ダイヤモンド社から投資信託に関する書籍「投資信託のワナ50&真実50」が出版されました。
毎月分配型・通貨選択型の投信から、インデックス投信、ラップ口座まで、幅広いタイプの投資信託の落とし穴や事実についてまとまっています。
一躍有名になったNISAや、「iDeCo」という名前もついて飛躍前夜という雰囲気の確定拠出年金に関する記載もあります。
退職金の運用も、老後のお金も、若いうちの積み立ても、投資信託に投資する際に重要なポイントについてまとまっています。
最も期待リターンが高いのは個別株投資でありますけれども、金融市場は弱肉強食の世界であり、初心者が簡単に勝てるほど甘い世界ではありません。
勝つためには研究が重要となってきて、一定の努力が必要となります。その労力をかけたくないという方ですと、やはり投資信託での資産運用が有力な候補となります。
「投資信託のワナ50&真実50」は、これから投信を買いたいと思っていて、知識を網羅的につけたい方に向いています。適格な知識を手っ取り早く一通りつけることが可能です。
老後の資金をコツコツと形成したい方、退職金の運用を考えている方、少額から少しずつ投資を始めてみたい方で、投資信託での投資を第一に検討している場合は、一読すると確実に役立ちます。目次と内容は下表のとおりです。
No. | タイトル | 内容 |
---|---|---|
1 | まずは預貯金と異なる点の理解が重要に ! 投資信託の「仕組み・成績・コスト」のワナと真実 | ワナ01 プロが運用してくれるのだから投信の成績に大きな違いはない ワナ02 基準価額が低いほど割安なので1万円割れの投信を買うべきだ ワナ03 投信の成績は非常に複雑なため簡単に比較して選ぶのは困難だ ワナ04 分配金は預貯金の利子と同じで利回りが高い投信を選ぶべきだ ワナ05 コストは販売手数料が最重要で販売手数料ゼロの投信がベスト ワナ06 販売会社や運用会社が倒産なら投資した資金は全額が紙くずに ワナ07 グローバルと名のつく投信なら世界均等での分散投資ができる |
2 | これを疎かにしないで自分でしっかり考える! 投資信託の「選び方・買い方」のワナと真実 | ワナ08 投信も家電やスマホ等と同様に新設定の商品を選ぶほうがいい ワナ09 販社の窓口やネット証券によるランキングは投信選びに有効だ ワナ10 投信は人気が急上昇することで資金が増加して成績も上昇する ワナ11 相場の下落を回避する投信なら成績が安定して利益が出やすい ワナ12 新興国株投信やテーマ株投信は成長性が高く長期の投資に向く ワナ13 受け取った退職金はすぐ全額を投資しないと大きく増やせない ワナ14 証券会社と異なり銀行は味方で取扱い投信も証券会社より安全 |
3 | できているつもりが実は効果なしのケースも! 投資信託の「分散投資」のワナと真実 | ワナ15 高分配の毎月分配型だけ選んで分散したらリスクを低くできる ワナ16 1本で複数の資産に分散できるバランス型は楽で万能な投信だ ワナ17 ブームに乗り多種多様の投信を買えば自然に分散投資ができる ワナ18 価格が変動する投信を使っての資産形成は素人には難し過ぎる ワナ19 足下の投資環境や相場観により投資の資産配分は決めるべきだ ワナ20 投信での投資は銘柄選びよりも売買タイミングの決定が重要だ ワナ21 複数の投信に分散しているので後はほったらかしのままがいい |
4 | 最も低リスクの投信も水没でマイナスに! マイナス金利での「債券型の利回り」のワナと真実 | ワナ22 債券型の投信は値動きが小さく基準価額が下落する心配はない ワナ23 日本債券型は為替リスクもなく常にプラスの利回りが得られる ワナ24 先進国の債券だけで低リスクの先進国債券型投信が最も安心だ ワナ25 為替ヘッジ型は円高の影響がなく成績がマイナスになることはない |
5 | 低コスト=成績優秀と勘違いしてはいけない! 日本株型などの「インデックス型投信」のワナと真実 | ワナ26 インデックス型もアクティブ型も両者の運用成績には大差はない ワナ27 最初に買ったインデックス型をずっと保有し続けるのが重要だ ワナ28 債券型はアクティブ型よりもインデックス型のほうが安心だ ワナ29 インデックス型の成績を大幅に上回るアクティブ型投信はない ワナ30 先進国株や新興国株への投資はインデックス型の投信が最適だ |
6 | 分配金は預金の利息と違いタコ足のケースも! 誰もが買いたがる「毎月分配型投信」のワナと真実 | ワナ31 毎月もらえる分配金が多い投信は好成績なので安心して保有できる ワナ32 投資で得た利子・配当収入から分配金は出ているから安心だ ワナ33 安定した利子・配当収入に加え売買益が出たら分配金は増額へ ワナ34 分配金が安定している投信なら運用も安定しているので安心だ ワナ35 毎月分配型は分配金の利回りを窓口で確認して選ぶのが正解だ ワナ36 特別分配は運用の好成績時に上乗せで分配されるボーナスだ ワナ37 海外リート型は好調が続いており今後も高分配をキープできる |
7 | リスクにリスクを積み重ねた超ハイリスクも! 高分配利回りを謳う「通貨選択型投信」のワナと真実 | ワナ38 人気新興国通貨の通貨選択型は安定的な高分配が大きな魅力だ ワナ39 通貨選択型は人気通貨に着目し乗り換えを繰り返すのが正解だ ワナ40 「プレミアム」が名前につく投信は手数料は高いが運用力も高い |
8 | お任せで安心の裏にはとんでもない落とし穴が! 富裕層向けの低価格版の「ラップ口座とラップ型投信」のワナと真実 | ワナ41 ラップ口座はスイスの銀行並みの資産一任管理の高級サービスだ ワナ42 売買手数料ゼロのラップ口座は運用面でもコスト面でも有利だ ワナ43 ラップ型投信は相場状況に応じ資産配分を適切に変えてくれる |
9 | どんなに利益が出ても非課税にもデメリットあり! 税金ゼロが魅力の「NISA口座」のワナと真実 | ワナ44 どの金融機関に口座開設してもNISAのサービスに差はない ワナ45 NISAの口座開設は手間な上に金融機関の変更手続きも面倒だ ワナ46 NISA口座では投信を買うよりも個別株を買うほうが効果的だ ワナ47 NISA口座で投信を買ったらとにかくほったらかしにすべき |
10 | 企業型も個人型も使い方を間違うと大怪我も! 自分年金作り用の「確定拠出年金」のワナと真実 | ワナ48 60歳になるまで引き出し禁止は不自由で危険が多すぎる投資だ ワナ49 確定拠出年金には金融機関に豊富な投信があり始めやすい ワナ50 個人型確定拠出年金の税制の優遇は定期預金だけでも効果大 |
また、「投信 新・都市伝説」というCOLUMNもあり、以下のコンテンツが掲載されています。
- 運用会社が合併することは個人投資家にプラスなのか?
- 投信の販売停止の裏では何が起こっているのか?
- 投信が投信に投資するとはいったいどういうことか?
- 一部の投信にある愛称は投信選びの役に立つのか?
- 投信の販売会社の規模と使い勝手は比例するのか?
- ファンドマネジャーは1日中相場に張り付いているのか?
- ファンドマネジャーの仕事と経営者の仕事は両立するか?
- 独立系の投信の運用会社は大手の運用会社に劣るのか?
- 販売会社数の多い少ないは投信選びで重要なのか?
ファンドマネジャーの仕事や、投信の販売停止の裏側にある大人の事情、販売会社と投信の関係など、多くの投信投資家にとって興味深いと思われる内容も掲載されています。
投信の成績の比較においては、分配金再投資の場合のトータルリターンが重要である点が強調されていて有意義です。
やはり単純な利回りに惹かれるのは人情ですけれども、重要なのは分配金と本体の騰落率を含めた総合的なリターンが最重要ですね。
新興国株式の投資信託やテーマ型投信に向き合う際の心構えも参考になります。成長率が高いからといって単純にリターンが高くなるとは限らないのが投資の奥深い点です。
バランス型投信の注意点もよくまとまっています。初心者向けでリバランスを自動で行なってくれる点が大きなメリットですが、その背後には注意すべき事柄が内包されています。
投信を買ったら放ったらかすのではなく、定期的なリバランスが重要である点も参考になります。行う場合と行わない場合では、行なった方がリターンが向上するというのが過去の統計です。
2016年に日銀が導入したマイナス金利の影響によって、金利が水没してしまい、信託報酬が最終利回りを上回っている投信が存在する点も指摘されています。
日本債券のアクティブ投信には、長期金利の水準に連動して信託報酬が下がるものがあり、インデックス投信よりもアクティブ投信の方が低コストという逆転現象が発生しています。
漫然とインデックス投信最強論に拘泥していたら、むしろ高コストの投資をしていたという陥穽に嵌まるリスクがあります。
インデックス投信に勝ち続けるアクティブ投信の傾向についても参考になります。将来は不透明とはいえ、やはり重要なのは過去の統計値ないし経験則です。
毎月分配型投資信託やラップ口座の問題点についても適切に述べられています。表面的な分配金利回りではなく、「真の分配利回り」が重要です。
「愛している」という言葉ではなく、実際の行動が重要なのと同じですね。言葉を発する機会がない私には縁がない話ですけれども(´;ω;`)
IPOとのバーター取引ではなく、素面で純粋に毎月分配型投信やラップ口座を買おうとしている場合は、その前に本書を一読することを強くおすすめします。
NISA口座に加えて、確定拠出年金というタイムリーな話題もあります。やはり仕組みにおいて欠点となる箇所を事前に把握しておくことは重要です。
「投資信託のワナ50&真実50」は、これから投信を買いたいと思っている方は、購入前に読んでおくと着実に役立ちます。
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