日本郵政(6178)のIPOが決定しています。ブック・ビルディング期間は10月8日(木)~10月23日(金)、上場日は11月4日(水)です。
新規上場する市場は東証(所属部未定)となっていますが、ほぼ確実に東証一部で、想定価格は1,350円(1単元13.5万円)です。
仮条件は1,100~1,400円と上限が上振れました。公開価格は仮条件の上限である1,400円となりました。
初値予想は公開価格近辺で若干のプラスリターンです。大手初値予想会社の初値予想は1,350〜1,450円となっています。
初値は公開価格を16.5%上回る1,631円となりました。
日本郵政は、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が主な事業主体となる会社として、郵便・物流事業、金融窓口事業、銀行業、生命保険業等の業務を営んでいます。
監査法人はあずさで、本社所在地は東京都千代田区霞が関一丁目3番2号です。
- 日本郵政の最新株価
- ゆうちょ銀行の最新株価
- かんぽ生命の最新株価
目次
日本郵政のIPO
日本郵政とは
日本郵政の経営理念は以下のとおりです。
「郵政ネットワークの安心、信頼を礎として、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮しつつ、お客本位のサービスを提供し、地域のお客の生活を支援し、お客と社員の幸せを目指します。また、経営の透明性を自ら求め、規律を守り、社会と地域の発展に貢献します。」
株主は財務大臣100%です。IPOの際には約1兆3000億~1兆7000億円の株式放出が見込まれています。本社所在地は東京都千代田区霞が関一丁目3番2号です。
日本郵政は全国各地で郵便、貯金、保険の均一なサービス(ユニバーサルサービス)を提供する義務を負っています。
郵便局事業の日本郵便は赤字であり、ゆうちょ銀行、かんぽ生命からの手数料収入で赤字を補填している状況です。
日本郵政がゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式を50%以上手放すと、新規業務に進出する際に必要な認可が届け出制に変わります。完全民営化への第一歩となります。
従業員数は3,062名、平均年齢は43.1歳、平均勤続年数は16.1年、平均給与は761.8万円です。典型的な日本企業らしい数字です。
日本郵政グループの事業セグメントは、日本郵便を中心とした「郵便・物流事業」及び「金融窓口事業」、ゆうちょ銀行を中心とした「銀行業」、かんぽ生命保険を中心とした「生命保険業」並びに当社等が担う事業を「その他」に区分しています。
セグメントごとの主な事業主体は次に記載のとおりです。○は連結子会社、△は持分法適用関連会社です。
セグメントの名称 | 主な事業主体 | 連結子会社・持分法適用関連会社 |
---|---|---|
郵便・物流事業 | 日本郵便 | ○ 日本郵便輸送 |
○ 郵便(中国)国際物流有限公司 | ||
○ 日本郵便デリバリー | ||
○ 日本郵便ファイナンス | ||
○ JPロジサービス | ||
○ JPビズメール | ||
○ JPサンキュウグローバルロジスティクス | ||
○ JPメディアダイレクト | ||
金融窓口事業 | 日本郵便 | ○ 郵便局物販サービス |
○ JPビルマネジメント | ||
○ JPコミュニケーションズ | ||
○ 日本郵便オフィスサポート | ||
○ JP三越マーチャンダイジング | ||
○ JP損保サービス | ||
○ ゆうゆうギフト | ||
○ JP東京特選会 | ||
△ セゾン投信 | ||
△ ジェイエイフーズおおいた | ||
△ リンベル | ||
銀行業 | ゆうちょ銀行 | △ SDPセンター |
△ 日本ATMビジネスサービス | ||
生命保険業 | かんぽ生命保険 | ○ かんぽシステムソリューションズ |
その他 | 当社 | ○ 日本郵政スタッフ |
○ ゆうせいチャレンジド | ||
○ JPホテルサービス | ||
○ 日本郵政インフォメーションテクノロジー |
日本郵政は、事業子会社の経営の基本方針の策定及び実施の確保並びに株主としての権利の行使を行っています。
また、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託するほか、公社から承継した病院及び宿泊施設の運営等を行っています。
郵便・物流事業
当セグメントにおける日本郵政グループの主たる会社は、日本郵便です。
日本郵便は、郵便法(昭和22年法律第165号)の規定により行う郵便の業務並びに郵便物の作成及び差出しに関する業務その他の附帯する業務等の郵便事業並びに物流事業等を行っています。
郵便事業
郵便サービスを全国一律の料金であまねく公平に提供し、国内郵便に加え、万国郵便条約などの条約・国際取り決めに基づく国際郵便(通常・小包・EMS)を提供しています。
EMSとは、国際スピード郵便(Express Mail Service)のことです。
また、郵便発送業務一括アウトソーシングのニーズにお応えするため、JPビズメール株式会社などの子会社において、郵便物などの企画・作成(印刷)から封入・封かん、発送までをワンストップで請け負うトータルサービスを提供しています。
その他、国からの委託による印紙の売りさばき、お年玉付郵便葉書の発行等の業務を行っています。
物流事業
物流サービスとして、宅配便(ゆうパック等)及びメール便(ゆうメール等)の運送業務を行っています。
送達日数の短縮、チルド・冷凍荷物の対応、配送の小口化など、eコマース市場の成長に伴う多様な顧客ニーズに的確に応えたサービスを提供する方針です。
一方、多様化・高度化する物流ニーズに対しては、お客に最適な物流戦略、物流システムの設計、提案、構築から運用までを行う3PLサービスの提供を、物流ソリューションセンターを中心として、株式会社JPロジサービス、株式会社JPメディアダイレクトなどとともに展開しています。
3PLとは、サードパーティーロジスティクス=サード・パーティー(=3PL事業者)が、荷主の物流業務全体又は一部を荷主から包括的に受託するサービスの形態です。
また、増大する日本と中国などアジアを中心とした物流のニーズに対応するため、JPサンキュウグローバルロジスティクス株式会社や現地法人である郵便(中国)国際物流有限公司を軸とした総合的な物流ソリューションを提供しています。
更に、eコマースを中心とした小口荷物の国際宅配需要を獲得するため、国際宅配便サービスである「ゆうグローバルエクスプレス」(UGX)によって、国際郵便で提供できない付加価値サービスに対応しています。
平成26年に資本・業務提携した海外物流パートナーである、仏GeoPost S.A.(ジオポスト)及び香港Lenton Group Limited(レントングループ)との間で開発したサービスです。
その他
通信販売事業者向けの決済サービスなど、物流に附帯したファイナンスサービスを提供しています。
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金融窓口事業
当セグメントにおける日本郵政グループの主たる会社は、日本郵便です。
日本郵便は、お客にサービスを提供するための営業拠点として全国に設置した直営の郵便局、業務を委託した個人又は法人が運営する簡易郵便局において、郵便・物流事業に係る窓口業務、銀行窓口業務等、保険窓口業務等、物販事業等を行っています。
また、不動産事業、提携金融サービスを行っています。平成27年6月30日現在の郵便局数は以下のとおりです。
- 直営の郵便局:20,184局(内、営業中は20,115局)
- 簡易郵便局:4,281局(内、営業中は4,052局)
簡易郵便局のうち、銀行代理業務等に係る委託契約を締結しているのは4,023局(内、営業中は4,011局)、生命保険募集委託契約を締結しているのは623局(内、営業中は623局)です。
簡易郵便局とは、日本郵便が郵便窓口業務及び印紙の売りさばきに関する業務を委託する者が設ける施設であり、日本郵便と受託者との受委託契約により行う業務が異なります。
郵便・物流事業に係る窓口業務
郵便物の引受・交付、郵便切手類の販売、ゆうパック等物流サービスの引受、印紙の売りさばき等を行っています。
銀行窓口業務等
ゆうちょ銀行から委託を受け、通常貯金、定額貯金、定期貯金、送金・決済サービスの取扱い、公的年金などの支払い、国債や投資信託の窓口販売などを行っています。
保険窓口業務等
かんぽ生命保険から委託を受け、生命保険の募集や保険金の支払いなどを行っています。
物販事業
日本全国各地の名産品を掲載しているカタログや地域に密着した商品を掲載したチラシ等を郵便局に設置し、掲載商品等の販売斡旋を行うカタログ販売事業を行っています。
また、フレーム切手に加え、オリジナルの郵便関連商品等を開発し、郵便局窓口や提携コンビニエンスストアにおいて販売を行う店頭販売事業を行っています。
不動産事業
事務所・商業施設・住宅等の賃貸・管理事業のほか、賃貸用建物の運営管理業務及び分譲事業等の不動産事業を行っています。
平成19年10月の郵政民営化に伴い公社から承継した不動産を基に高度商業地域に位置する旧東京中央郵便局敷地(現:JPタワー)などを開発しています。
提携金融サービス
かんぽ生命保険以外の生命保険会社や損害保険会社などから委託を受け、変額年金保険、法人(経営者)向け生命保険、がん保険、引受条件緩和型医療保険及び自動車保険の販売を行っています。
その他の事業
その他、以下の業務を行っています。
- 地方公共団体の委託を受けて行う戸籍謄本や住民票の写し等の公的証明書の交付事務、ごみ処理券等の販売、バス利用券等の交付事務
- 当せん金付証票(宝くじ)の発売等の事務に係る業務
- NTT東日本・西日本から委託を受けて行う郵便局に設置された公衆電話の維持・管理業務
- 日本放送協会からの委託を受けて行う放送受信契約の締結・変更に関する業務
- 郵便局等の店頭スペース等の活用、窓口ロビーへのパンフレット掲出等の広告業務
銀行業
当セグメントにおける日本郵政グループの主たる会社は、ゆうちょ銀行です。
ゆうちょ銀行は、日本郵政グループにおける唯一の銀行として、銀行法に基づき銀行業を全国規模で行っています。
ゆうちょ銀行は、銀行業のみを単一セグメントとして、預入限度額内での預金(貯金)業務、シンジケートローン等の貸出業務、有価証券投資業務、為替業務、国債、投資信託及び保険商品の窓口販売、住宅ローン等の媒介業務、クレジットカード業務などを行っています。
ゆうちょ銀行は、「広く国民各層を顧客とするリテール金融機関」、「本邦最大級の機関投資家」との事業モデルを掲げています。
日本郵便の郵便局ネットワークをメインチャネルに、1.2億人規模のお客に生活・資産形成に貢献する金融サービスを提供し、お預りした貯金を有価証券に運用することを主な事業としています。
資金運用
ゆうちょ銀行は、平成27年3月末現在、個人貯金が90%超を占める177.7兆円の貯金を、有価証券156.1兆円(うち国債106.7兆円)や貸出2.7兆円等に運用することで、資金収益を中心に収益を確保しています。
具体的には、想定した市場環境のもと、負債の状況等を踏まえて国債等の運用資産・運用期間を適切に管理し、スワップ等で一定の金利リスク(金利の変動により資産・負債の価値や資産・負債の生み出す収益が変動し損失を被るリスク)をヘッジしつつ、ベースの収益である金利スプレッド(利鞘)の安定的な確保に努めています。
また、地域経済の活性化に資する地方債・地方公共団体に対する貸付、社債での運用、シンジケートローンへの参加に取り組んでいます。
更に、外国債券等の国際分散投資を推進して、信用・市場リスク(信用供与先の財務状況や市場の変動により、資産の価値や収益が変動し損失を被るリスク)を管理しつつ、収益源泉の多様化・リスクの分散を図っています。
資金調達、資産・負債総合管理
ゆうちょ銀行は、本支店その他の営業所、日本郵便が展開している郵便局のネットワークを通じて、お客から通常貯金、定額・定期貯金などの各種の貯金を預入限度額内でお預かりしています。
また、管理機構が、公社から承継した郵便貯金に相当する預り金を、特別貯金として受け入れています。
更に、資金運用(資産)と市場取引も含めた資金調達(負債)について、金利リスクや流動性リスク(運用・調達期間の差異や資金流出により、必要な資金調達や通常の金利での資金調達が困難となるリスク)をマネージしつつ、資産・負債を総合的に内部管理するALM(Asset Liability Management)を適切に展開し、中期的な安定的収益の確保に努めています。
国債運用等で安定的収益の確保を図る「ベース・ポートフォリオ」と、国際分散投資等を拡大し主に信用・市場リスクを取って収益の積上げを追求する「サテライト・ポートフォリオ」の枠組みのもとで運用を行っています。
手数料ビジネス
ゆうちょ銀行は、本支店その他の営業所(直営店)、日本郵便の郵便局ネットワークを通じて、為替業務の他、国債・投資信託等の資産運用商品の販売、クレジットカード業務、住宅ローン等の媒介業務(直営店に限り取扱い)などによって、手数料(役務取引等)収益を確保しています。
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生命保険業
当セグメントにおける日本郵政グループの主たる会社は、かんぽ生命保険です。かんぽ生命保険の営む事業の主な内容は次のとおりです。
生命保険業
かんぽ生命保険は、生命保険業免許に基づき、生命保険の引受け及び有価証券投資、貸付等の資産運用業務を行っています。
また、日本郵便との間で生命保険募集・契約維持管理業務委託契約等を締結し、平成27年6月30日現在、20,143局(内、営業中は20,074局)の郵便局で生命保険募集等を行っています。
他の保険会社その他金融業を行う者の業務の代理又は事務の代行
かんぽ生命保険は、次の保険会社の商品の受託販売等を行っています。
- エヌエヌ生命保険株式会社
- 住友生命保険相互会社
- 東京海上日動あんしん生命保険株式会社
- 日本生命保険相互会社
- 三井住友海上あいおい生命保険株式会社
- 明治安田生命保険相互会社
- メットライフ生命保険株式会社
- American Family Life Assurance Company of Columbus
管理機構から委託された簡易生命保険管理業務
かんぽ生命保険は、郵政民営化法により公社から管理機構に承継された、簡易生命保険契約の管理業務を、管理機構から受託しています。
また、管理機構とかんぽ生命保険の間で再保険契約を締結し、簡易生命保険契約に基づく管理機構の保険責任のすべてをかんぽ生命保険が受再しています。
その他
上記各セグメントにおける事業のほか、日本郵政グループでは当社を主たる会社として、グループシェアード事業、病院事業、宿泊事業等を営んでいます。
グループシェアード事業
日本郵政グループ各社が個別に実施するよりもグループ内で1カ所に集約したほうが効率的な実施が見込まれる間接業務を、当社が事業子会社等から受託して実施しています。
これによって、グループ各社の業務を支援するとともに、経営効率の向上を図っています。
具体例は、電気通信役務及び情報処理サービスの提供、人事及び経理に関する業務、福利厚生に関する業務、コールセンター業務、不動産管理等関連業務などです。
病院事業・宿泊事業
日本郵政グループの企業立病院として、逓信病院を全国11カ所に設置しています。
また、平成27年6月30日現在で、直営のかんぽの宿(61カ所)のほか「ホテル ラフレさいたま」等の経営、「ホテル メルパルク」(11カ所)等の賃貸借、管理を行っています。かんぽの宿の施設数は休館中の4カ所を含みます。
人材派遣事業
当社の子会社である日本郵政スタッフ株式会社において、社員の募集・採用を行い日本郵政グループ各社等への紹介及び派遣を行っています。
平成27年5月28日に日本郵便が豪州の総合物流企業であるトール社の全株式を取得したことにより、日本郵政グループはトール社を介して、オセアニア及びアジアに進出しています。
エクスプレス物流、オーストラリア、ニュージーランド国内における貨物輸送、アジアからの輸出を中心としたフルラインでの国際的貨物輸送及びアジア太平洋地域における3PLプロバイダーとしての輸送・倉庫管理等のサービスを提供しています。
トール社は下表の5部門で構成されており、不特定の顧客や小さな契約ベースの顧客を対象としたネットワーク物流、特定顧客のニーズを満たすために構築した契約ベース物流及び資源・政府系を対象とした特殊物流を提供しています。
門名 | サービス概要 |
---|---|
国際エクスプレス部門 | オーストラリア、ニュージーランド、アジアにおけるエクスプレス物流サービスを提供 |
(Global Express) | |
国内フォワーディング部門 | オーストラリア、ニュージーランド国内における貨物輸送サービスを提供 |
(Domestic Forwarding) | |
国際フォワーディング部門 | アジアからの輸出を中心としたフルラインでの国際的貨物輸送サービス等を提供 |
(Global Forwarding) | |
国際物流部門 | アジア太平洋地域における3PLプロバイダーとして、輸送・倉庫管理等サービスを提供 |
(Global Logistics) | |
資源・政府系物流部門 | オーストラリア、アジア及びアフリカの石油・ガス、鉱業、政府及び防衛セクターに対する契約ベースでの物流サービスを提供 |
(Resource and Government Logistics) |
日本郵政の課題
ゆうちょ銀行とかんぽ生命を中核子会社とする日本郵政の最大の課題は収益性です。
郵便事業
宅配便「ゆうパック」事業は赤字が続いており、郵便物の引き受け件数は、人口減少とインターネットの普及、新たなコミュニケーション手段の登場などによって減少が続いています。
2015年3月期の総取扱物数は、郵便が-2.1%と引き続き落ち込んでいます。ゆうメールは+1.1%、ゆうパックは+13.2%と伸びたものの、全体では-1.3%と下落が続いています。
2016年3月期の第1四半期はヤマト運輸がメール便を廃止したことによって反発しましたけれども、これは一過性のものであり、郵便事業の収益性は引き続き難しい状況が続くと予想されます。
郵便・物流事業では、ゆうパックの黒字化、ゆうメールの拡大、国際物流事業の拡大を目指しています。宅配市場は拡大を続けているので、成長の余地はあります。
ヤマト運輸46.3%・佐川急便33.9%と二社で80.2%という圧倒的なシェアを占めている中で、収益性を確保しながらシェア拡大に取り組んでいくことになります。
大型集配拠点を新設して、既存の拠点を統廃合して人員を浮かせる試みや、コンビニでの受け取りサービスの拡大、豪トール社の買収を目指しています。郵便事業は減少の一途をたどっており、ここは難しさがあります。
2月18日には、日本郵政グループは、オーストラリアの物流大手、トールHDを買収しました。「買収という形にしたのは時間を買うためだ。いたずらに時間を費やすより、ここで新事業を始めることが極めて大事だと考えた」と西室社長は力説しました。
6200億円を投じる買収劇は、直近ではサントリーHDによる米蒸留酒大手ビームの買収(約1兆6000億円)に次ぐ規模です。西室社長は「日本だけに閉じこもって物流企業が成り立つ時代は終わろうとしている」と述べています。
郵便事業が軟調な日本郵政は、1995年の民営化・2000年の上場を経て、国際物流会社として業容を拡大したドイツポストを目指しています。
日本郵政が世界各地で拠点を自前で整備するのには長い年月を要します。しかし、アジアを中心に世界55カ国で事業展開するトールを傘下に収めれば、時間を買うことができます。
豪トール社の買収価格は時価総額の約2倍であり、多額ののれん償却費が発生します。これを避けるために、日本郵政はIFRS(国際会計基準)への移行を検討しています。
IFRSならのれんの償却が不要になります。ただし、収益力が悪化した場合は減損で一気に損失が発生することになります。
ゆうちょ銀行
純利益の多くの部分をゆうちょ銀行とかんぽ生命が叩きだしており、今後も銀行・生保事業の成長戦略が重要となります。
「夢、応援中。」というゆうちょ銀行ののぼりがありましたけれども、ゆうちょ銀行にも応援が必要な情勢となっています。公共性への配慮とともに、収益性も確保するために収益力の向上が課題ですね。
ゆうちょ銀行は、メガバンク最大手の三菱UFJ銀行の1.5倍近い預貯金を抱えています。 三井住友銀行・みずほ銀行と比較すると2倍近い規模です。
預貯金残高は極めて大きいものの、個人向け貸し出し・法人向け貸し出しが規制されていることから、有価証券による運用が主体で収益性に乏しいのが課題です。
銀行名 | 預貯金残高 | 貸出金 | 経常利益 |
---|---|---|---|
ゆうちょ銀行 | 177兆円 | 2.7兆円 | 5694億円 |
三菱UFJ銀行 | 124兆円 | 82兆円 | 9026億円 |
みずほ銀行 | 93兆円 | 70兆円 | 8322億円 |
三井住友銀行 | 91兆円 | 68兆円 | 9559億円 |
ゆうちょ銀行はリスク資産への投資拡大による収益力の向上が重大なテーマであり、ゴールドマンサックス副社長を招いて市場部門担当の執行役副社長に据えてテコ入れを図っています。
資産運用の見直しは既に動き出しています。それと並んで今後の収益拡大において重要なのは、地方銀行等との提携戦略です。
全国各地にある郵便局のネットワークを活用するゆうちょ銀行に、地銀は表向きは「民業圧迫」と警戒しています。ただし、水面下では提携を模索しています。
日本郵政の西室泰三社長は「地銀や信用金庫、信用組合との連携もやらないといけない」と述べており、ゆうちょ銀行が地銀と提携する可能性を否定していません。
日本郵政は2015年4月に発表した中期経営計画で、従来「3年間で貯金6兆円増」としていた目標を、総預かり資産4兆円増(貯金3兆円・資産運用商品で1兆円)に引き下げました。共存共栄のサインとも解釈できます。
地域金融機関との連携のモデルは、コンビニATMで多額の手数料を得ているセブン銀行です。地銀のキャッシュカードを持つ人がゆうちょ銀行のATMを使えば、ゆうちょ銀行に手数料収入が入ります。
ゆうちょ銀行のATMは全国に約2万7000台。セブン銀行の約2万1000台を上回ります。ATMへの投資・維持管理は地銀・信金等にとって負担が重く、ゆうちょ銀行のネットワークは地銀・信金等にとっても魅力的です。
日本郵便は金融窓口事業として2013年にアフラックと提携してがん保険を販売しています。日本生命が袖にされたという悲劇もあったものの契約は伸びています。
また、多種多様な投資信託を販売しており、人気のインデックス投信のセゾン投信とも提携しています。
保険・投資信託の販売による手数料は、2015年3月期は前期比で50%程度伸びて約70億円になりました。全国2万の郵便局での販売を目指し、取扱郵便局を増やしています。
かんぽ生命
かんぽ生命は保有契約の底打ちが重大な課題であり、養老保険・終身保険の加入年齢を2015年4月に引き上げました。
平成26年度末の保有契約数の構成比率は、養老保険46.4%、終身保険36.7%、学資保険16.4%、その他0.5%です。
2014年4月には新しい学資保険「はじめのかんぽ」を発売して、それまでの約3倍増と契約が大幅に伸びました。以下の工夫が好評を得ました。
- 補償を抑えて戻り率を高く設定
- 12歳払い済みが可能(短期払いのプラン新設)
- 出産予定日の140日前から加入可能(出生前加入制度)
- 3つの受け取りコース(大学入学時、小・中・高・大学入学時、大学入学時・在学中)
- 入院特約の付加が可能
学資保険「はじめのかんぽ」については、以下で徹底解説しています。
主力の養老保険については以下にまとめています。
中期経営計画
日本郵政は2015年度~2017年度の中期経営計画を公表しました。2017年度の経常利益は2014年度比で減少が見込まれており、成長性が課題となっています。
中期経営計画では、2015~2017年度に約2兆円の大型投資が見込まれています。M&Aなどを含む戦略投資に約8000億円、不動産開発投資に約700億円が投入される予定です。
中期経営計画では、配当性向を50%以上とし、株主に対する利益還元を強化する方針を打ち出しています。IPO時は高配当利回りがPRポイントにするのでしょう。
日本郵政の津々浦々に構築されている拠点網や多数の顧客層は、多種多様な業種の企業との提携につながっています。
アフラックと保険販売、IBMとアップルとは高齢者向けサービス、三井住友信託銀行とはカード決済、クレディセゾンとの投資信託など幅広く提携しています。これらの取り組みの成否は成長に直結します。
三井住友信託銀行・野村HDと定型詩、投信の共同開発を行う資産運用会社を合弁で設立する予定です。簡単で分かりやすい投信を作る方針で、2016年2月に販売開始の予定です。
投信・変額年金などの預かり資産を今後3年で1兆円増やし、手数料収入を100億円増やす計画を立てています。
不採算事業の整理も重要な課題です。
全国で14箇所にある逓信病院は赤字が続いています。また、宿泊事業ではかんぽの宿の赤字が続いています。
土日の割増料金がマイルドなのが特徴ですけれども、繁忙期には大胆に値上げしたり、あるいは営業終了して土地として売却するなどのテコ入れが必要です。
ゆうちょ銀行は営業経費の54.1%が日本郵便への委託料であり、これに人件費と業務委託費を加えると経費の70.7%を占めます。
委託料を効率化できれば収益力を高められますが、ユニバーサルサービスのコストや日本郵便が赤字にならないように委託料が設定されているという大人の事情の可能性などから、大胆に切り込むのは至難の業と思われます。
例えば、仙台市の北東にある浦戸諸島にある浦戸郵便局は、集配する郵便物は1日平均で200通程度であり、ゆうパックの取り扱いは5~6個となっています。
コストに見合う収益を上げるのは極めて難しい状況です。郵便サービスでは全国で8割の地域の郵便局が赤字に陥っています。
また、海外では郵便業務についてはユニバーサルサービス義務がある例は多いですが、日本は銀行・保険についても課されているのがオンリー・ワンとなっています。
隠れた魅力・不動産事業
日本郵政の隠れた魅力は、不動産開発です。2013年には東京駅隣接に建つ商業施設「KITTE」(旧東京中央郵便局の敷地)をオープンし、初年度は約2297万人を集客しました。
8階から上はオフィスフロアでJPタワーと呼ばれています。東京駅から最も近いオフィスビルです。オフィスフロア部分は2012年5月の不動産低迷期だったことからテナント誘致が進まず低迷していましたが、賃料の値下げで空室は解消されました。
2015年11月には、JR名古屋駅前にJPタワー名古屋が竣工します。低層階には「KITTE名古屋」という商業施設が入ります。名古屋駅直通の好立地です。
JR東海のJRゲートタワー、三菱地所の大名古屋ビルヂングとテナント誘致で激しく競争しています。
2016年春には、福岡の博多駅前にKITTE博多を開業します。博多駅から駅直通の好立地です。
九州初上陸となる丸井の博多マルイの入居が決まっています。ちなみにマルイはエポスカードで年数回10%OFFとなるのでお得です。
大阪でも大阪駅と梅田駅に隣接する旧大阪中央郵便局跡地の再開発が検討されています。
このように日本郵政グループは、駅前の超一等地に優良不動産を保有しています。駅前以外でも、多数の不動産を保有しています。
日本郵政グループの土地資産額は、2015年3月末時点で1兆5133億円で、上場企業の中でも第6位となります。不動産事業を受け継ぐ日本郵便の土地資産額は、2015年3月末時点で1兆2414億円です。
貸借対照表に計上されている土地の価格は時価ではなく、土地取得時の簿価となっています。1800年代後半~1900年代前半に取得した土地が簿価で計上されています。
現在の貨幣価値からは二束三文の取得価格ですので、現在は膨大な含み益が出ています。
これらの有効活用も期待できます。例えば、旧社宅を野村不動産と開発分譲した「プラウド市川」などの成功例があります。
日本郵政グループは、2015年~2017年までの3年間で700億円を投資して、不動産開発を推進する予定です。
JR東日本のように不動産事業を成功させて軌道に乗せると、成長に大きく資することになります。
日本郵政グループの業績推移
2014年3月期
2014年3月期の日本郵政グループの連結純資産は約13兆3890億円です。このうち、約80%はゆうちょ銀行となっていました。
2014年3月期の連結純利益は4790億円で、内訳は日本郵政が1550億円、ゆうちょ銀行が3546億円、かんぽ生命が634億円、日本郵便が329億円です。具体的には下表の通りです。単位は億円です。
日本郵政グループ(連結) | 日本郵政 | 日本郵便 | ゆうちょ銀行 | かんぽ生命保険 | |
---|---|---|---|---|---|
経常収益 | 152,401 | 2,763 | 27,924 | 20,763 | 112,339 |
前期比 | -6,090 | 76 | 191 | -494 | -6,009 |
-3.8% | 2.8% | 0.7% | -1.3% | -5.1% | |
経常利益 | 11,036 | 1,478 | 525 | 5,650 | 4,635 |
前期比 | -121 | 221 | -275 | -284 | -658 |
-9.9% | 17.6% | -34.4% | -4.7% | -12.4% | |
純利益 | 4,790 | 1,550 | 329 | 3,546 | 634 |
前期比 | -836 | 98 | -271 | -192 | -275 |
-14.9% | 6.8% | -45.2% | -5.1% | -30.3% |
2015年3月期
上場前の最後の連結決算(2015年3月期)の結果は、純利益が4,826億円(前期比1%増)となりました。その内訳は以下のとおりです。
- 日本郵政グループ(連結):4826億円(+0.8%)
- 日本郵政:1311億円(-15.4%)
- 日本郵便:154億円(-53.1%)
- ゆうちょ銀行:3694億円(+4.1%)
- かんぽ生命保険:817億円(+28.9%)
利益の半分以上を占めているゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社が、国債中心のポートフォリオから外国債券や株式への投資を増やして収益を伸ばしました。
ゆうちょ銀行の資産の内訳は以下のとおりです。
- 国債:51.8%
- 社債等:7.9%
- その他の証券:15.9%
- 金銭の信託:1.6%
- 預け金など:21.0%
かんぽ生命の資産の内訳は以下のとおりです。
- 国債:56.6%
- 社債等:19.1%
- 外国証券:2.3%
- 金銭の信託:1.7%
- 貸付金:11.8%
- その他:8.5%
2016年3月期第1四半期
2015年度(2016年3月期)の第1四半期決算は、日本郵政グループの連結では、経常収益は3兆4465億円(前年同期比-3.2%)、経常利益は2427億円(同-10.8%)となり落ち込みました。
四半期純利益は1426億円となり、前年同期比+1.6%となりました。日本郵便は経常収益・経常利益・四半期純利益のいずれも伸び、ゆうちょ銀行とかんぽ生命はいずれも落ち込みました。
日本郵政グループ(連結) | 日本郵便 | ゆうちょ銀行 | かんぽ生命保険 | |
---|---|---|---|---|
経常収益 | 34,465 | 7,014 | 4,827 | 24,731 |
前年同期 (14/6)比 | -1,146 | 271 | -261 | -1,195 |
(-3.2%) | (+4.0%) | (-5.1%) | (-4.6%) | |
経常利益 | 2,427 | 126 | 1,138 | 1,076 |
前年同期 (14/6)比 | -293 | 45 | -142 | -231 |
(-10.8%) | (+56.9%) | (-11.1%) | (-17.7%) | |
四半期純利益 | 1,426 | 312 | 792 | 232 |
前年同期 14/6)比 | 21 | 111 | -67 | -20 |
(+1.6%) | (+55.2%) | (-7.8%) | (-8.3%) |
業績面では売上高は見事な右肩下がりです。経常利益・純利益は横ばいが続いています。
営業キャッシュフローは純利益を下回っています。前期の自己資本利益率(ROE)は3.4%であり、自己資本比率は5.2%です。
決算年月 | 平成26年3月 | 平成27年3月 | |
---|---|---|---|
経常収益 | (百万円) | 15,240,126 | 14,258,842 |
経常利益 | (百万円) | 1,103,603 | 1,115,823 |
当期純利益 | (百万円) | 479,071 | 482,682 |
包括利益 | (百万円) | 717,123 | 2,212,035 |
純資産額 | (百万円) | 13,388,650 | 15,301,561 |
総資産額 | (百万円) | 292,246,440 | 295,849,794 |
1株当たり純資産額 | (円) | 2,974.91 | 3,399.74 |
1株当たり純利益額 | (円) | 106.46 | 107.26 |
自己資本比率 | (%) | 4.6 | 5.2 |
自己資本利益率 | (%) | 3.7 | 3.4 |
営業CF | (百万円) | 18,831 | △1,204,555 |
投資CF | (百万円) | 11,180,189 | 15,521,777 |
財務CF | (百万円) | △40,405 | △42,101 |
現金等 | (百万円) | 21,529,671 | 35,805,379 |
市場トレンド
市況面では、上場直前3ヶ月間のインデックスが上昇トレンドの状況だと初値リターンが高い傾向となっています。
TOPIXは8月下旬に急落し、落ち着かない展開が続いています。現在はダブルボトムとして踏みとどまれるか否かの瀬戸際となっています。
(※マネックス証券より)
上場規模
日本郵政のIPOの規模は最大で約6682.5億円であり、東証一部として超重量級の大型です。小型であればある程、初値リターンは良い傾向があります。
日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社合計で、想定価格に基づいたIPOの総額は約1兆3875億円です。1987年のNTT、1998年のNTTドコモ以来の大型上場となあります。
公開比率(オファリングレシオ)は最大で約11%と低めです。公開比率が低ければ低いほど、初値リターンが高い傾向があります。公募株式数に占める売出の割合は100%です。
売出人である財務大臣には、原則として180日間のロックアップがかかっています。株価上昇による解除条項はありません。
株主は財務大臣100%です。
投信よりIPOがベスト
「日本郵政株式/グループ 株式ファンド」という日本郵政グループの3社に投資する等信託が登場しました。
しかし、購入時手数料率(最大で税込1.62%)、信託報酬(税込で年率 0.6912%)が発生します。
この他、目論見書などの作成・交付および計理等の業務にかかる費用、監査費用なども発生して、ファンドの日々の純資産総額(信託財産)から支払われます。
組入有価証券の売買委託手数料、借入金の利息、立替金の利息および貸付有価証券関連報酬などについても、その都度、信託財産から支払われます。
IPOでかんぽ生命を購入する場合は購入手数料がかかりませんし、売却時の手数料もネット証券なら0.05~0.2%程度です。
3社合計で1万円しか買いたくないなどの特段の事情がない限りは、IPOに申し込んでかんぽ生命の株式を手に入れるのが望ましいです。
株主優待
日本郵政グループは、宿泊施設「かんぽの宿」、「メルパルク」を運営しています。
グループに宿泊施設を抱えている上場企業は、宿泊割引券を株主優待で実施している企業が多いです。代表例は、星野リゾートREIT、共立メンテナンス、ジャパンホテルリートなどです。
日本郵政にも株主優待の期待がかかります。かんぽの宿での2,000~3,000円割引などの株主優待の導入が期待できます。
かんぽの宿については以下にまとめています。
郵便局はカタログギフト「選べるギフト」を販売しています。安価な「花コースA」は2,000円です。
保有株式数に応じてカタログギフトの株主優待があると株価には宿泊割引券以上のプラス材料です。郵便局で取り扱っているカタログギフトの代表例は以下のとおりです。
- 選べるギフト 花コースA:2,000円相当
- 選べるギフト 鳥コースA:3,000円相当
- 選べるギフト 風コースA:4,000円相当
- 選べるギフト 月コースA:5,000円相当
- 選べるギフト 海コースA:10,000円相当
- 選べるギフト 山コースA:15,000円相当
- 選べるギフト 河コースA:20,000円相当
ハガキや切手の株主優待も実用的です。コストはかかりますが、選択制がベストです。取り上げた品物から株主が選べるようになったら理想的です。
日本郵政は株主優待の実施は「検討中」とのことです。
まとめ
日本郵政の事業は郵便・物流事業、金融窓口事業、銀行業、生命保険業等の業務ということで、IPOにおける人気度は企業業績、バリュエーション、成長性、公開価格の割安度などに左右されます。
この点、日本郵政の株式の想定価格は、株価指標の観点では、上場している同業他社と比較すると控え目な水準に設定されました。
想定価格ベースのPBR(株価純資産倍率)は、傘下のゆうちょ銀行は0.5倍弱となり、0.7倍強の3大メガバンク(MUFG・SMBC・みずほ)と比較すると低い水準となっています。
日本郵政のPBRは0.40倍で物流大手のヤマトホールディングスの1.77倍、日本通運の1.12倍よりかなり低いです。
PER(株価収益率)は仮条件ベースで15.8倍~16.4倍であり、ヤマトHDの24.01倍・日本通運の18.08倍よりも低いです。
ROEは3.4%であり、ヤマトHDの6.7%よりもかなり低めです。
日本郵政の今期の配当利回りは1.7~1.8%程度と東証1部の平均と同水準であり、来期に配当性向を今期の2倍程度に引き上げます。配当利回りは約3.40%と高くなる見込みです。
市況が暗転して暗中模索、一寸先は闇という情勢になっているのは大きな悪材料です。なんとかダブルボトムを形成して切り返してほしいところです。
日本郵政のIPOは超大型IPOなので当選は容易でしょう。問題は第一生命やNTTドコモやJR東日本のような堅調な初値となるか、ジャパンディスプレイやあおぞら銀行やJTのような悲劇となるのかです。
東証一部の1000億円以上の大型IPOの初値結果は以下のとおりです。
- リクルートホールディングス:+2.3%
- ジャパンディスプレイ:-14.6%
- サントリー食品:+0.6%
- 日本航空(JAL):+0.5%
- 第一生命保険:+14.3%
- ソニーフィナンシャル:+5.0%
- あおぞら銀行:-13.2%
- アコーディア・ゴルフ:-3.6%
- 出光興産:+10.5%
- 野村不動産HD:+11.4%
過去の政府保有株の放出があったIPOの初値は以下のとおりでした。
- NTT:+33.7%
- JR東日本:+57.9%
- 日本たばこ産業(JT):-16.8%
- JR西日本:+0.8%
- JR東海:+6.7%
- NTTドコモ:+17.9%
- 電源開発(J-POWER):+3.5%
- 国際石油開発:+23.9%
公募割れはJTのみであり、成長戦略が描きにくかった銘柄も微プラスを確保しています。
日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命の株式に関する政府株の売り出しは1回目です。今後も3回程度に渡って売り出しを続けます。
第1回目が盛大にズッコケる事態は避けたいので、公開価格は穏当なものになると予想できます。他方、あまりに低くても「国民の資産の安売り」という批判を受けかねないため、高すぎず低すぎずという水準に落ち着くと思われます。
ジャパンディスプレイのように公開価格を高めに設定して大幅な公募割れになる事態は避けられると予想します。
ブックビルディング開始から2日間で、国内外の投資家の需要が総売出し株式数を上回ったようです。当選の上限は1銘柄1000株以内が原則となる情勢です。大量取得は難しい状況です。
日本郵政、子会社のゆうちょ銀行・かんぽ生命はいずれも仮条件の上限が上振れて、公開価格は仮条件の上限となりました。
上場前の株式が相対で取引される市場である「グレーマーケット」では、公開価格を上回る買い気配値が入っています。初値が期待できます。
日本郵政のIPOの初値予想は、公開価格近辺~若干のプラスリターンです。
IPOの主幹事には、国内証券では7社(野村証券、大和証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルスタ証券、みずほ証券、東海東京証券、岡三証券)が選定されています。
また、外資系証券でも主幹事に4社(JPモルガン証券、ゴールドマン・サックス証券、シティグループ証券、UBS証券)が選定されています。
グローバルコーディネーターには、野村証券、三菱UFJモルスタ証券 、ゴールドマン・サックス証券、JPモルガン証券の4社が選定されています。
一般的にはグローバルオファーの大型案件でも共同主幹事は2~3社程度です。しかし、日本郵政のIPOでは主幹事が11社と前代未聞の数です。
この他、以下の証券会社で申し込めます。ネット証券からマイナーな証券まで、ほぼありとあらゆる証券会社で申し込むことができます。
三菱UFJフィナンシャル・グループは、三菱UFJ銀行でも日本郵政グループのIPOを販売する予定です。銀行窓口でも株式を取り扱える金融商品仲介制度を活用します。
現在、SBI証券は当サイト経由でお得な口座開設キャンペーンを行っています。口座開設・維持は無料です。
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三菱UFJグループのauカブコム証券、岡三グループの岡三オンラインでも、日本郵政のIPOの取り扱いがあります。
財務省としても日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のIPOは成功させたいでしょう。IPOの成功のためには、今年11月の上場まで株価が堅調に推移することが重要です。
マネックス証券は完全抽選で小口個人投資家でも当選する可能性がある証券会社です。
SBI証券が幹事に入っているので、着実にSBIチャレンジポイントを貯めましょう。
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SBIネオトレード証券でもIPOの取扱いを開始しています。委託幹事に名を連ねる可能性があります。
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<投資スタンス>
中立
(※強気・やや強気・中立・弱気の4段階)
ゆうちょ銀行、かんぽ生命のIPOについては以下で徹底解説しています。
銘柄名(2015年) | 発表時 | BB直前 | 結果 |
---|---|---|---|
Keeper技研 | やや強気 | やや強気 | 49.1% |
ケネディクス商業リート投資法人 | 中立 | やや強気 | 13.3% |
ファーストロジック | 強気 | 強気 | 52.5% |
ファーストブラザーズ | やや弱気 | やや弱気 | 2.5% |
ホクリヨウ | 中立 | 中立 | 8.9% |
ALBERT | 強気 | 強気 | 115.7% |
シリコンスタジオ | やや強気 | やや強気 | 102.0% |
コラボス | 強気 | 強気 | 137.6% |
エムケイシステム | 強気 | 強気 | 332.0% |
ショーケース・ティービー | 強気 | 強気 | 193.9% |
ヘルスケア&メディカル投資法人 | やや強気 | やや強気 | 54.5% |
エスエルディー | 強気 | 強気 | 15.3% |
ヒューマンウェブ | やや強気 | やや強気 | 11.7% |
イード | 強気 | 強気 | 46.4% |
ファーストコーポレーション | やや強気 | やや強気 | 25.0% |
RSTechnologies | 中立 | 中立 | -23.6% |
シンデン・ハイテックス | やや強気 | やや強気 | 12.2% |
ハウスドゥ | やや強気 | やや強気 | 47.2% |
Aiming | 中立 | 中立 | 12.2% |
モバイルファクトリー | 強気 | 強気 | 99.4% |
日本動物高度医療センター | やや強気 | やや強気 | 44.2% |
プラッツ | やや強気 | やや強気 | 70.2% |
sMedio | やや強気 | やや強気 | 58.7% |
サンバイオ | 弱気 | 弱気 | -14.5% |
海帆 | やや強気 | やや強気 | 76.5% |
Hamee | やや強気 | やや強気 | 67.2% |
日本スキー場開発 | 中立 | 中立 | 9.9% |
シーアールイー | 弱気 | 弱気 | -7.3% |
三機サービス | 中立 | 中立 | 37.1% |
レントラックス | 強気 | 強気 | 53.1% |
リンクバル | やや強気 | やや強気 | 27.9% |
ジグソー | 強気 | 強気 | 236.4% |
Gunosy | 中立 | 中立 | 0.0% |
デザインワン・ジャパン | やや強気 | やや強気 | 50.9% |
テラスカイ | 強気 | 強気 | 350.0% |
ヘリオス | 中立 | 弱気 | 22.5% |
スマートバリュー | 強気 | 強気 | 344.9% |
マーケットエンタープライズ | 強気 | 強気 | 167.0% |
デジタル・インフォメーション・テクノロジー | 強気 | 強気 | 246.2% |
エコノス | 弱気 | 中立 | 120.0% |
中村超硬 | 弱気 | 弱気 | 11.8% |
メニコン | やや強気 | やや強気 | 73.5% |
冨士ダイス | 弱気 | 弱気 | 50.9% |
ファンデリー | 強気 | 強気 | 102.1% |
ナガオカ | 中立 | 中立 | 40.6% |
サムティ・レジデンシャル投資法人 | 中立 | 中立 | -2.9% |
富士山マガジンサービス | 強気 | 強気 | 126.4% |
クレステック | やや強気 | やや強気 | 82.4% |
平山 | やや強気 | やや強気 | 29.5% |
アイリッジ | 強気 | 強気 | 429.2% |
デクセリアルズ | 弱気 | 弱気 | -3.1% |
ジャパン・シニアリビング投資法人 | やや強気 | やや強気 | -10.5% |
イトクロ | 中立 | 中立 | 4.1% |
PCIホールディングス | やや強気 | やや強気 | 169.6% |
エスケーホーム | 中立 | やや強気 | 13.8% |
パルマ | 強気 | 強気 | 70.5% |
メタップス | 中立 | 中立 | -7.9% |
ラクト・ジャパン | 中立 | 中立 | 0.0% |
土木管理総合試験所 | 中立 | 中立 | -2.4% |
アクアライン | 強気 | 強気 | 21.7% |
ベステラ | やや強気 | やや強気 | 25.0% |
STUDIOUS | やや強気 | やや強気 | 20.0% |
JESCOホールディングス | 中立 | 中立 | 5.4% |
ピクスタ | 強気 | 強気 | |
アイビーシー | 強気 | 強気 | |
ネットマーケティング | 強気 | 強気 | |
ブランジスタ | やや強気 | 強気 | |
AppBank | やや強気 | ||
日本郵政 | 中立 | ||
ゆうちょ銀行 | 中立 | ||
かんぽ生命 | 中立 |
銘柄名(2014年) | 発表時 | BB直前 | 結果 |
---|---|---|---|
ヒューリックリート投資法人 | 中立 | 中立 | 13.0% |
アキュセラインク | やや強気 | 中立 | 27.8% |
サイバーリンクス | 強気 | 強気 | 172.9% |
日本BS放送 | 中立 | 中立 | 6.6% |
エンバイオ・ホールディングス | 強気 | 強気 | 126.0% |
ダイキョーニシカワ | 中立 | 中立 | 12.4% |
日立マクセル | やや弱気 | やや弱気 | -4.8% |
ジャパンディスプレイ | 中立 | 中立 | -14.6% |
ホットマン | やや強気 | やや強気 | 67.5% |
みんなのウェディング | 強気 | 強気 | 27.1% |
ディー・エル・イー | やや強気 | やや強気 | 101.0% |
サイバーダイン | 強気 | 強気 | 130.0% |
エスクロー・エージェント・ジャパン | やや強気 | やや強気 | 290.8% |
トレックス・セミコンダクター | やや弱気 | やや弱気 | -10.4% |
丸和運輸機関 | 中立 | 中立 | -8.8% |
ジョイフル本田 | 中立 | 中立 | -1.9% |
フィックスターズ | 強気 | 強気 | 162.0% |
白鳩 | 強気 | 強気 | 46.2% |
日本リート投資法人 | 中立 | 中立 | 4.0% |
西武ホールディングス | やや弱気 | やや弱気 | 0.0% |
東武住販 | やや強気 | やや強気 | 12.0% |
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 | 中立 | 中立 | 5.7% |
ニュートン・フィナンシャル・コンサルティング | 中立 | 中立 | -7.7% |
ムゲンエステート | 中立 | 中立 | 10.0% |
フリークアウト | 強気 | 強気 | 250.0% |
ポバール興業 | 中立 | 中立 | 6.6% |
OATアグリオ | 中立 | 中立 | -6.3% |
メドピア | 強気 | 強気 | 131.3% |
レアジョブ | 強気 | 強気 | 169.7% |
VOYAGEGROUP | 強気 | 強気 | 40.0% |
鳥貴族 | やや強気 | やや強気 | 120.7% |
イグニス | 強気 | 強気 | 342.1% |
日本ビューホテル | やや弱気 | やや弱気 | -1.3% |
ジャパンインベストメントアドバイザー | やや強気 | やや強気 | 126.3% |
ロックオン | 強気 | 強気 | 284.6% |
リアルワールド | 強気 | 強気 | 79.8% |
AMBITION | やや強気 | 強気 | 62.0% |
ジェネレーションパス | 強気 | 強気 | 119.2% |
リボミック | 中立 | やや強気 | -20.4% |
FFRI | 強気 | 強気 | 176.5% |
ホットランド | 中立 | 中立 | -1.7% |
ヤマシンフィルタ | 中立 | 中立 | 19.6% |
すかいらーく | 中立 | 中立 | 0.0% |
リクルートホールディングス | 中立 | 中立 | 1.3% |
GMOリサーチ | 強気 | 強気 | 133.3% |
セレス | 強気 | 強気 | 55.4% |
オプティム | 強気 | 強気 | 260.0% |
アルファポリス | 強気 | 強気 | 93.2% |
エラン | やや強気 | やや強気 | 70.3% |
日本ヘルスケア投資法人 | やや強気 | やや強気 | 48.1% |
SHIFT | 強気 | 強気 | 361.5% |
CRI・ミドルウェア | 強気 | 強気 | 462.5% |
日本PCサービス | 中立 | やや強気 | 67.7% |
トーセイリート投資法人 | やや弱気 | 中立 | 11.6% |
積水ハウス・リート投資法人 | やや強気 | やや強気 | 22.7% |
弁護士ドットコム | 強気 | 強気 | 215.4% |
クラウドワークス | 強気 | 強気 | 73.2% |
スノーピーク | やや強気 | やや強気 | 134.3% |
ビーロット | 強気 | 強気 | 422.4% |
GMOTECH | 強気 | 強気 | 135.2% |
テクノプロ・ホールディングス | 中立 | 中立 | -5.0% |
アトラ | やや強気 | やや強気 | 77.4% |
マークラインズ | 強気 | 強気 | 77.3% |
メディカル・データ・ビジョン | 強気 | 強気 | 135.9% |
U-NEXT | やや強気 | 中立 | 31.7% |
SFPダイニング | やや弱気 | やや弱気 | -16.5% |
今村証券 | 中立 | 中立 | 27.4% |
フルッタフルッタ | 強気 | やや強気 | 51.5% |
竹本容器 | 中立 | 中立 | 2.0% |
gumi | 中立 | 中立 | 0.0% |
大冷 | やや弱気 | やや弱気 | -6.7% |
アドベンチャー | 強気 | 強気 | 127.2% |
メタウォーター | やや弱気 | やや弱気 | -6.0% |
サイジニア | 強気 | 強気 | 125.8% |
インターワークス | やや強気 | やや強気 | 16.7% |
イーレックス | 中立 | 中立 | 11.2% |
データセクション | 強気 | 強気 | 73.1% |
綿半ホールディングス | やや弱気 | やや弱気 | 6.3% |
ヨシックス | 中立 | 中立 | 29.4% |
東京ボード工業 | やや弱気 | やや弱気 | -8.0% |
カヤック | 強気 | 強気 | 222.0% |
エクストリーム | 強気 | 強気 | 296.4% |
MRT | 強気 | 強気 | 309.4% |