アトラのIPOの初値予想

アトラ（6029）のIPOが決定しています。ブック・ビルディング期間は11月28日（金）～12月4日（木）です。

新規上場する市場は東証マザーズで、想定価格は690円（1単元6.9万円）です。仮条件は690円～740円と上振れました。

アトラは、「世界中の人を健康にしたい」という企業理念のもと、鍼灸接骨院の支援事業を展開しています。アルファベットの「Artra」は、技「Art」、伝統技術「Traditional」、魅力のある集合体「Attractive」を合わせて名づけられました。

監査法人はトーマツです。所在地は大阪府大阪市西区立売堀4丁目6番9号です。京セラドーム大阪の近くです。

アトラのIPO

アトラとは

アトラは、日本の伝統・日本独特の術である柔道整復術を利用する鍼灸接骨院業界においてコンプライアンス経営を徹底し、人々が健康を享受し得るインフラとなるべく、事業を推進しています。

具体的には、ほねつぎチェーンをはじめとする鍼灸接骨院の開業支援及び開業後の運営指導を行っています。

また、アトラが開発したシステムであるA-COMS(エーコムス)やA-COMS Basic(A-COMSの簡易版)を活用したIT支援として、院内管理システムの提供、鍼灸接骨院の口コミ/予約システムであるHONEY-STYLEの運営、療養費請求代行サービスの提供や機材・消耗品等の販売を行うECサイトの運営など、幅広く鍼灸接骨院の事業を支援しています。

ほねつぎチェーン

アトラは、鍼灸接骨院をほねつぎというブランドでチェーン展開し、開業支援及び開業後の運営指導を行っています。

鍼灸接骨院業界未経験の異業種の方々でも鍼灸接骨院を開業し、運営できるよう、ハード面だけではなく、ソフト面も含めた開業に必要なノウハウをすべて盛り込んだパッケージ商品として提供しています。

ハード面では、院のデザイン及び設営、機材の調達等をサポートしています。ソフト面では、開業前にオーナー研修を実施し、院長、柔道整復師、はり師・きゅう師、助手、受付スタッフといった院の運営に携わる人員の採用をサポートし、研修を実施しています。

さらに、開業後も院の運営及び管理に関するきめ細やかな指導を行っています。また、後述するHONEY-STYLE及びアトラ請求サービスもパッケージに含め提供しています。

東北・関東・中部・近畿・中国・四国・吸収・沖縄に41院があります。

HONEY-STYLE

アトラは、鍼灸接骨院の口コミ/予約システムであるHONEY-STYLEを運営しています。情報誌も発行して、HONEY-STYLE利用院へ配布しています。また、HONEY-STYLE会員(平成26年9月末時点で157,344名)に対しメールマガジンを送信し、情報の提供を行っています。

利用院は、HONEY-STYLEより美容や健康をテーマにした自費施術メニュー及び利用院で販売している健康関連商品の仕入ができます。

会員は、HONEY-STYLEより利用院である鍼灸接骨院における施術の予約をすることができます。また、会員は利用院である鍼灸接骨院において、HONEY-STYLEで紹介している自費施術メニューの施術を受けたり健康関連商品を購入することができ、商品購入時等にポイントが付与されます。

利用院は、HONEY-STYLEのデータを活用することで、会員管理を効率化できるだけではなく、HONEY-STYLEで紹介している自費施術メニューや健康関連商品の販売をとおして、過度に療養費に依存しない収益構造を構築することができます。

また、会員が利用したポイントの1.2倍のポイントを、利用院がアトラから健康関連商品の仕入を行う際に利用できる仕組みとなっています。

ほねつぎアカデミー

アトラは、ほねつぎアカデミーのサイト名でポータルサイトの企画・運営を行っており、柔道整復師、はり師・きゅう師のために役立つ情報を情報誌・WEB・メールマガジンを通じて発信しています。

また、手あてに関するセミナー、院経営に関する公開セミナー及びWEBセミナーを開催しています。

アトラ請求サービス

鍼灸院・接骨院及びマッサージ院にとって、保険者(国・各社健康保険組合など)に対する療養費請求代行に係る事務負担は大きなものとなっています。

アトラの療養費請求代行サービスであるアトラ請求サービスでは、鍼灸院・接骨院及びマッサージ院の事務負担を軽減し、施術に専念できる環境を提供しています。アトラ請求サービス会員には、A-COMSやその簡易版であるA-COMS Basicを提供しています。

その他、エリアフランチャイズ本部事業、機材・消耗品販売、鍼灸接骨院経営コンサルティングなどを行っています。

今後の取組方針

鍼灸接骨院業界が抱える課題は、療養費に依存した売上構成、高齢者に偏った顧客・利用者層、業務効率化の遅れ、療養費入金までの資金繰りなど、多岐にわたります。

アトラは、A-COMSを基盤とする当社のITシステムを最大限に活用した鍼灸接骨院の運営支援に取り組む方針です。

今後、さらなるほねつぎチェーン加盟院及びHONEY-STYLE利用院増加に努め、療養費早期資金化サービスの導入により、アトラ請求サービスの既存会員に対するサービス内容の拡充及び新規会員の獲得を図り、鍼灸接骨院業界の活性化に取り組んでいく方針です。

従業員数は65名、平均年齢は33.4歳、平均勤続年数は2.1年、平均給与は379.1万円です。

業績推移

業績面では、売上高は美しい右肩上がりです。経常利益・純利益は長らく赤字が続いていましたが、前期に黒字転換しました。今期は第3四半期時点では黒字を確保していますが、減益となりそうです。

2014年9月期(2014年12月期第3四半期)の自己資本利益率(ROE)は43.3%、自己資本比率は6.4％です。営業キャッシュフローは純利益を大きく上回っています。一般論としては安定感があります。

市場トレンド

市況面では、上場直前3ヶ月間のインデックスが上昇トレンドの状況だと初値リターンが高い傾向となっています。

東証マザーズ指数はまだ年初来高値は更新していませんが、10月半ば以降は右肩上がりです。

（※マネックス証券より）

上場規模

アトラのIPOの規模は最大で約6.3億円と小型です。小型であればある程、初値リターンは良い傾向があります。

公開比率は最大で約35％とやや高めです。公開比率が低ければ低いほど、初値リターンが高い傾向があります。

一般社団法人みどり会、久世博之、塩中一成、片田徹、田中克典、柚木孝夫には原則として90日間のロックアップがかかっています。ロックアップは1.5倍で解除されます。

筆頭株主の状況は以下の通りです。

まとめ

高齢化社会の中では、「健康」には一定のテーマ性があります。ヘルスケアREITは高騰し、病院におしぼりをレンタルするエランも高騰しました。アトラもニッチで特色のある企業であり、話題性はあります。

市況面ではバズーカ2後の揉みあいを経て12月に向けて再上昇するような気配も漂っています。

絶好調の市況面と小型の上場規模を考慮して、初値予想はプラスリターンです。

主幹事は野村證券です。その他はSMBC日興証券、エース証券、SBI証券、SMBCフレンド、みずほ証券、マネックス証券で申し込めます。

＜投資スタンス＞
やや強気
（※強気・やや強気・中立・やや弱気・弱気の5段階）

※過去1年間のIPO初値予想の履歴