マンション、一戸建て、土地など不動産の売却は、大別すると2種類があります。
不動産会社の仲介によって飼い主を見つけて売却する仲介取引と、不動産会社・不動産買取会社に直接売却する「買取」です。
不動産会社が買い手となるディールです。不動産会社の立場としては、買い取った不動産にバリューを上乗せしたり、不動産価格の先高感がある時に仕込んで、より高値で売ることを企図して購入することになります。
リフォームしたり、更地にしたり、あるいは周辺の土地も買い取って大型化するなどで高く売ることを目指しています。もちろん、時にはそのまま転売することもあります。
不動産を売る際には不動産会社選びが重要となります。選び方については、以下で徹底解説しています。
ここでは不動産の買取のメリット、デメリット、損得、仲介による売却との比較についてまとめます。
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不動産買い取りと売却の比較
マンション・一戸建てなどの不動産を売る時は、通常は不動産企業はあくまで仲介者の立場でPR・露出活動・自社内の顧客斡旋などの方策を駆使して、その結果として買いたいという希望を持った方に売却することになります。
分かりやすく言うと、売り手はヤフオクやメルカリにおける出品者です。不動産会社はYahoo! JAPANやメルカリです。不動産の購入者は落札者です。
他方、不動産の買取は、直接不動産会社が物件を購入する形式です。例えば、本・ゲーム・CD・DVDをブックオフやGEOに売るのと同じです。
ブックオフやGEOは買い取った本・ゲーム・CD・DVDなどを高い価格で来店者やネットで売却するのが通常です。
もちろん、ブックオフやGEOの見込み違いで買取額よりも高く売れずに売れ残った場合は、在庫処分で赤字覚悟で値下げして売り切ることもあります。
不動産企業の買取も、ブックオフやGEOの買取と同じようなことをします。不動産が本やCDとは異なるのは、リフォーム・更地化・周辺の土地と合体させて広大化といった価格向上施策が可能であることです。
本やCDはせいぜい消毒したり磨いたりするくらいですが、不動産は色々と価格上昇のための工夫が可能です。
また、不動産価格は株価よりはマイルドな傾向がありますが、見えないだけで刻一刻と変動します。不動産価格が上がると不動産業者が予想する場合は、高値で買い取る場合も出てきます。
買取による持ち家売却のメリット
売却の場合、まず仲介を依頼して不動産会社が広告宣伝活動を行い、買い手が現れてから、内覧や交渉を経て売却が決まり、住宅ローンの審査を待ってようやく契約が確定といった時間がかかります。
しかし、買取は不動産会社がすぐに購入してくれるので最短で数日後には現金を獲得できます。不動産会社はキャッシュをすぐに支払ってくれるのが原則です。
急いで不動産を売りたい場合は、手間がかからずにスピーディーな取引が可能ですぐに売れるのが大きなメリットです。
出産や転職などのスケジュール上、どうしても一定期間に売らなければならない場合もあります。
そのような場合は、買取が便利です。ライフスタイルのサイクルに合わせた売却が可能になります。
また、瑕疵担保責任が免除されるのもメリットとなります。不動産会社の仲介によって不動産を売った場合は、売主は瑕疵担保責任を背負います。
売却後に隠れた瑕疵が発覚した場合、一定の期間内は修繕費を支払う義務が生じます。一例としては、配管設備の不具合・シロアリ・雨漏り等です。
不動産の修繕費は時として高くなってしまうので、最悪のケースだと数百万円といった支出が生じるリスクがあります。
しかし、不動産会社の買取による売却の場合、瑕疵担保責任は免責されるので、たとえ売却後に不具合が発生したとしても修理費用の支払いは不要となります。
また、他の人に持ち家・土地を売ることを知られないのも場合によってはメリットとなります。
仲介で不動産を売る場合は、首尾よく不動産会社の顧客に買い手がいてトントン拍子で進まないかぎりは、インターネットのWebサイト、折込チラシ、雑誌などで広告が行われて物件の情報が掲載されます。
しかし買取であれば、そのようなことはありません。他者に知られずにマンションを売却することができます。
一戸建てならば家を取り壊して更地にして売り出すという選択肢があります。また、取り壊すのを前提とした売却も可能です。
しかし、マンションはそのようなことは不可能です。マンションの売却時には、買い手の内覧時に見栄えをよくするために、カーペット・フローリング・壁紙などをメンテナスしたり、ハウスクリーニングを行う必要が生じます。
生活感があって汚い物件だと売却価格に絶大な悪影響が及ぶので、特に築年数が古い物件では欠かせないです。
しかし、こうしたメンテナンスには手間も費用もかかります。買取であれば相手はプロの不動産業者であることから、表層的な汚れなどは冷静に査定します。
したがって、SNSで言われるところの「盛る」ための余計なクリーニング・リフォームが不要な点がメリットです。
買取のデメリット
不動産業者の買取のデメリットは、仲介を経て第三者に売るよりも安くなる傾向があることです。
当然のことながら、不動産業者は利益を出す必要がありますので、利鞘ないしマージンを確保できる金額で買取を行います。
これは本・ゲーム・CD・DVD等はブックオフで売るよりもヤフオク等のネットオークションで売った方が高く売れる場合が多いのに似ています。
また、株主優待は金券ショップで売るよりもネットオークションの方が高価な傾向があるのと類似性があります。
どの程度ディスカウントされるのかについては、不動産業者の状況、金利・金融機関の不動産企業への融資性、資金調達の容易さ、物件の先高感、不動産の市況などによってバラつきがあります。
一般論としては売却によって得られる金額の60%~80%程度になることが多いと言われています。
売却価格の目安(万) | 60%の金額 | 70%の金額 | 80%の金額 |
---|---|---|---|
1,000 | 600 | 700 | 800 |
1,250 | 750 | 875 | 1,000 |
1,500 | 900 | 1,050 | 1,200 |
1,750 | 1,050 | 1,225 | 1,400 |
2,000 | 1,200 | 1,400 | 1,600 |
2,250 | 1,350 | 1,575 | 1,800 |
2,500 | 1,500 | 1,750 | 2,000 |
2,750 | 1,650 | 1,925 | 2,200 |
3,000 | 1,800 | 2,100 | 2,400 |
3,250 | 1,950 | 2,275 | 2,600 |
3,500 | 2,100 | 2,450 | 2,800 |
3,750 | 2,250 | 2,625 | 3,000 |
4,000 | 2,400 | 2,800 | 3,200 |
4,250 | 2,550 | 2,975 | 3,400 |
4,500 | 2,700 | 3,150 | 3,600 |
4,750 | 2,850 | 3,325 | 3,800 |
5,000 | 3,000 | 3,500 | 4,000 |
7,500 | 4,500 | 5,250 | 6,000 |
10,000 | 6,000 | 7,000 | 8,000 |
まとめ
マンション・一戸建て・土地等の不動産の買取は、迅速に売却できて手間がかからないのが最大のメリットです。
他方、デメリットは仲介を依頼して買い手を見つけて売却する場合よりも、得られる金額が低くなる傾向があることです。
引っ越し・転職・出産・相続税の支払いなどで「必ずこの期間まで売却しなければならない」といった事情がある場合や、多忙でとても不動産の売却に対応できない場合などには買取は便利な仕組みです。
また、築年数が古いマンションなどはなかなか買い手が見つかりづらい傾向にありますし、室内を良く見せるためのリフォームなどの手間もかかります。
マンションは一戸建てとは異なり、取り壊して更地にして売却するという選択肢がありません。
瑕疵担保責任も背負わなければなりません。水道などの給水管、トイレ・バスの排水管は目に見えませんので、問題なさそうに見えて売却後に不具合が発覚して炎上するリスクがあります。
したがって、築年数が古いマンションなども買取に適している側面があります。
不動産業者はスケールメリットやプロの戦闘力を活かしてリフォーム費用を個人よりも非常に安く抑えることができるので、個人レベルで手直しするよりも効率がいい側面があります。
ブックオフとGEOで買取価格が異なるように、一戸建て・マンション等の不動産の買取も、不動産会社によって買取金額は異なります。
持ち家を高く売るためには、必ず複数の不動産企業に見積もりを依頼することが重要です。
買取で売却に伴う手間は大幅に削減できるので、見積くらいはほんの少しだけ時間をかけて複数の会社を比較検討することが大事です。
もちろんラッキーならばたまたま依頼した会社の査定額が高いこともありますが、不運にもその会社の買取価格が低かった場合、取り返しのつかない陥穽に嵌まってしまいます。
また、買取と売却を比較検討することも重要です。売却の方が相当に高く売れる場合もあります。
買取と売却の両面で不動産企業の見積もりを取り、金額と手間を比較検討することが不動産の高値売却にとって重要となります。
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