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日銀の追加緩和はあるのか?異次元緩和と株価は今後どうなるか

投稿日: マーケット・経済の分析

img_水と薄明かり

日銀は2015 年度のコアCPI 見通しを10 月の+1.7%から+1.0%へ下方修正したにもかかわらず、追加緩和がありませんでしたね。

日銀の異次元緩和、日本経済、日本株の株価の今後についてまとめます。


追加緩和があった場合の株価への影響

日銀の追加緩和があった場合、株価はどうなるかというご質問をいただきました。これ以上の緩和は株価に対して良い影響はないという意見もあるようです。

金融緩和は基本的には株価上昇・円安の起爆剤となります。ただ、内容があまりインパクトがない緩和だと、一時的に株価が上がっても、元に戻ってしまうこともあります。

この点、白川前総裁は小出しに徐々に金融緩和を強化していく傾向がありましたが、黒田総裁は小出しにしない代わりに、緩和策を出す時はインパクトが大きいものをズドンと出しますね。バズーカと形容されています。黒田総裁のもとで追加緩和があったら株価にプラス材料でしょう。

追加緩和については国債金利が定位安定していること、国債の流動性が崩壊していることから、これ以上の国債買い入れ拡大の効果に疑念が生じていますし、このまま行くと買う国債がなくなって、とんでもないマイナス金利か財政赤字の拡大が必要になるという状況になりかねません。

日銀が現在の異次元緩和を続けただけでも、10年債の発行残高に占める日銀の保有比率は、2015年半ばに30%を超えて、2016年末には50%近くまで到達する見込みです。

したがって、次の追加緩和は国債主体ではなく、外債やETFしかないような気がします。外債は米国が金利上昇に困っている状況なら可能性が出てきますが、現状はそうではなく、米国債の消化に不安は全くないので、難しいでしょう。

ギリシャ国債を買い入れたら、全世界がニンマリで大歓迎となります。日銀によるギリシャ国債買い入れという異次元中の異次元緩和はインパクトがありますね。

しかし、さすがに財政健全化やプライマリーバランスの黒字化が重要といって消費税増税がありながら、ギリシャのファイナンスを助けるというのは国内政治的に無理でしょう。

したがって、追加緩和があるとしたらETFが主体となると思います。今後、株安・円高が進むことがあれば、QQE1は「2」、QQE2は「3」がキーワードだったので、次は「4」をキーワードにETF買い入れの増加が考えれます。4を飛ばして「5」もいいかもしれませんね。

不透明さが増幅した日銀の金融政策

ただ、追加緩和の有無について不透明さが増しました。2013年4月4日の異次元緩和発動時は、「消費者物価の前年比上昇率2%の物価安定の目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」とされていました。当初は2015年4月±数ヶ月~1年が意識されていました。

記者からの質問に対する黒田総裁の解答の一つに、次のものがあります。

「昨年10月の展望レポートと比べると、原油価格の大幅な下落の影響から、2015年度にかけて下振れています。もっとも、需給ギャップや中長期の予想物価上昇率に規定される物価の基調的な動きについての見通しに変化はありません。

また、原油価格の下落については、前年比でみた影響はいずれ剥落する性質のものですし、経済活動に好影響を与えて、やや長い目でみれば物価の上昇要因になると考えています」

しかし、10月は原油価格の下落が中長期の期待インフレ率に対するマインドに悪影響だから追加緩和を行ったわけであり、説明の整合性がつかずにロジックエラーが発生しています。

10月は「デフレマインドが戻らないようにするため」に追加緩和したが、今回は「デフレマインドにまた戻ってしまうという懸念は、現在のところは、幸いに払拭されていて、生じていない」と説明しており、結論ありきではないかという苦しい説明となっています。

原油安には追加緩和で立ち向かって何が何でも2015年度に2%にするというモードから、原油安は経済にプラスだから2016年度に達成すればOKというモードにシフトしつつあるようなイメージです。

穿った見方をすると、昨年10月のバズーカ2は消費税の増税論者である黒田総裁が、消費増税を確実なものにするアシストの趣旨があったのかなと思ってしまいます。

日銀の次の一手が読みにくくなりました。今回の日銀政策会合とQ&Aを素直に解釈すると追加緩和期待が後退するところですが、またサプライズを演出していきなりバズーカ砲撃となる可能性もあります。

株価のバブル期待は減退しました。ただ、金融政策としては穏健であり、結論については強いハト派・タカ派以外には幅広く受け入れやすい路線だと思います。

足元の物価下落は問題ありません。原油価格の下落によって石油王への納税が減ったわけであり、消費税減税のような効果があるわけですから、日本経済にはプラスです。

ここにきて、リフレ派の国会議員やエコノミストから日銀法を改正して2%を義務付けたり、雇用を日銀の金融政策の目標に入れるべきという意見が出ています。

内容次第では再度、日銀が手段を選ばずに何が何でも早期2%モードに転換する可能性があり、株価・REIT価格・地価等が最加速する可能性が出てきます。他方、インフレがどこかでオーバーシュートするのではという懸念も増幅します。経済に大きな影響が出てくるので、動向に注目です。

結論としては、金融緩和期待は後退したものの、もし株安・円高が深刻化することがあれば、バズーカ3があると思います。インフレ率が低位安定している限りは、黒田プットは健在です。株価に弱気になる必要はまだないと思います。

日銀の異次元緩和の今後のシナリオ

長期的な日銀の異次元緩和と日本経済は今後どうなるかについては、3つのシナリオがあります。

マイルドインフレの定着

インフレ率が1.5~2.5%程度で安定するパターンです。マイルドインフレが定着して、異次元緩和が成功裏に終わるパターンです。日本経済はハッピーエンドとなります。

もちろん日銀のバランスシートは大きな規模で拡大していますので、金融緩和の縮小・利上げは、FRBにように非常に漸進的に進めていく必要があります。

この場合、株価は安定的に右肩上がりとなるイメージです。

インフレ率が低迷

第二に、原油価格の低位安定などから、いつまでたってもインフレ率が0~1%程度で低空飛行を続けるパターンです。

この場合は、異次元緩和で年間80兆円という尋常ではないペースで国債を買い入れていることから、長期的にはどこかで国債をそれ以上買えなくなる局面が訪れます。

この場合、財政赤字を拡大させて日銀が買える国債を増やすか、異次元緩和の規模を縮小するか、とんでもない追加買い入れの選択肢となると思います。

あるいは、前述のとおりギリシャ国債など、国債の消化に困っている世界の外債を買い入れたり、銀行の債権の簿価買取りといった異次元中の異次元緩和を発動するというファイナルウェポンはありえます。しかし、これらのハードルは高すぎます。

インフレ率の低迷がずっと続いた場合、(1) 財政赤字拡大という禁断の果実を飲む、(2)異次元緩和の縮小、(3)とんでもない資産の買い入れの開始などの選択となります。ルビコン川を渡るか否か、究極の選択を迫られます。

金融緩和の副作用はインフレ率の上がりすぎやバブルなので、それが見えていない状態では、財政赤字拡大が選好されるでしょう。国民・企業・政治家・官僚の全方面に優しい財政赤字拡大はいくらでも可能です。法人税減税、消費税・所得税等の減税、公共事業等の財政支出拡大など手段はいくらでもあります。

(2)異次元緩和の縮小の場合は、強烈な株安・金利上昇になる可能性が高いです。(1)と(3)は株価がバブる可能性があります。バブル崩壊後は恐ろしいです・・・。

インフレ率の上昇が止まらなくなる

インフレ率が2%前後でストップすればいいですが、2.5%、3%、3.5%、4%とインフレ率の上昇が止まらず、オーバーシュートするパターンです。

日銀のインフレ目標は2%なので、上振れた場合は金融緩和の縮小、金融引き締めが必要になります。しかし、これのハードルは高いです。日本の場合、債務残高が巨額であり、かつ短期国債での調達比率が高く、満期負債(借換債)も高水準です。

いったん市場金利が上昇局面に入った場合、日本は急速なペースで利払い費が増加してしまうため、金利上昇が始まれば税収が増えていても追いつかずに債務危機を起こす可能性があります。

また、非伝統的金融緩和の影響については諸説ありますけれども、金融引き締めが景気に悪影響である点については、異論はほとんどありません。経済・財政・株価への悪影響を考慮すると、金融引き締めのハードルが高いと思います。

インフレがオーバーシュートした場合は、インフレ放置で金融緩和継続か、悪影響を覚悟で異次元緩和の終了&金融引締めかのどちらかになります。この場合は金融引き締めができず、インフレ放置しかなくなるような気がします。

ただし、テロ・戦争・致命的大災害等が勃発しない限りは、現時点では可能性は低いです。程々のマイルドインフレの定着を心から祈っています。

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