ブラックカードを超越する究極のクレジットカードの1枚として度々名前が上がるのが「JPモルガン・パラジウムカード」(J.P. Morgan Palladium Card)です。
「1%の1%のためのカード」(card for the 1% of the 1%)というキャッチフレーズがあります。
JPモルガン・チェース(J.P. Morgan Chase)がVISAと提携して、2009年にプライベートバングの上顧客向けに発行を開始したクレジットカードです。インビテーション制です。
パラジウムカードは現在、J.P. Morgan Reserve Card(リザーブカード)にブランド変更されました。
JPモルガン・パラジウムカードの特典についてまとめます。
JPモルガンとは
パラジウムカードの発行元であるJPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co.)は、米国のニューヨークに本社を置く銀行持株会社です。
傘下には商業銀行のJPモルガン・チェース銀行(JPMorgan Chase Bank, N.A.)、投資銀行のJPモルガン(J.P. Morgan)などがあります。
社名の左端に来ているJPモルガンは、ジョン・ピアポント・モルガン(J・P・モルガン)が、フィラデルフィアの銀行家のアンソニー・J・ドレクセルと共同で、1871年にJP モルガンの前身となるドレクセル・モルガン&カンパニー(Drexel, Morgan & Co.)をニューヨークに設立したのが源流です。
1823年に創業されたニューヨーク・ケミカル・マニュファクチャリングが源流のケミカル、1955年に発足したチェース・マンハッタン、1998年にバンク・ワン・オブ・オハイオとファースト・シカゴ・NBDが合併して誕生したバンク・ワン等との合併を経て現在の形になっています。
2000年にチェース・マンハッタンがJPモルガンと経営統合しました。現在のイメージとは裏腹に、ITバブルの波に乗った高い時価総額を利用してチェース・マンハッタンがJPモルガンを買収したような形でした。
JPモルガン・チェース銀行は2011年10月にバンク・オブ・アメリカを抜き、米国で最大の資産を擁する銀行となりました。
JPモルガン・パラジウムカードの材質
JPモルガン・パラジウムカードは、アルファベットでは「JP Morgan Palladium Card」という綴りです。
ブルームバーグの記事において「1%の1%のためのカード」(card for the 1% of the 1%)という言葉が載った希少なカードです。
アクティベートの必要がないクレジットカードです。日本ではアクティベートが不要なのが一般的ですが、アメリカでは珍しい仕組みのようです。
JPモルガン・パラジウムカードは、パラジウムというレアメタル(希少金属)、23金が材質であり、レーザー彫刻で作成されています。
カードが金属なので名前はレーザーで彫って刻み込みます。カードの素材の価値が数万円~10数万円とも言われています。
カードは1オンスで従来のプラスチック製のクレジットカードの5倍の重量を誇ります。幾多の金属製クレジットカードの中でも最高峰のクオリティです。
種類 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
イージーメタル | ・前面と背面に2つのPVCプレートがあり、内部は金属 ・重量は約11グラムで、NFC非接触機能を搭載可能 | 海外で発行 |
コンパクトメタル | ・前面と背面に2つのPVCプレート ・内部にイージーメタルより上質の金属合金が使用 (脇を見ると金属の端が見えるタイプも) ・レーザー等で製造されており、重量は約16~18グラム ・非接触型決済カードとして使用可能 | アメックスプラチナ |
ハイブリッドカード | ・前面には金属製ブレードが1つあり、裏面にはPVCプレート1つ ・重さは約21グラム ・カード番号・顧客データの刻印・記録はレーザー ・NFC非接触決済機能を搭載可能 | ラグジュアリーカード |
フルメタルカード | ・特殊な金属合金でできており、重量は30グラム前後 ・非接触決済を搭載しているカードはなし ・全メタルカードの中で最も豪華(素材が高級) | JPモルガンパラジウムカード |
希望すればプラスチック製のカードを追加で作成することも可能なようです。
アメックス・センチュリオンのチタンカードと同様に、ATMに入れる際にはつまるトラブルが発生するリスクが高いので、そのような際にはプラスチック製カードを使うのが無難でしょう。
カードはシルバー一色で、右上に「JPモルガン」という筆記体のおしゃれな刻印があり、右下に「VISA SIGNATURE」という文字が刻まれています。ICチップが搭載されています。
インビテーション・年会費・手数料
気になるJPモルガン・パラジウムカードのインビテーションの条件は、日本のネット上は資産3000万ドル以上(1ドル105円換算で31.5億円)が条件という言説が多いですけれども、それはパラジウムカードの発行開始直後の話のようです。
2016年現在では、JPモルガンに1000万ドル程度を保有している方でも、JPモルガンパラジウムカードの保有者がいるようです。中には当初は500万ドルでOKという説もあります。
JPモルガンの幹部と知り合いだったり、有力者からの紹介があったり、投資銀行のプライムクライアントの立場にあったり、投資銀行・民間銀行の潜在的な上顧客とされた場合には、3000万ドルの資産がなくても、パラジウムカードを獲得できる可能性があります。
世界で約5,000人が保有していると言われています。米国のオバマ元大統領が保有しているという噂があります。
パラジウムカードの年会費は意外に安く595ドル(1ドル105円換算で62,475円)に留まっています。おそらくカード部門単体では赤字になりかねないと思われます。
しかし、その他の分野(銀行取引など)でたっぷりとJPモルガンに収益貢献している方にインビテーションが発行されるため、トータルで収益が出ているのでOKなのでしょう。
イメージ的にはリクルートカードプラスの還元率2%はカード単体の採算としては厳しいものの、貯めたポイントをリクルート系のサービスに使ってくれれば、そこで十分に収益が出るので、トータルでOKというのに似ています。
珍しい特典としては、海外ショッピング時の事務手数料が無料です。これは地味に嬉しいですね。
キャッシング、支払い遅延、Returned Payment(小切手やオンラインで行った支払が残高不足等でエラーになった場合に発生する違約金)の手数料も無料です。
キャッシング手数料が無料というのは凄まじいですね。パラジウムカードの保有者は超富裕層なので、ほとんど使う方がいないからこそできるサービスですね。「抜かずの宝刀」といったイメージです。
パラジウムカードのポイント・特典・メリット
JPモルガンパラジウムカードを利用すると、1米ドルあたり2ポイントが得られます。得たポイントは旅行やその他の購入に充当できます。
年間に10万ドル以上(1ドル105円換算で1050万円)利用したら、35,000ポイントのボーナスがもらえます。
利用できるベネフィットの例は、コンシェルジュ、空港ラウンジ、ブリティッシュ・エアウェイズのファーストクラスへの無料アップグレード、ホテルでのアップグレード、プライベートジェットサービスの特別割引などです。
また、JPモルガンパラジウムカードの特典は一律の定めがなく、カード会員の希望に応じて設定されるようです。
代表例
- MileagePlusのユナイテッドクラブ会員
- デルタ航空のラウンジ会員
- ホテルの上級会員資格が付与
- プライベートジェット機の無料手配
- 超レアなイベントのチケット手配
カードの利用限度額に関しては、アメックスやダイナースクラブカードが一律の定めがありませんでした。JPモルガン・パラジウムカードは付帯特典も一律ではないという稀有なクレジットカードです。
コンシェルジュに依頼すると、JPモルガン・チェースからOKか否かの回答が来る流れのようです。ここは推測ですが、おそらくJPモルガンとの取引状況によって、リクエストが通る度合いが決まるのでしょう。
カードの年会費は595ドルに過ぎないので、エアラインのラウンジ会員、ホテルの上級会員、プレイベートジェット無料手配などを無尽蔵に認めていたら赤字になってしまいます。
銀行取引でたっぷりとJPモルガンに貢献している場合は、ゴージャスな依頼が通るのでしょう。ここら辺は対面証券とIPOの関係に似ていそうです^^
現在、JPモルガン・パラジウムカードは、J.P. Morgan Reserve Card(リザーブカード)に変更されました。
JPモルガン・リザーブカードは物理的にはパラジウムカードと同一のパラジウム製で、パラジウムカードからメリットが改善されたVisa Infiniteカードです。
そして、リザーブカードも新規発行は終了しています。しかし、パラジウムカードの輝きは永遠に記憶に残り続けるでしょう。そのくらいのインパクトがあります。
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実際にブラックカードを活用したところ、お金では買えない類稀なエクスペリエンスが可能でした。