東燃ゼネラル石油(ESSO/モービル/ゼネラル)が家庭向けの新電力サービスに参入しています。「myでんき」という名前です。
業務用電力に長年に渡って携わっていた大企業ですので安心感があります。電力自由化で家庭の選択肢が格段に広がっています。
※ただし、2022年後半のように燃料費調整額が高騰している状況では、大手電力会社の従来型の「従量電灯」プランの方がお得です。
東燃ゼネラルグループの新電力 「myでんき」のメリット、デメリットについてまとめます。
東燃ゼネラルグループの「myでんき」とは
東燃ゼネラルグループは、かつてのモービル石油、エッソ石油、東燃、ゼネラル石油の4社をベースとした製販一体の企業グループです。
現在、エッソ、モービル、ゼネラルのブランドで全国に約3,400のサービスステーション(給油所)を展開しています。
東燃ゼネラルグループは業務用電力については歴史が古い企業です。1994年から20年以上にわたって電力を販売してきた実績があります。
グループの発電所のほか、各工場にも自家発電設備を完備しています。2011年に計画停電が行われた際にも電力供給を行い、2015年からは特別高圧・高圧の法人へ電力を販売しています。
「myでんき」を利用すると、今と変わらない電力品質で安心しつつ、今までより電気代が安くなる可能性があります。
「myでんき」は、東燃ゼネラルグループの効率的な発電事業に外部電力の調達を組合わせることで、経済的な料金となっています。
東燃ゼネラルグループの発電設備からの供給、他社の発電設備の余剰分、日本卸電力取引所で取引きされている電気の買取りなどを活用しています。
myでんきに切替えることで、送電が不安定になったり、停電しやすくなる心配はありません。myでんきで送られてくる電気は、これまでと同じ送電網を利用して供給されます。
使う電気の品質・信頼性は従来と同じです。申し込みも簡単です。手元に検針票を用意して、Webサイトで申し込むだけで、電気契約の切替手続きを行えます。
myでんきに切替えるための初期費用や工事費用などは、原則としてかかりません。電気料金のシミュレーションも行えます。
契約は原則1年間の自動更新契約となりますが、途中で解約した場合の違約金等の発生はありません。携帯電話会社とは異なり、良心的な制度を導入しています。
家庭向け料金
myでんきの家庭向け料金プランは以下3つです。
- 標準プラン月額(定率割)
- たっぷりプラン月額(kWh割)
- まとめてプラン月額(定量割)
myでんきと契約すると、現在の電気料金プランが従量電灯B(契約容量が30A以上)や従量電灯Cの場合は、今までと同じ電気の使用量で、月々の電気料金が安くなります。
家族2人でマンションでお住まいの場合(契約アンペア40A 月額の電力使用量290kWhを想定)、約5%も電気料金が安くなります!
切替前の電気料金が月額約7,900円の場合、約7,500円になり、年間約 5,000円(税込)お得になります。吉野家の牛丼13杯分です。
家族4人で戸建てでお住まいの場合(契約アンペア60A 月額の電力使用量540kWhを想定)、約10%も電気料金が安くなります!
切替前の電気料金が月額約15,700円の場合、約14,000円になり、年間約20,000円(税込)お得になります。吉野家の牛丼52杯分です。
店舗兼住宅で美容院を経営している方の場合(契約容量10kVA 月額の電力使用量1190kWhを想定)、約11%も電気料金が安くなります!
切替前の電気料金が月額約36,500円の場合、約32,400円になり、年間約50,000円(税込)お得になります。吉野家の牛丼131杯分です。
空前の低金利の情勢においては、脳天逆落としのような強烈なコストダウンですね。現在の契約プランによっては高くなる場合もあります。
賃貸契約の住宅に住んでいる場合でも、myでんきを契約することは可能です。現在の電力会社との契約名義が本人の場合、myでんきへご契約の切替えが可能です。
支払い方法は、口座振替かクレジットカードのいずれかとなります。コンビニ払いはできません。
東京電力エリア(従量電灯B/C)における具体的な料金についてまとめます。
まずは「myでんき」の料金プラン「標準プラン」です。以下表は全て税込みです。
契約種別 | 契約容量 | 基本料金 (1契約) | 電力量料金(1kWhにつき) | ||
---|---|---|---|---|---|
最初の 120kWh | 120超 ~300kWh | 300kWh 超過 | |||
従量電灯B | 30A | 817円13銭 | 18円85銭 | 25円13銭 | 29円03銭 |
40A | 1,067円04銭 | 18円46銭 | 24円61銭 | 28円43銭 | |
50A | 1,333円80銭 | 18円46銭 | 24円61銭 | 28円43銭 | |
60A | 1,583円71銭 | 18円26銭 | 24円36銭 | 28円13銭 | |
従量電灯C | 6kVA以上 50kVA未満 | 263円95銭 | 18円26銭 | 24円36銭 | 28円13銭 |
※電気料金は、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金の合計
※燃料費調整額は東京電力が規定する金額と同額を適用
※まったく電気を使用しない場合の基本料金は半額
次に「たっぷりプラン」の場合の月額金額です。月300kWh超の部分の電気料金が安くなっています。
契約 種別 | 契約容量 | 基本料金 (1契約) | 電力量料金(1kWhにつき) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
最初の 120kWh | 120超 ~300kWh | 300超 ~600kWh | 600kWh 超過 | |||
従量 電灯B | 30A | 842円40銭 | 19円52銭 | 26円00銭 | 24円62銭 | 25円67銭 |
40A | 1,123円20銭 | |||||
50A | 1,404円00銭 | |||||
60A | 1,684円80銭 | |||||
従量 電灯C | 6kVA以上 50kVA未満 | 280円80銭 | 19円52銭 | 26円00銭 | 24円62銭 | 25円67銭 |
最後に「まとめてプラン月額(定量割)」の場合の金額です。
契約 種別 | プラン | 契約容量 | 基本料金 (1契約) | 電力量料金(1kWhにつき) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
最初の 300kWh | 300超~ 400kWh | 400超~ 500kWh | 500kWh 超過 | ||||
従量 電灯B | まとめて300 | 30A | 842円40銭 | 定額料金 6,372円 | 従量料金 29円12銭 | ||
40A | 1,123円20銭 | ||||||
50A | 1,404円00銭 | ||||||
60A | 1,684円80銭 | ||||||
まとめて400 | 30A | 842円40銭 | 定額料金 8,874円 | 従量料金 28円82銭 | |||
40A | 1,123円20銭 | ||||||
50A | 1,404円00銭 | ||||||
60A | 1,684円80銭 | ||||||
まとめて500 | 30A | 842円40銭 | 定額料金 11,376円 | 従量 28円52銭 | |||
40A | 1,123円20銭 | ||||||
50A | 1,404円00銭 | ||||||
60A | 1,684円80銭 | ||||||
従量 電灯C | まとめて300 | 6kVA 以上 50kVA 未満 | 280円80銭 | 定額料金 6,372円 | 従量料金(1kWhにつき)29円12銭 | ||
まとめて400 | 定額料金 8,874円 | 従量料金28円82銭 | |||||
まとめて500 | 定額料金 11,376円 | 従量28円52銭 |
燃料費調整額とは、事業者の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、経済情勢の変化を出来る限り迅速に料金に反映させるための料金です。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買取ることを国が約束する制度です。
電力会社が買取る費用を電気利用者から賦課金という形で集め、コストの高い再生可能エネルギーの導入を支えていきます。
一般的に電気料金は基本料金+従量料金(電気量料金)と、輸入燃料価格の変動に応じて自動的に調整される燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金の合算で算出されます。
「具体的な数字を見てもピンと来ない」という方が大多数だと思います。東燃ゼネラルのサイトでは、myでんきで電気料金がどのように変わるのかのシミュレーションを行えるのでわかりやすいです。
電気の契約容量や月々の電気使用量が多いほど今までよりお得になります。myでんきを契約していると、無料のWebページで日々の電気使用量や過去の電気料金など、家庭の電気に関する情報を確認できます。
月々の支払金額が確定した際にはEメールで通知が来るので、専用ページで確認することになります。利用明細の郵送は有料(税抜100円/月)です。
「myでんき」の電力供給エリアは関東地方、中部地方、関西地方となっています。東京電力・中部電力・関西電力のエリアが幅広く対象となっています。
エリア | 都道府県名 |
---|---|
東京電力 | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、栃木県、茨城県、群馬県、山梨県、静岡県(富士川以東)※但し離島を除く |
中部電力 | 愛知県、静岡県(富士川以西)、三重県(熊野市、南牟婁郡紀宝町、南牟婁郡御浜町)、岐阜県、長野県 |
関西電力 | 大阪府、京都府、兵庫県(赤穂市福浦を除く)、奈良県、滋賀県、和歌山県、福井県(三方郡美浜町以西) |
業務・法人向けプラン
東燃ゼネラル石油のmyでんきでは、お店や事務所、小さな工場などで、業務用空調設備、モーターなど動力で電気を利用している方向けに「低圧電力」の割引プランを用意しています。
月間の電気使用量が一定以下であれば、契約容量が大きい場合ほど電気料金の割引額が大きくなります。
今までの電気料金からの年間割引額イメージは下表のとおりです。概ね6%前後の割引が適用されます。
現在の 契約種別 | 契約容量 | 割引適用の上限 となる月間使用電力量 | 割引額の目安(税込) | |
---|---|---|---|---|
月間割引額 | 年間最大割引額 | |||
低圧電力 | 5 kW | 350 kWh | 540 円 | 6,500 円 |
6 kW | 420 kWh | 648 円 | 7,800 円 | |
7 kW | 490 kWh | 756 円 | 9,100 円 | |
8 kW | 560 kWh | 864 円 | 10,400 円 | |
9 kW | 630 kWh | 972 円 | 11,700 円 | |
10 kW | 700 kWh | 1,080 円 | 13,000 円 | |
15 kW | 1,050 kWh | 1,620 円 | 19,400 円 | |
20 kW | 1,400 kWh | 2,160 円 | 25,900 円 | |
25 kW | 1,750 kWh | 2,700 円 | 32,400 円 | |
30 kW | 2,100 kWh | 3,240 円 | 38,900 円 |
具体的な基本料金(1kWにつき)は1,101円60銭、電力量料金(1kWhにつき)は夏季(7月1日~9月30日)が16円97銭、それ以外が15円42銭です。
1か月の使用電力量(kWh)が、「1か月の使用電力量 ≦ 契約電力×70」となる場合、基本料金に割引が適用されます。基本料金の負荷率割引(1kWにつき)は108円OFFです。
今までと同様の送電網を介して電力供給が行われるため、停電の起こる可能性や電気の品質は今までと変わりません。
仮に東燃ゼネラル石油の発電所が停止したり、トラブルがあった場合で電力供給不足が見込まれる場合も、日本卸電力取引所(JEPX)を通じて電力調達を行います。
それでも結果的に不足した場合には、地域の電力会社から電力のバックアップ供給を受けます。停電することはなく、普段どおり電気を使用できます。もちろん追加の料金負担はありません。
myでんきへの乗り換えのチェックポイント
一般消費者の動向としては、電力会社選択時に重視するのは、料金の安さが第一となっています。次に料金メニュー・手続きのわかりやすさ、安心安全のイメージの企業が挙げられています。
顧客対応等のサービス品質、生活パターンに合った料金メニュー、契約期間の縛りがないことなども重視されています。
新電力に乗り換える際には、検針票を用意して希望する会社に申し込むだけでOKです。
現在の電力会社との解約手続き、スマートメーターの設置の手配など、必要な手続きはすべて自動的に行われます。
スマートメーターとは通信機能を備えていて遠隔で検針可能な電力量計です。30分単位で使用電力量を集計します。
家にスマートメーターがない場合は、新電力に申し込んだら無料で設置されます。「スマートメーターを有料で設置しないと電気が止まる」などの電話や飛び込み訪問があったら詐欺ですので注意しましょう。
申込時には、検針票に書かれた「供給地点特定番号」と「お客様番号」が必要となります。供給地点特定番号は2016年1月以降の検針票に記載されています。
2016年3月に乗り換えを効率的に進めるための「スイッチング支援システム」が稼働し、申し込みを受けた新電力がこのシステムに契約情報を登録すると、これまでの電力会社へ自動的に解約依頼が入るようになりました。
スマートメーターの設置が必要な場合は、申し込みの承諾から最短で約2週間程度、新電力が可動するまでかかります。設置済みの家庭は3日後からとなります。
これまでに作られている送電線・配電線を利用するので新しい電線は不要です。電力会社によって電気の質に差はありません。新電力が調達する電力も従来と同じ送配電網を使って届きます。
どの会社から購入しても家庭に届く電気の品質は同じなので、価格や特典、好みで比較すればOKです。「新電力だから停電しやすかったり暗いという事態はありません。
万が一、東燃ゼネラル石油が倒産したとしても、電気が止まることはありません。旧電力会社(東京電力など)の従量電灯プランが自動的に適用される決まりになっています。経過措置中に次の電力会社を決めることになります。
従来の料金プランは少なくとも2020年3月までは経過措置プランとして残されるので、新料金プランに変更したり、新電力に乗り換えなくても数年間はこれまでどおり利用可能です。
オール電化住宅の家庭は、従来からある専用プランが割安に設定されているため、従来の方が安いケースが多いです。これが「myでんき」のデメリットです。
新電力の契約時は以下の項目をチェックして、乗り換えた方がお得なのか否かを確認しましょう。
- 契約期間(1年か2年か)
- 中途解約の違約金がどの程度か(中途解約リスクをチェック)
- ライフスタイル(一日中まんべんなく使うか、夜の使用量が多いのか)
- 自宅の電気使用量(乗り換えたら従来より安くなるか否か)
- セット割・ポイントなど特典
留意点としては、新電力の多くは紙の請求書が有料化されており、無料で料金を確認できるのはインターネットの会員サイトのみの業者が多いです。
無料で発行するのはガス料金と併せて請求書に記載する東京ガスなどごく僅かです。
電気事業もクーリングオフの対象になったので、訪問販売・電話勧誘での申込みには、8日間のクーリングオフが適用されます。
ただし、店頭申込みやインターネット申込みなどで自発的に契約した時はクーリングオフが適用されません。
まとめ
東燃ゼネラル石油の「myでんき」は、既存の電力料金と比較して、電気料金を安くできる可能性があります。
ただし、東京電力は多様なプランがありますので、従量電灯プラン以外のライフスタイルに合ったプランの場合はそちらがお得になる場合があります。
電気料金が安くなるのかはライフスタイルと今の電気料金プランによりますので、まずは東燃ゼネラル石油のサイトでシミュレーションしましょう。
東燃ゼネラルグループ以外では、通信事業者のauが「auでんき」、ソフトバンクが「ソフトバンクでんき」を開始しています。
東燃ゼネラル石油のライバルであるENEOSも家庭向け電力に参入しました。
ENEOSカード、ANAカード、ビューカード、エポスカード、エムアイカード、TS CUBIC CARD、レクサスカードで支払うと、ガソリン割引や、マイル・ポイントアップの特典があります。

apollostationの新電力「ドライバーズプラン」は、ハイオク・レギュラーは10円/リットル、軽油は5円/リットルの割引となるのがメリットです。
複数の電力会社を比較検討したいという場合は、比較サイトが便利です。現在の電気代やライフスタイルから、最適な電力会社がどこかを比較検討できます。
ガソリンスタンドでガソリンがお得に給油できるクレジットカードがあります。新電力以外ではクレジットカードを活用すると、より一層お得になります。
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その他、ガソリンをお得に給油できるクレジットカードについては、以下で徹底解説しています。
