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eMAXIS国内物価連動国債インデックスが登場!物価連動国債の価格変動要因

投稿日: 投資信託・ETF

eMAXIS

「eMAXIS国内物価連動国債インデックス」という投資信託が登場します。ベンチマーク(連動する指数)はNOMURA物価連動国債インデックス(フロアあり)です。

2012年末以降の円安・物価上昇・金利低下に伴い、インフレによる資産価値の低下が懸念されています。2%のインフレで財産を0.5%の定期預金や国債で運用していると、実質的には資産が1.5%減ったのと同義です。2%のインフレが10年続くと物価は約21.9%上昇し、20年続くと48.6%上昇します。

そこでインフレに強い物価連動国債の需要が増加しており、ここに来て低コスト投資信託で定評があるeMAXISシリーズから新しい投信が出ました。eMAXIS国内物価連動国債インデックス、物価連動国債についてまとめます。


物価連動国債とは

物価連動債は、クーポン利率・金利は固定ですが、物価上昇に連動して計算基礎となる元本が増加するため、インフレになると利払い額や満期での償還額が増加します。物価が下落すると、利払い額や満期での償還額が減少します。

昔は元本保証がなかったので、デフレが続いた場合は元本割れもあり得ました。ただし、平成25年度以降に発行された物価連動国債は、額面を下回っていた場合は額面金額で償還する仕組みが取り入られました。これが「フロアあり」となります。

金利が上昇すると、既存の物価連動国債は金利が低くなるため魅力がなくなり、金利上昇に見合う利回りになるまで価格が下落します。

逆に金利が低下すると、既存の物価連動国債は金利が高くなるため魅力が上昇し、金利低下に見合う利回りになるまで価格が上場します。

Ministry of Finance
photo by Dick Thomas Johnson

eMAXIS国内物価連動国債インデックス

信託報酬

eMAXIS国内物価連動国債インデックスの信託報酬は0.4%(税抜)です。NOMURA-BPI総合と連動するeMAXIS国内債券インデックスと同じです。

物価連動国債投信であるMHAM物価連動国債ファンドの信託報酬と比較すると、MHAMの下限(0.4%~0.6%)と同じ信託報酬です。

MHAM物価連動国債ファンドは、無担保コール翌日物金利(加重平均値)の平均値が0.5%未満だと0.4%、0.5%以上1.0%未満だと0.5%、1%以上だと0.6%となります。

eMAXIS国内物価連動国債インデックスの基準価格変動要因

このような特性がある物価連動国債に投資する「eMAXIS国内物価連動国債インデックス」の基準価額は、主に「既に起こった物価の変動」、「将来予想される物価(期待インフレ率)の変動」、「金利の変動」によって変動します。具体的には以下の通りです。

  • 物価上昇(下落)→物価連動国債価格上昇(下落)→基準価格上昇(下落)
  • 予想される物価上昇(下落)→物価連動国債価格上昇(下落)→基準価格上昇(下落)
  • 金利上昇(低下)→物価連動国債価格下落(上昇)→基準価格下落(上昇)

つまり、物価・今後の物価予想が上昇すればするほどリターンが上昇します。逆に物価・今後の物価予想が下がれば下がるほど、基準価格に悪影響が出ます。

また、金利が低下すればするほど、リターンが上昇します。逆に金利が上昇すればする程、基準価格に悪影響が出ます。

例えば、予想インフレ率1.2%だったのが1.1%に下落すると、インフレであるにもかかわらず、eMAXIS国内物価連動国債インデックスの価格下落要因となります。

実際にMHAM物価連動国債ファンドでは、9月の期待インフレ率が前月末比で減少したことが、14円の基準価格下落要因となりました。

平成25年度以降に発行された「フロアあり」の物価連動国債は、額面金額で償還されますが、金利が低下したり受給がタイトだと、投資家は額面金額を上回って入札せざるを得ない場合もあります。

インデックス投信に資金が流入してきた場合、運用会社は物価連動国債がどんなに高い価格でも買わざるをえません。額面金額を上回って購入した場合、保障されるのは額面金額までです。

流動性リスク

物価連動国債等の流動性が損なわれた場合には、eMAXIS国内物価連動国債インデックスファンドの基準価額が下落する要因となる可能性があります。

実際にリーマン・ショックの時期は、金融市場の混乱や、とにかく手持ちの資産を売ってキャッシュ化する必要が高じたこと等から、外国人投資家が物価連動債を投売りしたことによって、流動性が極端に低下して、物価連動国債投信が暴落した時期がありました。

MHAM物価連動国債ファンドの長期チャート

物価連動国債の市場規模・流動性は、普通の国債と比較すると、かなり低い水準です。金融危機的な状況が発生した場合、市場から買い手が蒸発して売り手しかいない状況となり、価格が暴落するリスクがあります。

金利の影響が大きい

物価連動国債というと、インフレ率の影響が大きいイメージがありますが、金利の変動も大きな影響があります。

MHAM物価連動国債ファンドの設定来の基準価額の変動要因を分解すると、53.5%が金利の変動です。既に発生した物価の変動が18.2%、期待インフレ率の変動が8.6%です。

つまり、物価連動国債投信は、物価・予想インフレ率よりも、金利の変動のほうが大きな影響が出る場合があります。

例えば、MHAM物価連動国債ファンド(2014年9月末時点)の過去のパフォーマンスは以下の通りです。

騰落率 騰落率(年率)
1ヵ月 -0.08% -
3ヵ月 0.66% -
6ヵ月 2.74% -
1年 5.85% 5.85%
3年 14.91% 4.97%
5年 24.73% 4.95%

なんと年率5%という高パフォーマンスをここ5年は叩き出しています。株式に投資する投信と比べるとリスクは非常に小さいので、リスク調整後のリターンはかなり優秀な結果でした。この最大の要因は金利の低下です。

大規模金融緩和のもとでは有力な投資対象

物価連動債はインフレ率が上昇し、金利が低下する環境において有利になります。例えば、インフレ率が上昇しているにもかかわらず、景気への配慮から中央銀行の政策金利が低く抑えられたり、大規模な国債買い入れが行われる場合です。まさにここ5年間です。

「金利<インフレ率」の状況を作り上げる金融抑圧的な状況や、インフレ率は安定して金利が低下する局面においては、物価連動国債は有利です。ここ数年の非常に低リスク&年率5%のパフォーマンスは美味しいですよね。

しかし、既に金利は極限まで低下してしまいました。長期金利は0.4%近くまで下落しており、財務省が23日実施した償還期間3カ月の国庫短期証券(短期国債)の入札は、平均落札利回りがマイナス金利となりました。日本の国債入札でマイナス金利が付くのは初めてです。

さすがにこれ以上の金利低下余地はあまりなく、将来的には金利上昇が懸念されます。

物価連動国債を買えるように!個人向け商品の登場も?

2015年から個人投資家も物価連動国債を買えるようになる予定です。機関投資家が取引しているものと同じ物価連動国債です。利付国債と同じイメージです。

eMAXIS国内物価連動国債インデックスは、年間0.4%(税抜)の信託報酬がかかります。物価連動国債を直接買えば、このコストはかかりません。

すぐに飛びつくのは避けて、個人が買える物価連動国債の条件を見てからでも遅くはないでしょう。

また、個人向け国債と同様に、中途解約時も、元本割れが極力ないようなオプションつきで個人に有利な条件を組み込んだ「個人向け物価連動国債」が登場する可能性もあるでしょう。

尋常ではない破滅的自然災害、戦争、紛争、テロ、騒擾、内乱等が勃発しない限りは、インフレ率が急上昇して大きな機会損失が生じる可能性は極めて低いと思います。しばらくは様子見でOKだと考えます。

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