東京建物が個人向け社債(東京建物Brilliaボンド)発行!第21回無担保社債

更新日:   個人向け社債

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東京建物の東京スクエアガーデン

東京建物個人向け社債を発行します。正式名称は「東京建物株式会社第21回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」です。愛称は「東京建物 Brilliaボンド」です。

東京建物社債の期間は6年(2021年7月15日償還)であり、仮条件は0.40%~0.80%(中央値0.60%)です。利率は年0.59%になりました。募集期間は2015年7月1日(水)~7月14日(火)です。

社債間限定同順位特約とは、発行者が当該社債以外の社債に対して担保を設定する場合には、当該社債にも同等の担保を設定することです。これは付いていた方が安全な特約です。

東京建物とは

東京建物は旧安田財閥系の大手不動産企業であり、マンション分譲とオフィスビル等の賃貸が主力です。不動産流通やゴルフ場・レジャーホテル運営なども展開しています。

マンション分譲は「Brillia(ブリリア)」のブランドで事業を行っており、2014年の暦年では、事業主別のマンション全国発売戸数ランキング11位です。

2014年12月期の連結営業収益構成(内部取引等控除前)は、ビル等(賃貸)事業46%、住宅事業37%、その他18%です。

2019年12月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画では、ビル等事業や住宅事業の着実な成長に加え、新たな収益の柱としてアセットサービス事業や、シニア事業、余暇事業などの成長で、営業利益500億円を目指しています。

東京建物は1896(明治29)年、旧安田財閥の創始者・安田善次郎により設立されました。2011年2月、時間貸し駐車場の運営事業を行なう日本パーキングを連結子会社化しました。

東京建物のビル

2012年に中野セントラルパーク、2013年に東京スクエアガーデン、2014年には大手町タワーが全体竣工するなど、ビル等事業における旗艦ビルが順次竣工しています。

通期計画に対する第1四半期の進捗率は、営業収益が36%、営業利益が47%となり、過去3期では最も高い進捗となっています。

東京建物は、今期は第1四半期に大規模分譲マンションの竣工が偏ったために進捗が高くなっているが、通期計画に対しては概ね計画通りに推移しているとして、期初の業績計画を変更していません。

通期では、住宅事業でマンション引渡戸数が前期の1376戸から1500戸に増加するほか、粗利益率が同17.2%から21.0%に改善する見通しです。

他方、ビル等事業で前期物件売却の反動減が大きく響く予定であり、連結では営業収益、営業利益とも前期を下回る見通しとなっています。

東京建物株式会社第31回無担保社債の分析

高金利定期預金との比較

定期預金は6年ものが少なく、5年ものが充実しています。現在の5年もの高金利定期預金は、全国的な銀行等では、SBJ銀行が年0.55%です。

次は、尼崎信用金庫ウル虎支店が年0.5%です。兵庫県在住でなくても、満20歳以上で日本国内に住所があれば利用可能です。

大阪市近辺に在住または勤務している方ですと、大阪協栄信用組合で1000万円以上預け入れると年0.7%です。

現在の日本国債5年と6年の利回り差は、日本相互証券のデータで0.051%です。6年もの定期預金の高金利の基準値としては、0.601%(大阪在住だと0.751%)を想定できます。

今回の東京建物社債の利率は、仮条件の中央値はノーリスクの定期預金を下回っています。

定期預金との利回り格差を見て、デフォルトリスクを考慮すると利率は妥当かという観点で検討することになりますが、ノーリスクの定期預金と比べて魅力がない水準です。


photo by enebisu

過去のデフォルトの確率

第21回無担保社債の東京建物 Brilliaボンドの格付けはA-(JCR)を取得予定です。ちなみにJCRはR&Iよりもワン・ノッチ格付けが高い傾向にあります。

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JCRは2014年8月時点で東京建物を以下の通りに評価しています。

大型物件の竣工や本格的な稼働等により課題であったビル等事業の収益・キャッシュフロー創出力が高まっている。このため、住宅事業や賃貸稼働資産の売却といったキャピタルゲインに依存しない安定した収益構造を構築しつつある。

加えて、財務基盤の強化が進んでいる。とりわけ 12/12期以降、自己資本が着実に拡充されている上、財務バッファーとなる含み益も大きくなっており、財務の余裕度が一段と増している。

以上を勘案し、格付を1ノッチ引き上げ「A-」とした。見通しは安定的である。

ビル等事業の収益力は向上している。不動産市況の改善により既存物件の稼働リスクや賃料低下リスクは低減している。

加えて、大手町タワーが全体竣工した上、中野セントラルパークや東京スクエアガーデン等の稼働率も改善している。今後もビル等事業の収益に厚みが増すとみられ、収益構造の強化が進む見込みである。

財務構成は改善している。特に自己資本の拡充が進捗している。11/12期に赤字計上によって自己資本が1,849億円(10/12 期末 2,561 億円)まで毀損したが、純利益の蓄積により、14/12期第2四半期末では2,792億円まで改善している。

大型物件の竣工、稼働等によって含み益が増加方向にあり、財務バッファーの厚みも増している。今後も財務構成を改善させる方向に大きな変化はないとみられる。

なお、14/12期にSPCを連結化しており、有利子負債が増加するなど、表面上の財務構成は悪化しているが、従来よりSPCを含めた実質的な財務バランスを格付に織り込んでおり、格付上特に影響を受けるものではない。

JCRのA格社債(5年)の平均累積デフォルト率(2000~2014年)は0.54%でした。

同じ格付の社債、店頭売買参考利回りとの比較

日本証券業協会のデータでは、JCRのA格社債(6年)の複利利回り平均値は0.435%です。

東京建物の社債の店頭売買参考統計値利回り平均(複利)は、残存期間約4年9ヶ月もの(2020/03/18償還)が0.445でした。また、残存期間約6年9ヶ月もの(2022/03/18償還)が0.650でした。

東京建物の大手町タワー
photo by Nobuyuki Hayashi

東京建物の財務状況

財務指標・社債及び借入金の内訳

自己資本比率は31.1%です。D/Eレシオ(有利子負債残高/自己資本)は2.6倍です。

2014年12月末の東京建物の短期借入金の平均利率は0.76%、1年内返済予定の長期借入金は1.20%、1年以内に返済予定のノンリコース長期借入金は2.33%です。

長期借入金の平均利率は1.40%で、返済期限は最長で平成84年9月です。ノンリコース長期借入金の平均利率は1.06%で、返済期限は最長で平成35年1月です。

東京建物の社債は、前回の第20回無担保社債(7年もの)は年0.658%でした。それ以前は以下のとおりです。

  • 第19回無担保社債(約5年)0.49%:2014年3月
  • 第18回無担保社債(約10年)1.54%:2013年10月
  • 第17回無担保社債(約7年)1.30%:2013年3月

東京建物の社債の投資スタンス

金利は極限まで低下しており、大規模な金融緩和が続いていることから信用は緩みきっており、信用スプレッドが非常に小さい状況が続いています。

店頭売買参考統計値利回り平均と比較すると、特に問題ない水準の社債です。概ね妥当な水準です。

しかし、現在は空前の債券バブル(低金利)であり、5年という長い年限の債権を買うのが妥当な時期とは言えません。しかも1000万円までノーリスクの定期預金より実質的に低い水準で妙味が乏しいです。

高金利定期預金の枠を使い果たしていない限りは、東京建物株式会社第21回無担保社債(東京建物 Brilliaボンド)よりも定期預金の方がいいでしょう。

現在は野村證券でトヨタ自動車の第1回AA型種類株式に申し込めます。「株式」という名前は付いていますが、実質的は、オプション付きの転換劣後債のようなタイプです。

トヨタが破綻しない限りは元本保証で当初5年間の平均利率は1.5%と高いので、こちらの方がいいでしょう。詳細は以下で徹底解説しています。

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また、個人向け国債(変動10年)の直近の利回り(0.30%)は、今回の東京建物の社債よりも若干低めですが、変動金利で金利が上昇した際は自動的に利回りが上がることから、極限の低金利の状況では個人向け国債(変動10年)の方がいいと考えます。

IPO・優良PO獲得のためのお付き合いで債券を購入しておきたい場合以外は、スルーでOKでしょう。

東京建物株式会社第31回無担保社債は、みずほ証券で購入できます。申し込みは100万円以上100万円単位です。

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