日本の大人気金融商品の一つがFXです。「ミセス・ワタナベ」という造語が後半に普及するほど、日本で定着しました。
日米欧の金融政策決定会合や、米国の雇用統計などの重要経済指標の発表時には、全国各地でプレーヤーが虎視眈々と参戦しています。
しかし、やはり勝ち続けている人というのは少ないようであり、大損してもう懲り懲りという方も多いでしょう。
そんな方に朗報!もちろん完全なるノーリスクではありませんが、FXの両建てという方法をご紹介します。
スワップアービトラージという名前でも呼ばれている手法です。
異業者間FX両建てでスワップアービトラージ
それは「異業者間FX両建て」という手法です。両建てを同一のFX会社ではなく、2つのFX会社を利用して両建てを組みます。
FXで外貨買いすると、基本的にはスワップポイントが手に入り、外貨売りをするとスワップポイントを支払うことになります。
店頭FX(FX業者との相対取引)では、スワップポイントは各社でバラつきがあります。
例えば、豪ドル円1万通貨のスワップポイントが、A社は買い50円、B社は売り35円だったりします。
ここでA社で豪ドル円を買い、B社で豪ドル円を売ると、1万通貨あたり15円(50-35)が手に入ります。買いと売りの値動きは基本的には一致するため、損益通算すれば±0となります。
スワップポイントの差額だけ利益が出ることになります。2つの業者で両建てを組んだ場合のメリットです。
レバレッジ10倍で運用すると、1万通貨あたり、豪ドルを買う方のFX会社へは約87,000円の入金が必要となります。売る方のFX会社へも約87,000円の入金が必要となります。
合計174,000円の資金で、1日当たり15円・1年で5,475円が手に入ります。コスト(スプレッドやスリップ)を無視すると、年利は約3.15%となります。
スワップアービトラージでスワップポイントのサヤ取りが可能な仕組みとなっています。
具体例
FX業者は多種多様な業者がありますが、その中でも買い方のスワップポイントが比較的高めの業者にはSBI FXトレード、売りのスワップポイントが比較的低めの業者にはDMM FXがあります。
SBI FXトレードは、今年1月のスイス・ショックの際には、レート配信を停止しなかったことから信頼性・男気を上げました。
他社がレート配信を停止していきなり顧客が不利なレートから再開してロスカット以上の損失が出たのに対して、SBI FXトレードではそのようなことはありませんでした。
現在、SBI FXトレードの豪ドル円は、買いのスワップポイントが44~53円程度で推移しています。ここではやや保守的に平均48円とします。公表スプレッドは0.77銭です。
DMM FXの豪ドル円は、売りのスワップポイントが-35円、公表スプレッドが0.7銭です。
SBI FXトレードとDMM FXに87,000円ずつ入金し、同時に1万通貨ずつ、SBI FXトレードで豪ドル円買い、DMM FXで豪ドル円売りをします。
するとSBI FXトレードで受け取るスワップポイント48円と、DMM FXで支払うスワップポイント35円の差額13円(48-35)が毎日手に入ります。1ヶ月390円、1年間で4,745円です。コスト抜きでは年利約2.73%となります(4,745÷174,000)。
公表スプレッドは両社を合わせると1.47銭(0.77+0.7)なので、手数料の目安は147円となります。スリップという指定価格と約定価格がズレる現象が発生するケースがあり、この場合はもう少しかかる可能性もあります。
元本割れの期間の目安は約11日間です。少し余裕を持って2週間スワップポイントの差額が変動しなかったら元本が回復します。
現在の豪ドル円のレートは約87円ですので、87,000円入金するとレバレッジ約10倍となります。買った方のポジションは、豪ドル円が約81.78円を割るとロスカットしてしまいます。売った方のポジションは、豪ドル円が約92.22円を上回るとロスカットしてしまいます。
したがって、時の経過とともに、損益がプラスになった方の口座から出金し、マイナスになった方の口座に入金する作業が必要になってきます。
レバレッジ10倍だと6%の変動でロスカットとなります。レバレッジ7倍だと約10.29%の変動までロスカットされません。ただし年間の利回りは1.91%に低下します。
SBI FXトレードよりもスワップポイントが高い傾向になる業者もあります。ヒロセ通商やライブスターFXです。
これらの業者のスワップポイントの方が高い時期にロングしたらより収益が高くなる可能性があります。
定期預金は高くて1年0.3%程度、個人向け国債もそれ以下なので、それより高い利回りは魅力的です。ただし、ノーリスクではなくリスクがあります。
豪ドル円以外では、NZドル/円、南アフリカランド/円などでスワップポイントの差額が拡大して妙味が生じる時期があります。トルコリラ/円にも注目です。
リスク
異業者間FX両建てにも、リスクが有ります。事前に留意しておく必要があります。
スワップポイント変動リスク
スワップポイントは固定されたものではありません。市場の金利情勢に対応して毎日変更される可能性があります。
スプレッド(コスト)を取り戻すまでは一定の時間がかかるため、両建てした後しばらくは元本割れの時期があります。
この時に変更されたら、損失が生じてしまいます。
ロスカットリスク
時間の経過とともに、買い・売りのどちらか片方がプラスとなり、もう片方がマイナスになるので、プラスになった口座から出金し、マイナスになった方に移す必要が出てきます。
一般的な業者は出金が翌営業日ですので、出金から入金までタイムラグがあり、為替レートの変動が急激だと、この間にロスカットしてしまうリスクがあります。
レバレッジを抑えるとロスカットリスクは低下しますが、それだと利回りが低下してしまうため、妙味が少なくなります。レバレッジを高めるほどリターンが上がりますが、ロスカットのリスクが高まります。
このロスカットリスクの注意が必要であり、個人的には最低でも6%ぐらいの変動には耐えられるようにした方がいいと思うため、レバレッジはMAXで10倍くらいに抑えた方がいいと思います。
先日のチャイナ・ショック時の世界同時株安&為替激変のようなイベント発生時にはロスカットのリスクが拡大します。
リーマンショック後、大震災直後、ギリシャショック、チャイナショックなどボラティリティが大きい時期は、大きく為替レートが動く可能性があります。
また、平時でもフラッシュ・クラッシュのような事態があり得ます。
異業者間FX両建てを組むと、やがてどちらかの口座で評価損が膨らみます。ロスカットを避けるために評価益が出ている口座から出金して、評価損が出ている口座に入金する必要があります。
しかし、出金には時間がかかります。ヒロセ通商のリアルタイム出金(1日100万円まで)ですと、平日の9時半~14時半は即座に出金できますが、それ以外だと金融機関の翌営業日になります。
それ以外のFX業者は最短で翌営業日となります。出金→入金にはタイムラグが生じます。
また、ヒロセ通商は 未決済のスワップポイントは出金不可という制約もあります。
一度両建てを組んだら放置していいわけではなく、ロスカットを防ぐためには、毎日1回くらいは評価損益の状況をチェックする必要があります。
業者の信用リスク
「全額信託保全されているので、業者が破綻しても問題ない」というイメージがありますが、業者の最後の信託から破綻までの為替レートの動きによっては、不測の損害が生じるリスクがあると思います。
信託銀行に信託保全されている金額は、最後に信託設定した際の為替レートに基づく金額です。それ以降の為替レートの変動は反映されません。
毎営業日、NYクローズ時点の有効残高(顧客区分管理必要額)を確定して、必要な金額を翌々銀行営業日までに信託設定する業者がほとんどです。
証拠金等の残高が実際に信託されるまでには一定の日数が掛かり、その期間は信託保全の対象外となります。
最後に信託されてからも、法令に定められた方法によって分別管理している業者が多いと思います。
しかし、そうではなかったり、FX業者の故意や過失によって顧客区分管理必要額を正しく算定できていなかった場合には、信託口座で区分管理された信託財産の金額が、顧客区分管理必要額に不足する可能性がゼロではありません。
専業投資家・専業主婦は税制に要注意
店頭FXの利益は、「先物取引に係る雑所得等の課税の特例(租税特別措置法第41条の14)」の適用対象となり、申告分離課税の対象となります。
税率は他の所得額にかかわらず一律約20%(所得税15%+住民税5%)となりますが、所得に入ります。
専業投資家、リタイア後の方、専業主婦などは、国民健康保険の保険料が上がったり、扶養対象から外れるなどのデメリットが生じる場合があります。
確定申告不要の年20万円以上はFX両建てで利益を上げないようにしましょう。
両建てで確定申告が必要なところまで収益を上げると、余計なコストが発生するリスクがあります。
異業者間FX両建て以外では、IPOもローリスクでそこそこのリターンを期待できます。
SBI証券ですとIPOチャレンジポイントという仕組みがあり、落選したらポイントが貯まり、数年に1度はS級IPOで数十万円のリターンが期待できます。
2016年はLINE、コメダ珈琲のIPOも登場しました。大型株なので当選が容易です。
まとめ
異業者間FX両建ては、FX業者によってスワップポイントに差額があることを狙う手法で、3~4%の利回りを獲得できる場合があります。
ただし、スワップポイント変更リスクがあり、短期間でスワップポイントの差が縮小した場合は元本割れの危険もあります。
また、ロスカットリスクには気をつけて、適宜入出金する必要があります。
手間はかかりますが、7~10%の利回りが確保できる時期もありました。スワップポイントの差額をチェックして妙味が出たら両建てを組むとお得です。
私はスワップポイントの差額が開いて年利5%以上を確保できるような状況になった場合は、すかさず参戦しています。
どこかでスワップポイントの差が縮小する時期が訪れますが、年利5%以上のところで両建てを組んだ場合は、それでも利益を出せることが多いです。
スワップポイントが高い傾向になることから、買いを組む方のFX業者は、SBI FXトレード 、ヒロセ通商 、ライブスターFXなどです。
SBI FXトレードは積立FXなどのユニークな仕組みも用意しています。
スワップポイントが低い傾向にあることから、売りを組む方のFX業者は、DMM FXです。
DMM FXは、新規口座開設、新規1lot(1万通貨)以上の取引でAmazonギフト券4,000円分がプレゼントされます!
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