長らくデフレ脱却を国を挙げて目指しているものの、なかなかインフレ率が上がらず低位安定しています。
日本は低インフレの体質が根強く、ヤマト運輸の値上げが大ニュースになる程となっています。値上げは日常茶飯事の国も多いですね。
そうした情勢下でも、値上げが非常に上手い企業、クレジットカードがあります。アメリカン・エキスプレス・カードです。
アメックス・ゴールド、アメックス・プラチナなどで値上げが繰り返されていますが、改悪ではなく改善という色彩が強化されています。
アメリカン・エキスプレス・カードの値上げが上手いのは、必ず特典の拡充とセットになっていることです。
直近ではアメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードが、2017年2月21日引き落とし分から、年会費が5,000円(税抜)の値上げとなりました。
26,000円→31,000円で+19.2%です。約2割という大胆な値上げでした。
しかし、値上げと同時にベネフィットが大幅に拡充して頑健になりました。以下の特典が新たに加わりました。
- 東京・新宿・博多駅からの手荷物無料宅配サービス(当日)
- ビジネス・ダイニング・コレクション by グルメクーポン(コース料理1名分無料サービス)※2021年4月から
- ビジネスカード会員限定イベント(取引先などの同伴者の参加が可)
- アメリカン・エキスプレス JALオンライン(サクララウンジのクーポン等の特典あり)
- 国内航空機遅延費用
- 手荷物無料宅配サービスに羽田空港が追加、出発時も可能に
年会費のアップは痛いところですけれども、5,000円(税抜)でこれだけの特典が付帯するのであれば、改悪ではなく改善というニュアンスが出てきます。
東京・新宿・博多駅からホテルへの手荷物宅配サービス(当日)は、クレジットカードの特典としてはアメックス・ビジネス・ゴールドのみのユニークなサービスとなっています。
「アメリカン・エキスプレス JALオンライン」(JAL国内線出張手配サイト)を利用できるのもメリットです。
JALオンラインは、契約した法人の経営者・従業員が、24時間365日いつでもどこでも国内線の予約、発券が可能な法人向けのインターネット予約サービスです。
導入費・使用料・年会費などは一切かかりません。完全無料なのでメリットしかない制度です。
JALオンラインでクラスJを予約して新規に発券すると、クラスJ料金(1,000円)が無料となるキャンペーンを定期的に開催しています。
新規入会や一定の搭乗実績を積むことで、サクララウンジが利用できるキャンペーンも開催されています。
しかも個人でJALを普通に予約するのと同様に、先得割引・特便割引も利用できます。法人に限定されて、個人事業主は申し込めないのがデメリットですが、卓越したバリューがあります。
以前に個人用のアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードが値上げした際には、コース料理1名無料分サービスの追加、家族カードが1名無料というベネフィットが付帯しました。
それまではアメックス・プラチナのみだった「プリファードゴルフ」も利用できるようになりました(現在は終了)。
ただし、2019年6月30日(日)をもって新規登録受付が終了。登録済みの方は2020年6月30日(火)まで利用可能でした。
プリファードゴルフは世界70カ所以上の提携ホテルで2連泊すると、ゴルフのプレー料金が無料になるサービスでした。
26,000円→29,000円と3,000円(税抜)の年会費アップで、+11.5%の値上げとなりましたけれども、特典の追加があるのでむしろ魅力がアップした色彩が濃厚でした。
米国では2017年に「Platinum Card® from American Express」が年会費を値上げしました。
450 USドルから550 USドルへと+22.2%となりましたが、より一層スペックも頑健化しました。
- 金属製カードの導入(メタルカード)
- Uberで使えるクレジット年間200ドル & Uber VIPステータスの付与
- 5Xメンバーシップ・リワード(航空会社やアメリカン・エキスプレス・トラベルでの直接予約でポイント5倍)
- 無料でアメックス・ゴールドを追加可能
- グローバルで空港ラウンジの拡大
- 新しいグローバル・ダイニング・コレクションへのアクセス
- グローバルイベントの拡充
Uberなどの新しい便利なサービスへの対応はナイスですね。とりわけ魅力的なのは金属製のメタルカードの導入です。
カードの質感は抜群に良好であり、高級感に溢れています。驚異のスケール感があり、まさにプラチナ・カードという様相を呈しています。
私自身、金属製のラグジュアリーカードを愛用していますが、上質感が半端ではなく、一度これを使うと、プラスチック製のクレジットカードは安っぽくて使う気が失せる程のクオリティです。
ロレックスを一度はめると、素材が安い時計は使う気にならなくなるのと似ています。
日本のアメックス・プラチナにも導入されると魅力が格段に向上するのでぜひお願いしたいと考えていましたが、2018年に具現化しました!
わが国のアメリカン・エキスプレス・プラチナ・カードは、数年前に10万円から13万円への値上げがありました。
+30%という強烈なGU(ギャップアップ)ですけれども、ベネフィットの拡充もまたGUだったので、これまた良い値上げでした。
- ホテルメンバーシップ(SPG等の上級会員資格の付与)、
- キャセイパシフィックのマルコポーロクラブ ゴールド会員の資格付与(サクララウンジが利用可能)※現在は終了
- フリー・ステイ・ギフト(ザ・プリンス 箱根芦ノ湖、ホテルオークラ東京ベイ等に年1回無料宿泊)
- 国内リゾートアクセス(星野リゾートの対象旅館の宿泊料金が1名分無料、その後は夕朝食が無料になり、2017年6月末に終了予定)
値上げする際には単純な価格UPではなく、必ず特典の拡充とセットにするのがポイントですね。これはあらゆるビジネスに応用できるストラテジーでしょう。
アメックスは今後も値上げが定期的に行われるでしょうけれども、その度に特典の拡充とセットなので、どのようなサービス導入があるのか楽しみですらあります。
アメリカン・エキスプレス・カードは多種多様なクレジットカードを発行しています。その中で特におすすめのカードについて、以下で徹底的に解説しています。