ARUHIが2016年10月3日(月)から、従来のフラット35に加えて、フラット35(保証型)の住宅ローン「ARUHIスーパーフラット」 を開始しました。
ARUHIスーパーフラットは、 住宅の建築費または購入価額の20%以上の頭金があれば、従来のフラット35よりも低い金利が適用される長期固定金利型の住宅ローンです。
ARUHIスーパーフラットのメリット、デメリット、金利についてまとめます。
目次
ARUHIスーパーフラットとは
ARUHIとは、住宅ローン専門の金融機関があります。SBIモーゲージが社名変更し現在はSBIアルヒ株式会社です。
ARUHIの住宅ローンは、フラット35取扱い金融機関全334社中、高いシェアの人気住宅ローンです。
よくわからない会社で聞きなれない方も多いと思いますが、住宅ローンはこちらが借りる立場ですので、相手の信用力に拘らなくても問題ありません。
逆にこちらが貸す立場になる場合、例えば社債を購入する場合は大いに信用力をチェックする必要があります。
全期間固定金利でフラット35より低金利
ARUHIスーパーフラットは、住宅建設費(土地取得費を含む)または住宅購入価額の2割を頭金で入れることで、通常のフラット35より低金利で利用できる住宅ローンです。
全期間固定金利なので、金利変動リスクが皆無です。支払額を固定できるので安心・安全です。
従来型のフラット35(融資比率が9割以下)と比較すると、借入期間15年~20年のゾーンは0.01%高くなってしまいますが、21年~35年の場合は年0.1%安くなります。
一定の要件を充足する住宅を取得する際に、借入金利を一定期間引き下げる制度「フラット35S」の利用も可能です。Aプランの場合は当初10年間、Bプランの場合は当初5年間、金利が0.3%下がってお得です。
住宅ローンの金利動向
住宅ローンの金利は低下の一途を辿ってきましたが、足元では反発しています。金利はほぼ極限まで低下しており、これから先は横ばいか若干は上昇する懸念もあります。
長期固定金利での住宅ローンを締結するタイミングとしては悪くない時期です。
制限が少なく自由
ARUHIスーパーフラットは、特定の住宅メーカーの制限なく利用できる、 唯一のフラット35(保証型)の住宅ローンである点にエッジ・優位性があります。
他社のフラット35(保証型)の住宅ローンは、締結の際に住宅メーカーの縛りがあります。しかし、ARUHIはそれがフリーとなります。
申し込み時の年齢が70歳未満、最終返済時の年齢が満80歳未満の方が申し込めます。ただし、親子リレー返済を利用される場合は、70歳以上の方も申し込めます。
融資金額は100万円以上8,000万円以内(1万円単位)です。前年度税込年収に占めるすべての借り入れの年間返済額の割合が下記の範囲内の方が申し込めます。
- 税込年収400万円未満の方:30%以内
- 税込年収400万円以上の方:35%以内
通常のフラット35と同様に、返済方法は元利均等返済方式または元金均等返済方式であり、保証人・保証料は 不要です。
団体信用生命保険の加入は任意です。ただし、加入有無により、融資金利が異なります。加入した方が金利が低くなる傾向にあります。
勤続年数の最低期間も定めもなく、転職・就職・起業後間もない場合でも借り入れることが可能です。また、以下の場合でもOKです。
- 育児休暇・産休・介護休暇を取得中
- 派遣社員・パート
- 自営業
- 病歴などがあって団体信用生命保険に加入できない
- 親族居住のための住宅・セカンドハウス
ARUHIの住宅ローンの借り入れ時上限年齢は65歳以下、完済時の上限年齢は80歳未満です。年配の方でも問題なく契約することが可能です。
ARUHIスーパーフラットは、セカンドハウス・別荘の購入にも使えます。既に住宅ローンの契約がある場合でも契約できます。
お得な優待があるARUHIメンバーズクラブ
ARUHIの住宅ローンを利用していると「ARUHIメンバーズクラブ」に加入できます。年会費・入会金などは無料で一切費用がかからず、メリットしかない制度です。
家具・インテリア、家電、引っ越し、水宅配、ハウスクリーニング、インターネット、健康、ネットスーパーなど多様なジャンルで、提携先企業のサービスや商品を優待価格で利用できます。
ARUHIの住宅ローンはお手軽にWebで来店予約することが可能です。また、シミュレーションもできます。
スピード審査が行われており、事前審査は最短当日、本審査も最短3営業日となっています。
フラット35(保証型)とは
「フラット35(保証型)」という用語は聞き慣れない方も多いでしょう。通常のフラット35と何が違うのか気になりますね。
フラット35(保証型)はフラット35と同様に、金融機関と住宅金融支援機構が提携して実現した長期固定金利の住宅ローンです。
短期の資金で資金調達を行う銀行などの民間金融機関は、長期固定金利の住宅ローンを取り扱うことが難しいとされています。
住宅金融支援機構が、ARUHI等の金融機関が提供するフラット35(保証型)の返済が遅れた場合等には、金融機関に対して保険金を支払う住宅融資保険(保証型用)を引き受けます。
また、フラット35(保証型)を担保として発行される債券等に係る債務の支払の保証を行うことで、ARUHI等の金融機関が長期固定金利の住宅ローンを提供する仕組みを支えています。
住宅ローン債権は、ARUHI等の金融機関によって、信託会社等に信託され、証券化されます。ただし、証券化された後も、融資金利、返済期間などの契約条件に変更はありません。
また、返済手続は、引き続き融資を受けたARUHI等の金融機関が窓口となるスキームとなっています。
ARUHI等の金融機関が、住宅金融支援機構の融資保険制度(保証型用)を利用しているので、万が一返済が滞って住宅金融支援機構が金融機関に保険金の支払いを行った場合は、住宅金融支援機構が住宅ローンの契約者に対する債権を取得します。
フラット35とフラット35(保証型)のその他の主な違いは、フラット35は抵当権者が住宅金融支援機構となるのに対して、フラット35(保証型)はARUHI等の金融機関が抵当権者となります。
また、保証型の方は構機団信特約制度が利用できません。金融機関が提供する団体信用生命保険を利用することになります。
ARUHIスーパーフラットで団信に加入した場合は金利が+0.3%となります。しかし、団信ありの場合でも、通常のフラット35(買取型)の機構団信と比較して、総返済額は保証型の方が安くなります。
既にフラット35(買取型)を使っている場合でも、フラット35(保証型)に申し込めます。借入上限は買取型、保証型でそれぞれ8000万円です。両方借り入れて合計1億6000万円の住宅ローンを組むことも審査に通れば可能です。
なお、以前にフラット35の新団信では、死亡以外の保障の範囲が、「高度障害」から「身体障害保障」に変更されました。
従来通り高度障害はほとんどカバーされつつ、身体障害者福祉法に定める障害等級(1・2級)の「身体障害者手帳」を交付されれば保険金の支払い対象になりました。
フラット35の保障の範囲は拡大されて、民間住宅ローンよりも保障範囲が広くなりました。
一部繰上返済手数料は何度でも1万円から無料!
ARUHIの住宅ローンWEB申込コースでは、一部繰上返済が1万円から可能です。手数料は何回でも無料です。ただし、毎月返済分の最低1回以上、1万円単位となります。全額繰上返済手数料は50,000円(税抜)です。
毎月の返済額を変更せずに期間を減らす「期間短縮型」と、期間を変更せずに毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」の2つから選べます。
例えば、借入額:3,000万円(元利均等返済・毎月返済のみ)、借入期間:35年、金利:年 2.5%(35年固定金利特約タイプ)の条件で、返済開始10年後に100万円一部繰上返済をした場合は以下の通りとなります。
繰上返済の前 | 期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
---|---|---|---|
毎月返済額 | 107,248円 | 107,248円 | 102,762円 (4,486円軽減) |
残りの借入期間 | 25年 | 23年7ヵ月 (1年5ヵ月短縮) | 25年 |
総返済額 | 45,044,199円 | 44,208,331円 (835,868円軽減) | 44,698,318円 (345,881円軽減) |
返済額軽減型は毎月の支払額が減るので、当面の資金繰りが楽になります。ただし、利息の総支払額は期間短縮型の方が小さくなります。
どちらが得かは、インフレ率の推移、減少した支払額をどう運用するのかに左右されるので、一概に断定はできません。
保証料が無料!
ARUHIの住宅ローンは、保証人・保証料は不要です。印紙税・登記関係費用はかかります。
事務手数料は通常のフラット35と同一で融資金額の2%(税抜)です。200,000円の最低事務手数料があります。
低金利のネット銀行の中では標準的な水準です。住宅ローンの金利が上がれば上がるほど手数料がアップします。
ARUHIの住宅ローンの審査
ARUHIの住宅ローンに申し込んで審査に通るのかについて気になる場合がありますよね。特に多額の住宅ローンを組む場合は気になる点です。
国土交通省の「平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、住宅ローンの審査において考慮する項目のトップ20は以下の通りです。
- 完済時年齢:99.3%
- 健康状態:98.4%
- 担保評価:97.8%
- 借入時年齢:97.5%
- 勤続年数:96.4%
- 年収:95.6%
- 連帯保証:92.6%
- 金融機関の営業エリア:92.4%
- 融資可能額(①購入の場合):90.7%
- 融資可能額(②借換えの場合):88.4%
- 返済負担率:87.4%
- 債務の状況や返済履歴:77.5%
- 雇用形態:77.1%
- 所有資産:68.0%
- 国籍:64.9%
- 申込人との取引状況:59.5%
- 業種:38.4%
- 雇用先の規模:30.1%
- 家族構成:29.9%
- 性別:21.1%
ARUHIの住宅ローンにおいても、これらの項目が考慮される可能性が高いです。
このうち自分でコントロール可能なのは、完済時年齢、金融機関の営業エリア、債務の状況や返済履歴、取引状況などです。
できる限り完済時年齢が高齢にならない方が審査に通りやすいです。また、借入額が多すぎない方が審査にはプラスです。
債務を抱えてなく、かつこれまで何らかのローンを借り入れた場合にしっかりと返済していることが重要です。他にローンを抱えている場合は完済しましょう。
トータルの諸経費に注目
住宅ローンを契約する場合、金融機関等に支払う主なコストは、事務手数料、保証料、団体信用生命保険料です。
この他、印紙代、抵当権・司法書士費用・登録免許税、火災保険料、物件検査手数料(フラット35の場合)などが生じます。
保証料は住宅ローンの支払いが滞った際に信用保証会社が立て替え払いする経費です。ただし、保証料を支払っているからといって住宅ローンの返済義務がチャラになるわけではありません。
ネット銀行は保証料が無料のことが多いものの、大手銀行は保証料が発生することが多いです。一括払いと金利に上乗せする方式の2パターンがあります。
一例として30~35年住宅ローンの契約時に一括払いする場合は、住宅ローンの融資額の2.0%~2.06%程度かかります。金利に上乗せするタイプは約0.2%の上乗せになることが多いです。
事務手数料は契約時に支払う純粋な手数料です。「取引手数料」などの名称のこともあります。金利が高めの大手銀行は数万円、金利が低いネット銀行は2%(税抜)程度のことが多いです。
保証料(一括払い)と事務手数料は似ていますが、繰上げ返済した時に違いが出てきます。
保証料を一括払いした場合、繰上返済時には保証料の一部がキャッシュバックされますが、事務手数料は戻ってきません。
条件が同一で、保証料と事務手数料だけが違う場合、同じ利率で繰上返済する場合は、保証料の方がお得です。
死亡または高度障害で住宅ローン返済が不可能になった場合に残高がゼロになる団体信用生命保険料は、フラット35の場合は金利には含まれておらず、住宅ローンの残高の0.358%を毎年支払う必要があります。
なお、30代までの若年層だと、住宅金融支援機構が提供する「機構団信」よりも、民間の保険会社の収入保障保険の方が安くなる場合があります。
万が一の際には、住宅ローンの支払いが終わるまでの予定期間、住宅ローンの支払額と同じ保険金を毎月受けとれるように契約したら、団信と同じような補償を確保できます。
保険会社によって保険料は異なりますけれども、大まかな目安としては標準体の場合は、男性35歳以下、女性40歳以下なら、収入保障保険のほうが有利な傾向があります。
「非喫煙」「健康体」「非喫煙健康体」などに該当すれば、保険料が低下するので、40代でも民間の保険の方が有利になる場合があります。
一部の住宅ローンでは、死亡・高度障害だけではなく、3大疾病、8大疾病など補償範囲を拡大させることができます。金利に上乗せされる場合と無料の場合があります。
住宅ローンの契約書に貼る印紙代(印紙税)は、住宅ローンの金額によって変動します。
契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
1万円未満のもの | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円超~50万円以下 | 400円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 |
1億円超~5億円以下 | 10万円 |
5億円超~10億円以下 | 20万円 |
10億円超~50億円以下 | 40万円 |
50億円超~ | 60万円 |
契約金額の記載なし | 200円 |
登記の手続きで司法書士に支払うコストは、抵当権の設定(借換の場合は抹消)を合わせて5万円~15万円程度が目安となっています。
その他、借入額などから算出される固定資産税評価額に応じて登録免許税、不動産取得税、固定資産税が発生します。
火災保険料・地震に備えて地震保険に加入した場合は、地震保険料も発生します。以前は数十年分の火災保険を前払いして大きな割引を受けられましたが、現在はMAX10年となり、割引額は渋くなってしまいました。
フラット35の場合は、フラット35の技術要件を充足しているか否かをチェックする物件検査手数料が発生する場合があります。
メリット・デメリットまとめ
ARUHIスーパーフラットの主なメリットは以下のとおりです。
- 21年以上の借入期間だと通情のフラット35よりも低金利
- 「フラット35S」の利用も可能
- 全期間固定金利なので、金利変動リスクがなし
- 特定の住宅メーカーの制限なく利用可能
- 転職・就職・起業後間もない場合でも借り入れることが可能
- 派遣社員・パートでもOK
- 育児休暇・産休・介護休暇を取得中でもOK
アルヒはフラット35の融資実行件数シェアで、高い人気を博しています。
長期固定金利の住宅ローンならおすすめです。
逆にデメリットとしては、変動金利のタイプの住宅ローンがないことです。変動金利型の住宅ローンですと、住信SBIネット銀行の住宅ローンにエッジ・優位性があります。
特に8疾病保障の金利上乗せなしなのが絶大なメリットです。他の銀行は年0.3%ほど上乗せされます。
2017年6月1日からは、8疾病以外の病気・ケガも保障対象となった「全疾病保障」へとパワーアップしました。住宅ローンの金利の比較を再掲します。
銀行名 | 金利 | 疾病の保障 |
---|---|---|
住信SBIネット銀行 | 年0.398~0.428% | ○(8疾病以外も保障される全疾病保障) |
ソニー銀行 | 年0.457~0.507% | × |
楽天銀行 | 年0.527% | × |
イオン銀行 | 年0.43% | ×(8疾病付加は年0.82~0.97%) |
SBI新生銀行 | 年0.60% | × |
auじぶん銀行 | 年0.457% | がん50%のみ |
保証料・団信保険料・一部繰り上げ返済手数料はありません。金利優遇の条件もありません。一部繰上返済は1円から可能とパワフルです。他の銀行は1万円からなど単位が大き目です。
手数料・保証料などの諸費用も考慮した実質金利でも、8疾病の補償がない楽天銀行よりも僅かに高いだけです。オリコン顧客満足度ランキング(2015年度)では、住宅ローン 金利部門で1位となっています。
変動金利(通期引下げプラン)はなんと全疾病保障込みで年0.444%になります。団信・8疾病保障が無料で付いたうえでの最低水準の金利となります。
住信SBIネット銀行の住宅ローンは、リアル店舗で対面で相談することもできます。疑問点が出たらその場で解消することができます。
専門のスタッフがサポートしてくれるので、ネットでの申込に不安な方でも、安心して住宅ローンが組めます。
イオンでよくお買い物する方ですと、イオン銀行の住宅ローンも候補となります。完済までイオングループでのお買い物が毎日5%OFFとなります!
1ヶ月に5万円イオンで使う場合は2,500円割引となります。年間だとなんと3万円です。詳細は以下で徹底解説しています。
auじぶん銀行の住宅ローンは、団信に加入できない場合でも加入可能な「ワイド団信」という仕組みがある点にエッジがあります。
複数の銀行を比較検討したい場合は、住宅ローン一括審査申し込みが便利です。詳細については以下をご参照ください。
変動金利と固定金利のどちらが望ましいかについては、以下で精緻に比較しています。