アメックスのクレジットカード会員は、万が一の紛失・盗難・不正利用時が発生した場合、補償を受けることが可能です。
届け出日の60日前からの利用分が対象なので、紛失・盗難の際にはすぐに連絡したら無問題です。
不正利用についても、毎月の利用明細をチェックして、身に覚えがない請求に気が付いたら電話すれば補償されます。
ただし、不正利用の補償は会員規約にもとづいて行われるので、対象外となるケース、手続きの注意点などが存在しています。
アメックスカードを活用する上で重要な紛失・盗難・不正利用時の補償について解説します。
目次
アメックスの紛失・盗難・不正利用補償に関する会員規約
アメリカン・エキスプレスが発行しているクレジットカードで、もしもの紛失・盗難・不正利用が生じた場合、会員規約にもとづいて補償されます(アメックスの会員規約・規定集)。
アメックスが気分やカード利用額に応じて判断するわけではなく、通常の付帯保険と同様に規定にもとづいて処理されます。
具体的にはアメリカン・エキスプレスのカード会員規約第6条(カードの紛失・盗難、偽造等)にもとづいて補償を受けることが可能です。
規約だと長ったらしい文書になっているので、読みやすく内容を組み替えて、短時間でコアエッセンスを把握できるよう解説します。
第6条1項:届け出
以下2つの場合には、会員は、直ちに最寄りのアメックスの営業所(海外においてはアメリカン・エキスプレスの営業所)にその旨を届け出るものとします。
- カードの紛失、盗難、カード情報の漏えい等により他人にカードを不正使用された場合
- 発行時・更新時等これを通常受け取るべき時に届かないことに気づいた場合
この場合には、会員は、最寄りの警察署に紛失届・被害届等を提出した上、その警察署より交付される書類(※)をアメックスに提出するものとします。
※対象書類
- 被保険者が所有または使用する通信端末機器
- 無線通信(Wi-Fi)接続が可能な通信端末機器
- 入会時点でメーカー発売日から5年以内 or 入会日の1年前より後に購入した証明書がある通信端末機器
- サービス利用加入日時点で、画面割れ・ケース割れ・水濡れ等がなく、正常に動作している通信端末機器
- 日本国内で発売されたメーカーの正規品である通信端末機器
- 日本国内で修理可能なものかつ日本国で購入可能な通信端末機器
この他、会員には以下のアクションが求められています。
- 不正使用者の発見および損害の防止軽減に必要な努力を行う
- アメックスまたは保険会社の指示に従って必要な手続きをとる
- アメックスまたは保険会社の調査に協力する
第6条2項:カード支払いの原則
基本カード会員は、以下を了承のもとでアメックスカードを利用することになります。
- カードおよびカード情報の管理責任が会員にあることを踏まえる
- 不正使用(※)が、会員本人による使用とみなされて処理されることをあらかじめ承諾
- 不正使用から生じたカード利用代金等をすべて支払うのが原則
※承諾したと否とにかかわらず会員本人以外の者によるカードの利用またはカード情報の使用
第6条3項:補償されるケース・対象外の場合
前項の規定にかかわらず、カードの紛失・盗難・カード情報の漏えい等などについて、本条第1項の届出を行ったら、補償を受けられて自己負担はなくなります。
その届出をアメックスが受け取った日から遡って60日目以降に生じたカードの不正使用については、基本カード会員は、支払責任を負わず、既に支払った不正使用によるカード利用代金等相当額はアメックスが補てん。
ただし、次の場合は補償の対象外となる点に注意が必要です。
不正利用補償の対象外
- 会員の故意または重大な過失に起因する場合
- 会員の家族、同居人もしくは留守番その他会員の委託を受けて身の回りの世話をする者がカードを紛失し、これを不正使用もしくは窃取した場合
- またはこれらの者がカードの紛失、不正使用もしくは盗難に関与した場合
- 会員が第2条第2項(※)に違反して他人にカードを利用させ、もしくは他人にカード情報を使用させた場合
- または、会員のカードもしくはカード情報の管理状況等に第2条第2項に違反する過失があった場合
- その他会員による本規約に違反する行為に起因して不正使用が生じた場合
- 会員が被害状況調査等に協力しない場合
- 会員が必要書類を提出しない場合
- カード利用に際し、会員の暗証番号が使用された場合(ただし、会員の暗証番号の管理状況等を踏まえて、会員に故意または過失がないとアメックスが認めた場合を除く。)
- 戦争・地震等による著しい秩序の混乱中に生じた紛失・盗難に起因する場合
※第2条第2項
会員は、善良なる管理者の注意をもってカードおよびカード情報を管理、使用するものとします。
カードは、カード表面にその氏名が印字または刻印されカード裏面に署名した会員本人だけが利用できるものとし、他人に貸与、譲渡または質入れしてはならず、その他アメックスの所有権を侵害することはできません。
また、会員は、カード情報を他人に使用させることはできません。
第6条4項:偽造カードの取り扱い
偽造カードの使用に係る債務については、偽造カードの作出または使用について会員に故意または過失がない場合には、基本カード会員は、支払の責を負わないものとします。
なお、偽造カードの作出または使用について会員に故意または過失があるときは、その偽造カードの使用に係る債務については基本カード会員が支払の責を負うものとします。
規約のエッセンス
第6条2項でアメックスカードの不正利用については、利用明細に計上されて、そのまま何も手続きを取らない場合は会員に請求されるのが原則となっています。
しかし、アメックスに連絡して警察署に紛失届・被害届を届け出れば、60日前以降に生じたカードの不正使用とアメックス・提携保険会社が認定した利用分については、支払いが免除されます。
スキミング等による偽造カードによる被害も、全額補償されます。ただし、故意または過失があるは対象外。
正確な4桁の暗証番号が使用された場合、故意または過失がないとアメックスが認めた場合は補償されます。
補償対象となるケース
クレジットカード・会員番号が、本人ではない第3者によって不正に利用されたものと、アメリカン・エキスプレスが認めた場合に補償が適用されます。
また、諸々の補償対象外の規定に該当しないことが条件です。
カード本体の紛失・盗難のケースでは最寄りの警察署への届出が必要となるのが原則です。
補償対象とならない主なケース
以下のような取引については、補償対象とはなりません。
ココに注意
- 家族・同居人などが勝手に使った場合
- 紛失・盗難・インターネット不正利用:故意または重大な過失あり
- 暗証番号が使用された不正利用:故意または過失あり
- 偽造カードによる不正利用:故意または過失あり
紛失・盗難・インターネット不正利用では「重過失」があったらアウトです。暗証番号突破・偽造カードの場合は「過失」でNGと厳しくなっています。
重過失の例
- カードを他者に貸与した場合
- カード裏面に署名なし
- 自転車のかごにカードを置きっぱなし
- 車の運転席にカードを置きっぱなし
- カード情報を他者に教えてしまう
- 暗証番号をカードの裏面に書いている
- 暗証番号を書いた紙とカードと同じ場所に保管
- 生年月日やゾロ目など、予測されやすい暗証番号
アメリカン・エキスプレスの不正利用補償のメリット
アメックスは高度な不正利用検知システムで世界中のカード利用のトラフィックを監視しています。
突如として高額の利用を連発したり、日本でカード決済を行った数分後に海外の店舗で支払いがあったようなケースではシャットアウトされることが多いです。
しかし、すり抜けて身に覚えのない請求が通ってしまうリスクもあります。
しかし、紛失・盗難・偽造カード・インターネット不正利用については、アメックスに連絡すれば請求を取消してくれて、代金を支払う必要がなくなります。
平時には全く意識しないサービスですが、万が一の際にはこの補償で救出されます。不正使用から自己を防衛できるので、縁の下の力持ち、サッカーで言うところのディフェンダーやゴールキーパー的な存在です。
自分が全く使っていない金額の支払い義務を負わされるのは悪夢以外の何物でもありませんが、そのような事態に陥るのを回避できます。
アメックスならではのメリットとしては、アメリカン・エキスプレスのきめ細やかなユーザーファーストの対応があります。
どのクレジットカード会社もインターネットの不正利用補償では「会員の故意または重過失は対象外」旨の規定があります。
ここで重要であるのは、「過失」という抽象的な文言のさじ加減・認定基準は、各カード会社によって変わってくる点です。
4桁の暗証番号を突破された場合、本人認証サービス(3Dセキュア)を利用したパスワードを突破されていた場合は、原則として補償対象外というクレジットカード会社もあります。
しかし、アメックスの場合は、このようなケースでも状況を調査して、カード会員に落ち度がない場合はしっかり補償してくれます。
また、利用伝票のサインがカード裏面の署名と外形上一致していないにもかかわらず、不正利用の対象外と主張するクレジットカード会社もあります。
サインが不一致で本人利用ではないことが明白な状況でも、請求を取り消してくれず、裁判となった事例も存在。
カード会社が「東京簡易裁判所 平成30年3月2日 平成28年(ハ)第331836号 立替金(信販)事件」において以下のように主張したことがあります。
「カード会員が利用したのか、その他の第三者が利用したのかに関わらず、カードが利用された以上、カード名義人はカード保管の善管注意義務違反により責任を負う」
この裁判ではカード会員側が第一審では勝訴し、控訴審では裁判所からの和解勧告があった後の和解となりました。
最終的にはカード会員は実質勝訴となったものの、弁護士への依頼・裁判に必要な準備や諸々の作業など手間が発生してしまうので、時間的・心理的負担が生じてしまいます。
このような事例もある中で、アメックスは芳しくない対応が見受けられるカード会社とは異なり、全面的に不正利用を会員の責任に押し付けることなく、しっかりと調査して対応してくれます。
また、警察への被害届の提出などが原則になっていますが、場合によっては省略してくれるなど、柔軟に対応してくれるのがアメックスならではとなっています。
アメリカン・エキスプレスの不正利用補償のデメリット
補償が確定するまで時間が必要
紛失・盗難・偽造カード・インターネットでの不正利用による被害が補償されるのは、アメリカン・エキスプレスまたは委託先保険会社が第三者による不正利用と認定した場合となります。
必要な時間はケース・バイ・ケースで、数日で済む場合もあれば、調査に1~2ヶ月と行った時間が生じる場合もあります。
不正利用と電話したらすぐに支払い免責が確定するわけではないのがデメリットです。
不正利用の支払日から60日を過ぎてからの連絡は対象外
届け出日より60日前以降であれば支払いが免除されるので、不正利用の支払い日より60日(約2か月)を過ぎてから連絡した場合は補償されません。
したがって、紛失・盗難の場合はすぐ連絡するのはもちろん、手元にカードがある状況でも不正利用のリスクはあるので、毎月の利用明細は必ず確認して、身に覚えのない請求がないかチェックしましょう。
その他、例外事例に注意
不正利用の連絡をした後は、調査のためにアメックス・保険会社から連絡が来ることがあります。その電話を無視し続けてはいけません。
手続きに必要な書類を提示されたら、揃えて提示しましょう。
まとめ
アメックスでは万が一の紛失・盗難・不正利用時が発生した場合、補償を受けることが可能です。
アメリカン・エキスプレスのカード会員規約第6条(カードの紛失・盗難、偽造等)にもとづいて補償を受けることが可能です。
アメックスに連絡して警察署に紛失届・被害届を届け出れば、60日前以降に生じたカードの不正使用とアメックス・提携保険会社が認定した利用分については、支払いが免除されます。
スキミング等による偽造カードによる被害も、全額補償されます。ただし、故意または過失があるは対象外。
暗証番号が使用された場合は、故意または過失がないとアメックスが認めた場合は補償されます。
補償対象外となる事例
- 家族・同居人などの利用
- カードの補償期間(届け出から60日前まで)が経過
- 紛失・盗難・インターネット不正利用:故意または重大な過失あり
- 暗証番号が使用された不正利用:故意または過失あり
- 偽造カードによる不正利用:故意または過失あり
過失の例
- カードを他者に貸与
- カード情報を伝えてしまった場合
- 予測が容易な暗証番号を設定(ゾロ目・生年月日・住所・電話番号など)
- アメックスカード裏面の署名なし
- 自転車のカゴや自動車にカードを置きっぱなし
紛失・盗難の際にはすぐに連絡するのはもちろん、毎月のクレジットカードの明細を確認するのが重要です。
万が一自分が利用していない請求があった場合は、すぐにカード裏面のコールセンターへ電話しましょう。
また、システムによって不正利用の被害が検知された場合、アメックスから電話・メールで連絡がある場合もあります。その際は質問に対して回答する流れとなります。
不正利用に遭った場合、警察に届け出て、アメックス所定の書類を揃えて提出し、被害状況の調査に協力しましょう。
アメックスの不正利用補償のメリットは、会員サポートが充実しており、会員に寄り添った対応を期待できる点です。
4桁の暗証番号・本人認証サービス(3Dセキュア)の突破時も、しっかりと調査して第三者による不正利用の場合は補償してくれます。
不正検知システムもあり、カード不正利用を防止するセキュリティ対策、万が一の際の補償の両面で優れています。
アメリカン・エキスプレスは、総合的に幾多のクレジットカードの中でも、安心して利用できるカードと評価できます。
アメックスはライバルのクレカに一歩差をつける流麗な制度が満載であり、人生がもっと楽しくなるクレジットカードです(アメックスカードの種類)。
おすすめのアメックスについては、以下で徹底的に解説しています。
アメックスのプロパーカードの中で、最もスタンダードなのはアメックスグリーンです。
ウォーレン・バフェットやビル・ゲイツも保有していると言われているクレジットカードであり、世界の重鎮と肩を並べられる稀有なステータスカードです。
国際ブランド |
---|
電子マネー・Pay・NFC決済 |
---|
- ETC
- 家族カード
- リボ払い
- 国内旅行保険
- 海外旅行保険
- ショッピング保険
月会費(税抜) | 発行スピード | |
---|---|---|
本会員 | 家族会員 | |
1,000円 | 500円 | 約1週間 |
基本還元率 | マイル還元率 | ポイント名 |
1.0% | 0.4~1.0% | メンバーシップ・リワード |
- Amazon、Yahoo!ショッピング、iTunes Store、ヨドバシカメラ、Uber Eats、JAL、一休.com、H.I.S.でポイント3倍
- 空港ラウンジ無料
- グリーン・オファーズ、アメックスオファー
- プライオリティパスのスタンダード会員(通常99米ドルが無料)
- 充実の付帯保険(スマホ・返品まで補償)
- アメックスの充実のイベントにポイントで参加可能
コスパを重視する場合は、世界No.1ホテルグループのマリオットボンヴォイで至れり尽くせりの特典を受けられるマリオットアメックスプレミアムがおすすめです。
年1回の無料宿泊特典だけで年会費を超える金銭的価値を享受でき、更に通常なら年20泊が必要なプラチナエリートのステータスをカード利用だけで得られます。
国際ブランド |
---|
電子マネー・Pay・NFC決済 |
---|
- ETC
- 家族カード
- リボ払い
- ショッピング保険
- 海外旅行保険
- 国内旅行保険
- 航空便遅延費用補償
年会費(税抜) | 発行スピード | |
---|---|---|
本会員 | 家族会員 | |
45,000円 | 1枚無料 | 約1週間 |
基本還元率 | マイル還元率 | ポイント名 |
3.0% | 1.25% | マリオットボンヴォイのポイント |
- 世界中で利用可能な無料宿泊特典(5万ポイント迄)が毎年1回プレゼント(年150万円以上の利用)
- 無条件でMarriott Bonvoyのゴールドエリート会員(通常は年25泊必要)
- 年400万円の利用でプラチナエリート
- 年15泊の宿泊実績
- 対象ホテルでポイント2倍
最高峰のアメックス希望の場合はプラチナ・カードがおすすめです。光り輝く金属製メタルカードは抜群の上質感があり、情報感度が高いハイセンスな方々に好評を博しています。
国際ブランド |
---|
電子マネー・Pay・NFC決済 |
---|
- ETC
- 家族カード
- リボ払い
- 国内旅行保険
- 海外旅行保険
- ショッピング保険
- 航空便遅延保険
年会費(税込) | 発行スピード | |
---|---|---|
本会員 | 家族会員 | |
165,000円 | 4人無料 | 約1週間 |
基本還元率 | マイル還元率 | ポイント名 |
1.0% | 0.8~1.0% | メンバーシップ・リワード |
- 4つのホテルの上級会員資格
- フリーステイギフトで年1回無料宿泊
- ハワイも対象のコース料理1名分無料サービス
- 充実の付帯保険(スマホ・家電・ゴルフ・個人賠償責任保険・返品・旅行キャンセルまで補償)
- アメリカン・エキスプレス・グローバル・ラウンジ・コレクション