株のPERの意味・使い方・留意点まとめ

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PER

株価が割高か割安かを判定する指標の一つに「PER」があります。最も代表的な株価指標の一つです。

PERの意味、使い方、留意点についてまとめます。

PERとは

PERとは、株価が1株あたり純利益(EPS)の何倍であるかを示す指標です。「株価収益率」とも呼ばれてます。

PERは、「PER = 株価 ÷ 1株当たり純利益(EPS)」で計算されます。例えば、株価750円、当期の予想1株当たり当期純利益が50円のA社であれば、PERは 750円÷50円で15倍となります。

実績の利益を使う場合は実績PER、予想の利益を使う場合は予想PERとなります。通常は予想を使用します。

PERが低い程に株価が割安で、逆に高ければ高い程に株価は割高とされます。日経平均などの株価指数のPERは14倍~18倍程度で推移する時期が多いです。

企業は利益を上げると配当するか内部留保にまわします。内部留保の分は純資産が増加するため、企業価値は上昇します。素直には株価上昇要因です。

PERは株価が純利益の何倍であるかですので、同じ純利益が続いたと仮定すると、純利益が何年分となるかを示します。例えばPER15倍だと利益15年分であり、大雑把には投資資金は15年で回収できるイメージです。

低PERの意味

PERは低いほどに割安ですが、単純にPERが低い銘柄を買えば儲かるとは限りません。PERが低い銘柄は以下のどれかの要素があることが多いです。

  • 投資家が不当に低く評価していて人気がない(業績のわりに株価が低い真の割安)
  • 今後の業績悪化や成長鈍化が織り込まれている。
  • 成長が止まっていて、配当や株主優待などの株主還元にも消極的
  • 景気の波が激しい業界に属しており、大幅に利益を落とすリスクが高い
  • 参入障壁が低く、競合大手が参入したら一気に駆逐される懸念がある
  • 財務状況が悪く、経営状況に変化があると一気に倒産危機に陥るリスクがある
  • 資産売却等の一時的な利益があるだけで、いずれ1株利益は低下する可能性が高い
  • 不景気や金融危機などで、株価市場全体が軟調で投資家のリスク許容度が低下して株式の売却圧力が強く、企業のファンダメンタルよりも株価が低い。

PER8倍の銘柄(株価4,000円÷1株利益500円)があったとして、割安感から購入したものの、業績が悪化して1株利益が半減して250円になり、PERが17倍に上昇といったことはよくあります。

また、景気や金融市場の市況などで業績が大きく変動するような業種や、将来の成長性に期待が持てない業種は、将来の業績の不確実性や期待値の低さから、PERは低くなりがちです。

いくらPERが低くても、株価が市場平均やその時々のホットな業種に比べてあまり上昇しないという状況は数多くあります。例えば商社や銀行株、中小住宅株などの地味な業種の銘柄などがあります。

何らかのカタリストが発生した場合は大きく割安修正が生じる可能性があるものの、低空飛行が続く場合もあります。

PERに着目して投資を行う場合は、将来の業績の見通し、投資家の認識の誤り、割安修正が起こるカタリストについて注視する必要があります。万年割安のまま放置される企業も数多くあります。

市場参加者が注目を集めるきっかけになるカタリストの見通しまでストーリーを描くことができるのが理想的です。

無難なのは、チャートで上昇トレンドに転換していることです。低PERで業績に問題がなく、かつ株価がするすると上昇を始めている場合は、割安修正が起こっている可能性があります。

「頭と尻尾はくれてやれ」は単純ですけれども非常に含蓄がある格言です。底値から+5%、+10%のところで買っても十分に間に合うことは多いです。

株価が下落していたり低迷している最中に買うのではなく、上昇トレンドになったような状況まで待ち、それから買っても遅くはありません。

気になる低PER銘柄がある場合、下降トレンドの時はしばらく様子見として継続ウォッチし、株価が上昇トレンドに転換したような動きになってから買うと大やられが少なくなります。

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高PERの意味

逆にPERが高い銘柄は以下のどれかの要素があることが多いです。

  • 業績のわりに株価が高くて割高である。
  • 今後の業績改善や高成長が織り込まれている。
  • 投資家の人気が集まっている

高い成長が続いていて利益の増加が大いに期待できる企業の中には、PERがかなり高い企業が数多くあります。例えば、わかりやすいところではFacebookやTwitter、エムスリーなどです。こうした成長性の高い企業はPERが40倍、50倍といった銘柄があります。

まだまだ割安と評価され、株価が上昇を続けることも珍しくありません。高PERという理由だけで却下すると機会損失が生じる場合があります。

ただし、高PER銘柄というのは将来への期待値が高い状況であることから、期待値が低下すると株価が大きく下落するリスクがあります。

また、人気が出て非常に割高な領域まで株価が上昇してしまい、高PERとなっている銘柄があります。こうした銘柄の場合は、人気に陰りが出ると株価が大きく下落する可能性があります。

最近では、ITバブルの頃のネット企業、2005~2006年前半の新興市場、2007年の中国株でバブル的な状況が発生しました。PERが50倍・100倍といった株価まで上昇した銘柄が数多く出ました。

現在はインバウンド関連が賑わっていますね。私もいくつか保有しています。しばらくはこの祭りは続くと推測されるものの、どこかで円安が反転したら強烈な調整となる可能性がある点は認識しています。

共立メンテナンスなどのインバウンド銘柄は、インバウンドの勢いに陰りが見え始めたことから2015年に利益確定しました。

高PERでも割高ではない銘柄

PERは高いものの、業績の伸びが続いていて株価もきれいな上昇トレンドを描いている銘柄は魅力的です。

ではPERは高くても成長性を加味すると割高ではない銘柄はどう探せばいいのかにおいては、定性的な判断に加えて、指標の一つとして「PEGレシオ」に着目しましょう。

PEGレシオとは、直近の予想PERを今後数年間(3年程度を用いることが多い)の予想成長率で割った指標です。

例えば、PER15倍の銘柄の予想成長率が15%ならばPEGレシオは1倍、PER15倍の銘柄の予想成長率が30%ならばPEGレシオは0.5倍となります。

PEGレシオは低ければ低い程に良く、高ければ高いほど悪いです。PEGレシオが低い銘柄というのは、成長性のわりには株価が安い銘柄です。

もちろん予想成長率を正確に予想するのは難しいことですけれども、会社四季報やIR情報等を参考にPEGレシオを出して他社と比較してみると面白いです。

例えばPER30倍の銘柄があったとしましょう。一般論としてはPERが高くて割高と評されるところですけれども、この銘柄が30%の成長が続くと仮定すると、1年後は利益が30%伸びることでPERは23.1倍になります。2年後はPER17.8倍、3年後はPER13.7倍となります。

この場合は成長性を考慮すると割高ではないという例です。現在はPERが同一だとしても、成長性が高い銘柄の方が将来的な魅力は高いです。例えばPER15倍で成長率2%の銘柄とPER30倍で成長率30%の銘柄は将来を踏まえると、実はPER30倍の方がいい場合があります。

PER成長率1年後PER2年後PER3年後PER
12.50%12.512.512.5
152%14.714.414.1
3030%23.117.813.7
5050%33.322.214.8
100100%50.025.012.5

視点を変えると、とある銘柄が1株利益が100円としましょう。PER15倍(株価1,500円)の場合、5年間の利益は100+102+104+106+108で合計約520と見込まれており、株価は5年分の利益の約2.9倍となっています。

PER30倍(株価3,000円)の場合、5年間の利益は100+130+169+220+286で合計904と見込まれています。株価は5年分の利益の約3.3倍であり、大差ない状況と評価できます。

PER30倍でも年率30%成長が期待できるならば割高ではありません。FacebookやエムスリーはPERがかなり高いままに上昇を続けています。

しかし、PER30倍で年率3%成長なら割高となります。魅力的な株主優待を行っているなどの余程の事情がない限りは却下すべき高PER銘柄となります。

2016年にはLINEが上場します。想定価格は高いPERとなっています。これはLINEの成長性を評価しての数字です。LINEのIPOについては、以下で徹底解説しています。

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PERの意味・使い方まとめ

株価は「株価=1株利益×PER」と表現できます。株価は利益がどのくらいか(1株利益)と、投資家の評価が高いか否か(PER)で決まります。

株価が上がるか否かは、利益が上がるか否か、投資家の評価が改善するか否かで決まることになりますね。

少し視点を変えると、「株価=1株利益÷投資家の要求利回り」と表現できます。例えば、1株利益が100円で、投資家がこの銘柄に投資する場合はこのくらいの利回りが必要という要求利回りが5%の銘柄ですと、株価は100÷5%=2,000円となります。PERは2,000÷100=20倍となります。

1株利益が100円で要求利回りが10%の銘柄ですと、株価は100÷10%=1,000円となります。PERは1,000÷100=10倍となります。

つまり、投資家の要求利回りが高い銘柄は低PERとなり、要求利回りが低い銘柄は高PERとなります。「要求利回り=リスクフリーレート(国債利回り)+リスクプレミアム」と表現できます。

したがって、余談ですが、金利が上がると要求利回りも上がり、PERが低下する要因となります。株価には悪影響です。逆に金利が下がると要求利回りも下がり、PERが上昇する要因となります。株価には高影響です。

低PERの銘柄は業績悪化懸念や不人気、株価市場や経済全体の影響などの理由から、投資家の要求利回りが高くなっています。

リーマンショック後のような金融危機においては、財務状況が悪い企業や小型株は叩き売られます。PER3倍とか5倍のような銘柄がゴロゴロしていました。これは投資家が恐怖におののいてリスクプレミアムを過剰に見積もっていた結果でした。こういう場合は低PER銘柄を積極的に拾っていくのが手です。

2008年10月にはソフトバンクの株価は636円まで下落しました。大型株でも時としてPERと株価が暴落することがあります。ここらへんで拾って現在まで保有していたら10倍以上になりました。テンバガーですね。

最後にまとめると、PERに着目する場合は、とにかく低いPERの企業を買うだけではなく、PERが低い理由を検討して、投資家の認識が誤っている真の割安株なのか、それともファンダメンタルに問題があるのかを検討するのが重要です。

真のバリュー銘柄は買いを検討しえます。理想的には割安修正が起こるカタリストが起きるシナリオまでを見通せるのが理想的です。

将来の業績悪化や成長鈍化を株価が先取りして低PERとなっている銘柄は避けるべきであり、下落トレンドが終焉して将来の回復を株価が織り込んで上昇を始めるか、何らかのカタリストが起こって株価が上昇した初動まで待つのが無難です。

高PERの銘柄は成長性や株主優待等の株主還元策に鑑みて、高PERが許容できるか否かをチェックしましょう。

PERと並ぶ株式の代表的指標であるPBR、ROEについては以下にまとめています。

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