GMOクリック証券が2016年10月17日(月)より日本株の「貸株」を開始します。保有している株式をGMOクリック証券に貸し出すことで、貸株金利を受け取れるのがメリットです。
大手ネット証券では取扱があるサービスでした。この度GMOクリック証券で貸株サービスが導入されたことによって、同社での取引がますます便利になります。
GMOクリック証券の貸株のメリット、デメリットについてまとめます。
メリット
GMOクリック証券の貸株サービスでは、最低で0.1%の金利を受け取れます。1.0%以上の「ボーナス銘柄」も用意されています。
GMOクリック証券で取扱がある株式はほぼすべてを貸し出すことができます。貸株金利は原則として毎週更新されます。
他社と同様に「株主優待自動取得サービス」が提供されており、株主優待の受け取りが可能です。株主優待を受け取る設定にすると、権利確定日だけ一時的に返却されます。その期間は貸株金利を受け取れません。
株主優待を受け取らずにひたすら貸株金利を受け取る設定も可能です。銘柄ごとに「優待優先」と「金利優先」を選択できます。
信用取引口座を開設していても貸株サービスの併用が可能です。ちなみにマネックス証券、松井証券は信用取引口座があると貸株を利用できません。SBI証券、auカブコム証券、楽天証券は併用可能です。
GMOクリック証券の場合、貸株中の株式はいつでも売却が可能です。面倒な貸株解除の手続きは必要ないため、売ろうと思ったら普通に売ればOKです。
貸株サービス申込は、マイページのトップページの左サイドバー「口座開設状況」より、2016年10月15日(土)からいつでも申し込めるようになりました。
新規買付時の自動貸出設定、保有銘柄一括設定もできるようになると便利です。今後の動向に注目します。
デメリット
貸株のデメリットとしては、信用リスク、配当金相当額の税制、隠れ優待などが取得できない場合があること、長期保有の条件が充足できない場合があること、信用取引の余力が減ることです。
信用リスク
万が一、GMOクリック証券の破綻した時は貸し出した株式がパーになるリスクがあります。
また、GMOクリック証券が貸株で借りた株を貸し出した機関投資家等が破綻した場合で、松井証券が貸出先から確保している担保などで株券を調達するなどで株券を返却できなかった場合なども、貸し出した株券が戻って来ないリスクがあります。
貸株で貸し付けた株券等は、証券会社が自社の資産と区別して管理する分別保管の対象とはならず、投資者保護基金による保護の対象とはなりません。
信用リスクに関しては、ネット証券No.1の格付け(A+)で三菱UFJフィナンシャルグループのauカブコム証券が最も低リスクだと考えます。
カブコムは貸出先から担保を確保しており、貸出先が破綻してしまい株式が返却されない場合には、auカブコム証券が担保で株式を調達して返却してくれます。
配当金相当額の税制
貸株に出している株式の権利確定日を通過した場合、もらえるのは配当ではなく、「配当金相当額」となります。
約20%の税金の源泉徴収分がマイナスされた金額となるにもかかわらず、更に配当金相当額全体に対して、雑所得又は事業所得として総合課税の対象となります。
会社員で雑所得が年20万円未満であれば確定申告は不要ですが、確定申告が必要な場合は二重課税になってしまいます。また、所得が大きい場合は税率も高くなります。
株主優待が取れなくなるリスク
株主優待に関する情報、権利付最終売買日は、東洋経済から提供を受けた情報を元に設定されます。
東洋経済が配信した株主優待に関する情報、権利付最終売買日等の情報の伝達遅延、誤謬又は欠陥により優待が取得できない場合があります。
また、例えばユニバーサルエンターテインメントなどの隠れ株主優待を実施している企業の場合は、貸株が返却されずに株主優待を取得できない場合があります。
また、貸株に出すと長期保有の条件を充足できない場合や、長期保有の株主優待が新設された場合、ずっと昔から持っているのに貸株に出していたことから長期保有から外れるリスクがあります。
信用取引の余力
貸株サービスを利用して貸し出した株式は、一旦、自分の手元を離れるので、信用取引の担保となりません。
したがって、貸株に出すと、その分信用取引の余力が低下します。
まとめ
GMOクリック証券の貸株サービスの開始によって、GMOクリック証券で保有しているほとんど株式は、貸株を行うと最低0.1%の金利が得られます。1%以上のボーナス金利もあります。
500万円なら最低で年5,000円、1000万円なら最低で年1万円となります。
ただし、デメリットもあるため、利用しないというのも有力な選択肢です。また、あらゆる銘柄を貸株に出すのではなく、ボーナス金利が付いている銘柄を貸し出すというストラテジーもあります。
また、貸株金利は投資のヒントにも役立ちます。貸株の金利が高い銘柄というのは、基本的には空売りしたい人が多い銘柄になります。
「なぜ高い貸株金利がついているのか」「なぜ空売りしたい人が多いのか」といったことを考察すると、トレードのヒントになる場合があります。
実はエッジが高い手法を見出すことにもつながるスケールが大きい話です。たかが貸株、されど貸株です。
GMOクリック証券は2018年8月からは一般信用売りも可能になり、よりパワフルなネット証券へと進化しています。
GMOクリック証券は口座開設・維持は無料であるにもかかわらず、100万の資産運用でも大活躍します。