投資効率を120%向上させる損切りの方法

更新日:   資産運用・マーケット・経済

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「損切りをしないか、するとしたらどの程度に設定すべきか」は、意見が分かれる問題であり、パフォーマンスに大きな影響を及ぼす重要な課題です。

損切りルールを設けている方もいれば、「損切りしない」という方針で成功している方もいます。

損切りの意味、タイミング、目安についてまとめます。

損切りの意味

損切りとは、評価損が生じている株式、信用取引・FX・先物取引の建玉等を反対売買(買いポジションなら売り、売りポジションなら買い)して、損失を確定することです。

カタカナでは、「ロスカット」、「ストップロス」とも呼ばれます。

一取引あたりの最大損失額を限定するためのリスク管理の手法として、損切りのルールを設けることがよく推奨されています。

あらかじめ損失額か損失率などで損切りの目安を決定し、含み損が上限になったら、そのタイミングでポジションを反対売買して手仕舞いすることになります。

例えば最大損失額の目安を100万円に設定し、株価2,000円の株式を5,000株(1000万円分)買った場合、株価1,800円になったら売却するようにします。

もしくは、ロスカットラインの目安を10%と設定し、ポジションをとった価格から10%マイナス方向に動いたら反対売買するようにします。

また、ロングの場合は直近の最安値(ショートの場合は最高値)や、移動平均などに損切りラインを設定する方法もあります。

損切り注文を出すのは心理的な抵抗が高く、ついつい希望的観測でルールを定めていても損切り注文を出せない場合も多いため、あらかじめ「逆指値注文」を設定しておくと確実に損切りが可能です。

損切りのタイミング・目安は極めて難しく、「こうしたら上手くいく」という万能的な設定は難しいです。その時々の相場動向やボラティリティによって損切りラインが上手く機能することもあればしないこともあります。

損切りのメリットは、判断の誤りによる大きな損失の発生を防止できることです。大ヤラレや一発退場を回避することができるリスク・マネジメントの施策です。

デメリットは、損切りしたところが底で反転上昇して、「損切りしない方がよかった」というケースも多いことです。

株価・為替レートなどにはボラティリティがあり、何もファンダメンタルに変化が無くても価格が揺れ動く「意味の無い下落」があり、損切りルールを設けることでこれに引っかかってしまうことはよくあります。

短期のトレーディング

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短期売買やトレーディングにおいては、損切りは重要だと考えます。

デイトレやスイングトレードは、「損小利大」(損失は小さく、利益は大きく)の考えのもと、コツコツと収益を積み重ねていくことになります。

デイトレやスイングトレードは時間軸が短いため、本来的にはポジってすぐに利益が乗るのが理想的です。

もちろん超短期の需給バランスで本来行くべき方向とは逆に行く場合はあるものの、基本的には「評価損が膨らんでいく=失敗」ですので、失敗したら見切ってまた次のステージに進むのが正解のことが多いです。

また、損切りラインに達していないくても、自分がポジションをとった根拠となるイベントが終了した時もまだ評価損となっていたら、戻る可能性はあっても潔く損切りすべきだと思います。

人間は深く植付けられた本能から、評価益がある状態では早く利益を確定する行動をし、評価損がある場合は、損失を確定しない行動をとりがちです。これは、ノーベル経済学賞の「プロスペクト理論」でも裏付けられていますね。

ファンダメンタルを考慮しないトレーディングにおいては、大負けを避けて利益を伸ばせるように、損切りは必ず行うことが重要になると思います。

何らかの材料を根拠に短期のトレーディングとして買ったにもかかわらず、評価損が膨らんでしまった結果として、損切りせずに中長期投資に変身させることは避けるべきです。

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テーマ株・グロース株

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マイナンバー、サミット開催、選挙、世界遺産登録、エボラ、カジノ、ゲームなど、様々なテーマが株式市場では日々登場し、そのたびに関連銘柄が大きく同意づきます。

このようなテーマ株は人気が集中したら大きく上昇する可能性がある反面、人気が離散したら戦慄的な大暴落が起きることがありますね。

いくら最初から中長期投資として買ったとしても、その根拠が「○○関連銘柄」という場合は、大きな損失を防ぐために損切りは重要だと思います。

また、バイオ銘柄やSNS関連銘柄など、ろくに利益が出ていないけど将来性で買われているPER数十倍~数百倍、あるいは赤字のグロース銘柄も損切りは重要です。

設立から間もないけど革新的なサービスや商品開発を期待されているグロース企業は、競合他社の参入で競争環境が激変したり、あるいは成長性に陰りが見えたりしたり、業績が悪化したりすると、大きく株価が下落することが多いです。

株価が5分の1、10分の1になることも珍しくありませんね。「逆・テンバガーblank」を防ぐためには、テーマ株・グロース株は機械的な損切りが重要だと思います。

バリュー株

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ファンダメンタルを考慮したバリュー投資の場合は、「損切りしない」という方針で成功している投資家も多いです。

ファンダメンタルに変化が無いのに一時的な需給で株価が崩れている場合は、損切りするよりも、むしろナンピンするという方も多いです。

どんな銘柄や株価指数でも、短期的には10~25%程度の値動きはよくあります。バリューに着目して買った銘柄をその度に損切っていたら、手数料がかさむだけでリターンが上がらないし、将来の大化け株を手放す結果にもなりかねないからです。

例えば時間軸が5年10年といった場合は、短期的な-20~-30%の損失は気にせずに、5倍・10倍を狙うという方法論もあります。

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上昇相場と下落相場

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2012年~2015年のような大局的な上昇相場・上昇トレンドの最中は、全体的に株価が上昇する傾向があるので、損切りしなくても結果的には問題ないことも多いです。

損切りするとその近辺が底で上昇し、振り返ると押し目だったとなることが多く、むしろパフォーマンスが悪化することもあります。

2007年~2009年のような下落相場の場合はその逆であり、全体的に株価が下落する傾向があるので、損切りが遅れると評価損が膨らみがちです。

スキャルピングではなく、一定の時間軸を持った投資においては、損切りの重要性は常に同じではありません。下落相場では重要性が高まります。

まとめ

投資手法によって損切りしないか損切りするか、市場の動向によって損切りの目安は変わってきます。

損切りすると大敗は防げますが、損切りした近辺は振り返ると押し目となることもあります。

私自身としては、時間軸が最長1ヶ月程度のスイングトレードにおいては評価損は大嫌いなので、基本的にはすぐに切って、またポジりたくなったら再度参加することにしています。

また、特定のイベントに着目してポジションを取った場合、そのイベントが終了した場合で評価損だった場合、ポジションを維持する理由はないので、必ず損切りすることにしています。

特に意識せずに損切りを行えています。「戻るかな」という淡い期待は抱かずに淡々と切ることにしています。

中長期の投資においても、評価損が嫌いで切ることが多いものの、-20%とか-30%になっても切らずに保有することもあります。

バリュー投資の観点で銘柄を保有している場合は、ファンダメンタルに変化がない場合はそのままを意識しています。

株価は先行して動くことが多いため、ファンダに変化があるのを認識した頃には株価は大きく下落していることが多いですが、それは仕方ないかなと割り切ってます。

基本的にはファンダメンタルに変化がないのに売らざるを得なくなるほど、集中投資で大きなリスク・ポジションを取らないようにしています。

大儲けはできませんが、堅実に年間+3~30%程度を積み重ねていくスタンスをとっています。

まとめると、常に例外なしに適用する一律の損切りの目安・タイミングは設けてなく、以下の場合には損切りをすることにしています。

  • ポジションを取った理由がなくなった(イベントの通過・ファンダメンタルの変化など)
  • 自身のミス・誤りがあった(リスク許容度以上のリスクテイク・判断ミス・勘違い・誤発注など)

市場が上昇トレンドの時は損切りは緩めて、下落トレンドの時は損切りを徹底しています。

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