クレジットカードの紛失・盗難、インターネットでの不正利用、スキミング等によるカード複製で被った被害は、原則として補償されます。
このうち紛失・盗難は警察署に紛失届・盗難届を出して受理されれば、ほぼあらゆるクレジットカード会社が無条件で補償に応じるので問題が発生することは僅少です。
しかし、インターネットによる不正利用、カード複製などによる不正の場合、なかなかクレジットカード会社が補償に応じないケースもゼロではありません。
「本人ではない第三者によって不正に利用されたものとカード会社が認めた場合にのみ補償が適用」される旨の規定があるのが通例で、トラブルが生じるケースが観測されています。
カード会社によって対応に差が出る部分であり、キャッシュレス決済をメインに据える場合は事前に把握しておくのが無難です。
目次
クレジットカードの補償の概論
大多数のクレジットカードにはカード紛失・盗難補償が付帯しています。
気がついた時は速やかに事故受付デスクに電話したら、クレジットカードを止めてくれます。
その後、警察に届け出を行い必要書類を提出したら、補償されることになり、紛失・盗難の場合はスムーズに補償を受けられるのが通例です。
インターネット不正利用の損害、クレジットカードのスキミング等によるカード複製による被害は、紛失・盗難保険の特約や専用の保険などでカバーされます。
これらは「本人の重過失は対象外」となっているケースがあり、クレジットカード会社がなかなか補償に応じないケースもあると言われています。
還元率や特典とは異なり目に付きにくい部分ではありますが、カード会社の対応に差が生じてバラツキがあります。
争いが生じやすい場面
カードの複製(4桁の暗証番号が突破時)
スキミング等によってカードが複製されたり、店舗側がカード情報を用いて、間違って他の客の分まで決済したようなケースでは、サインや暗証番号がキーファクターです。
カードショッピングやキャッシングで4桁の暗証番号を突破された場合、カード会社によっては原則として補償しないというスタンスのことがあります。
ただし、「暗証番号の管理について会員に故意または過失がないと認定した場合」は例外的に補償するとなっていることもありますが、カード会社がなかなか認定しないという事例も観測されています。
インターネットでの不正利用(本人認証サービス突破時)
インターネットでの不正利用においては、本人認証サービス(いわゆる3Dセキュア)を突破された場合、原則として補償しないというスタンスのカード会社があります。
他方、この場合でもしっかりと状況調査してくれて、本人に過失がないと判定してくれるクレジットカード会社もあり、対応に差が出てくるところとなっています。
サインがなされた場合
クレジットカードでの決済方法としては、暗証番号の他、サインもあります。
サインの場合は筆跡によって本人の利用ではないことが判明しやすいので、筆跡鑑定すれば本人の利用ではないことを証明しやすいはずです。
しかし、クレジットカード会社によっては、利用伝票のサインがカード裏面の署名と外形上一致していないにもかかわらず、不正利用の対象外と主張して裁判に至るケースも出ています。
カード会社が「東京簡易裁判所 平成30年3月2日 平成28年(ハ)第331836号 立替金(信販)事件」において以下のように主張した事例が存在しています。
「カードの利用は会員に限定されており、カード会員が利用したのか、その他の第三者が利用したのかに関わらず、本件カードが利用された場合、カード会員は支払い義務を免れない」
クレジットカード会社は、「カードが利用された以上、カード名義人はカード保管の善管注意義務違反により責任を負い、支払いを免れるのは補償規約が適用される場合に限られる」と主張しました。
しかし、規約では認められないカード会員の責任を主張するのは不当です。第一審ではカード会員が勝訴し、控訴審では和解となりました。
最終的にはカード会員は実質勝訴となったものの、弁護士への依頼・裁判に必要な作業など膨大な手間が発生してしまうので、時間的・心理的負担が生じてしまいます。
個人ができる対策
クレジットカードの不正利用対策として、個人ができる対策はいくつかあります。
- カード裏面には必ずサイン(偽装されにくい署名)
- 4桁のパスワードはランダム
- 複雑な本人認証サービスのパスワード
- パソコン・スマホではセキュリティ対策
- 月々の請求書は確認
- ETCカードは車に置きっぱなしにしない
- 海外の紛失・盗難でも警察への届け出
カード裏面には必ずサイン(偽装されにくい署名)
クレジットカード裏面の署名欄に必ずサインしましょう。サインが無い場合は、補償の対象外となります。
また、サインは他者が偽装した場合でも、争いなく筆跡鑑定で本人のものと外形的に差がつくような署名が無難です。
署名そのものに文字や言語に関する決まりはありませんが、アルファベット1文字など筆跡を真似しやすい簡単なサインは避けましょう。
イニシャルのアルファベット2文字もできれば避けるのがいいと言われています。
特に海外で使う機会がある方の場合、非漢字圏の人には偽装しづらい漢字のフルネームが安全です。
多少サインに時間はかかりますが、筆跡鑑定では差が出やすいので、万が一の不正利用時は本人利用ではないと容易に認定されやすくなります。
4桁のパスワードはランダム
ICチップ搭載カードの場合、4桁の暗証番号で決済するのが基本となります。
簡単な暗証番号、生年月日や電話番号などを使っていた場合、「重過失」が認定されて補償対象外となるリスクがあるので注意しましょう。
避けるべき
- 生年月日
- 電話番号の上4桁・下4桁
- 1111・7777等のゾロ目
- 1234・9876等の連番
複雑な本人認証サービスのパスワード
インターネットの不正利用では、3Dセキュアを突破された場合、過失が認定されやすくなります。
特に要注意なのは、本人認証サービスのパスワードと会員サイトのパスワードが共通のクレジットカードです。
この場合、会員サイトのパスワードが簡単なものだと、重過失となるリスクがあります。
避けるべき
- 「password」等の簡単な単語
- 生年月日等の簡単な数字
- 「zxcvbnm」等のキーボードの配列そのまま
- 他のサイトと共通
インターネットのダークプールに流出しているメールアドレス・パスワード等は確認できます。
他のサイトと使い回しているパスワードが流出して3Dセキュアを突破された場合、過失認定される可能性もあるので、唯一無二のオンリーワンである複雑なパスワードを使いましょう。
パソコン・スマホではセキュリティ対策
パソコン、タブレット、スマホ等では、基本的なセキュリティ対策を講じるのが重要です。
基本対策
- ログインパスワード・パスコードを複雑にしたり、生体認証を導入
- 怪しいメール・SNS等のリンク・添付ファイルは開かない
- 安全性に懸念があるソフト・アプリはインストールしない
- セキュリティソフトを導入
月々の請求書は確認
紛失・盗難ではない不正利用の場合、少額だと被害に気付きにくいので、毎月の請求書はざっとチェックして、身に覚えがない利用が紛れていないか確認するのが無難です。
不正利用の補償は60日などの一定期間のみなので、これを過ぎたらアウトです。
郵便による通知を利用していない場合、会員サイトに月1回ログインしてチェックしましょう。
ETCカードは車に置きっぱなしにしない
ETCカードを車載機や車内に置いたままにした場合、補償対象外というクレジットカード会社が多いです。
面倒でも車から出る場合はETCカードを抜いて、財布などにしまうのが安全です。
海外の紛失・盗難でも警察への届け出
クレジットカードの紛失・盗難が海外の場合でも、警察へ届ける必要があります。
ポリスレポートがなければ、第3者による証明が必要になるなど手続きが複雑になります。また、補償の対象とならないリスクが出てきます。
セキュリティ・不正利用時の補償がおすすめのクレジットカード会社
クレジットカードの不正利用は原則として補償されます。しかし、クレジットカード会社と補償を巡り争いになるケースもあります。
自分は決済していないのに第3者による不正利用と認定されなかったり、重過失を認定されるなどのリスクがあります。クレジットカードによって対応に差が生じる部分です。
イメージ通り年会費無料・高還元系のクレジットカードや、コールセンターにつながりにくいようなカード会社の場合、不正利用時の対応が芳しくない傾向があるという評判・口コミがあります。
不正利用・補償・セキュリティの観点でおすすめのクレジットカードをご紹介します。
JCBカード
JCBは不正利用時にもしっかりと調査をしてくれる傾向にあり、かつ本人認証サービスや4桁の暗証番号を突破された場合でも、問答無用でNGではなく、状況によっては補償対象としてくれます。
日本唯一の国際ブランドで、わが国を代表するクレジットカード会社だけあり、対応がきめ細やかです。目に見えにくいけど重要な部分をおろそかにしていません。
18歳以上39歳以下の方はJCB CARD Wがおすすめです。解約しない限り自動更新されるので、40歳以降も継続利用可能です。
年会費が無条件で無料、基本ポイント還元率が2倍と優遇されており、コストパフォーマンスが抜群に良好なJCBカードです。
万が一の不正利用時のサポートも安全・安心ですし、しかも還元率・コスト面でも素晴らしいクレジットカードです。
国際ブランド |
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電子マネー・Pay・NFC決済 |
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- ETC
- 家族カード
- 2回払い
- 海外旅行保険
- ショッピング保険(海外)
年会費 | ポイント名 | |
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本会員 | 家族会員 | |
無料 | 無料 | Oki Dokiポイント |
還元率 | マイル還元率 | 発行スピード |
1.0%~10.5% (※) | 0.6~3.3% | 最短3営業日 |
- ※最大還元率はJCB PREMOに交換した場合
- JCBオリジナルシリーズパートナーでは1.5~5.5%
- Amazon・セブンイレブン・ウェルシア・成城石井・高島屋・出光昭和シェル・スターバックスカード等が高還元
- 年会費が無条件で無料
- 海外旅行傷害保険(利用付帯)
専門家・菊地崇仁さんがおすすめのJCBカードであり、JCBカードの種類一覧の中でも、クオリティ良好です。
もちろん、JCB一般カード、JCBゴールド、JCBプラチナなど他のクレジットカードも魅力的です。
ソラチカカード、ソラチカゴールドカードは、スマリボの活用で1.5%以上のANAマイル還元を享受できます。
三井住友カード
銀行系クレジットカードの雄である三井住友カードは、カード利用をすぐに把握する仕組みや、利用停止して使う時だけ解除する機能など、豊富なセキュリティ機能があります。
- ご利用通知サービス:カード利用のリアルタイム通知
- 使いすぎ防止サービス:利用金額の合計が指定金額を超えたらメールもしくはアプリで案内
- あんしん利用制限サービス:海外・ネット・全てのカード利用を、それぞれブロック可能
カード不正利用が心配な方は、普段は全てのカード利用をブロックしておき、使う時だけ解除すれば、不正利用のリスクを極限まで抑制できます。
VISAインターナショナルから、セキュリティが高い会社に対する表彰があり、アジア・パシフィック地域では、三井住友カードだけが表彰されたことがあります。
セキュリティの部分では国際ブランドの運営元のVISAからも高い評価を受けています。
また、不正利用時の対応も良好であり、実際に三井住友カードで不正利用されたところ、しっかりと補償してくれました。
ユーザーニーズに応じて多種多様なクレジットカードを発行しています。
ANAマイルを貯めている方ですと、三井住友VISAカードが発行しているANA VISAカード、ANA Mastercardが選択肢です。
幾多の航空系カードの中でも、マイルが貯まりやすいクレジットカードの一角で、コストパフォーマンスは優れています。
カード名 | 年会費 ※割引適用後 |
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OLIVE | 永年無料~3.3万円(税込) |
三井住友カード(NL) | 永年無料 |
三井住友カード RevoStyle | 永年無料 |
三井住友カード ゴールド(NL) | 年100万利用で永年無料 (※) |
三井住友カード ゴールド | 4,400円(税込)で維持可 |
三井住友カード プラチナプリファード | 33,000円(税込) |
三井住友カード プラチナ | 55,000円(税込) |
三井住友ビジネスカード for Owners | 無料~55,000円(税込) |
ANA VISA/マスター一般カード | 1,025円(税抜)で維持可 |
ANA VISA Suicaカード | 751円(税抜)で維持可 |
ANA 東急カード | 751円(税抜)で維持可 |
ANA VISA nimocaカード | 751円(税抜)で維持可 |
ANA VISA/マスターワイドカード | 6,750円(税抜)で維持可 |
ANA VISA/マスターワイドゴールドカード | 9,500円(税抜)で維持可 |
ANA VISA プラチナ プレミアムカード | 80,000円(税抜) |
※年間100万円利用の対象取引や算定期間等の実際の適用条件などの詳細は、三井住友カードのホームページを必ずご確認ください。
※おすすめは、年会費無料カードの三井住友カード(NL)。Visaのタッチ決済・Mastercardコンタクトレスのスマホタッチ決済なら、セブンイレブン・ローソン・マクドナルド等で最大7%還元
アメックス
高級クレジットカードの代名詞であるアメリカン・エキスプレスは、会員サポートが充実しているのが特徴であり、万が一の不正利用の際にも安全・安心です。
4桁の暗証番号・本人認証サービス(3Dセキュア)突破時も、しっかりと調査して第三者による不正利用の場合は補償してくれます。
実際にアメックスで不正利用されたところ、しっかりと補償してくれました。
アメックスはライバルのクレカに一歩差をつける流麗な制度が満載であり、人生がもっと楽しくなるクレジットカードです(アメックスカードの種類)。
おすすめのアメックスについては、以下で徹底的に解説しています。
アメックスのプロパーカードの中で、最もスタンダードなのはアメックスグリーンです。
ウォーレン・バフェットやビル・ゲイツも保有していると言われているクレジットカードであり、世界の重鎮と肩を並べられる稀有なステータスカードです。
国際ブランド |
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電子マネー・Pay・NFC決済 |
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- ETC
- 家族カード
- リボ払い
- 国内旅行保険
- 海外旅行保険
- ショッピング保険
月会費(税抜) | 発行スピード | |
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本会員 | 家族会員 | |
1,000円 | 500円 | 約1週間 |
基本還元率 | マイル還元率 | ポイント名 |
1.0% | 0.4~1.0% | メンバーシップ・リワード |
- Amazon、Yahoo!ショッピング、iTunes Store、ヨドバシカメラ、Uber Eats、JAL、一休.com、H.I.S.でポイント3倍
- 空港ラウンジ無料
- グリーン・オファーズ、アメックスオファー
- プライオリティパスのスタンダード会員(通常99米ドルが無料)
- 充実の付帯保険(スマホ・返品まで補償)
- アメックスの充実のイベントにポイントで参加可能
コスパを重視する場合は、世界No.1ホテルグループのマリオットボンヴォイで至れり尽くせりの特典を受けられるマリオットアメックスプレミアムがおすすめです。
年1回の無料宿泊特典だけで年会費を超える金銭的価値を享受でき、更に通常なら年20泊が必要なプラチナエリートのステータスをカード利用だけで得られます。
国際ブランド |
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電子マネー・Pay・NFC決済 |
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- ETC
- 家族カード
- リボ払い
- ショッピング保険
- 海外旅行保険
- 国内旅行保険
- 航空便遅延費用補償
年会費(税抜) | 発行スピード | |
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本会員 | 家族会員 | |
45,000円 | 1枚無料 | 約1週間 |
基本還元率 | マイル還元率 | ポイント名 |
3.0% | 1.25% | マリオットボンヴォイのポイント |
- 世界中で利用可能な無料宿泊特典(5万ポイント迄)が毎年1回プレゼント(年150万円以上の利用)
- 無条件でMarriott Bonvoyのゴールドエリート会員(通常は年25泊必要)
- 年400万円の利用でプラチナエリート
- 年15泊の宿泊実績
- 対象ホテルでポイント2倍
最高峰のアメックス希望の場合はプラチナ・カードがおすすめです。光り輝く金属製メタルカードは抜群の上質感があり、情報感度が高いハイセンスな方々に好評を博しています。
国際ブランド |
---|
電子マネー・Pay・NFC決済 |
---|
- ETC
- 家族カード
- リボ払い
- 国内旅行保険
- 海外旅行保険
- ショッピング保険
- 航空便遅延保険
年会費(税込) | 発行スピード | |
---|---|---|
本会員 | 家族会員 | |
165,000円 | 4人無料 | 約1週間 |
基本還元率 | マイル還元率 | ポイント名 |
1.0% | 0.8~1.0% | メンバーシップ・リワード |
- 4つのホテルの上級会員資格
- フリーステイギフトで年1回無料宿泊
- ハワイも対象のコース料理1名分無料サービス
- 充実の付帯保険(スマホ・家電・ゴルフ・個人賠償責任保険・返品・旅行キャンセルまで補償)
- アメリカン・エキスプレス・グローバル・ラウンジ・コレクション