ANA、JALの国際線に搭乗する場合は、有償・特典航空券のどちらも、燃油サーチャージが必要になります。
海外旅行の際にサーチャージが過去と比較してどの水準か気になる方もいらっしゃるでしょう。そこで2015年12月~2024年3月の推移を解説します。
目次
ANA燃油サーチャージの推移
ANAサーチャージの推移(単位:円)は下表のとおりです(1人1区間片道あたりの日本発着区間設定額、往復金額は表の2倍)。
発券時期 | 欧州 北米 中東 オセアニア | ハワイ インド インドネシア | タイ シンガポール マレーシア等 | グアム ベトナム フィリピン | 中国 香港 マカオ 台湾 | 韓国 ウラジオストク |
---|---|---|---|---|---|---|
2015年12月~2016年3月 | 7,000 | 4,000 | 3,000 | 2,000 | 1,500 | 300 |
2016年4月~2017年1月 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2017年2月~2017年3月 | 3,500 | 2,000 | 1,500 | 1,000 | 500 | 200 |
2017年4月~2017年7月 | 7,000 | 4,000 | 3,000 | 2,000 | 1,500 | 300 |
2017年8月~2017年11月 | 3,500 | 2,000 | 1,500 | 1,000 | 500 | 200 |
2017年12月~2018年1月 | 7,000 | 4,000 | 3,000 | 2,000 | 1,500 | 300 |
2018年2月~2018年7月 | 10,500 | 6,000 | 4,500 | 3,000 | 2,500 | 500 |
2018年8月~2019年1月 | 14,000 | 8,500 | 6,500 | 4,000 | 3,500 | 1,000 |
2019年2月~2019年3月 | 17,500 | 11,000 | 8,500 | 5,000 | 4,500 | 1,500 |
2019年4月~2019年5月 | 7,000 | 4,000 | 3,000 | 2,000 | 1,500 | 300 |
2019年6月~2019年7月 | 10,500 | 6,000 | 4,500 | 3,000 | 2,500 | 500 |
2019年8月~2019年9月 | 14,000 | 8,500 | 6,500 | 4,000 | 3,500 | 1,000 |
2019年10月~2020年5月 | 10,500 | 6,000 | 4,500 | 3,000 | 2,500 | 500 |
2020年6月~2021年5月 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2021年6月~2021年9月 | 7,700 | 4,400 | 3,300 | 2,200 | 1,700 | 400 |
2021年10月~2022年1月 | 11,600 | 6,600 | 5,000 | 3,300 | 2,800 | 600 |
2022年2月~2022年3月 | 19,300 | 12,100 | 9,400 | 5,500 | 5,000 | 1,700 |
2022年4月~2022年5月 | 19,900 | 12,500 | 9,700 | 5,700 | 5,200 | 1,800 |
2022年6月~2022年7月 | 37,400 | 23,800 | 20,400 | 12,500 | 11,400 | 4,100 |
2022年8月~9月 | 49,000 | 31,100 | 25,800 | 16,000 | 15,100 | 5,600 |
2022年10月~11月 | 58,000 | 36,700 | 30,000 | 18,700 | 18,000 | 6,700 |
2022年12月~2023年3月 | 49,000 | 31,100 | 25,800 | 16,000 | 15,100 | 5,600 |
2023年4月~5月 | 33,000 | 21,000 | 18,000 | 11,000 | 10,000 | 3,500 |
2023年6月~7月 | 29,000 | 18,500 | 15,500 | 9,500 | 8,500 | 3,000 |
2023年8月~9月 | 25,000 | 16,000 | 13,000 | 8,000 | 7,000 | 2,500 |
2023年10月~11月 | 29,000 | 18,500 | 15,500 | 9,500 | 8,500 | 3,000 |
2023年12月~2024年1月 | 41,000 | 26,500 | 21,500 | 14,500 | 11,500 | 5,000 |
2024年2月~3月 | 38,000 | 24,500 | 20,000 | 13,500 | 11,000 | 4,500 |
2024年4月~5月 | 33,000 | 21,000 | 18,000 | 11,000 | 10,000 | 3,500 |
2024年6月~11月 | 35,000 | 22,500 | 18,500 | 12,000 | 10,500 | 4,000 |
2024年12月~2025年1月 | 25,000 | 16,000 | 13,000 | 8,000 | 7,000 | 2,500 |
2025年2月~3月 | 29,000 | 18,500 | 15,500 | 9,500 | 8,500 | 3,000 |
2024年12月からは値下げとなりましたが、依然として高水準です。
JAL燃油サーチャージの推移
JALサーチャージの推移(単位:円)は下表のとおりです(1人1区間片道あたりの日本発着区間設定額、往復金額は表の2倍)。
発券時期 | 欧州 北米 中東 オセアニア | ハワイ インド インドネシア スリランカ | タイ シンガポール マレーシア等 | グアム パラオ ベトナム フィリピン等 | 中国 香港 マカオ 台湾 | 韓国 極東ロシア |
---|---|---|---|---|---|---|
2015年12月~2016年3月 | 7,000 | 4,000 | 3,000 | 2,000 | 1,500 | 300 |
2016年4月~2017年1月 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2017年2月~2017年3月 | 3,500 | 2,000 | 1,500 | 1,000 | 500 | 200 |
2017年4月~2017年7月 | 7,000 | 4,000 | 3,000 | 2,000 | 1,500 | 300 |
2017年8月~2017年11月 | 3,500 | 2,000 | 1,500 | 1,000 | 500 | 200 |
2017年12月~2018年1月 | 7,000 | 4,000 | 3,000 | 2,000 | 1,500 | 300 |
2018年2月~2018年7月 | 10,500 | 6,000 | 4,500 | 3,000 | 2,500 | 500 |
2018年8月~2019年1月 | 14,000 | 8,500 | 6,500 | 4,000 | 3,500 | 1,000 |
2019年2月~2019年3月 | 17,500 | 11,000 | 8,500 | 5,000 | 4,500 | 1,500 |
2019年4月~2019年5月 | 7,000 | 4,000 | 3,000 | 2,000 | 1,500 | 300 |
2019年6月~2019年7月 | 10,500 | 6,000 | 4,500 | 3,000 | 2,500 | 500 |
2019年8月~2019年9月 | 14,000 | 8,500 | 6,500 | 4,000 | 3,500 | 1,000 |
2019年10月~2020年5月 | 10,500 | 6,000 | 4,500 | 3,000 | 2,500 | 500 |
2020年6月~2021年5月 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2021年6月~2021年9月 | 7,700 | 4,400 | 3,300 | 2,200 | 1,700 | 400 |
2021年10月~2022年1月 | 11,600 | 6,600 | 5,000 | 3,300 | 2,800 | 600 |
2022年2月~2022年3月 | 17,500 | 11,000 | 8,500 | 5,000 | 4,500 | 1,500 |
2022年4月~2022年5月 | 20,200 | 12,700 | 9,800 | 5,800 | 5,200 | 1,800 |
2022年6月~2022年7月 | 36,800 | 23,600 | 19,600 | 12,700 | 9,900 | 4,100 |
2022年8月~9月 | 47,000 | 30,500 | 24,700 | 17,800 | 11,400 | 5,900 |
2022年10月~11月 | 57,200 | 37,400 | 29,800 | 22,900 | 12,900 | 7,700 |
2022年12月~2023年3月 | 47,000 | 30,500 | 24,700 | 17,800 | 11,400 | 5,900 |
2023年4月~5月 | 36,800 | 23,600 | 19,600 | 12,700 | 8,800 | 4,100 |
2023年6月~7月 | 33,400 | 21,300 | 17,900 | 11,000 | 8,400 | 3,500 |
2023年8月~9月 | 28,800 | 18,400 | 15,000 | 9,200 | 7,100 | 2,900 |
2023年10月~11月 | 33,400 | 21,300 | 17,900 | 11,000 | 8,400 | 3,500 |
2023年12月~2024年1月 | 47,000 | 30,500 | 24,700 | 17,800 | 11,400 | 5,900 |
2024年2月~3月 | 43,600 | 28,200 | 23,000 | 16,100 | 10,300 | 5,300 |
2024年4月~5月 | 33,000 | 21,000 | 18,000 | 11,000 | 8,500 | 3,500 |
2024年6月~11月 | 35,000 | 22,500 | 18,500 | 12,000 | 9,200 | 4,000 |
2024年12月~2025年1月 | 25,000 | 16,000 | 13,000 | 8,000 | 6,200 | 2,500 |
2025年2月~3月 | 29,000 | 18,500 | 15,500 | 9,500 | 7,400 | 3,000 |
2025年2月からは値下げとなり、依然として2022年5月迄と比較すると高水準です。
サーチャージの仕組み
飛行機はフライトに燃料が必要であり、燃油価格が高騰した際には航空会社がすべて負担するのはしんどいので、ユーザーに一部を転嫁しています。
このコストが燃油サーチャージで、原油価格が上がるほど、飛行距離が長いほど上昇します。ガソリン代が高い時は車の運転コストが高くなるのと似ています。
正確には、航空燃油(シンガポールケロシン)の各日のスポット価格の2カ月平均に、同じ2カ月の為替レート平均で円換算した価格によって適用額を確定し、2カ月間固定されます(詳細)。
原油価格が安い時期はサーチャージが0円となり、追加の上乗せはないのが原則です。ただし、そのような際は航空券本体の価格が微妙に上昇することがあります。
燃油サーチャージをまとめると以下のとおりです。
- 原油価格により0円~数万円の範囲で変動(時期による)
- 飛行距離により変動(原油サーチャージ発生時は長距離便ほど高額)
今後の見込み
シンガポールケロシンの価格が上昇すればサーチャージが上がり、円安になると上がります。
直近の動きを観察すると、次回のサーチャージ変動を一定程度予測することが可能です。
シンガポールケロシンの価格チャート
米ドル円(USD/JPY)のチャート
サーチャージを無料にする方法
原油価格の高騰や円安の影響によって、サーチャージは上昇しています。特に長距離路線だと著しく高額になっており、侮れない出費になってしまいます。
2022年10~11月は過去最高額を突破し、2023年も高止まりしています。しかし、サーチャージは無料にすることも可能です。
燃油サーチャージを回避する方法についてブレイク・ダウンします。
有償の航空券はサーチャージが不要なLCCも選択肢
ハワイ、オセアニア、欧州、北米、南米、中東など長距離路線は、大きなサーチャージ負担が生じます。
そこで有償の航空券でフライトする場合、サーチャージというコストがないLCCを利用するのが、有力な選択肢となります。
例えば、日本航空グループのLCC「ZIP AIR」は、JALとは異なりサーチャージが不要。また、シンガポール航空グループのLCCである「スクート航空」もサーチャージが要りません。
ZIP AIRはJALグループの真骨頂を発揮しており、日本人のフライトが多い地域に就航しているため、日本に住んでいる人にとって使いやすいエアラインです。
主な路線
- ソウル
- バンコク
- シンガポール
- ホノルル
- ロサンゼルス
成田⇔ロサンゼルスなどの長距離路線だと、なんとANAやJALのサーチャージ料金より、運賃+諸経費のトータルコストが安い日もあるほどです。
ただし、あくまでLCCですので、食事・事前の座席指定・手荷物預託など、レガシーキャリアでは無料の項目が有料となる点に注意しましょう。
なお、ZIP AIRはフルフラットのビジネスクラスもあり、片道10万円以下という料金の日も存在しています。
JALマイルからZIP AIRポイントに移行して、航空料金に充当することも可能です。
サーチャージが高騰している状況では、ANA・JALのエコノミークラスよりも、ZIP AIRのビジネスクラスの方が低価格で、快適なフライトが可能な便もあります。
ロサンゼルス・ホノルル・シンガポール・バンコクなどフライト時間が長めで、特に横になって寝たい時間帯のフライトの場合、フルフラットのLCCのビジネスクラスも、有効なストラテジーです。
マイルの特典航空券はサーチャージ不要の航空会社を選択
国際線の特典航空券で航空マイルを使いたいという方は多いでしょう。私もその一人です。
しかし、サーチャージの高騰によってフライト本体は無料になっても、付随費用が跳ね上がってしまいました。
マイルの特典航空券では、ANA・JAL便以外のサーチャージを徴収しない航空会社のフライトを選択すれば、サーチャージを回避できます。
例えば、東京⇔シンガポール路線では、ANAマイルでシンガポール航空の直行便も利用可能です。
シンガポール航空のフライトの場合、東京⇔シンガポール往復の諸経費は約1万円弱であり、サーチャージは0円です。
このように、ANAマイルの特典航空券でサーチャージを無料にする方法としては、サーチャージ不要の航空会社を選ぶのが有力な選択肢です。
ただし、ANA便以外は「スターアライアンス特典航空券」などになり、ANA便より必要マイル数が上がるケースもあります。
サーチャージが無料になっても、必要マイルが高い場合は、特に短距離路線などでは損してしまうケースもあるので、総合的な比較がおすすめです。
サーチャージ不要になる代表的なエアラインは、下表のとおりです。
ANAマイル | シンガポール航空、日本発着以外のユナイテッド航空、エアカナダ、ニュージーランド航空、スカンジナビア航空、アビアンカ航空、エチオピア航空など |
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JALマイル | アメリカン航空、ハワイアン航空、マレーシア航空、大韓航空、カタール航空、エミレーツ航空、エアーフランス、アラスカ航空、フィンエアーなど |
サーチャージ禁止国発の海外発券を利用
ANAやJAL便の場合、発着国がサーチャージ禁止国だと無料になります。
一部の国では消費者保護などの趣旨で、燃油サーチャージ禁止もしくは一定額以内というルールがあります。
アジア・オセアニア地域では、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド等が対象です。
これらの国を出発地とする航空券を購入する「海外発券」の場合、サーチャージを回避するか抑制することが可能です。
ANAやJAL便の特典航空券でも、サーチャージ禁止国を出発国にすると、サーチャージが0円になります。
例えばニューヨークに行く場合、シンガポール→日本→ニューヨークとすればサーチャージが0円!
とはいえシンガポールにわざわざ行くのは面倒なので、シンガポール行きの便はZIP AIR等で抑えて、シンガポールは単体で旅行にするという方法もあります。
そして、例えば2週間後に日本→ニューヨーク→日本とフライトします。
さらに後日、日本→シンガポールとフライトし、最後のシンガポール→日本も別途予約するいったルートも選択肢です。
普通に日本→ニューヨークだと発生するサーチャージ料金で、LCCにて日本⇔シンガポールを往復し、シンガポール旅行を2回前後に間を空けて行うといったことが可能になります。
ANAマイルはストップオーバーが往路か復路で1回は可能であり、JALマイルは提携航空会社特典航空券なら3回まで可能です。
日本の近くの国で最も低コストなのは、マニラ発券となっています。
例えばANAマイルのANA便や、JALマイルのJAL便で日本⇔米国本土をフライトする場合、マニラ⇔日本⇔米国本土の方が圧倒的に諸費用を抑えられます。
最初にマニラに行くためのフライト、最後のマニラから帰ってくるフライトは別途用意する必要がありますが、サーチャージ0円のアライアンスのマイルを使う等の方策でカバー可能です。
サーチャージ高騰で、マニラ→日本→米国本土が話題ですね。日本発だと11万が1万円等に。オーバーストップ利用でフィリピン旅行を追加可能。最初の日本→マニラ、最後のマニラ→日本を別途用意ですが、アビアンカ航空だとANAビジネスが22,500マイル+僅か。しかも超とりやすい!https://t.co/lcmDjZn4HR pic.twitter.com/R3PSw4mtcu
— まつのすけ (@matsunosuke_jp) February 7, 2023
サーチャージ不要の航空マイルを貯める
外資系エアラインはマイルの特典航空券でサーチャージ不要の航空会社があります。
代表例
- スターアライアンス:ユナイテッド航空(日本発着以外)、シンガポール航空、アビアンカ航空
- ワンワールド:アメリカン航空、アラスカ航空、マレーシア航空
- スカイチーム:デルタ航空、大韓航空、ガルーダ・インドネシア航空
外資系エアラインのマイルを貯めるという選択肢もあります。
ただし、予告なしの改悪が当たり前、必要マイル数がANAやJALマイルより多いといったデメリットもあるので、本格的に貯める前に自然体で使えそうか確認しましょう。



Marriott Bonvoy アメックスプレミアムは数多くの航空マイルに1%~1.25%で移行可能
マリオットボンヴォイアメックスプレミアムは、カードショッピングのマイル還元率が1%~1.25%で、約40もの航空マイルに移行できるのが大きなメリットです。
必要に応じてマリオットポイントを各マイルに移行すれば、サーチャージの変動、マイレージチャートの改悪など、多様な変化に対応できます。

