一株主番号で保有すると、各基準日ごとに株主割引券が追加贈呈されます。
保有株式数 | 株主優待券の追加枚数 |
---|---|
300株以上 | 1枚 |
1,000株以上 | 2枚 |
10,000株以上 | 3枚 |
効率的に株主優待を取得するには、3月末は100株、300株か1000株、9月末は400株か1000株が考えられます。
ただし、余力が余っている場合は一気呵成にJALの株主優待を取得するのも選択肢です。まとまった金額を一気に消化できて、郵便物が少なくて済むのが最大のメリットです。
JALの株主優待の有効期限は、3月末に取得した分は6月1日~翌5月31日、9月末の分は12月1日~翌11月30日です。
有効期間がたっぷりなのが嬉しいです。価格も先得割引よりも安い場合もあります。以下は左端が先得割引、右端が株主優待券利用時の価格です。
なかなか前もって予定を決められなかったり、ふと旅行に行きたくなった時に非常に使い勝手がいい優待です。
事前にファーストクラス、クラスJを予約することもできます。ファーストクラス・クラスJの料金には50%の割引は適用されません。
マイル積算率は、普通席:75%、クラスJ:85%、ファーストクラス:125%です。
予約期限は搭乗日の2ヶ月前の9時半から搭乗日の当日までとなります。予約の変更・取り消しは、搭乗便の出発時刻前までなら可能です。
払戻手数料は1枚(1区間)あたり430円です。取消手数料は便出発前は無料、出発後は1枚(1区間)ごとに所定の手数料が発生します。
株主優待を利用してJALをフライトする際には、JALカードで購入すると高還元でお得です。株主優待でのフライトもJALカード特約店となり、アドオンマイルがあるJALアメックスもあります。
サクララウンジを無料で利用する方法もあります。上手く活用すると旅行がはかどります。
法人ですとJALオンラインの活用を検討し得ます。クラスJ無料、サクララウンジ利用などのキャンペーンが魅力的です。
JALツアー商品の7%割引
株主割引券配布の対象となる株主に対して、海外・国内ツアー割引券も発行されます。インターネット、電話での予約に使えます。
「JALパック」ツアー、ジャルパック国内旅行商品に利用できます。ネットでの予約は「JALeトラベルプラザ」、電話予約は(株)ジャルパック株主優待ツアーデスクです。
区分 | 問い合わせ内容 | 電話番号 |
---|---|---|
国内 | 予約 | 050-3155-3345 |
ネットの操作 予約後の問合せ | 050-3155-3320 | |
海外 | 予約 | 050-3164-1154 |
ネットの操作 予約後の問合せ | 050-3164-1145 |
海外・国内ツアー各2枚となります。100株以上の場合は年1回(3月末)、200株以上の場合は年2回(3月末・9月末)の発行となります。
かつてはホテルJALシティ/ホテル日航の優待もありましたが、現在はオークラの傘下となっていることからホテルの宿泊・レストラン優待はありません。
株主特別企画として、国内線ファーストクラスで提供する茶菓子を要した「客室乗務員訓練施設見学会」、「JAL工場見学~SKY MUSEUM~」などのイベントが開催されることもあります。
JALの株主優待とANAの株主優待の比較!どっちがお得?
日本航空と並ぶ日本の代表的な航空会社は全日本空輸(ANA)ですね。ANAホールディングスも上場しており、JAL同様に株主優待を実施しています。
JALとANAのどちらの株主優待がお得であるかは重要な論点となっています。株主優待のサイズはJALの方が大きめです。JAL2枚がANA3枚弱となっています。
大手チケットショップのアクセスチケットの株主優待券買取表では、JALは1枚あたり3,100円、ANAは2,700円となっています。
2017年8月3日終値(JALは3,723円・ANAは409円)で計算すると下表のとおりです。
企業名 | 保有株数 | 必要金額 | 保有期間3年未満 | 3年以上長期保有 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
優待価値 | 利回り | 優待価値 | 利回り | |||
日本航空(JAL) | 100(3月末) | 372,300 | 3,100 | 0.83% | 3,100 | 0.83% |
300(3月末) | 1,116,900 | 6,200 | 0.56% | 9,300 | 0.83% | |
400(9月末) | 1,489,200 | 6,200 | 0.42% | 9,300 | 0.62% | |
全日空(ANA) | 1000 | 409,000 | 2,700 | 0.66% | 2,700 | 0.66% |
JALを3年以上長期保有している場合、3月末はJALの方が高利回りとなります。それ以外はANAの方が株主優待利回りは高いです。
企業名 | 確定日 | 保有株数 | 必要金額 | 保有期間3年未満 | 3年以上長期保有 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
優待価値 | 利回り | 優待価値 | 利回り | ||||
日本航空(JAL) | 3月末 | 100 | 372,300 | 3,100 | 0.83% | 3,100 | 0.83% |
300 | 1,116,900 | 6,200 | 0.56% | 9,300 | 0.83% | ||
500 | 1,861,500 | 9,300 | 0.50% | 12,400 | 0.67% | ||
700 | 2,606,100 | 12,400 | 0.48% | 15,500 | 0.59% | ||
900 | 3,350,700 | 15,500 | 0.46% | 18,600 | 0.56% | ||
1000 | 3,723,000 | 15,500 | 0.42% | 21,700 | 0.58% | ||
日本航空(JAL) | 9月末 | 200 | 744,600 | 3,100 | 0.42% | 3,100 | 0.42% |
400 | 1,489,200 | 6,200 | 0.42% | 9,300 | 0.62% | ||
600 | 2,233,800 | 9,300 | 0.42% | 12,400 | 0.56% | ||
800 | 2,978,400 | 12,400 | 0.42% | 15,500 | 0.52% | ||
1000 | 3,723,000 | 15,500 | 0.42% | 21,700 | 0.58% | ||
ANAホールディングス | 3・9月末 | 1000 | 409,000 | 2,700 | 0.66% | 2,700 | 0.66% |
2000 | 818,000 | 5,400 | 0.66% | 5,400 | 0.66% | ||
3000 | 1,227,000 | 8,100 | 0.66% | 8,100 | 0.66% | ||
4000 | 1,636,000 | 10,800 | 0.66% | 10,800 | 0.66% | ||
6000 | 2,454,000 | 13,500 | 0.55% | 13,500 | 0.55% | ||
8000 | 3,272,000 | 16,200 | 0.50% | 16,200 | 0.50% | ||
10000 | 4,090,000 | 18,900 | 0.46% | 18,900 | 0.46% |
JALは3月末は100株か300株(長期保有)、9月末は400株が効率的です。資金量が多い場合は、1000株までならお得です。
ANAは1000株~4000株は全て優待利回りは同一です。それ以降は金額が増えれば増えるほど利回りは悪化します。総合的には1万株までは十分にバリューが高いです。
国内線航空券50%OFFとは別についてくるおまけの優待冊子はANAの方が豪華です。JALはパックツアー7%OFFのみですが、ANAは色々と付帯しています。
- IHG ANAホテルズグループジャパン(インターコンチネンタル・ANAクラウンプラザホテル・ホリデイインANAホテル)の宿泊(ベストフレキシブル料金の20%割引)6枚、飲食(5~10%割引)5枚、婚礼(10%割引)1枚、会議・一般宴会(15%割引)3枚
- 「ハローツアー」(海外旅行)・「スカイホリデー」(国内旅行)7%割引券各2枚
- 空港売店(「ANA FESTA」他)10%割引券5枚
- 自社指定商品の優待価格販売
- ゴルフ場(「武蔵の杜カントリークラブ」)ビジター料金割引券4枚、ゴルフ場(「早来カントリー倶楽部」)ビジター料金割引券3枚
この中ではANA FESTAやANA DUTY FREE SHOPで使える10%OFF券が実用的です。ANAカードを持っていない場合は特に便利です。
ANAホテル20%割引はベストフレキシブルレートからの割引なので、時期によっては比較サイトのトリップアドバイザーの最安値よりも安いケースがあります。
IHG・ANAホテルズグループの株主優待ページで予約を行い、宿泊日に株主優待券を持って行くという流れになります。
JAL(日本航空)の株価
JALは言わずと知れた大手航空会社であり、国内外で輸送サービスを手掛けていますね。
国際線旅客は127路線、国際線旅客は54路線を運航し、56カ国・地域に乗り入れています(2017年3月現在)。
2021年3月期を最終年度とする4カ年の中期経営計画では、安全運航の堅持に加え、北米や東南アジア路線をを中心とした国際線ネットワークの充実に注力しています。
国内線も羽田や伊丹発着路線を中心に供給を増やすほか、部門別採算制度の展開によるコスト競争力の強化にも取り組んでいます。
2017年3月期の連結営業収益構成(内部取引含む)は、航空運送事業81%、その他(旅行の企画販売、クレジットカード事業など)19%です。
航空運送事業の内訳は、国際線旅客36%、国内線旅客43%、貨物ほか21%です。
1951(昭和26)年8月に日本航空(旧会社)が設立しました。
2002年10月、日本航空システムが、日本航空(JAL)と日本エアシステム(JAS)の株式移転により設立され、東京、大阪、名古屋の各証券取引所1部に上場しました。2004年6月に、日本航空システムが日本航空に商号変更しました。
2010年2月に会社更生手続きの申し立てに伴い、日本航空が上場廃止となりました。2012年9月に東証1部に再上場しました。
JALは皇族や首相が使用する政府専用機の整備委託先を長年務めていましたが、現在はANAが担当しています。
しかし、国民の多く、富裕層にもJALファンは多く、依然として日本を代表する航空会社であることに変わりありません。
売上高・利益
2018年3月期1Qの連結業績は、営業収益が前年同期比6%増の3148億円、営業利益が同12%増の247億円。国際線、国内線ともに旅客収入が増え業績が改善しました。
営業収益面では、国際線旅客は、座席間隔が広い「スカイスイート」の拡充に伴う供給座席数の減少で旅客数が減少しました。
他方、日本から欧米に向かうビジネス客など高単価旅客の取り込みで旅客単価が上昇し同6%の増収になりました。
国内線旅客は、同業との競争激化で旅客単価が低下しましたが、前年同期は熊本地震の影響で利用が落ち込んでいたことからの反動増などにより旅客数が増加し同6%の増収となりました。
利益面では、燃油価格の上昇に伴い燃油費が増えたほか、エンジンの整備費の増加があったものの、増収で補い連結全体で2桁営業増益を確保しました。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | EPS | 1株配当 | 配当性向 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2013/03(実) | 1,238,839 | 195,242 | 185,863 | 171,672 | 946.7 | 190.0 | 20% |
2014/03(実) | 1,309,343 | 166,792 | 157,634 | 166,251 | 916.9 | 160.0 | 17% |
2015/03(実) | 1,344,711 | 179,689 | 175,275 | 149,045 | 411.1 | 104.0 | 25% |
2016/03(実) | 1,336,661 | 209,192 | 209,219 | 174,468 | 481.3 | 120.0 | 25% |
2017/03(実) | 1,288,967 | 170,332 | 165,013 | 164,174 | 456.6 | 94.0 | 21% |
2018/03(予) | 1,348,000 | 153,000 | 146,000 | 108,000 | 305.5 | 96.0 | 31% |
キャッシュ・フロー
常に純利益を大きく上回る営業キャッシュを上げており、一般論としては安定感があります。かつてのJALとは異なり、キャッシュ・フローがしっかりしています。
決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | フリーCF |
---|---|---|---|---|
2013/03(実) | 264,853 | -264,436 | -60,643 | 417 |
2014/03(実) | 247,941 | -131,237 | -61,912 | 116,704 |
2015/03(実) | 261,139 | -230,559 | -67,323 | 30,580 |
2016/03(実) | 312,394 | -288,915 | -49,636 | 23,479 |
2017/03(実) | 253,153 | -168,077 | -53,531 | 85,076 |
利益率・CFマージン・ROE
利益率・ROE・キャッシュフロー・マージンのいずれも日本の大企業としては屈指の高い数字を叩き出しています。
最新のROEを分解すると純利益率11.08%、総資産回転率0.97倍、財務レバレッジ(総資産÷自己資本)1.90倍です。
財務レバレッジは低めで、資産から売上を作る回転率(資産効率)はやや高めで、売上から利益を作る利益率は高めです。
決算期 | 経常利益率 | 純利益率 | CFマージン | ROE |
---|---|---|---|---|
2013/03(実) | 15.0% | 13.9% | 21.4% | 36.0% |
2014/03(実) | 12.0% | 12.7% | 18.9% | 26.5% |
2015/03(実) | 13.0% | 11.1% | 19.4% | 20.3% |
2016/03(実) | 15.7% | 13.1% | 23.4% | 21.5% |
2017/03(実) | 12.8% | 12.7% | 19.6% | 18.1% |
2018/03(予) | 10.8% | 8.0% | - | - |
指標
JAL(日本航空)の株主優待利回りは、400株保有の場合で年0.83%(3年以上の長期保有は1.25%)です。1枚3,100円で計算しています。
予想配当利回りは2.58%(配当性向31%)であり、配当+優待利回りは年3.41%です。
PBR1.35倍、予想PER12.19倍、自己資本比率56.2%です。有利子負債は1042億円、現金等は1242億円、営業CFは2531億円です。
会社側は1Q決算発表時に、2018年3期通期の連結業績見通しを上方修正しました。
期初に発表した見通しと比較し、営業収益は90億円増額の1兆3480億円(前期比5%増)、営業利益は110億円増額の1530億円(+0同10%減)を予想しています。
燃油価格が想定ほど上昇していないこともあり、営業利益も引き上げました。ただし、前期との比較では、今年11月の新たな運航管理システム稼働費用の発生で営業減益の見通しです。
増配も発表して1株当たり年間配当金予想を期初の見通しから6円引き上げ96円(上期末、期末各48円)としており、前期との比較では年間2円の増配となっています。
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