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損保ジャパン日本興亜が個人向け劣後債(社債)を発行!2016年7月の第1回

更新日: 個人向け社債

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損保ジャパン日本興亜が個人向け社債(劣後債)を発行します。正式名称は「損害保険ジャパン日本興亜株式会社 第1回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)」です。

期間は約30年(2046/8/8償還)であり、当初10年は0.60%~1.20%(年0.84%に決定)、以降6ヶ月はユーロ円LIBOR(ライボー)+1.60%~2.20%です。

円建ての社債で為替リスクはありません。劣後特約が付帯している劣後債です。

劣後特約付社債(劣後債)とは、普通社債などの一般債権よりも元利金の返済順位が低い社債です。

破産、会社更生、民事再生等の「劣後事由」が発生した場合には、劣後債の元利金は、一般債権者に元利金全額が支払われた後の弁済となります。

一言で言うと、デフォルトした場合は高い確率で紙くずになる債券です。この劣後債の利払繰延条項では、発行会社の裁量等によって、利息支払いの全額を繰り延べることができます。

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 第1回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)についてまとめます。


特殊な条項・特約

損害保険ジャパン日本興亜の第3回劣後債は、劣後特約、利払繰り延べ条項、期限前償還条項が付帯している劣後債です。

劣後特約

劣後特約付社債(劣後債)とは、普通社債などの一般債権よりも元利金の返済順位が低い社債です。

破産、会社更生、民事再生等の「劣後事由」が発生した場合には、劣後債の元利金は、一般債権者に元利金全額が支払われた後の弁済となります。

例えば、損害保険ジャパン日本興亜が破綻して残った財産を現金化すると1000億円残った場合で、3000億円の劣後債保有者と、他に2000億円の債権保有者がいた場合を想定します。

このケースでは、債権保有者が1000億円を優先的に確保できます。この場合、劣後債の保有者には1円も戻ってきません。

また、この劣後債は、損害保険ジャパン日本興亜の一般債務に加えて、上位劣後債よりも弁済順位が劣後します。最上位の優先株式と同等となっています。

一般債権者、上位劣後債保有者が全て債権を回収した後に、まだ残りがあったらようやく弁済を受けられます。

損害保険ジャパン日本興亜の今回の個人向け社債(劣後債)は、一言でいうと、デフォルトした場合は高い確率で紙くずになる債券です。

利払繰り延べ条項

また、「利払繰り延べ条項」が付帯しており、損害保険ジャパン日本興亜の任意の裁量で、利払いが繰り延べられる可能性があります。損害保険ジャパン日本興亜が利息の支払いを延期すると決めたら、抵抗できない社債となっています。

ただし、損害保険ジャパン日本興亜が普通株式に配当を支払う場合は、この劣後債に繰り延べられている利息額等を支払うように、可能な限り合理的な努力を行うこととされています。

しかし、配当を支払う場合はこの劣後債の利息を支払わなければならない訳ではありません。

期限前償還条項

期間は最長30年ですが、10年目の2027年1月31日以降は期限前償還される場合があります。期限前に償還するか否かは損害保険ジャパン日本興亜に決定権があります。

いわゆる「コーラブル債」です。期限前償還する場合は、当然に繰り延べられた利息があったとしてもまとめて償還されます。

損害保険ジャパン日本興亜の信用状況が改善するなどで、より低い利回りで劣後債・社債発行ができるようになったら、期限前償還される可能性があります。

しかし、損害保険ジャパン日本興亜の経営が悪化して借り入れ利率や社債利回りが上昇したり、市中金利が上がっていてそのまま返済しない方が有利な場合には、繰上償還されないこととなります。

また、税制事由、資本制変更事由が発生した場合も、損害保険ジャパン日本興亜は償還を選ぶことができます。

税制事由とは、税制変更でこの劣後債の利息が損金に参入できなくなるなど、損害保険ジャパン日本興亜にとって不利益な税務上の変更があった場合などです。

資本制変更事由とは、JCRが資本性評価基準を変更して、この社債について現時点で想定されている資本性よりも低く取り扱うことになった場合をさします。

損害保険ジャパン日本興亜の今回の個人向け社債(劣後特約付)は、様々な条項・特約が付帯しているので、格付け機関の格付け上は、完全なる負債ではなく、資本性が高いものとして評価されています。

その評価が今後変更されて、資本性の評価が下がり、格付けに悪影響が及ぶ自体になったような場合は、早期償還される可能性があります。

損害保険ジャパン日本興亜とは

損害保険ジャパン日本興亜とは、損保ジャパン日本興亜ホールディングスの中核子会社です。

国内損害保険事業をコアとして、国内生命保険事業、海外保険事業、介護・ヘルスケア事業、アセットマネジメント事業など多様な業務を展開しています。

意外なところではセゾン自動車も損保ジャパン日本興亜の傘下です。2014年5月には英ロイズ保険市場のキャノピアス社を買収しました。

旧・メッセージ(2400)を買収してSOMPOケアメッセージにしたことも投資家界隈では有名ですね。

2016年3期の連結経常収益構成比は国内損害保険事業69%、国内生命保険事業9%、海外保険事業9%、その他0.7%、調整額(正味収入保険料・生命保険料以外の経常収益)12%です。

2016年3期の損害保険ジャパン日本興亜の正味収入保険料(単体)は2兆2184億円です。保険金などの支払余力を示すソルベンシー・マージン比率は、単体ベースで729.3%となっています。

合併前の旧損害保険ジャパンの前身の東京火災は、1887(明治20)年設立と歴史があるメガ損保の一角です。

1941年に太平火災海上と合併し、1943年には東洋火災と合併し、1944年には帝国海上・第一機罐と合併し、安田火災海上が設立されました。

2002年に日産火災海上保険と合併し、社名を損害保険ジャパンに変更し、更に大成火災海上とも合併しました。損害保険ジャパンと日本興亜損保の経営統合により、2010年4月に損保ジャパン日本興亜ホールディングスが誕生しました。

中核子会社の損害保険ジャパンは、旧損害保険ジャパンと旧日本興亜損害保険が2014年に合併して発足しました。

https://www.youtube.com/watch?v=F7Evh_AyotY

ホールディングスの2016年3月期の連結経常利益は正味収入保険料、生命保険料がともに伸び前期比4%増の2169億円になりました。

純利益は2015年3月期にあった合併に伴う情報システム関連を中心にした一時費用がなくなったことから前期比2.9倍になりました。

損保ジャパン日本興亜の正味収入保険料は火災保険や自動車保険を中心に伸び2%増となりましたが、経常利益は9%減の1781億円でした。政策株式の売却が遅れたこともあり資産運用粗利益が431億円減少しました。

2017年3月期は、損保ジャパン日本興亜は1000億円規模の政策株式削減を計画しており、資産運用粗利益は同184億円の増加を見込んでいます。

金融市況(金利、為替、株式相場)の前提は2016年3月末の水準となっています。

従業員数は27,144人、平均勤続年数は12.8年、平均年齢は42.3歳、平均年間給与は660.3万円です。昔ながらの日本企業らしい数字です。

https://www.youtube.com/watch?v=0ZCxoIzqG4o

損保ジャパン日本興亜の劣後債の分析

2016年に入ってから初めて損保ジャパン日本興亜が個人向け社債(劣後債)をリリースしました。10年で早期償還となる可能性が高いことから10年で分析します。

高金利定期預金との比較

現在の10年もの高金利定期預金は、大阪市近辺に在住または勤務している方ですと、大阪協栄信用組合で1000万円以上預け入れると年0.70%です。

地域限定でない銀行等では、静岡銀行インターネット支店は0.11%です。馴染みがあるネット銀行ではジャパンネット銀行が0.03%、ソニー銀行が0.01%となっています。

ソニー銀行は全国のコンビニ・提携ATMの手数料無料、振り込み手数料無料、お得なデビットカード、便利な資金移動システムなどメリットが多いネット銀行です。

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今回の損保ジャパン日本興亜の個人向け劣後債の利率は、ノーリスクの定期預金を大阪市近辺に在住または勤務の方ですと最大0.50%、それ以外の方は最大1.09%上回っています。

定期預金との利回り格差を見て、デフォルトリスクを考慮すると利率は妥当かという観点で検討することになります。

過去のデフォルトの確率

債券格付はAA-(JCR)を取得予定です。損保ジャパン日本興亜の長期発行体格付はAA+です。格付の方向性は「安定的」です。

今回の損保ジャパン日本興亜の個人向け社債は劣後特約があることから、長期発行体格付よりも低くなっています。

JCRは損保ジャパン日本興亜の長期的な信用リスクについて以下の通りに評価しています。

損害保険ジャパン日本興亜(損保ジャパン日本興亜)は、国内大手損保グループ、損保ジャパン日本興亜グループの中核会社である。

グループの中核である損保ジャパン日本興亜の格付は、財務内容などを踏まえた単体の評価にグループ全体の信用力を織り込んでいる。

グループの信用力は、国内損保事業における堅固な事業基盤、国内生保事業、海外保険事業との分散を通じたグループの収益力、財務の健全性などを反映している。

JCRでは、格付の見通しを「ポジティブ」とし、自動車保険にかかる料率改定や合併による事業効率化などを背景とした国内損保事業の収支構造の改善状況、海外保険事業の利益貢献に加え、グループのリスクガバナンス態勢の整備状況などに注目してきた。

旧損害保険ジャパンと旧日本興亜損害保険の合併シナジーの実現や効率化の進展などが収益性の改善要因となっている。

また、リスク・リターンの観点から政策株式にかかる価格変動リスクの削減も進めており、自己資本の充実度も改善基調で推移していることなどを踏まえ、損保ジャパン日本興亜の格付を1ノッチ引き上げた。

グループの利益構成をみると、安定的な国内損保事業に加えて、海外保険事業の利益貢献が大きくなっている。

国内生保事業も着実にグループへの利益貢献を高めており、グループの事業ポートフォリオは、国内損保事業を中心に国内生保事業、海外保険事業への分散が徐々に進んでいる。

社内管理ベースの修正利益をみると、国内損保事業が約5割、国内生保事業が約4割、海外保険事業が約1割を占める。

なお、2015年度に介護事業者を複数買収するなど、同事業への取り組みを強化しているが、当面、グループ利益への貢献度は小さく、損保事業との親和性や事業リスクなどを踏まえて、中長期的な視点から動向を見守っていきたい。

国内損保事業では、損保ジャパン日本興亜が国内市場で確固たる地位を築いている。正味収入保険料の5割弱を占める自動車保険について、料率引き上げ効果の浸透や事故件数の減少などが寄与して損害率は低下傾向にあり、コンバインド・レシオは90%台前半と良好な水準にある。

一方で、火災保険については、足元では自然災害にかかる発生保険金が増加しており、引き続き収支構造の改善の余地があるとJCRはみている。

テールイベントも視野に入れたリスク・リターンを踏まえた上で、国内損保事業の商品・価格改定、事業効率化などの成果が継続的に実現されていくのか注目していく。

グループは、16年度から新たに中期経営計画をスタートさせており、リスク選好原則を踏まえて、資本・リスク・リターンのバランスを適切にコントロールすることで、グループの企業価値の最大化を目指している。

グループ全体でリスク・リターンへの意識が徐々に高まるなど、ERM(戦略的リスク経営)が段階的に浸透している。

経済価値ベースの健全性を示す内部ソルベンシー比率について、グループの保有リスクで構成比の大きい国内自然災害、政策株式にかかる価格変動リスクなどにおけるシナリオテストを踏まえても十分な水準を維持している。

今後の政策株式の売却の進捗、リスク分散による利益の安定化などの観点を引き続き注目していく。

海外保険事業を強化していくなか、グローバルかつグループ一体的なERMの整備がより重要性を増している。JCRはERMの態勢整備と活用状況にも注目していく。

JCRのAA格社債(5年)の平均累積デフォルト率(2000~2015年度)は0.10%でした。

同じ格付の社債、店頭売買参考利回りとの比較

日本証券業協会のデータでは、JCRのAA格社債(10年)の複利利回り平均値は0.283%です。

損保ジャパン日本興亜の劣後債の店頭売買参考統計値利回り平均(複利)はありませんでした。

最も近いのがあいおいニッセイ同和損保の残存期間約約6年2ヶ月もの(2022/09/27償還)で0.261%でした。


損保ジャパン日本興亜の財務状況

財務指標

親会社の損保ジャパン日本興亜ホールディングスの自己資本比率は16.13%、現金等は5767億円、営業キャッシュ・フローは+2664億円です。

資産運用利回りは2.94%、事業比率は31.6%、損害率は63.7%、支払い余力比率は729.3%です。

キャッシュが先に入ってくる保険会社はキャッシュ・フローの側面では恵まれており、金融庁の厳しすぎて愚痴をこぼしたくなる統制下にあります。

損保ジャパンくらいの規模になると、よほど資産運用や海外で大き過ぎる超損失を被らない限りはデフォルトのリスクは小さいです。

国内での災害に関しては再保険や特殊条項などを織り交ぜてリスク管理しており、頑健性・耐性は高いです。

社債及び借入金の内訳

2015年3月末の損保ジャパン日本興亜ホールディングスの短期借入金の平均利率は0.89%、1年内返済予定の長期借入金は0.82%です。

1年内返済予定のものを除く長期借入金は7.75%(2017年4月26日~2039年8月26日)、リース債務は4.43%( 2017年4月1日~2042年2月28日)です。買収先の社債等が含まれています。

2013年に発行した2073年満期米ドル建劣後特約付社債(利払繰延条項付)の利率は年5.325%です。今からすると夢のような金利となっています。

損保ジャパン日本興亜の劣後債の投資スタンス

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金利は極限まで低下しており、日本では米国と比較すると相対的に社債市場が発達してなく、信用スプレッドが乗った社債がほとんどない状況下において、損保ジャパン日本興亜の劣後債は貴重な高金利社債となっています。

もちろん高金利は高リスクの裏返しです。利払繰延条項で損保ジャパンの裁量等によって、利息支払いの全額を繰り延べることができます。また、破綻した場合は高い確率で紙くずになります。

期限前償還条項があり、10年経過すると期限前に償還されるリスクがあります。

その時点で市中金利が上昇していたり、損保ジャパンの財務状態が悪化している場合は繰上償還されずに社債価格は大きく低下してしまいます。

また10年までいかなくても、劣後債をソルベンシーマージン比率の算出において資本ではなく負債に入れなければならないように規制が変わった場合などは、繰上償還されるリスクがあります。

オプションを売っている代わりに高い金利をプレミアムとして受け取るというイメージです。

損害保険ジャパン日本興亜の営業収益の50%弱は自動車関連の保険です。将来的に自動車の自動運転が普及することによって、自動車事故が格段に減少した場合は、事業に大いなる影響が及ぶリスクがあります。

ただし、10年なら問題なくデフォルトのリスクは非常に低いと考えます。

申し込みは100万円以上、100万円単位です。デフォルトの可能性を考慮して、あくまで資産の一部を投資するのが無難です。全財産のうちかなりの部分を突っ込むようなことは止めましょう。

損害保険ジャパン日本興亜の劣後債は、SMBC日興証券、大和証券、三菱UFJモルスタ証券、みずほ証券で申し込めます。

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