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消費税増税の景気条項が消えた。解散総選挙後の株価・為替はどうなるか?

更新日: マーケット・経済の分析

夜の道路と光

安部総理は「18カ月後(消費税を)さらに延期することはないとはっきり断言する」と会見で述べました。景気条項(景気が悪化した場合は消費税増税延期)を入れないようです。これに関しては反リフレで消費税増税賛成の方からも疑念の声が出ています。

決定した解散総選挙後の株価・為替に関する見通しについてアップデートします。


消費税増税が決定?株安・円高要素

景気条項を入れずに18ヶ月後は必ず増税するなら、現在の法令についている景気条項で判断すればいいだけの話となります。総選挙の大義が薄れます。「なぜ解散するのか、党利党略では」という批判が説得力を持ってきます。

「増税凍結」なら、既存の3党合意、法令、2年前の自民党の公約を変更することになるので、総選挙で信を問うことに大義が出てます。また、有権者の反応も抜群によくなるでしょう。

景気条項を入れないとなると、リーマン・ショック的な危機が勃発しても、景気が低迷してデフレに逆戻りしても、何が何でも上げることになり、「どこかの人民共和国の計画経済か」という批判も浮上する余地があります。

「一度決めたら、どんな状況の変化が生じてもその通りにする」というのは、政策としていかかがなものかという感があります。ここが財務省とのギリギリの調整結果だったのでしょう。

18ヶ月延期、その後は必ず増税となると、ただ単に駆け込み需要のピークが後ズレするだけになる気がします。消費者のマインド、GDPの約6割を占める個人消費に良い影響は出ないでしょう。

2015年の景気にはマイナス、2016年〜2017年3月にはプラスとなるだけです。

日経平均先物は会見後、1%近く急速に調整して、半分ほど反発しました。ドル円も急速に円高になって少し戻しています。総選挙の実施の話が浮上した時の市場の変化と逆となりました。「消費税増税で株安・円高」、「消費税増税がないと株高・円安」という結果でした。

大局的な方向性

解散から選挙前までは高パフォーマンスの傾向

しかし、過去50年間の衆議院解散から選挙までの間(解散総選挙期間中)、日経平均は13勝2敗という心強いアノマリーがあります。

選挙中は株価が上がりやすいというのは直感的には納得がいき、単なる偶然の可能性は否定できませんけれども、期待値は高いと評価できます。また、アノマリーにベットする動きは着実に出るでしょう。

過去3回はいずれも当時は日本が変わるという熱狂があり、今回はそのような熱狂はない点には留意が必要です。

マーケットは不透明感を嫌うので、選挙中盤で発表される新聞の世論調査が選挙結果がねじれ国会になりうるものだと、注意が必要かもしれません。

与党が過半数割れした場合は、次世代の党か維新の党と連立を組んで3党連立が復活するのでしょうが、政策の是非は抜きにしても、マーケットは政治・政局の不透明感は好みません。

維新の党と公明党の関係が悪化しているので、次世代の党の議席を加えて過半数になるなら、自民・公明・次世代の連立になる気がします。

原油価格の下落という僥倖

原油価格が大きく下落しています。非資源国であるわが国では、諸々の物価が下落して(これは良い物価下落)、消費活動が活発化します。

また、多くの製造業者の生産コストが下がるのも経済・株価にプラスです。

これは日本にとって神風のような僥倖です。大きなプラス材料です。

民間在庫品の減少・米国経済

7~9月はのGDPでは、民間の在庫投資が大きく減少し、GDPに悪影響を及ぼしました。

在庫の減少は今後の生産回復余地があると捉えることも可能です。今後には期待ができます。

また、スイートスポットが続いている米国経済の好調、一時を除くと安定的に右肩上がりの米国株の状況は日本株にもプラスです。

今後のシナリオ

今後のシナリオをインフレ率で2分してみます。まずインフレ率が2%に届かない場合です。この場合は、日銀はオープンエンドで異次元緩和を継続することになります。2%が遠のいた場合は追加緩和の余地があります。ETF買い入れの4倍増がチラついています。

インフレ率2%がまだまだ遠いという状況においては、株価が上がり過ぎない限りは黒田プットによる底堅さがあると思います。

為替の面でも、金融引締めが視野に入り、短期金利が上昇していくことが見込まれている米国と、いつ金融緩和が終わるか視界不良の日本では、世界経済が何事も無く順調に行けば、大局的な円安・ドル高方向になるのが見込まれます。

日本は貿易赤字であり、所得黒字の一部は円転されません。地味なドル買い円売りのフローが日々の為替市場に慢性的に滲み出てきます。

保有しているだけでコストがかかるポジション(外貨売り円買い)を大々的に維持し続けるのは余程の胆力がないとできません。

既存の円売りポジの解消はあるでしょうが、日銀がオープンエンドで金融緩和をしている状況下で腰の据わった円買い崩しは難易度が高いでしょう。

インフレ率が2%に届いた場合は、テーパリングが視野に入り、株価・為替のいずれも大きく調整するリスクがあります。

もっとも、国債買い入れを止めて利上げすると、金利が急上昇して政府債務が拡散する恐れがあるので、「金利<インフレ率」の金融抑圧状況を続けて、国民の貯蓄をインフレという形で収奪し、長い年月をかけて実質的に財政赤字を削減していく方向にならざるを得ない気がします。

参考黒田日銀の異次元緩和2(バズーカ2)の表と裏

「日銀は出口に出れない」状況です。この場合は一旦は円高になるものの、調整一巡後は円安が止まらなくなる可能性があるでしょう。

まとめると、当面は株高・円安が続くと思いますが、消費税増税延期・景気条項ありと比較すると、景気条項なしの増税延期は期待値が下がる気がします。国内要因だけで2年前の再現(解散から数ヶ月で株価が2倍近く上昇)は見込めないような気がしています。

途中に紆余曲折やボラティリティがありつつ、円安の進行、米国経済の回復、原油価格の落ち着き、日銀のETF買い入れなどを背景に、地道に2015年中に日経平均18,000~20,000円を目指す展開になると予想しています。

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Comment

  1. 諸々の疑問について より:

    >景気条項を入れずに18ヶ月後は必ず増税するなら、
    >現在の法令についている景気条項で判断すればいいだけの話となります。
     
     おっしゃるとおりです。
     こういう意見がありましたが、もしその意図があったとしても、
     一般国民に伝わっているか・・・ 
     構図が分かりにくいです。
    http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13138101988/a344733609

    >「一度決めたら、どんな状況の変化が生じてもその通りにする」というのは、政策としていかかがなものかという感があります。
    >ここが財務省とのギリギリの調整結果だったのでしょう。

     おっしゃるとおり、財務省の巻き返しが相当強かったのでしょう。
     数日前(首相帰国前)から、
     景気条項削除のリークが、政府筋の話としてニュースで盛んに出ていました。

     一応、こういうフォローはしておりますが、
     如何にも分かりにくいです。
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141119-00000003-jij-pol

     
    >マーケットは不透明感を嫌うので、選挙中盤で発表される新聞の世論調査が選挙結果がねじれ国会になりうるものだと、注意が必要かもしれません。

     相場を動かしているのが外国人ですからね。
     政治が安定していないのに、投資できませんよね。

     増税が2017年4月1日ではなく、2018年4月1日でしたら、
     3年後の2017年秋~年末に、もう一度解散総選挙、
     予定通り増税か、の信を問えるのですが、

     2016年秋~年末に解散だと、また2年程度なので、
     その線も微妙ですね・・・

    • まつのすけ より:

      安部総理の立場だと今回の解散はよく分かるのですが、ちょっと納得いきにくい面もありますよね。

      「消費税増税の白紙撤回」だったら、郵政解散並みのインパクトがあった気がします。。

      消費税が10%になるのはもう既定路線で動かなさそうですね。

  2. テクニカルチャート的には、現状、『てっぺん感』 より:

    テクニカルチャート的には、てっぺん感もあり、
    『ここが天井』という可能性も指摘されていたりします。
    http://www.asset-alive.com/nikkei/chart.php

    http://fanblogs.jp/dfkvs208/archive/124/0

    ※ダウの方でも、現在、騰落レシオが高い事が、指摘されています。

    一方、10月最終週以降、
    外国人買い、個人売りが顕著で、
    外国人買いは、この先の上昇を示唆しているとも考えられます。
    http://www.asset-alive.com/nikkei/demand_supply.php

    ご指摘のように、上がっていくようにも思うのですが、
    現状の、テクニカルチャート的な、『てっぺん感』は、
    どのように捉えておられますでしょうか?

    本当は、
    2012年の時の解散~総選挙~4・5月の異次元緩和、の時の、テクニカルチャートとの検証・比較もしたいのですが、
    その手段がありません。

    ブログ主様のような方しかできない、
    2012年の時の解散~総選挙~4・5月の異次元緩和の時の、
    テクニカルチャートの動き(騰落レシオ・移動平均乖離率などなど)
    と、今回との比較、分析、
    是非、お願いしたいのですが。

    • まつのすけ より:

      テクニカル指標面では過熱感も出てきましたね。

      諸々のテクニカル指標、騰落レシオは過熱感にあってもするするとよく上昇することはよくあると思います。

      日本株に関しては、騰落レシオがピークアウトしてから数週間~2ヶ月後に株価が下落し始めるのはよくあります。騰落レシオがピークアウトしたら注意が必要だと思います。また、い分析してエントリーをアップしようと思います!

  3. ctien より:

    選挙で大勝して得られるものは、外交では北朝鮮へのプッシュ、内政では民主党潰し、でしょうか。しかし景気次第で退陣するがメインシナリオと受け取れます。増税後の政権維持は考えられない。期限付き政権になってしまいましたね。何をやりたいのかはっきり言って欲しいです。

    • まつのすけ より:

      今回の選挙に関しては世論は反対が60数%みたいで、やはり批判的な考えが多いですね。

      増税までの期間が空いたことで、また大き目の駆け込み需要と反動減が起きそうです。

  4. ここから上がっていけるかは より:

    ここから上がっていけるかは、
    『今後の大きな上昇相場観』VS『レンジ相場のてっぺん観』の
    どちらが勝つかで、

    端的には、円安等の進展を受けて、
    個人投資家が、外国人投資家の後に追随するか、
    で決まるんだと思います。

    『今後の大きな上昇相場観』は、
     ブログ主様のご指摘の通り。

    『レンジ相場のてっぺん観』は、
     ここ1年ほど、日経平均がレンジ相場で動いていたので、
     現状は、レンジ相場のてっぺんあたりで、
     テクニカルチャート指標的にも、てっぺん観あり、
     という事だと思います。

    私個人は、ブログ主様の相場観が正しいのでは、
    と思うのですが、

    もし、前回の大きな流れがあった、
    2012年の時の解散~総選挙~4・5月の異次元緩和の時の、
    テクニカルチャートの動き(騰落レシオ・移動平均乖離率などなど)
    と、
    今回との比較、分析、があると、
    その理論を補強できて、心強いです。

    ※もちろん、結論ありき、ではありませんが、
     前回の大きな流れは、
     単なるテクニカルチャートでは読めなかったものでは?
     と想像しています。

    • まつのすけ より:

      テクニカルチャートの比較、週末にまとめてみます!

      テクニカルチャートはレンジ相場では有効に機能するものの、トレンドが変化する局面ではあまりうまく機能しない傾向があると思います。

      上昇トレンドの開始後しばらくはひたすら過熱感があって売りサインが出ても株価の上昇が続いたり、下降トレンドの場合は買いサインが出ても株価の下落が続きがちです。

      トレンド変換を当てるのは本当に難しいですが。。基本的には順張りでついていくのが王道で、大儲けできるのは逆張りですね。

  5. ちなみに、新聞業界が消費税の増税に賛成なのは、 より:

    ご存知かもしれませんが、
    こういった理由からです。
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141114-00000544-san-pol

    財務省から睨まれると、
    軽減税率の対象から外れてしまいます。

    軽減税率は、公明党の公約でもあるので、
    何が対象になるかは、政争の対象でしょう。

    消費税増税の判断時期の直前に、
    増税に賛意を示しておきながら、
    裏でこういった活動をしている新聞業界に幻滅しました。

    今の時代、わざわざ、なぜ有料で、
    洗脳するための情報が多く載った紙を買わなければならないのでしょうか。

    • まつのすけ より:

      軽減税率は線引を巡って阿鼻叫喚が起きそうで、膨大な事務コストがかかって非効率と批判されてますよね。

      20%くらいまで上げるなら流石に必要でしょうが、10%くらいで導入するのは微妙かなと思います。

      新聞は自社の考えのゴリ押しの面があったり、記者クラブ制度等でぬくぬくとして、他者の批判はしても、自分の既得権益は手放しませんよね。

      事実を伝える通信社のネットニュースで十分かもしれませんね。日経なら証券会社のツールで見れますし。

  6. のんちゃん より:

    いつも勉強させてもらってます。

    >原油価格が大きく下落しています。
    >非資源国であるわが国では、諸々の物価が下落して(これは良い物価下落)、消費活動が活発化します。

    とのことですが、我々消費者にとって悪い物価下落というのはどういった場合でしょうか?

    ご教示いただければ幸いです。

    • まつのすけ より:

      嬉しいお言葉ありがとうございます!

      需要が減退して不景気になることによる物価下落は、経済全体としては悪い物価下落で、消費者としては、収入が物価以上に下落しない場合は特に問題はないです。

      重要なのは名目ではなく実質なので、物価の変動よりも収入の変動や資産運用利回りが高ければ、個人としては良い状態です。

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