新規上場！インベスターズクラウドのIPOの初値予想

インベスターズクラウド（1435）のIPOが決定しています。ブック・ビルディング期間は11月16日(月)～11月20日(金)、上場日は12月3日(木)です。

新規上場する市場は東証マザーズで、想定価格は1,670円（1単元16.7万円）です。仮条件は1,730円～1,870円と窓を開けて上振れました。

公開価格は仮条件の上限である1,870円となりました。予想PERは16.0倍です。

初値予想はプラスリターンです。大手初値予想会社の初値予想は以下の通りとなっています。

• 2,000〜2,300円
• 2,500～3,000円

大手初値予想会社の直前初値予想は以下の通りです。

• 2,800円
• 3,500円

インベスターズクラウドは、「ネット×リアルの新しい不動産サービスを」という経営理念を掲げ、自社開発したアパート経営プラットフォーム「TATERU」の運営を通じて、土地情報の提供から、デザインアパートの企画、施工、賃貸管理まで、ワンストップサービスの提供を行っています。

監査法人はあずさ監査法人で、本社所在地は東京都港区南青山2-27-25-7Fです。

インベスターズクラウドのIPO

インベスターズクラウドとは

インベスターズクラウドのアパート経営プラットフォーム「TATERU」は、アドテクノロジーを駆使して集客したユーザーへ、以下のサービスをワンストップで提供するための仕組みの総称です。

• 土地のマッチング又は販売
• デザインアパートの企画、施工
• リーシング業務（入居者募集業務）
• 賃貸物件の契約、集金代行、清掃、修繕等の管理業務
• 自社店舗（チンタイズ）による自社物件及び他社物件の仲介業務

TATERUの特徴は、以下４つの分野において、自社開発したシステムを構築・運用している点にあります。

• アドテクノロジー（インターネット広告における配信技術や広告流通技術）を駆使した集客によるインバウンドセールス
• 土地情報の入手とマッチング
• デザインアパートの企画、施工
• 賃貸管理

また、特にインバウンドセールスと土地のマッチングにより、インベスターズクラウドが土地を在庫として保有せずに収益を獲得できる取引モデルを継続的に成立させ続けられており、当該仕組みが、インベスターズクラウドのコアコンピタンスとなっています。

従業員数は210名、平均年齢は30.7歳、平均勤続年数は2.5年、平均給与は608.5万円です。

アドテクノロジーを駆使した集客によるインバウンドセールス

集客においては、プライベートDMPを用いて、月間平均800件以上（平成27年１月から９月までの実績）の反響を獲得しています。

具体的には、インベスターズクラウドのインターネット広告に対する反響データや、成約実績、購買動向等を分析することにより、効果的かつ効率的な広告配信を行っています。

このアドテクノロジーを駆使した集客により、無作為な営業電話や飛び込み営業などのアウトバウンドセールスではなく、アパート経営に関心を有するユーザーに対してのみ営業活動を行うインバウンドセールスの展開が可能となっています。

DMP（データマネジメントプラットフォーム）とは、自社と外部のさまざまなデータを一元管理、分析、広告配信するためのプラットフォームのことです。

プライベートDMPは、企業が自社独自で、多様かつ大量のデータを統合管理・分析し、マーケティング施策に活用するためのプラットフォームのことです。

土地情報の入手とマッチング

インベスターズクラウドは、約12,000件の情報提供元（平成27年９月末時点）より入手した土地情報をインベスターズクラウドのシステム「ESTATE」にて管理をしています。

また、この土地情報の提供元である不動産会社と良好な関係を築くことにより、全国10都市（東京、千葉、埼玉、神奈川、福岡、愛知、大阪、京都、兵庫、仙台）における最寄駅から徒歩15分圏内のアパート経営に適した土地情報を常時ストックしています。

一方、ユーザーとインベスターズクラウドの営業社員とのコミュニケーションは、インベスターズクラウドのシステム「SALES」にて管理をしています。

ユーザーに対して、常に品質の高いサービスの提供を行うことを営業方針としており、パソコンやスマートフォンを用いたチャット機能をTATERUに付加することで、ユーザーへよりスピーディーな情報提供をすることが可能となっています。

また、平成27年９月に、アパート経営に関するWEBマガジン（タテマガ）の配信や、アパートオーナーになるための動画オンライン学習サイト（タテルスクール）を開設し、ユーザー及びオーナーの満足度の向上に努めています。

上述の「ESTATE」と「SALES」に蓄積されている情報を相互に連携させることにより、土地のマッチングを実現させています。

この土地のマッチングにおいて、ユーザーは不動産会社等の中間業者を通さずに、土地保有者から直接購入することができるため、中間マージン・コストを省いたより安価な価格での購入が可能となります。

また、情報提供元にとっても、月間平均800件以上のペースで増加するインベスターズクラウドのユーザーに対して販売の機会を確保できるメリットが享受できることになります。

インベスターズクラウドにおいても、土地のマッチングをすることで、その後のデザインアパートの企画、施工による収益を得られます。

それと同時に、土地を在庫として保有しないことにより、在庫の価格変動リスクを負わず、また、在庫保有のための資金調達が不要となります。

なお、一部、地域の取引慣行や不動産業者等の要望等により土地のマッチング以外に、インベスターズクラウドが在庫として土地を保有し販売するケースもあります。

デザインアパートの企画、施工

インベスターズクラウドでは、「世界中にカッコいい空間を」提供することをテーマに１棟として同じデザインアパートを作らないことを基本方針としています。

社内に専門のデザイナーを配置し、デザイン性にこだわりを持ったアパートの企画、施工を行っています。

このデザイン性の高さからも、オーナー及び入居者の満足度を高めることができ、結果として高い入居率の維持が可能となっています。

一方で、同じ規格のアパートではないことから、業務は複雑になりますが、規格の異なるアパートであっても業務の効率化を図れるよう、インベスターズクラウドのシステム「ARCHITECTS」にて工程管理をしています。

実際の設計、建築に関する業務を外注し、インベスターズクラウドは企画、施工に特化するとともに、「ARCHITECTS」においてアパート建築に必要な業務を細分化し管理を徹底することで、コストの低減を図っています。

賃貸管理

アパートを購入されたオーナーに代わり、入居者との賃貸借契約の締結、家賃の回収代行、アパートの清掃、修繕等の賃貸管理業務を請け負い、その管理料を収受しています。

8,000室を超える戸数（平成27年９月末時点）を管理することにより、賃貸管理のノウハウを蓄積しています。

また、特に関東圏でのリーシング業務（入居者募集業務）においては、賃貸店舗「チンタイズ」を運営し、入居率の向上に努めています。

「チンタイズ」においては、インベスターズクラウド施工物件に加え、他社物件の仲介も行っています。

インベスターズクラウドの業績推移

業績面では売上高・営業利益・純利益のいずれも右肩上がりとなっています。

営業キャッシュフローは純利益を大幅に上回っています。一般論としては安心感があります。

前期の自己資本利益率(ROE)は36.4%であり、自己資本比率は35.9％です。

市場トレンド

市況面では、上場直前3ヶ月間のインデックスが上昇トレンドの状況だと初値リターンが高い傾向となっています。

東証マザーズ指数は下降トレンドが続いていて8月下旬には急落しました。

しかしながら、その後は下値を切り上げながら上昇を続けています。このまま上昇トレンドに回帰するとIPOの初値にもプラス材料です。

（※マネックス証券より）

上場規模

インベスターズクラウドのIPOの規模は最大で約20.9億円であり、東証マザーズとしては標準的な規模です。小型であればある程、初値リターンは良い傾向があります。

公開比率(オファリングレシオ)は最大で約17％と低めです。公開比率が低ければ低いほど、初値リターンが高い傾向があります。公募株式数に占める売出の割合は約61％です。

売出人である石井啓子、取締役かつ貸株人である古木大咲には、原則として180日間のロックアップがかかっています。株価上昇による解除条項はありません。

また、インベスターズクラウドは、取引所の定める有価証券上場規程施行規則の規定に基づき、上場前の第三者割当等による募集株式等の割当等に関し、割当を受けた者との間で継続所有等の確約を行っています。

精度ロックアップも含めると、従業員3名と売り出し人の塚本啓太氏を除く現物株保有者、ベンチャーキャピタル保有株にはロックアップがかかります。

まとめ

インベスターズクラウドの事業はグアパート経営プラットフォーム「TATERU」の運営を通じて、土地情報の提供から、デザインアパートの企画、施工、賃貸管理まで、ワンストップサービスの提供ということで、地合にもよりますが、IPOにおける人気度は総じてそこそこ高めです。

アドテクノロジーを駆使した集客によるインバウンドセールスというマザーネット企業的な要素も盛り込んでいます。

インターネットによる不動産売買のマッチングを行っているので、不動産業では避けられないはずの在庫リスクを負わなくて済むのが事業特徴です。

仮条件ベースで予想PERは14.8倍～16.0倍と割高感はありません。参考類似企業は以下の通りです。

• 1766 東建コーポレーション：17.55倍
• 1878 大東建託：15.71倍
• 8848 レオパレス21：11.4倍
• 8850 スターツ：11.69倍
• 8909 シノケングループ：8.26倍

20.9億円という上場規模は東証マザーズとしては小型ではありませんが、十分に吸収可能な範囲です。

東証マザーズの15億～35億円の中型IPOの初値結果は以下のとおりです。

• AppBank：+45.8%
• デザインワン・ジャパン：+50.9%
• リンクバル：+27.9%
• 日本スキー場開発：+9.9%
• モバイルファクトリー：+99.4%
• RSTechnologies：-23.6%
• イード：+46.4%
• シリコンスタジオ：+102.0%
• KeePer技研：+49.1%
• インターワークス：+16.7%
• クラウドワークス：+73.2%
• GMOTECH：+135.2%
• 弁護士ドットコム：+215.4%

以上を総合考慮して、初値予想はプラスリターンです。

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