「ろうきん」について教えてほしいというコメントを頂きました。普通の銀行とは異なり、あまりなじみがない金融機関ですね。
ろうきんは個人にとってメリットが大きく、メイン口座として利用を検討しうる金融機関です。地域ごとに設置されており、代表的なのは関東1都7県を営業エリアにしている中央労働金庫(中央ろうきん)です。
ろうきん(労働金庫)のメリット、デメリット、使い方についてまとめます。
ろうきん(労働金庫)とは
ろうきんは、労働組合や生協などで働いている人々がお互いを助け合うために資金を出し合って作ったのが源流である協同組織の金融機関です。漢字で書くと「労金」です。
ろうきんは企業向けの融資はほとんど行ってなく、大多数が個人向けなのが特徴です。一例として、中央ろうきん(中央労働金庫)の融資は99%が個人向けです。
全国に13の「ろうきん」があり、それらの中央機関として「全国労働金庫協会」があります。
エリア | 名前 |
---|---|
北海道 | 北海道ろうきん |
青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県 | 東北ろうきん |
茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県 | 中央ろうきん |
新潟県 | 新潟ろうきん |
長野県 | 長野ろうきん |
静岡県 | 静岡ろうきん |
富山県・石川県・福井県 | 北陸ろうきん |
愛知県・岐阜県・三重県 | 東海ろうきん |
滋賀県・奈良県・京都府・大阪府・和歌山県・兵庫県 | 近畿ろうきん |
鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県 | 中国ろうきん |
徳島県・香川県・愛媛県・高知県 | 四国ろうきん |
福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県 | 九州ろうきん |
沖縄県 | 沖縄ろうきん |
各ろうきんがカバーしているエリアに在住または勤務している方なら、原則として誰でも利用できます。トレーダー、個人事業主、専業主婦(主夫)などでも口座を開設できます。
預金のみの利用か、小口ローンの利用の場合は、無条件で利用できます。
それ以外の取引をする場合は、労働組合か生協の組合員だとそれで加入できます。それ以外の方でも、JAとは異なり、出資しなくても「中央ろうきん友の会」に加入すればOKです。入会金・年会費は無料で一切費用はかかりません。
出資金(最低1,000円)を出して個人会員として加入することもできます。中央ろうきんの場合、出資配当率は10年以上3%が続いています。
現在の金利情勢からはかなりの高金利ですね。優先株のようなイメージで出資するという選択肢もあります。ただし、万が一の破綻時には戻ってきませんし、利回りはもちろん保証されていません。
労働組合や生協の組合員だと一部のローンサービスで金利が優遇されますが、それ以外は誰でも同じように使えます。
以下は代表として中央ろうきんについて述べます。ろうきんによってサービス内容が微妙に異なっている可能性があります。
中央ろうきんのR&Iの格付はAであり、方向性は「安定的」です。銀行と同様に預金保険制度の対象なので、1000万円までの預金はノーリスクです。
ATMの入出金手数料が無料!ゆうちょ・コンビニも
中央ろうきんのキャッシュカードはろうきんのATMのみならず、提携銀行・ゆうちょ銀行・コンビニでも使えます。
ろうきんのATMでは入金・出金ともにATM手数料無料です。
ろうきん以外のATMで入金できるのは、ゆうちょ銀行・セブン銀行のATMです。入金手数料は無料となっています。
出金は、ゆうちょ銀行・セブン銀行に加えて、イオン銀行、MICS加盟金融機関のATMでも可能です。
ATM出金手数料も回数無制限で無料です。利用明細やATMの画面には手数料が表示されますが、口座へ手数料相当額が即時にキャッシュバックされます。
労働金庫のATMは多くありませんが、セブン銀行(セブン-イレブン・イトーヨーカドー等)、ゆうちょ銀行(郵便局・一部ファミリーマート)、イオン銀行(イオン・マックスバリュ等)のATMも無料で使えるので利便性が高いです。
メイン口座として日常の生活に使うことも十分に可能です。時間外や休日のATM手数料は月3回とか5回まで無料という銀行は多いです。
しかし、今月は何回かをいちいち覚えておくのは面倒です。いくらATMの利用控えに無料回数が載っていたとしても、控えをお財布に入れておくのは、財布が膨らんでしまうので煩わしいです。
ATMの入出金手数料が無制限で無料なのは正義です。これは大きなメリットですね!
銀行名 | 入金(ATM) | 出金(ATM) |
---|---|---|
ろうきん | 無料 | 無料 |
ゆうちょ銀行 | 無料 | 無料 |
セブン銀行 | 無料 | 無料 |
イオン銀行 | × | 無料 |
MICS加盟金融機関 | 無料 |
中央労働金庫以外では、SBI新生銀行もセブン銀行等で無制限でATM手数料が無料です。auユーザーですとauじぶん銀行も無料です。
振込手数料が月3回無料
中央労働金庫で給与振込または年金受取があると、インターネット/モバイルバンキング(ろうきんダイレクト)での振込手数料が、月3回までキャッシュバックされます。
労働金庫のシステムで「給与」または「年金」と判定可能な場合が対象です。普通の給与振込ならばまず問題ないでしょう。
振り込み手数料が無料となるのは個人が対象で、法人は対象外です。
キャッシュバックの時期は、1ヶ月分をまとめて、翌月20日(休日の場合は前営業日)です。普通預金口座に入金されます。
給与振込か年金の受取が必要という条件はありますが、月3回まで振込手数料を無料にすることが可能です。
住信SBIネット銀行の振込手数料の回数が改悪されたこともあり、振り込みの機会が多い場合は、振込手数料無料の回数を増やしておきたいところです。
![](http://i0.wp.com/matsunosuke.jp/wp-content/uploads/2023/04/c8909e5b26b3ace376342a81877f1d34.png?resize=150%2C150&ssl=1)
中央労働金庫以外では、楽天銀行も給与・年金の受取りで他行振込手数料が3回無料になります。使わなかった無料回数は2回まで繰り越して、最大5回まで保有することができます。
![](http://i0.wp.com/matsunosuke.jp/wp-content/uploads/2015/05/fb7b6629b60502900ca674d67458cb17-1.jpg?resize=150%2C150&ssl=1)
メインバンクとして給与振込口座に指定したら便利です。ただし、無料となるのはネットバンキングであり、ATMや窓口での振込は有料となります。
ローンが低金利
労金の融資は対個人がメインなので、個人向けローンが充実しています。多種多様なローンが用意されています。
主な種類
- カードローン
- 住宅ローン
- リフォームローン
- 有担保フリーローン(不動産担保型)
- カーライフローン
- 教育ローン
- フリーローン
- 福祉ローン
- 自治体提携融資制度・利子補給制度
- NPO事業サポートローン(NPO法人専用)
カードローンは極めて低金利なのが大きなメリットです。中央ろうきんの場合、年3.875%~8.475%です。
特筆すべきなのは最高でも年8.475%である点です。小口のローンの金利が極めて優遇されています。これは労働金庫らしい金利設定です。
100万円以下の金額のカードローンの場合、一般の銀行のカードローン(12.5%~15%)と比較すると極めて低金利です。それ以上でも労金は、ごく一部の高所得者を除くと、低金利でお得な傾向があります。
銀行名 | カードローン金利 | 保証会社 |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 年1.8%~14.6% | アコム |
三井住友銀行 | 年1.5%~14.5% | SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス) |
みずほ銀行 | 年1.5%~14.0% | オリコ |
住信SBIネット銀行 | 年1.59%~14.79% | オリックス |
楽天銀行 | 年1.9%~14.5% | 楽天カード・セディナ |
POで資産額以上に配分された場合や、多数の企業の権利確定日があり、かつ証券会社からの入金依頼がある3月末・9月末など、資金繰りが厳しい時期のファイナンスに活用することが検討できます。
もちろん信用情報機関に借入れ履歴が登録されてしまうというデメリットがありますので、就職活動や転職活動前や、住宅ローンを組む可能性がある際には留意が必要です。
単なる消費のためのカードローンは支払利息が膨らんで自転車操業に陥るリスクが高いため、余程の切羽詰った特殊事情がない限りは断固として慎みましょう。
その他、福祉ローン(介護や入院費用、育児関連費用)も年2.575%~3.3%(保証料込)と低金利です。
また、「自治体提携融資制度・利子補給制度」もあります。ろうきんと地方自治体が提携して、居住・通勤している勤労者に対して、特別に低利なローンや利子補給がある制度です。
利子補給とは、ローン返済の支払利息のうち、一定分を地方自治体が利用者に代わって負担または補助してくれる制度です。
例えば東京都では、以下の自治体提携融資制度が用意されています。中央労働金庫で申し込めます。
融資制度/利子補給制度 | 制度名称/ 利子補給対象融資 | 使い道 |
---|---|---|
自治体提携(住宅) | 東京都個人住宅利子補給助成制度 | 木造密集地域内において、既存住宅を耐火・準耐火構造住宅へ建替える方のみ |
自治体提携(教育・生活) | 東京都中小企業従業員むけ融資制度(さわやか) | 生活資金 |
自治体提携(教育・生活) | 東京都中小企業従業員むけ融資制度(すくすく・ささえ) | 出産に要する費用 |
子育てに必要な物品購入費 | ||
子の医療費 | ||
保育サービス料、ベビーシッター等のサービス利用料 | ||
子の教育費 ・学習塾等受講に係る費用 ・受験に係る費用 ・学校等納付金 ・学校等に入学・在学するために必要となるアパート・マンションの敷金・礼金・家賃、家財道具代等 ・その他教育に係る費用 | ||
その他、上記に準じると認められる費用 | ||
自治体提携(教育・生活) | 東京都家内労働者むけ融資制度 | 生活資金、作業場の改善資金、作業機械の購入資金、火災・水害等災害時の生活資金 |
退職金定期預金が高金利
退職金限定の高金利な定期預金キャンペーンが各銀行で行われています。
各銀行で1回という縛りがあるので、退職金をもらった場合、各金融機関の定期預金キャンペーンを渡り歩くとお得です。
中央労働金庫では、3ヶ月が年1.50%の金利だった時期もあります。
投資信託や外貨預金とセットの条件はなく、定期預金オンリーでOKです。退職金は受け取り後1年以内のものに限ります。
最低預入金額は300万円以上です。それ以上は1円単位です。
例えば500万円を預け入れた場合、3ヶ月後(90日間と仮定)の受取利息は以下のとおりでした。
- 500万円×1.5%×90日間÷365日間=18,493円(税引前)
- 18,493円ー3,756円(税金)=14,737円(税引後)
キャンペーン
ろうきんは、個人向け国債・投資信託・定期預金などの預け入れで、クオカードやカタログギフトなどがもらえるキャンペーンをボーナス時期を中心に行っています。
このようなキャンペーンの際に預け入れるとお得です。例えば、「フルライフキャンペーン」では、中央ろうきんでの総金融資産が1,500万円以上だと、5,000円相当のカタログギフトがもらえました。
中央ろうきんで預金(流動性預金、定期性預金)、預かり資産(国債、投資信託)の合計残高(総金融資産)が1,500万円以上の方が対象です。
このキャンペーンは個人のみが対象で、法人は対象外です。景品は2016年1月下旬に労働金庫に登録している住所に発送されます。
年12月末基準で判定されるので、12月末に余裕資金がある場合は、参加すると0.3%相当のカタログギフトがゲットできました。
景品は1人1つとなります。預かり残高が3000万円だったとしても2つもらえるわけではありません。
中央ろうきん以外では、マイナス金利の状況でも普通預金が高金利の銀行があります。詳細は以下で徹底解説しています。
![](http://i0.wp.com/matsunosuke.jp/wp-content/uploads/2015/12/535d7dfad0f791cbe4360fbbb2e19d79.jpg?resize=150%2C150&ssl=1)
おすすめのネット銀行については、以下にまとめています。
![](http://i0.wp.com/matsunosuke.jp/wp-content/uploads/2017/12/2658a09b13b98b3f5b2f2fff035fccea.jpg?resize=150%2C150&ssl=1)
労金のデメリット
中央ろうきんは定期預金の金利は、SBJ銀行、尼崎信用金庫(ウル虎支店)、トマト銀行、香川銀行などの高金利銀行と比較すると今ひとつの水準なのがデメリットです。
ろうきんで定期預金を預け入れる妙味はありません。給与を受け取って、ATMや振込で日常の決済に使い、定期預金はSBJ銀行などで組むのが効率的です。
労金は個人向け国債も取り扱っています。定期預金よりは、個人向け国債(変動10年)の方が高金利で将来的に金利が上がった時も自動的に利回りが上がるので、空前の低金利の情勢では有利な商品です。
ろうきんオンリーで使う場合は、ある程度まとまったお金は個人向け国債(変動10年)に入れるのをおすすめします。
中途解約した場合のペナルティは直近2回の金利分(税引き後)なので、1年以上保有すれば元本割れはありません。
また、多くの方が利用すると思われる住宅ローンに関しては、中央ろうきんの金利には特段の競争力はありませんでした。これもデメリットです。
変動金利ですとイオン銀行の住宅ローンが、8大疾病保障なしの場合はリーズナブルです。
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詳細は以下で徹底解説しています。
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また、住信SBIネット銀行が金利を大幅に引き下げて、団信が8大疾病補償付で0.44%と破格の金利となりました。
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