日本の幾多のネット証券の中で、ここ最近では、SBI証券は唯一、IPOで主幹事証券を担ってきた証券会社です。
また、幹事証券としての引受けも含めた関与率でも、ネット証券で断トツのNo.1となっています。
IPOチャレンジポイントという仕組みもあり、誰でもS級IPOに当選できる嬉しい仕組みもあります。
SBI証券に伺って、IPOの引受け部門で業務に携わってきたプロの方に、SBI証券のIPOについてインタビューしてきました!
SBI証券の本社所在地は東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワーです。最寄り駅は六本木一丁目駅になります。
ビルは数十階の存在感がある立派な建物でした。ロビーは吹き抜けが開放的でモダンな雰囲気でした。
エレベーターは近未来的でカッコ良かったです!
私の勤務先の自社ビルとは大違いでしたヽ(´ー`)ノ
この度は株式会社SBI証券 商品開発部の杉本部長、稲場さんにインタビューさせていただきました。
杉本部長は以前にSBI証券のIPO引受け部門で活動していたことがある方です。IPOを知り尽くしたプロから、貴重なIPOに関するお話を伺えました!
まつのすけ:IPO・PO・立会外分売という店頭証券のイメージが強いサービスがSBI証券にはあります。
特にIPOにはお力を入れていて、多数のIPOの幹事団にSBI証券が名を連ねています。IPO専業の部署があるのでしょうか?
杉本さん:私自身、IPOの引受けの部門にいて業務に従事していたことがあります。取引所・協会で引受けの規則が定められており、きちんとした審査体制と引受け部門が必要となっております。
特に主幹事証券になる場合は、審査も行う必要性があります。公開引受部という部門があり、専門の部署でIPOの引受け業務にあたっています。
まつのすけ:IPOの下準備から公開に至るプロセスについて、どのように進んでいくのか関心がある個人投資家も多いと思います。一連の流れについてご説明いただけますか。
杉本さん:どこの証券会社も基本的には同じです。まず法人営業部門で公開ニーズがある会社と接触するところから始まります。
その後、やり取りを経て公開を目指す方針となったら、公開引受部門・コンサル部門が、公開会社として適しているかをチェックして、取引所の審査に持っていくためのコンサルティングを行います。
会社によって異なりますが、1~3年程度の期間をかけて、各会社の管理部門や経営層の方と準備して社内体制の整備を行っていきます。
IPOは新興市場が中心で業績・成長性が重要なので、上場した後も業績が伸びていく経営計画を立てつつ、公開準備を進めていきます。
社内体制が整ってきて、公開できるような業績が見えてきたら、証券会社の引受審査部門にバトンタッチします。
公開引受部門も引き続き発行会社とはやり取りを行いつつ、審査部門が公開会社としてふさわしいのかという実質の審査基準を確認していきます。
企業経営の健全性、企業の収益性、コーポレート・ガバナンス、開示などについて、審査部門が独立した形で審査を行います。
審査を行った結果、主幹事証券として公開会社として推薦できる状況になったら、今度は取引所の方に上場申請を行います。
主幹事証券が推薦書を提出する形で取引所に推薦を行い、取引所の方の審査を受けることになります。
まつのすけ:IPOの想定価格の決定において考慮なさっている事項について教えてください。
杉本さん:協会の規則で一定程度定められており、類似の企業と比較した場合の各種指標(PERなど)を考慮したうえで、流動性等の観点も加味して一定程度のIPOディスカウントを入れて決めていきます。
新規性、ビジネスモデルの見通しなどをアナリストが入ってチェックしたり、発行会社にヒアリングをかけて利益計画を見るなどのプロセスを経て決めていきます。
基本的には目論見書に掲載されているとおりの方法にしたがって決定しています。
まつのすけ:想定価格に対する仮条件の上振れ・下振れの要因は、需給の動向のみでしょうか。それ以外にも何か影響があったりするのでしょうか。
杉本さん:類似会社の状況を考慮したうえで想定価格を決めて目論見書に掲載するので、基本的にはそこから大きく動くことはありません。
最も大きな要因はマーケットの変動です。例えば、最近ではチャイナショックや英国のEU離脱等で市場が大きく揺れ動いたこと等のマーケットの影響を考慮/検討する場合もあります。
発行会社に対する評価は想定価格である程度定められていますが、その間のマーケット環境に応じて上振れたり下振れたりします。
需給動向も多少の影響はありますが、人気化しているからといって想定価格を決めた際のロジックを大きく変えることはあまりありません。
IPOのローンチ後は、主幹事証券は目論見書の想定価格をもとに機関投資家にヒアリングをかけます。
想定価格についてプレヒアリングして、それを聞きながら発行会社とヒアリングして仮条件を決定していきます。
想定価格から仮条件が大きくブレることはあまりありません。価格をどういった形で決めたかという理由も取引所に提出します。
まつのすけ:ロックアップについては、証券会社の方からかけた方がいい等のアドバイスを行うことはあるのでしょうか。
杉本さん:上場後にベンチャー・キャピタル等の売却が出てくる可能性や、上場後の公募価格割れの懸念などを加味したうえで、主幹事証券の方から発行会社や大株主の方に働きかけて提案している流れになっています。
まつのすけ:SBI証券はネット口座の他に対面口座もあります。IPOの配分においては、どの程度の割合なのか差し支えなければ教えてください。
杉本さん:状況によって変わることもあり、一概に何%はネット口座という割合は決まっておりません。ただし、あくまで弊社はネット証券なので、継続的にネット口座をメインに配分しております。
まつのすけ:IPOを目指したものの、要件を充足できずに途中で断念する会社は結構あるのでしょうか?
杉本さん:一番大きいのは業績です。IPOの準備期間中に業績が計画ほど伸びなくて断念するケースがあります。
特に東証マザーズなどの新興市場だと伸びている会社に魅力があるため、審査の一つとして成長性が重視されます。
業績が頭打ちになってIPOに至らない会社はそこそこあります。主幹事証券の審査において、他の条件は全てクリアしているが、業績がふるわないため延期するという会社もあります。
業績を含めた適格性については、証券会社審査の段階で問題となるような多くの事項は解消しているのが通例となっております。
但し、業績だけは審査期間中も含め企業の事業活動は刻一刻とリアルタイムで動いておりますので、その点で思うような業績(見込含む)の進捗が見込まれない(見込めなくなった)ということはあるかと思います。
監査役の人数増加、上場後に適時開示を行えるような社内体制の整備など、様々な点についてコンサルティングしていくので、時間の経過とともに社内体制は整っていきます。
IPOにおいてネックになるのは収益性で、そこで思うようにいかない企業は多いです。上場企業はやはり選ばれし会社であり、上場できない会社はたくさんあります。
まつのすけ:IPOに際しては証券会社と証券取引所の審査があります。証券会社の審査はクリアしたものの、証券取引所の審査でNGとなる例はあるのでしょうか。
杉本さん:証券会社の方が長期間に渡って発行会社とお付き合いして審査を行っており、取引所、特に東証マザーズは審査期間が短めです。
取引所の審査は、取引所独自で行っておりますが、主幹事証券と違い、発行会社と長期間の付き合いがあるわけではありませんので、証券会社の審査内容については、参考にしているかと思います。
推薦を出した企業が取引所の審査で落ちるのはあってはならないというのが主幹事証券の立場ですし、証券会社の審査において、協会規則等に定められております重要な審査項目について、網羅(チェック)し、クリアしていることが取引所への申請の前提となっております。
ただし、取引所の審査期間中に業績が伸びなくて、1期延期するようなケースはあります。
また、直近ではgumiのような事例もあり、上場後すぐの下方修正が相次いだことから、業績が本当に大丈夫かという点で取引所の審査は厳しくなっています。
まつのすけ:有価証券上場規程 第207条等の実質基準でアウトとなる事例はあるのでしょうか。
基準 | 概要 |
---|---|
1.企業の継続性及び収益性 | 継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること |
2.企業経営の健全性 | 事業を公正かつ忠実に遂行していること |
3.企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性 | コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること |
4.企業内容等の開示の適正性 | 企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること |
5.その他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項 | 経営活動や業績に重大な影響を与える係争又は紛争等を 抱えていないこと等 |
杉本さん:実質基準は5項目がありますが、主幹事証券のコンサルのもとで実質基準を整えた上で取引所の審査に持っていくので、そのようなケースはほとんどありません。
ベンチャー企業は役員の親族の方が監査役のことなどがありますが、主幹事証券のコンサルティングのもと、上場企業としてふさわしい体制に向けて、そのような箇所はしっかりと修正していきます。
ただし、企業の収益性については証券会社がいくらコンサルしても発行会社次第であり、業績の側面で実質的にアウトとなることがあります。
IPOに向けた事業計画を立てたものの、実際に月次の業績を見ると予算に届いていないという事例は多々あります。
まつのすけ:大手証券の対面口座では直近で大きく損失を出した方にIPOが割り当てられる事例があるようですが、SBI証券のネット口座の抽選ではそのような事項は考慮されたりしていますでしょうか。
杉本さん:全く無いです。
まつのすけ:IPOに当選したものの、申し込みを忘れてしまった場合、何かペナルティはありますか。他社では1ヶ月間は当選しないようになる等のペナルティがある証券があります。
杉本さん:特にペナルティはありません。
まつのすけ:大手証券だと、出金が多かったり、当選後にキャンセルした場合は、以後のIPOの裁量配分でマイナスポイントがつく証券会社もあると言われています。
また、取引実績や残高などで優遇があります。SBI証券のネット口座では、IPOの割り当ての70%が抽選、30%がIPOチャレンジポイントです。
抽選においては申し込み数量が多いほど有利になるルールですが、それ以外に取引実績などによる優遇などはあるのでしょうか?
杉本さん:現在は70%の有効申込み数に応じた抽選と、30%のIPOチャレンジポイントでの配分のみです。
IPOに関してはお客様からもなかなか当たらないというお問い合わせもいただいており、何が最適なのかについては、継続的に社内部門で検討しております。
一例としては、70%・30%の比率を変えるのは検討材料としてはあるかと思います。ただし、現時点においては特に変更の予定はありません。
弊社は引受け部門を保有して主幹事も担当しており、できるだけ多くのIPOの株数をご提供していく点に力を入れています。
主幹事だけではなく、多数の銘柄に幹事としても入っており、引受の関与率はネット証券NO.1です。引き続き数多くのIPOをご提供してまいります。
まつのすけ:IPOチャレンジポイントというユニークな制度がありますね。これの愛好家は多く、改悪が心配の個人投資家が多いと思います。これは当面継続するということでよいでしょうか。
杉本さん:IPOチャレンジポイントについても当面は継続していく予定です。1999年から引受業務を行っており、年間数社しか上場しないIPO冬の時代もありましたが、200社という年もあり、最近は100社程度となっています。
IPOチャレンジポイントをずっと使わないで貯めていらっしゃる方もいます。
話が尽きずIPO以外にも数多くのお話を聞けました。長くなるので、一旦ここで区切ります。IPO以外のインタビューについては、以下に集約しています。
SBI証券はIPOの取扱いが多く、主幹事を務めることもあります。過去4年間の実績は以下の通りです。
- 2012年:37件
- 2013年:44件
- 2014年:65件
- 2015年:81件
- 2016年:76件
2017年4月~2018年3月のIPO引受社数ランキングではSBI証券は驚異の94.9%(75社/79社)となっており、大手証券を抑えて圧倒的No.1となっています。
ネット証券ではIPOの実績は随一であり、野村證券・大和証券・SMBC日興証券・三菱UFJモルガンスタンレー証券・みずほ証券など大手証券を含めても、IPO引受の関与率は極めて高い証券会社です。
個人投資家にとっては、「IPOといったらSBI証券」と言えます。
また、SBI証券はIPOに落選した時は「IPOチャレンジポイント」というポイントが貯まります。これをコツコツと貯めていくと、数年に一度は確実にS級IPOをゲットできます。
小口の個人投資家にとって嬉しい仕組みです。SBI証券に口座を開設してIPOに申し込んでいくと、着実にリターンを獲得することが可能になります。
IPO以外にも安価な手数料、豊富な商品ラインナップなどメリットが大きいネット証券です。詳細は以下で徹底解説しています。
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